鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
どうなることやら
一方、京極屋では、
音芸の会が行われていた。
そこには弁々、八橋、善逸の三人が派手な音楽を奏でていた。
その音楽は現代であればプログレッシブに当てはまるほどの高等技術だった。
「あの三人、すごい演奏ね」
「あの三人の中でも真ん中の金髪の子、迫力もすごいし、それについていく二人もすごいわ」
「最近入った子たち?」
「あの子たちは耳がいいみたいよ。一回聞いたら三味線も琴もマンドリンも笛もできるらしいわ」
「でも真ん中の子不細工よねぇ……よく入れたわねお店に…」
「あの子連れてきたのがものすごいいい男だったらしいわよ」
「ほんとに?見たかった!」
「遣り手の小鈴ちゃんがぽっとなっちゃってさ。アタイにはわかるよ、あの子のし上がるね」
「ええっ?」
「自分を捨てた男見返してやろうっていう気概を感じる。そういう子は強いんだよ」
「そ、そうなんだ…」
そして善逸はというと
(あーーーー!ふざけんじゃねぇよ!俺が売れ残ったからって弁々ちゃんや八橋ちゃんまで巻き込んで売りやがって!見返してやるあの男!アタイ絶対吉原最高の花魁、太夫になる!)
演奏を終え、観客からは拍手が巻き起こり、その最中に三人は屏風の裏に向かう。
「はぁ、ここの奴ら、音がまるで合ってない楽器で弾いてるとかどうかしてるよ」
「確かにそうでしたね。私たち三人で全部の楽器を一晩かけて調律しましたからね」
「ここは吉原一の遊郭ですが、意外と音楽に疎い人も多いのかな」
三人は色々と京極屋に愚痴る。
「それに、善逸さん、いや、善美さん。あんな難しい曲、よくすぐに弾けましたね」
「え、あれは簡単だよ、音がズレてただけで実際には抑えるところそれほど無いし」
「私たちよりも上手です!これからもよろしくお願いします」
「俺の演奏技術についてこいよ!」
「はい!」
俺は少し落ち着く。
あれ、なんか俺自分のこと見失ってたわ…そうだよ、俺は太夫になるためにきたんじゃねぇ!宇髄さんの奥さんの雛鶴さんを探すんだったよ。楽器の腕上げたってどうしようもないだろうよ。
善逸たちは三人で手分けして聞き耳を立てながら歩き回っていた。
でもなぁ、どうしよ。雛鶴さんの情報ないぞ。五日前に死んだのって楼主の奥さんかな?みんな暗いし口が重いな…
するとかなり遠くから女の子の啜り泣く声が聴こえた。
「一大事だ。今すぐ行かなきゃ」
俺は全力でその場所へ向かう。
部屋をのぞくとあちこちがぐちゃぐちゃになっており、部屋も散らかっていた。
「ちょっと!どうしたの?この部屋」
すると女の子が俺に泣きついてきた。
「実は…先ほど、華扇さんと蕨姫太夫さんが喧嘩してしまって、それを私が止めようとして…」
「喧嘩!?大丈夫なの?その傷、痕残らない?」
女の子はまた泣き出す。
「ごめん!ごめんね!君を怒ったわけじゃ…ないのよ!ごめんね!何か困ってるなら…」
俺の後ろに突然何か気配を感じる。
その音を聴き、俺は絶句し心臓が強く鼓動する。
「アンタ、人の部屋で何してんの?」
鬼の音だ。今後ろにいるのは鬼だ。人間の音じゃない。声をかけられる直前まで全く気づかなかった。こんなことある?これ…上弦の鬼じゃないの?音やばいんだけど静かすぎて逆に怖すぎるんだけど。
「オイ、耳が聞こえないのかい」
俺は体がすくむ。すると他の遊女が話しかける。
「蕨姫太夫様、その人は3日前に入ったばかりだから…」
その鬼は一息を入れる。
「は?だったら何なの?アンタたちには関係ないでしょ!」
女の子たちは蕨姫太夫の威嚇に怯えて立ち去る。
「勝手に入ってすみません!部屋がめちゃくちゃだったし、あの子が泣いていたので…」
俺は言い返す。すると蕨姫太夫は睨みつけながら、
「ほんっと不細工だね…。お前気色悪い…、死んだほうがいいんじゃない?何だいその頭の色!目立ちたいのかい?部屋はさっき喧嘩して荒れたにしちゃったね。片付けとくように言ってたんだけど」
すると蕨姫太夫は女の子の耳を思い切り引っ張る。
「ぎゃあ!」
「五月蝿い!さっさと部屋を片付けな!」
「ごめんなさいごめんなさい!すぐやります!許してください…」
女の子の耳の付け根からは血が出ている。
いてもたってもいられない俺は蕨姫太夫の腕を掴む。
「何よあんた」
「手を離してください!」
俺は全力で掴んだ腕を握る。だが、女の腕と呼ぶにはあまりにも頑丈だった。
一瞬で吹っ飛ばされる。
俺は斜向かいの部屋の襖を破られるほどの勢いで。
だがすぐに受け身を取る。
「気安く触るんじゃないよ。のぼせ腐りやがってこのガキが躾がいるようだねお前は、キツイ躾が」
すると楼主が駆けつけ呼び止める。
「蕨姫太夫!この通りだ頼む!勘弁してやってくれ!もうすぐ店の時間だ、客が来る!
俺がきつく叱っておくからどうか今は…どうか俺の顔を立ててくれ…」
「旦那さん顔を上げておくれ…私の方こそごめんなさいね。最近ちょいと癪に触ることが多くって、入ってきたばかりの子に辛く当たりすぎたね手当てしてやって頂戴」
そして、他の遊女に対し、
「支度するからさっさと片付けな!」
「はっ、はい!」
楼主も遊女たちに指示をする。
そこに弁々と八橋が駆けつける。
「善美さん!大丈夫ですか?」
「ものすごい音がして駆けつけたんですが…」
俺は思い切り殴られ鼻血を出していた。
「急いで手当場へ」
こうして俺は二時間ほど失神していた。
「いてて、ここはどこ?」
「善美さん!心配したんですよ。それに、左の頬が腫れてますよ」
「あ、さっきさぁ蕨姫太夫に思い切り殴られて」
「え、蕨姫太夫!もしかして、吉原一の花魁にして唯一太夫として認められているあの!」
「そうだよ、実はさぁ………」
俺は二人に説明した。
「え、どどどどういうことですか!」
「鬼って…それに、一番目立つ売れている花魁が…」
「おそらくだが一番売れているからこそ、選りすぐりの人しか会えない。つまりお金をたんまり積むような奴はお金持ちだから最悪柱とか食われてる可能性もある。だから揉み消しやすいんだと思う」
「なるほど…一番番付が高いと簡単に手出しできませんからね」
蕨姫太夫は鬼だった。しかもかなり強い鬼。
おそらく上弦相当の強さを誇る可能性も、そう思うと震える。
「善子さん、部屋まで送りましょうか。私たちが肩をかしますから」
「ごめんね、二人に手を煩わせて」
俺は二人の肩を借りて部屋へと向かう。
しかし、その直後、俺たちは何者かによって縛られ、意識が落ちた。
善逸原作通りでしたね。
ただ、三日で演目を披露できるのはすごいですね。