鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜   作:トーニオン

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今回は冨岡さんを説得する回です。


説得大作戦と繋ぐべきこと

「ごめんくださーい!冨岡さーん!こんにちはーすみませーん」

俺は冨岡さんのいる清水屋敷の前にいる。

「義勇さーん俺ですー竈門炭治郎ですー」

俺が何度も呼ぶと、智溜乃さんが門を開けてくれた。

「あら、お久しぶり、元気にしてる?」

「はい、前の戦いで足の骨を折っちゃったんですがそれ以外は」

「冨岡さんなら、今、稽古場でボーーーっとしてるよ?師範は一日の3分の1は稽古場にいるからね」

「そうなんですか、あ、あと、智溜乃さんにもお館様から手紙を預かっているのでどうぞ」

 

智溜乃さんは手紙を深く読んだ。

「なるほどね、お館様の考えはよーくわかった。それに、私もいいこと思いついた。炭治郎とあたいならできると思う」

 

 

炭治郎、怪我の具合はどうだい?

情けないことに私は動けなくなってしまってね

義勇と話がしたいんだけれども、もう出来そうにない。

今はとても大事な時だからみんなで一丸となって頑張りたいと思っているんだ、義勇と話をしてやってくれないだろうか。

どうしても後ろを振り向いてしまう義勇が前を向けるように根気強く話をしてやってくれないか。

そうすれば、義勇は受け入れてくれると思う。

 

この手紙は炭治郎と智溜乃の2人が読んでいることを願う。

産屋敷耀哉

 

 

「あっいた、師範!炭治郎が話があるそうなので連れてきました」

「…」

「反論しないと言うことは良いということですね。じゃあ炭治郎、ここに座布団を置いとくからね、あっ、もう一枚は足置きだからね」

 

俺は義勇さんの前に座る。

 

「義勇さん、そろそろ柱稽古が始まりますね。みんなで色々な稽古の内容を持ち寄って柱達でやるっての楽しみです。冨岡さんはご存知ですか?」

「知ってる」

「あ!知ってたんですね」

「俺はあと十日ほどで復帰許可が出るから、その時は最初に稽古をつけてもらっていいですか?」

「つけない」

「どうしてですか?じんわり怒っている臭いがするんですが何に怒っているんですか?」

「お前には水の呼吸を極めなかったことを怒ってる。お前は水柱にならなければならなかった」

「それは申し訳なかったです。でも鱗滝さんとも話したんですけど、使っている呼吸を変えたり新しい呼吸を派生させたり、多数の呼吸を混ぜて使うのは珍しいことじゃないそうなので、特に水の呼吸は、技が基礎に沿ったものだから派生した呼吸も多いって、ほら、継子の智溜乃さんのように」

「そんなことを言ってるんじゃない。水柱が不在の今、一刻も早く誰かが水柱にならなければならない」

「水柱が不在?義勇さんがいるじゃないですか?」

「俺は水柱じゃない。話は以上だ。帰れ」

そういって稽古場から立ち去った。

すると、入れ違いで智溜乃さんが入ってくる。

「どうだった?」

「やっぱりあの手を使うしかないですね」

「そうね、あたいも継子になる時にやったやり方よ、師範は結構我慢強いけど、師範は私がやった時は3日で折れたわ。とにかく、どんな場所でもいいからついて行く。私はそのまま熊谷までついて行ったわ」

「じゃあ、作戦開始ですね!」

「お互い頑張りましょう」

俺と智溜乃さんはいつまでも付き纏った。

 

「義勇さん、山椒はどうです?」

「俺はそんなものをかけない。それに、いつまでついてくるつもりだ?」

「どんな場所でもついて行きますよ」

食事の時も

 

「今日は、よく釣れる」

「見てください、俺、さっきこんな大きな魚釣り上げたんですよ!」

「あたいのも見て、これ、高級魚じゃない?」

「凄いですね!俺も釣ってみたい」

釣りの時も

 

「ここはこう詰めたら勝てる」

「なるほど、将棋って奥深いんですね」

「あたいも強いけどね。ちなみに師範と私は6対4で師範の方が強いんだよ。なかなか師範には勝てない」

将棋の研究をしている時も

 

「ふぅ、今日は月がなく星が見える。こういう日は星を眺めるのに限る」

「こんな綺麗な星が見える温泉があったんですね」

「でしょ?ここは関東でも数少ない混浴の温泉だから、凄い綺麗なのよ。それに、義勇さんは月に2回はここの温泉に入っているの。あたいの焚いたお風呂よりもここが好きなのはちょっと羨ましいけど」

お風呂の時も

 

「義勇さん!とりあえずお布団を用意しておきました」

「3人一緒に寝るんですよ。私がここの宿代出したので師範はお金の心配はしないでいいですよ」

寝る時も付き纏った。

 

そして四月五日、明日にも柱稽古が始まるという日、

義勇さんは根負けする。

 

「はーーー、お前たちにだけは話そう。俺は最終選別を突破していない」

「最終選別って藤襲山のですか?」

「そうだ、あの年に俺は、俺と同じく鬼に身内を殺された2人、田島錆兎と高山真菰、錆兎は宍色の髪、真菰は藍色の髪の女の子、その2人とともに選別を受けた」

「え?」

「その時俺は十三だった、同じ歳で天涯孤独、すぐに仲良くなった。錆兎は正義感が強く心が優しい、そして真菰は少しふわふわした言動だが、分析力に長けていた女の子だった。あの年の選別で死んだのは錆兎と真菰の2人だけだった。

