鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜   作:トーニオン

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今回から刀鍛冶の里編開始です。


刀鍛冶の里編
夢の誰かと目覚めたこと


「お茶が入りましたよ」

後ろ姿はどこか見覚えがある。

「あぁ、ありがとう。」

「いやぁ、よく寝てるなぁ」

後ろから寝息が聞こえる。

「すみませんね。女房寝てしまったようで、本当に申し訳ない。客人に子守りをさせてしまって」

少し雰囲気が違うような、

「気にするな、疲れているのだろう、子供を産んで育てるのは大変な事だ」

俺?は縁側に座る男にお茶とおにぎりをのせた盆を置く。

「これを飲んだら私は出ていく。ただで飯を食い続けるのも忍びない」

「そんな!あなたは俺たちの命の恩人だ。あなたがいなければ俺たちどころかこの子も生まれていなかった」

俺?はそういうとその男は茶をすすり、一息をつく。

「わかりました。ならばせめてあなたのことを後世に伝えます。せめてそれで恩を返せたら」

「必要ない」

「しかし後を継ぐ方がいなくては困っておられるんでしょう。しがない炭焼き百姓を営む俺には無理でも、いつか誰かが…」

「必要ない。炭吉、道を極めた者が辿り着く場所はいつも同じだ。時代が変わろうともそこに至るまでの道のりが違おうとも必ず同じ場所に行きつく。そういう運命なのだ。お前には私がなにか特別な人間のように見えているらしいがそんなことはない。私は大切なものを何一つ守れず、人生において為すべきことを為せなかった者だ。何の価値もない。だから私は、この先、何かを為せるようになりたい。何年かかろうとも…」

 

あぁそんなふうに

そんなふうに言わないで欲しいどうか

頼むから自分のことをそんなふうに

悲しい、悲しい人だ…

 

 

俺はその悲しい人が去っていく姿を最後に目が覚めた。

夢か…? ここは… 俺は…?

 

俺が辺りを見渡す。

どうやら俺は蝶屋敷に運ばれたようだ。

 

ガラガラガラン

ものすごい音がする。その音の方に目を向けるとカナヲがあっとした顔で立ち尽くしていた。

「大丈夫?…あなた、戦いの後二ヶ月以上意識が戻らなかったのよ」

「そうなのか…」

「そうよ…目が覚めて…本当に良かった…」

カナヲは俺のベッドに突っ伏し泣き崩れた。

「心配したのよ…目が覚めなくて…あなたが担ぎ込まれてから私はあなたのことをずっと介抱してたのよ…任務にも、あなたが心配で…1回しか行ってない…」

「カナヲ…それだけ俺の事を心配してくれたのか…」

 

俺のことをここまで心配してくれたカナヲのことを感謝してもしきれないと思った。

 

そんな時、足音が聞こえてくる。

「あのー、カステラを持ってきました。もし意識がなかったら下げてくださいね。傷みそうだったらカナヲ様が食べちゃってください」

 

「あ…ありがとございます…」

俺は泣き崩れたカナヲのかわりに答える。

 

「お前!意識戻ってんじゃねーか!早く報告しろよ!」

隠の人は思いきりキレていた。

「それに、オメーはどうして泣き崩れてんだよ!さっさと人を呼べっつーの!意識戻りましたってよバカが!」

カナヲはハッとして顔を上げる。

「みんな心配してんだからよ!上とか下とか関係ねーからな今だけは!」

隠の人がそういうと、大声で人を呼ぶ。

「きよちゃんなほちゃんすみちゃーん!アオイちゃん鈴仙ちゃーん!炭治郎の意識戻ったぜーーーー」

すると3人の看護師は急いで向かって来る。

みんな泣きながら俺のベッドに突っ伏す。

「良かったです〜」

「心配したんですよ〜」

「一時はどうなることかと〜」

本当に心配してくれた。俺は落ち着く。

 

