鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
ここから潜入です。
「よし、着いたぞ、ここがその家だ」
宇髄さんは息も切らさずに千住まで着いた。
やはり柱ってとんでもない人ばかりなのか?
「ここでこの馬車は置いて藤の家で準備して吉原までは歩くぞ」
「はい!」
「いい返事だ」
藤の花の家に着くと家の人が迎えてくれた。
「お帰りなさい、お待ちしておりました」
「ああ、ただいま、じゃあとりあえず鏡と筆とあれを」
何を用意するんだろう。そう俺たちは気になったが、わからないので聞かないことにする。
「おーし、この部屋で少し話でもするか、ここの家はなぁ、俺がいつも使ってる家でなぁ、松平って言う人がやってるんだ」
それを聞いた瞬間善逸とアリスが驚く。
「松平!も、もしかして、昔の江戸幕府で日本を治めてたあの?」
「そうだよ、ここはその一族の親戚の運営してる家だよ」
「ということは、鬼殺隊って、政府公認だった時代ってあったんですか?」
「まぁちょっと違うけど、そうなるな。鬼殺隊は江戸幕府の公認だった時代があるぜ、しかも、江戸幕府の中でもかなり極秘でなぁ。何しろ鬼殺隊は全盛期2000人はいたんだぜ?それに、俺の先祖も鬼殺隊の一員だったわけだし」
「どういうことですか?じゃあなぜ、鬼殺隊は今、非公認に?」
「廃刀令だよ、廃刀令、それを出した明治政府のバカ役人が出しやがったんだよ。鬼殺隊のおかげで江戸時代は安定していたのにそれさえも剥奪しやがったんだよ」
「そうなんだ、やっぱり国の役人ってバカなんだね」
「そうだよ、そのせいで一時期は鬼殺隊が400人まで減ったこともあるからな、今は1400人くらいまで盛り返したけど」
俺はさっぱりわからなかった。なので質問する。
「あの、明治政府はわかるけど、江戸幕府ってなに?」
何故か変な目で見られる。
「あぁ教えてやるよ、江戸幕府はなぁ、50年くらい前まで松平家が治めていた武士と忍びの天国だぜ。しかもその時代は派手な芸術や文化が沢山生まれた時代だよ。俺のこの化粧も浄瑠璃から取ったんだぜ?」
「そうなんですか、すごい時代ですね!」
「そうだよ、俺もあの時代に生きたかったとほんと思ったぜ。だが俺の生まれた頃には忍びは伊賀と甲賀と川越にしかいなかったからな。俺は川越の生まれだ」
「宇髄さんって川越生まれなんですね!ということは、埼玉ですか。意外と近いんですね」
「まぁ、確かに近いな、そんな忍びも今の川越には誰も存在しないがな」
宇髄さんが何か含んだようなことを言ったので妖夢が質問する。
「存在しないとはどういうこと?」
「あぁ、俺には兄妹がいたんだが、厳しい修行の末にほとんど逃げ出して、弟と俺しかいなかったんだよ。その弟は政府のためにやるぞって言って国のところに行ったんだが、2年前の秋に徳川慶喜が死んだ日に殉死したよ、バカだよあいつは」
「そんなことがあったんですね」
宇髄さんの過去は壮絶だった。派手な性格もその過去を隠すためか、そう思った。
「よし、じゃあ任務を話す。まず、遊郭に潜入したら俺の嫁を探せ。俺も鬼の情報を探すから」
伊之助以外はん?ってなる。
そして善逸が沈黙を破る。
「とんでもねぇ話だ!ふざけないでいただきたい、自分の個人的な嫁探しに部下を使うとは!」
「はあ?なにを勘違いしてやがる」
「アンタみたいな奴が夫とか嫁はひどいやつなんだろうな!」
そう言われたので宇髄さんは善逸の腹を殴る。
「馬鹿かテメェ!俺の嫁は必死に情報収集に励んでんだよ!定期連絡が途絶えたから俺も行くんだっての?」
「いてて、なに言ってんのこの人」
「じゃあ証拠を見せてやるよ!これが鴉経由で届いた手紙の数々だ!」
宇髄さんは部屋の押し入れを全て開ける。
すると、大量の手紙が崩れてくる。
「こんなにあったの?すごい!」
「ずいぶん多いですね。かなり長い期間潜入されてるんですか?」
「俺には3人の嫁がいるからな、それに、潜入は9月からだよ」
さらりと宇髄さんは善逸に引っかかることを言う。
「三人!?嫁…テメェ!!なんで三人も嫁いんだよざっけんな!」
善逸はまた思い切り腹を殴られる。
「何か文句あるか?」
「あの…それって三人とも姉妹ってことですか?」
妖夢は怒る宇髄さんに質問する。よくその魂胆があるなと感心する。
「ちげぇよ、今は三人とも宇髄だが、旧姓は近江、大坂、伊勢と違うからな。それに、三人とも9年は一緒にいる」
「そうですか!わかりました」