2人はあの山の鬼を殆ど2人で倒してしまったんだ、錆兎と真菰以外の全員が選別に受かった。

俺は最初の鬼は斬れたものの、2体目の馬頭の鬼に怪我を負わされて朦朧としていた。その時も錆兎と真菰が助けてくれた。

2人はその場にいた村田誠一と言う少年に預けて助けを呼ぶ声の方へ行ってしまった。気がついた時には選別が終わり、俺は麓の博麗神社に担ぎ込まれていた。

俺は確かに七日間生き延びて選別に受かったが、一体の鬼しか倒せず助けられただけの人間が果たして選別に通ったと言えるのだろうか、俺は水柱になっていい人間じゃない。」

俺はそれを聞いて涙が出てきた。

「そもそも柱たちと対等に肩を並べていい人間ですらない、俺は彼らとは違う。本来なら鬼殺隊に俺の居場所はない。柱に稽古をつけてもらえ、それが一番いい。俺には何度やっても痣も出ない。…錆兎と真菰なら出たかもしれないが、もう俺に構うな、時間の無駄だ」

 

きっと義勇さんは自分が死ねばよかったと思っているんだなぁ、痛いほどわかる。自分よりも生きていて欲しかった大事な人たちが自分よりも早く死んでしまったり、それこそ自分を守って死んだりしたら抉られるように辛い。

錆兎、真菰、狭霧山て俺に稽古をつけてくれた2人。

不思議な体験だった。もう死んでしまったはずの彼らが俺を助けてくれた。

そうか、錆兎と真菰は、義勇さんと一緒に選別を受けたのか。生きていたら2人とも義勇さんと同じくらいの年になる2人。

凄いなぁ、選別の時みんなを助けたんだ。俺には出来なかった。妖夢に助けられたりもした。それほど余裕がなかった。

錆兎と真菰が生きていたらすごい剣士になっていただろうなぁ、それもあって義勇さんは自分が死んでいたら良かったと思っているんだ。わかる。だって俺も似たようなこと思った。煉獄さん、全力で俺たちを守ってくれた、凄い人だ、誰よりも優しくて強かった、剣士としての全ての人生をかけて守ってくれた。

煉獄さんの代わりに俺が引退していたら良かったんじゃないかと思った。

煉獄さんならいつか無惨を倒せたんじゃないかって、でも、

あの無限列車の戦いのあと、伊之助は言っていた。信じると言っていたらそれに答えること以外考えんじゃねぇ!

その通りだ。だけど、義勇さんになんて言ったらいいんだろう。

どんなに惨めでも恥ずかしくても生きていかなきゃならない。本人は認めてないけど柱になるまで義勇さんがどれだけ自分を叱咤して叩き上げてきたのかどれだけ苦しい思いをしてきたことか。

義勇さんのことを何も知らない、俺がとやかく言えることじゃない。だけど…一つだけ聞きたいことがある。

「義勇さん!義勇さんは錆兎と真菰から託されたものを繋いでいかないんですか?」

 

 

 

「錆兎…真菰…」

「自分が死ねば良かったなんて二度と言うなよ!」

「もし言ったらあなたとはそれまで、友達をやめる」

「翌日に祝言をあげるはずだったお前の姉もそんなことは承知の上で鬼からお前を隠して守っているんだ、他の誰でもないお前が…お前の姉を冒涜するな!」

「あなたは絶対死んじゃダメ、お姉さんが命をかけて繋いでくれた命を、託された未来、そこに待ち受ける運命へと」

「お前も繋ぐんだ!義勇!」

 

思い出した。俺は両頬を張り飛ばされた衝撃と痛みが鮮やかに蘇る。なぜ忘れていたんだ?錆兎と真菰のあのやり取り、大事なことだろう、思い出したくなかった。涙が止まらなくなるから、思い出すと悲しすぎて何も出来なくなったから蔦子姉さん、錆兎、真菰、未熟でごめん…俺は、生きて未来へ繋ぐんだ…。

 

 

 

あれっ?

まずいなぁ…ピクリとも動かなくなったぞ、どうしよう、酷いこと言っちゃったかな、義勇さん既に大分落ち込んでいた状態だったようだし、追い討ちかけてしまったのかな?

「炭治郎、ここは私にいい考えがあるの、私が前にやった事があってそれを提案すればいいじゃない」

「どういうことです?何を提案すればいいんですか」

俺は智溜乃さんから話をコソコソとする。

 

 

「炭治郎、俺も明日から始まる柱稽古に参加する。だから、それで…」

「義勇さん、ざるそば早食い勝負しませんか?」

俺がそれを提案すると義勇さんは少し震える。

「なぜわかった、俺が今、そばを食いたいということを」

「実はですね、さっきまで回ってた場所に共通点があって、俺がよく行く水雉屋という屋台を探してるって気づいたからです」

「炭治郎、今その屋台はどこにある」

「前の吉原での戦いでそこのお姉さんが両腕を失ってしまって、今は、お店を運営してますよ。鰻と蕎麦の水雉という京橋のお店を」

「それじゃあそこに行くか」

義勇さんが食べていたものが全て蕎麦の時点で気づいていた。

 

そして俺は、水雉で早食い勝負に、勝った。

 

「明日からの柱稽古に参加しますよね!義勇さん」

「俺は参加する。だからお前は早く怪我を治してから参加しろ」

「はい!」

 

 

こうして俺は冨岡さんを説得できた。




義勇さんを説得できたのにさらにざるそば早食い対決とか…

内容は
ざるそば5枚を先に平らげたら勝ちってルールで
炭治郎が6秒差での勝利でした。

水雉屋の女将さんは両腕が義手で現在は蕎麦屋は弟たちが切り盛りしているそうです。
それに、炭治郎だけではなく、時々善逸もこの店に訪れるそうです。
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