鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
今回から3回に分けて潜入先の話になります。
「ちょっとどういうこと!こんな傷あったら客なんてつかねぇ!あの男すごい綺麗だったけど許さないよ!」
針妙丸さんは激怒していた。
「せっかく300円も出したのに!これじゃ大損じゃない!」
「やめましょうよ!針妙丸さん!この金髪の子でもかなりいいお買い物ですよ。この綺麗でお胸もある娘ならかなりお客さんにも受けますよ。それに、この傷のある娘は裏方に回せばいいじゃないですか」
「そうだね、私も取り乱したよ。それに、この子結構使えそうな気がする」
翌日
「炭江ちゃん!そこの籠を運んで!」
「はい!」
「炭江ちゃん!七輪の火が消えそう!炭入れといて!」
「はい!」
俺はテキパキと働いた。
「随分と腕が立つ子だねぇ、わたしだったら過労で倒れちゃうよ」
「それに、昨日は針妙丸さんが烈火のごとく怒っていたけど」
色々話が聞こえる。この遊郭は騒がしいようだ。
「炭江ちゃん!お客さんからの差し入れを鯉夏さんの部屋まで運んでくれる?多すぎて、人手が足りないみたいで…」
「わかりました!すぐ運びます」
「私も手伝います!」
「亞里亞ちゃんもありがとう!ほんと、新入りなのによく働くねぇ」
「はい!私みたいな傷物でも受け入れて下さることに感謝です」
「私も精一杯頑張って散茶を目指します」
2人での潜入だが色々と順調である。
「この荷物、重すぎるわ。2人で持てる?」
「はい!大丈夫です!」
2人で籠を六個ずつ持ち、首には風呂敷も巻く。
「これでいいわ、じゃあ炭江、行こう」
「ありがとう!」
2人で鯉夏花魁の部屋へと向かう。
その姿を見た他の遊女が何人か腰を抜かしていた。
「何あれ、あの二人、そんなに力が強いの?これは、期待の新人だわ」
「強すぎるわ、あれだけ重たい荷物を運ぶなんて、もしかして、柔道か空手でもやってたのかしら」
こうして2人は鯉夏花魁の部屋に着く。
「お邪魔します!差し入れです」
部屋に入ると2人の遊女が噂話をしていた。
「京極屋の遣手の女苑さんとお三津さんが窓から落ちて死んじゃったんだって、怖いね気をつけようね」
「最近は足抜けしていなくなる姐さんも多いしね、番付の上の方でも足抜けする人がいるから怖いね」
気になったので割り込んでみる。
「足抜けって何?」
「え、炭ちゃん知らないのぉ、それに、すごい荷物、お二人さんの持ってるのって」
「鯉夏さんへの差し入れだよ」
「そうそう、足抜けっていうのはねぇ、借金を返さずにここから逃げることだよ。見つかったら拷問とか折檻とか酷いんだよ。」
「そうなんだ…」
「好きな男の人と駆け落ちして逃げ切れる人もいるんだけど、この間も吉原番付でも小結の須磨花魁が突然消えちゃって…」
須磨花魁!宇髄さんの奥さんだ…ここにいたんだ。
「噂話はよしなさい、本当に逃げ切れたかどうかなんて…誰にも分からないのよ、それに、もう11月の話だし、今話すことでもないでしょ?」
「はぁい」
「お二人が運んでくれたのね、ありがとう、おいで」
「「はい!」」
そういうと鯉夏さんは差し入れからものを取り出す。
「お菓子をあげようね。疲れた時にはこれを食べると元気になるから、1人の時に食べるのよ、亞里亞ちゃんもほんとよく頑張ってるね、私の次にこの吉原で番付に乗るのはこの娘かも」
「ありがとうございます!」
「わっちも欲しい!」
「鯉夏さん!」
「だめよ、さっき食べたでしょ、それに、食べ過ぎると太るわよ」
遊女たちが鯉夏さんにお菓子をねだるなか、俺はきく。
「あの…須磨花魁は足抜けしたんですか?」
「どうしてそんなことを聞くんだい?」
上手く聞かないと、須磨花魁の情報は大事だ。でも警戒されてる。
「ええと、実は…須磨花魁は私の…」
「実はね、須磨花魁は炭江ちゃんの姉なんですよ。それに、炭江ちゃんは須磨花魁のに憧れていたんです。それに、須磨花魁と炭江ちゃんは手紙のやり取りをしてたんですよ。そうですよね。炭江ちゃん」
「そ、そうです。それに、姉は足抜けするような人ではないはずで…」
俺は嘘をつくのが苦手で変な顔になってしまうことがかなり辛かった。
この場でアリスがいなければ俺は気味悪がられていただろう。
「そうだったの…確かに私も須磨ちゃんが足抜けするとは思えなかった。しっかりした子だったもの、男の人に逆上せている素振りもなかったのに、それに、あの子はドジだけどやる時はやる子なのよ。だけど日記が見つかっていて…それに足抜けするって書いてあったそうなの。捕まったという話も聞かないから逃げきれていればいいんだけど…」
足抜け…これは鬼にとってかなり都合がいい。人がいなくなっても遊郭から逃亡したのだと思われるだけ、逃亡する人もそれなりの人ばかりだから鬼も潜める。それに、日記は恐らく偽装だ。どうか無事でいて欲しい…必ず助け出すから、須磨さん!
「私たちは他にも頼まれごとがあるので失礼します」
「ありがとうございます」
鯉夏さんの部屋から出ようとする。
だが少し違和感を感じる。
「失礼します」
違和感はこれか!
「あれ、襖の滑りが悪いですね」
「困ったわね、まだこの建物古くないのに」
鯉夏さんの部屋が歪んでいる。
誰かがこの建物に手を加えたのだろう。
部屋に戻ろうとすると少し軋む音が聞こえる。
「アリス、もしかすると、鯉夏さんは狙われているかもしれない」
「えぇ、私もなにか違和感を感じたわ。何者かがこの建物を監視しているのかもしれない。それに、女将さんから聞いたんだけど、この店には4年前、蓬姫という花魁がいたらしいのよ。その人の稼ぎでこのときと屋は建て替えたのよ。だからもしかすると…」
「宇髄さんの読みは正しいかもしれない。でも、手がかりが足りない。だからもう少し深く探ってみよう」
「そうね、炭治郎、あなたも気をつけてね」
こうして俺とアリスは情報収集をするために色々聞いて回った。
ときと屋の蓬姫とは一体誰なのか。
私も気になります。