妖夢に続き俺もきく。
「あの…手紙で来る時は極力目立たぬようにと何度も念押ししてあるんですが…具体的にどうするんですか?」
「そりゃ変装よ。不本意だが地味にな、お前らにはあることをして潜入してもらう。俺の嫁は三人共優秀な女忍者、つまりくの一だ。花街は鬼が潜むのに絶好の場所だと俺は思ってたが、俺が客として潜入した時は鬼の尻尾は掴めなかった。だから客よりももっと内側に入ってもらったわけだ。既に怪しい店は三つに絞っているからお前らはそこで俺の嫁を探して情報を得る。一つはときと屋の須磨、二つ目は荻本屋のまきを、最後に京極屋の雛鶴だ。この三人は2週間前にぱったりと連絡が途絶えた。だから1日でも早く手がかりを見つけろ」
俺はその情報を心に留めた。
すると伊之助が耳をほじりながらいう。
「時間経ってるし嫁もう死んでんじゃね?」
伊之助は宇髄さんに全力で腹を殴られた。
伊之助はあまりの痛さに気絶する。
「ご入用のものをお持ち致しました」
「おう、ありがとよ」
こうして俺たち7人は宇髄さんの化粧によって変装した。
「うわ、綺麗!こんなに変わるんだ」
「え、これが私?こんなの初めて」
「いや〜、アリスさんも妖夢さんもお綺麗です」
「私の師範は化粧が上手いんだ」
女の子たちは化粧に喜んでいる。
「よし、終わったぞ」
男3人分の化粧を終わると女の子たちは吹き出す。
「なにそれ、変わりすぎでしょ」
「随分と雰囲気が違うわ」
「ふふふふ」
「はっはっはっはっ」
俺たちは気になったので鏡を見る。
そこには濃すぎて白っぽい俺、綺麗すぎる伊之助、そして、どうしようもない善逸が映っていた。
「いやぁ、苦労したよ。男の化粧なんて自分の顔以外やったことねぇから、それに炭治郎の額の傷を消したり善逸のどうしようもない顔を整えるのにも、猪頭は紅ひいただけだがな」
この顔で本当に潜入できるのかと俺は思った。
「ちくしょう!なんだよ!そんなに笑いやがって」
「いや、私たちよりも伊之助の方が何倍も綺麗だから」
「は!?ふざけんじゃねぇ!」
伊之助は綺麗だと言われたことに満足いってないようだ。
「は?これが俺…」
善逸は自分の顔に呆然としていた。
「よし、それじゃぁ行くぞ」
「はい!」
吉原に着くとものすごい人がいる。
これが吉原という花街だからだという。
そこは売りに出された女が身を粉にして男たちに捧げる場所。
そこでは一万人もの遊女が暮らしている。
遊女として出世すれば裕福な家に身請けされることもある。
中でも遊女の実質最高位である散茶女郎、いわゆる花魁は別格であり
美貌・教養・芸事 全てを身につけている特別な女性
位の高い花魁には滅多に会えることができないので逢瀬をはたすために男たちは競うように足繁く花街に通うのである。
「あら〜この子綺麗ねぇ、その白髪の子と青髪の子を頂くね。」
「ありがとうございます!400円です」
「いや〜いい子だからそんなに安いなんて〜、まぁ安く買えたからいいもんだわ」
「ありがとうございます!」
こうして伊之助と妖夢は伊之里、妖子として荻本屋に売られた。
「思ったより高く売れた!俺の化粧技術、見たことか!」
「ふーーん、そうですか」
「なんか不機嫌だな、女装させたからキレてんのか?」
「善逸はなんか嫉妬してるっぽいです」
「まぁな!俺の男前の顔も合わせて派手に決まってるぜ」
そうして次の目的地に向かおうとすると人集りができている。
「おっ、ありゃ花魁道中だな、ときと屋の鯉夏花魁だ。一番位の高い遊女が客を迎えに行ってんだよ。それにしても派手だぜ。いくらかかってんだ?」
善逸が反応する。
「嫁!?もしや嫁ですか!?あの美女が嫁なの!?あんまりだよ!三人もいるの皆あんな美女すか!」
嫁じゃねぇよ!こういう番付に名前が載るからわかるんだよ。
すると、小さな女の子がこっちに来る。
「お、ちょうど欲しい人がいました!旦那さん、その長い金髪の子と赤髪の子をください!お題は300円で払います」
「おう、ときと屋の針妙丸さんじゃないですか!それはありがたい!ではよろしくお願いします」
こうして俺は炭江として、アリスは亞里亞として売られた。
一方で善逸はと言うと、
「たーっく売れ残っちまったな、仕方ねぇ、この手を使うしかねぇか」
京極屋に弁々と八橋を楽器の弾き手として売った時のついでで売られていた。
まさかまさかの原作よりも宇髄さんは化粧が上手かった。
なのでここでは原作通りの化粧をしてるのは善逸だけです。
どうしようもないな。