鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
さて、玄弥はどうなるのでしょうか。
俺は兄貴と仲直りがしたい。
幾度となく襲いかかる試練を、兄貴に仲直りしたい。
その思いだけできた。
そして第六の試練、その試練は、兄貴、不死川実弥の試練だ。
無限打ち込み稽古。
条件はたった一つ、打ち込み稽古の時間、1度も木刀から手を離さずに、風柱の打ち込みに一日耐え続けること。
だが、これがあまりにも厳しく、現在同期では遅れた炭治郎を除けば善逸、カナヲ、咲夜が今足止めをくらっている。
だが、そんなことは関係ない。
俺はとにかくどうやったら仲直りが出来るかを考える。
「おっ、玄弥じゃないか?久しぶりだな?何してるんだ?」
「うるせぇ、文さんには関係ねぇ!」
「もしかしてさぁ、兄と仲直りしたいんでしょ?」
完全に当たっていた。俺は一瞬思考が停止する。
「やっぱなぁ、あたしにはわかるんだよ。図星だね。わかるよぉ、仲直りをしたいって悩むの、あたしにはいくつか作戦があるの、玄弥はやる?」
文さんはそうやって色々と案を出してくれる。
それを実践することにした。
「てめぇ、なかなかやるじゃねぇか」
「はい、不死川さんの速さ、しっかり対応できるので」
「よし、休憩だ、15分休む。しっかり休むように」
「はい!」
カナヲとの打ち込みが終わり、休憩にはいる所を見る。
「師範はおはぎが大好物でさ、特にお米が全部跡形もなくなったものに粒あんをまぶしたものじゃないと怒るからな」
俺はその裏で文さんに言われた通りのおはぎを作り、お茶を注ぐ。
「兄貴、おはぎとお茶を置いときます」
「俺に兄弟はいねぇ、それに、お前が何故出してくる」
「文さん、上手くいったかな」
「まぁいい感じだと思う」
第1の案、お茶出しで喜ばせよう。微妙。
「おい、誰だ!カブトムシ増やしやがったやつ!」
「あ、結構この辺り見つかるようで隊士がよく拾ってますね」
「だからって俺のところに置くんじゃねぇ!」
「これはちょっとまずかったかもな」
「兄貴昔からカブトムシ好きだったから喜ぶと思ったんだけどなぁ」
第2の案、カブトムシこっそり増やす。 失敗
そして第3の案。
「ふぅぅぅぅ」
兄貴が風呂に向かうところだ。
俺は兄貴を追う。
脱衣場で俺と兄貴は服を脱ぎ、手拭いを片手に入る。
兄貴はまず最初に体に湯をかける。
そして体を洗う。
ここまでは文さんの言う通りだ。
「兄貴、いや、兄ちゃん、背中流そうか?」
「はぁ〜、いいぜ」
俺は兄貴の背中を擦る。
かなり傷だらけに見える胸元や腕とは違い、背中にはほとんど傷がない。
やはり怪我が多いのは仕方ないか。
「いつまで擦ってんだ。早くお湯かけろ」
俺は言われた通りお湯をかける。
「はぁぁ~」
兄貴は湯船に浸かり、手ぬぐいを頭に乗せて和む。
俺も湯船に入る。
「あいつら全然来ねぇな、いつまで風呂に入らない気なんだ?」
それもそのはずだ、文さんのお膳立てのおかげで、
今この風呂に入っているのは俺と兄貴だけ。
今頃文さんが第4の案の準備でもしてるんだと思う。
これは絶好の機会、ここで言わなければ。
「兄ちゃん、なんで俺の事を弟と見てくれないの?」
俺が質問をすると兄はビクッとする。
そこに数瞬の沈黙が流れ、兄貴がそれを破る。
「俺はなぁ、お前には普通に暮らして欲しいんだ」
「ならなぜ俺を……」
「だからだ、俺みたいな鬼との運命に紐付けされたような血を持って生まれたからには鬼を倒すまでは断ち切れない。玄弥には早く結婚でもして子孫を残すために早く引退して欲しい。俺はずっと思ってたんだ」
そうだったんだ、だから俺の事を突き放していたのか。
「俺は既に鬼狩りとして柱にまでなっちまったら逃れられない。誰よりも鬼を斬るものは家族とかそういう考えをまず最初に捨てなきゃならねぇ。そう、昔から柱はそうやって隊士たちを指導してきたんだ」
言われると複雑な気持ちになる。
「それにだな、俺は稀血の中の稀血でなぁ、鬼が酩酊するんだよ。お前の母親と戦った時、それに気づいたんだ。だから、俺は鬼狩りになるしかないんじゃないか。そういうことが頭を駆け巡ったんだよ。そして鬼狩を探すためにあちこちを転々としていたら、助けられたんだ。鬼狩に」