すると、なにかがものすごい足音を立てて走ってくる。

「あ、ちょっと待て、床が水浸しだから気をつけ…」

アオイちゃんにはその言葉が間に合わず、思い切り滑って尻もちをつく。

「いてて」

アオイさんは盛大に転び、腰をさする。

さらに、

「うわぁぁぁぁぁ」

鈴仙さんまでもが水浸しの床に滑って尻もちをついた。

 

 

 

「意識が戻って良かった〜〜!」

「私たちの代わりに行ってくれたからみんな…うわぁぁぁぁん!」

アオイちゃんと鈴仙さんはものすごく泣いていた。

 

「ありがとう…他のみんなは…大丈夫…ですか?」

そういうと隠の人ときよちゃんが説明してくれる。

「黄色いやつなら年越す前だっけ」

「はい」

「もう復帰してるし、任務にも出てるって、それで今はすげぇ鬼を狩ってるらしいぜ」

「善逸さんは翌日には目を覚ましたんですよ。それに、初日の出まで拝んでくるくらい、回復が早かったんですよ」

「白髪の子は年を越したけど既に大丈夫だぜ。昨日には任務に出てたし」

「それに、音柱と継子の子達は普通にピンピンしてたぜ。隠のみんなは引いてたけど、それに、新年会の時なんか盛大に花火玉まで作ってきて打ち上げていたぜ」

 

伊之助とアリスはどうなったのか気になる。

「そうか…伊之助とアリスは…」

すると看護師3人の顔が悲しくなる。

「伊之助さんもアリスさんもかなり危なかったんですよ」

そういうとアオイちゃんが説明する。

「伊之助もアリスも状態が悪かったの、毒が回ったせいで呼吸による止血が遅れてしまって、それで、伊之助もアリスも…」

「そうか…じゃあ天井に張り付いている伊之助と奥の棚からこっちを見ているアリスは幻覚なんだな」

 

「え?」

みんなは後ろの棚と天井を見る。

 

「「「うわぁぁぁー!」」」

 

「よく気づいたわね」

「グワハハハ!流石だな炭吾郎!」

「俺…全部見えてたから…」

 

そういうとアリスは棚から出てきて、伊之助は天井から着地する。

「俺はお前より7日前に目覚めた男だ!」

「良かった…伊之助はすごいな…」

「へへっ、うふふっ、もっと褒めろ!そしてお前は軟弱だ!心配させんじゃねぇ!」

「伊之助よりも私は3日早く目覚めたのよ。あんたの方が軟弱じゃない?」

「俺はそんなこと知らねぇ!部屋が違うんだから分かるわけねぇだろ!」

アリスと伊之助が言い争っている。

 

「伊之助さんとアリスさんはふつうじゃないんですよ!しのぶ様や永琳様も言ってたでしょ!」

「そうだ炭治郎さん、見てくださいこの本を、ミツアナグマっていう外国のイタチです。分厚い皮膚は鎧なんですよ。獅子に咬まれても平気なんです。毒が効かないから毒蛇でもあっても食べちゃうし、伊之助さんはこれと同じだってしのぶ様が言っていましたよ。それに、アリスさんも動物並に回復が早くて全身傷だらけなのにすぐに治りましたからね」

「つまり俺とアリスはすげえってことだ!」

「まぁあってるにはあってるがな」

伊之助はそういうとベッドの上から下りた。

「伊之助は毒も薬も効きづらいから注射しないとだめってなったから注射器を見たら伊之助は最初グズってたのよ。今は、大人しく注射も打たれることに慣れたけど」

「あ?俺がそんなわけあるか!俺は山の王だぞ!そんな注射器で怯えるわけねぇだろ!」

伊之助とアオイちゃんが言い争っているのがなんか微笑ましくなった。仲のいい2人だ。そう思って俺は眠りについた。

 

 

「あー!またコイツ眠った」

「静かにしなさい!今は眠ってるんだから、起こさないように!」

「じゃあ私は炭治郎のために重湯を作ってくるね」

 

こういう一時もいいかもしれない。




ここまで大人数になるとは、かなり密かもしれませんね。炭治郎の病室は。
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