鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜   作:トーニオン

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今回は堕姫妓夫太郎戦のお話完結になります。
さて、どういう戦闘になるのでしょうか。


共存願望と兄妹の最期

「まだ?少し遅い気がするけど」

「耐えるんだ!今はこいつを抑えないと!」

俺とアリスは帯を切り抜けながら交わす。

堕姫の帯は数をどんどんと増えている。

帯の斬撃も強くなり、隊服もボロボロになる。

 

その時、

「すまねぇ、遅くなった。これから派手に行くぜ!」

「宇髄さん!」

「遅いわよ!」

宇髄さん達が駆けつけてくれた。

だが、そこには居るはずのない者が、

「目を覚ませ!俺のことが分からないのか!」

兄鬼がその中にいる。

「どういうことですか?宇髄さん!」

「話はあとだ!今はこの妹、堕姫の攻撃に隙を作らなきゃな!」

 

音の呼吸。 伍の型 鳴弦奏々

 

獣の呼吸。弐の牙 切り裂き

 

魂の呼吸。壱の型 乱魂

 

雷の呼吸。壱の型 霹靂一閃 八連

 

大量の帯が瞬く間に切り裂かれ弾け飛び、堕姫の姿が現れる。

「今だ!堕姫の所に跳べ!妓夫太郎!」

「言われなくても、わかってるよぉ!」

妓夫太郎は全力で跳び、堕姫の体を抱く。

だが、完全に暴走しているせいか、全く反応しない。

「目を覚ませ!俺だ!お兄ちゃんが来たんだ!」

その言葉も虚しく妓夫太郎の体は切り刻まれる。

「お前は、俺のたった1人の家族なんだ!俺たちの育った吉原を壊すのはやめろ!梅!」

妓夫太郎がそう叫ぶと突然攻撃が弱まる。

俺はその攻撃の隙をつき、アリスとともに帯を切り裂く。

「これで道はできた!炭治郎!アリス!堕姫の頸をとばせ!鋏のように合わせて」

宇髄さんの指示に合わせ、俺とアリスは跳び上がる。

 

ヒノカミ神楽。火車

 

恋の呼吸。肆の型 燃恋の動悸

 

刀が擦り合わさり、鋏のように交差する。

そのまま帯状になった堕姫の頸に切れ込みが入る。

だが、まだ通しきれない。

俺とアリスは今持てる全力を刀に打ち込む。

すると、刀が赤くなり、より強いものへと変わるような気がした。

「うぉぉぉぉぉぉ!」

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

二つの刀は更なる力に答えるかのように堕姫の頸を刎ねとばした。

 

「やった!堕姫の頸が飛んだ」

「炭治郎さんとアリスさん、すごい!」

堕姫の頸が弧を描いている時、妓夫太郎は堕姫の頭を掴み抱きかかえる。

「ごめんよぉ、お前が元に戻るにはこれしか方法がなかったんだ」

妓夫太郎は涙を流しながら堕姫の頭に涙を流した。

 

 

 

堕姫は目を覚ますと、辺り一面の瓦礫と、自分の頭を抱える妓夫太郎、そして鬼狩りが一同に揃う姿があった。

 

「ちょっと!どういうことなの!お兄ちゃんはどうして…」

妓夫太郎は堕姫の問いに答える。

「お前が、この場所を暴走して壊したんだ。それに、お前には、もうこれ以上鬼として生きて欲しくない」

「どうして、私を殺そうとするの?私たちは鬼になって人間たちを見返してやるって言ってたじゃない!」

「お前は間違っている。ホント、頭が足んないんだよ。お前はとっくに、人間たちを見返した。それに、お前は吉原一の美女じゃないか。それだけすれば、俺は十分だ」

「お兄ちゃん…私は…私は…うわぁぁぁぁん」

堕姫は泣きじゃくる。これが吉原最後の太夫の泣き顔か。

「じゃあ、色々あったが、約束通り、俺の頸を斬ってくれ。俺は妹とともに逝くと決めていたから」

妓夫太郎には覚悟が決まっていた。本当に死ぬ気だ。

「なら、私が斬りましょう。私にはこの鬼に因縁があるので」

妖夢は刀を構える。

「最後に言い残すことはありますか?」

妖夢は妓夫太郎に質問を投げかける。

「最後に、幽々子の言ってたことをお前に伝える。鬼と人間は仲良くなれる。長い命があれば人を食うかもしれない。でも、それ以上に人への感謝と貢献をすればいい。私は人を食う鬼だから首を刎ねるんじゃない。人のことを恨み、妬み、人間のことを蔑むから首を刎ねる。その罪をもう重ねないためにも、私はそれを全うしているだけ。いつか人間と鬼が手を取り合い、共存できる世界が出来たら、みんながその世界で生きられたら、私はそれを言ってくれた姉弟子の思いも継いでいきたい。それを言われて以来、俺は幽々子以外の人間を喰っていない。そう、俺が最後に食ったのは、幽々子の心臓だけだからな」

 

妓夫太郎はそういうと、苦笑いをした。

「そんなこと言われたら、斬りにくいじゃないですか!バカ!」

妖夢は妓夫太郎の頸を刎ねた。その時、妖夢は涙を流していた。

 

2人の頸はお互いの顔が向かい合わせになる。

「お兄ちゃん!私は生まれ変わっても、お兄ちゃんの妹になる」

「俺もだよ。もし生まれ変わったら、俺はお前の兄になる」

2人は幸せそうな顔をする。

すると、妓夫太郎が俺のことを呼ぶ。

「お前たちに俺から教えることがある。俺たちを鬼にしたのは上弦の童磨という鬼だ。そして、その上に立つのは2人の鬼の始祖、それは…」

妓夫太郎が名を口にしようとすると突然、頭がふくれあがる。

「お兄ちゃん!どうしたの!そんな!そんなぁぁぁ!」

妓夫太郎の頭は膨れ上がり、破裂して、砕け散った。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ」

その断末魔とともに堕姫は塵へと帰る。

 

「なんとも後味悪いぜ!死に際までぶち壊すとはとんでもないやつだぜ。鬼舞辻無惨というやつは」

宇髄さんはそう口にする。

だが、俺はおかしいと思った。鬼舞辻無惨の呪いとは違う。もし本当に無惨の呪いなら、至る所から腕が生え、ぐちゃぐちゃに潰すはずだ。

「宇髄さん、これは無惨の呪いではありません!俺は見た事があります。奴の呪いは爆発とは違います。もしかすると、もう1人の始祖の方かもしれません」

「ほう、お前は見たことあるのか、無惨を見たことがあるというが、そんな所まで知ってるとはなぁ。なるほど、面白くなってきたぜ!」

 

俺はそのことを聞きながら服のポケットから小さな刀をだし、妓夫太郎の血を取った。

 

「こんな救いのない終わりなんて、悲しすぎる。それに、あの兄妹はもしかすると俺と禰豆子だったかもしれない。そんな気がする」

俺はそう思い、その小刀を抱きしめながら、気絶した。

 

「おい!大丈夫か!しっかりしろ!」

「アリスさんも意識がありません!急いで手当を」

こうして俺は運ばれて行った。

 




兄妹愛ってのもありなんですね。
それに、幽々子さんの言ってたこともしかして何かあるのかもしれません。

そして最後まで呪いを使う鬼の始祖は陰湿ですね。
これだからパワハラとか言われるんだよ。

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