兄貴は昔話を始める。
「俺が十四の時だ。鬼狩りを探しつつ、鬼を殺して回ってた頃、俺は粂野匡近という隊士に育手を紹介された。そしてそこに、数日後に入門したのが文なんだよ。あいつは前からお喋りでさぁ、とにかく口だけが多い、だが、あいつの作る料理だけは異常に美味ぇんだよ、特におはぎとかなんか食感がやさしくてさぁ、あれ以来おはぎが大好物なんだよ」
俺は兄貴の話にずっとのめり込む。
「そして俺は一年くらいして鬼殺隊に入った。それからは粂野との競り合いだったよ。とにかくそうやってお互い高めあった。俺の試練だって考えたのは粂野との打ち込みがそのまま継いだ形だしな。だが、今から4年前、俺は下弦の壱、姑獲鳥という鬼と戦ったんだ。その時、俺は匡近と共闘したんだ。だが、その戦いで、匡近は死に、俺は生き残っちまい、柱になったんだ。だが俺みたいなやつが柱になる資格なんかねぇ。それに、俺よりも強く優しいあいつが死んだのが悔しくてなぁ、俺はいつも来ている羽織は裏地があいつの羽織の紋が入ってる」
「ちなみにだがよ、匡近と文は親戚でなぁ、確かはとこだったはず……どうした?なんか変だぞ?」
俺は逆上せたかのように体があつい。
「大丈夫か?おーーい?」
「ごめん、兄ちゃんの話聞き入っちゃって」
「まぁいい、ここは風呂だ。何も衝立なんかねぇ、裸の付き合いだからなんでもいい」
「兄ちゃん」
「なんだ」
「ごめんなさい!俺、お袋が死んだ時、人殺しって言っちゃって、兄ちゃんを傷つけてしまったと思ってずっと思ってた。それが言いたくて俺は鬼殺隊に入ったんだ。兄ちゃんに謝りたい!その一心で」
俺はそういうことを言ったらぶっ飛ばされる。おれは身構える。
だが兄ちゃんは俺の頭を撫でる。
「いいよ。そんなこと、俺は許してる、俺が突き放していてもお前は鬼殺隊に入った。それだけでもお前は俺の自慢の弟だよ」
嬉しかった。とにかく、自分のことを弟と久々に呼んでくれたことが。
「俺、いま甲まで上がったんだ。呼吸も使えない隊士でもここまで来れた。あとは柱になるために必要なことを全て覚える。そして、いつか俺は兄ちゃんと柱同士として任務につけるよう頑張るから」
「そのやる気だ。玄弥、お前は柱だ。だが俺だけが認める柱だな」
「兄ちゃん……」
すると、外から物音がする。
兄ちゃんは桶で湯を掬い、窓の外へ投げる。
「うわあちちちちち」
「あついあつい!」
「痛てぇー」
「てめぇら!コソコソと聞き耳立てんじゃねぇ!それかお前らは明日の打ち込み、2倍に増やすかオラァ!」
外から悲鳴が聞こえる。
「文!お前が全部仕組んだこと、俺は全部知ってるからな!それに、お前は既に俺の試練は合格してるだろうが!なんで俺の屋敷にお前がいるんだよ!」
文さん!やばいよ!マジで逃げて!
「すみません、最後の試練があまりに難しくて、それに、玄弥がとにかく仲直りしたそうだったので私が全て仕組みました」
文さんは土下座をしている。
「ありがとうよお前が場を立ててくれた事は許す。だがカブトムシの幼虫増やすとかふざけんなよ!俺が育てていたのが分からなくなるじゃねぇか!」
文さんはとにかく謝り続けていた。
そんな時、文さんがとんでもないことを言ってしまう。
「玄弥は危機に瀕した時に鬼を食ったりなどして生き延びてました!この情報で免罪符になるとは思いますが申し訳ございません!」
いやいや、それ言っちゃう!?俺は兄貴だけには絶対に知られたくなかった。
「そんなことしてる隊士、玄弥だけじゃねぇぜ?永遠屋敷の鈴仙や前回の藤襲山の選別にいた新人でもいたぜ!だからそんな情報なんかで俺が喜ぶと思ったか?」
マジで!?俺以外にもいたの?それじゃあ俺は全くの無能なのか?それで甲までしまった自分を後悔する。
「まぁ奴らは土壇場で一体か2体しか食ってねぇけど」
それなら良かった。俺みたいにほぼ毎回鬼を食うことは無さそうだった。良かった。
そして、翌日。
「不死川さんの稽古場どこだろう。道が複雑で目が回りそうだ」.
炭治郎は兄貴の稽古を受けに来ようとしていた。
仲直り出来ましたね。
不死川兄弟が仲直りするとどうなるのでしょうか。
そしてやっぱりなんかやると思った文さん……