鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
同期もどんどん集まってきます。
岩柱の修行場まで歩く俺たち、
とにかく突破者が少なく、情報がほとんどない。
どんな修行なのか俺たちは歩きながら話す。
とにかく仲が悪いカナヲと咲夜だが移動時間が長くなっていく事にどんどん疲れて寄りかかっていく。
そして善逸が泣き言を言ってくる。
「まだ山奥なの!?岩柱の家馬鹿じゃないの!?」
「この辺りは既に茨城の山奥ですからね」
「本当にこんな山奥なんでしょうか?岩柱さんの家は」
「岩柱さんの屋敷は甘露寺さんの屋敷からすぐだからここじゃないよ」
「え?じゃあわざわざこんな山奥の修行場まで通ってるの?どんな化け物だよ岩柱は!?」
山の奥まで進むと水の音がする。
「はぁぁぁぁ、滝だ!やっと水が飲める!」
善逸は全力で走り、滝の近くの水を飲む。
「ぷはぁ、美味しい」
俺たちは追いつくと絶句する。
「如是我聞、一事仏在、舍衛国、祇樹給孤独園」
滝に打たれる5人の隊士が合掌しながら経を唱えている。
「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」
俺たちはあまりの状態に驚き叫ぶ。
「心頭滅却すれば……火もまた涼し……ようこそ……我が修行場……袋田の滝へ……」
悲鳴嶼さんは熱い焼石の上に両足を乗せながら肩の上に丸太六本、それに、岩を括りつけながら中腰で合掌していた。
その様はまさに不動明王のようだ。
「最も重要なのは体の中心……足腰である。強靭な足腰で体を安定させることは正確な攻撃と崩れぬ防御へと繋がる」
そう言いながら焼石から降りる。
「試練の内容は3つ、まず滝に打たれながら一時間経を唱える。次に丸太三本担ぎ30分耐える。そしてこの岩を一町先まで運ぶ修業、簡単なものであろう。私の修業は妹紅殿の次に簡単な内容だ。だが、下から火で炙ることや、焼石の上に乗るのは危険な為無しとする……」
その話を聞いてみんな驚愕する。そして善逸はあまりの辛さに気絶する。
「善逸はどうしますか?失神してるんですけど」
「川につけなさい。あと……修業をする際は男女問わず黒装束を身につけて行うように、なんというか、変な気を起こす隊員がいるという噂があるのでな……」
善逸のことだな。女の子によく手を出していたって言う話、柱にも伝わってたんだな。
「ギャァァァァァァァォ!つべてぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
真冬の海より冷たいんですけど死ぬわ!何のこの山の川の水、異常だよ死ぬわ!吐きそう!陸はどこだ!陸は!うわーなにか……身体中が悲鳴上げてる!死ぬって言ってる!」
さすがに失神からのこの水はきついとは思う。
雪解けが終わる5月の川とはいえ殆どの人は震えてしまう。
「ヒャーーー!駄目だ!上がっても手遅れ!凍死する!」
善逸は隊士たちが木や岩に張り付いているのを見つける。
「岩や……木にくっつけ……生あたたかいぞ……」
善逸は隊士たちが張り付いている岩にしがみつくと涙を流していた。
冷たい、それに、滝修業となればさらに流れる水に打たれる。それはとても過酷である。打たれた隊士たちが滝から離れる中、伊之助はずっと打たれ続けている。
頑張っているんだな……。俺も頑張ら……ん?経が聞こえなくなった。
伊之助をよく見ると動かない。
「伊之助!しっかりしろ!やばいやばい!」
俺は固まってしまっている伊之助を滝から救い出す。
「伊之助が、やばい、死にかけている!」
「伊之助!しっかりしろーー!」
そこに駆け寄るのはアリスだった。
「アリス!2人でマッサージだ!」
伊之助をアリスと俺で蘇生マッサージをする。
伊之助はすぐに息を吹き返してくれたから良かった。
アリスを見ると黒装束が、張り付いている。
なるほど、これは善逸が喜ぶわ。
「はーーーーーー」
俺は滝に打たれる。
ものすごく冷たい。その上に滝が痛い。
念仏は集中をするためと意識があることを伝えるために唱えるそうです。
「滝に打たれるだけなのに本当にきついですね。高い位置から落ちてくる水があんなに重いなんて……体の力を一瞬でも抜いたら首や肩が折れそうだし……」
「いやいや……お前ら同期はみんなすげぇよ……初日で滝修業できるようになったの夕方だったぜ……なかなか水に慣れなくて……とりあえず一時間滝に打たれ続けられるようになったから……俺はこれから丸太の訓練だ……」
答えてくれたのは那田蜘蛛山であった村田誠一さん…冨岡さんの同期だとか…。
「すごいですね……村田さん」
「ここに十日いるからな……」
「みんな……ご飯の時間だ……」
「アイツすげぇよ……玉ジャリジャリ大男」
「岩柱の悲鳴嶼さんな、変なアダ名つけちゃダメだよ」
「そうですよ!不死川さんに変なアダ名つけて怒られたのに懲りないの?」
「初めて会った時からビビッと来たぜ!間違いねぇアイツ、鬼殺隊最強だ」
「あーーやっぱりそうか」
「力の悲鳴嶼さん、技の八意さん、体力の宇髄さんで柱三強と呼ばれているからね」
「臭いは3人だけ全然違うんだよな、痣がもうでてたりするのかな?宇髄さんは出したくないから出てないのはわかってるけど」
「そりゃ出ててもおかしくねぇ」
「いやー、魚うめぇ、でも、甲隊士の話はなんかついていけない」
「そういえば、村田さんって階級どこですか?」
「俺?俺は乙」
意外と昇進してるじゃないですか。
「俺は信じないぜ、あのデカい人はきっと、自分もあんな岩一町も動かせねぇよ、若手をいびって楽しんでんだよ」
「いやいや、悲鳴嶼さんはあれよりも倍以上大きい岩を押してるそうだから、それに、この任務を他の甲隊士の女の子も押せているから」
「お前はなんで言われたことをすぐ信じるの?騙されてんだよ」
「いやいや……善逸も耳がいいんだから嘘ついてるかついてないかくらいわかるだろ?それに、ちょうど悲鳴嶼さんとカナヲと咲夜が3人で岩を押してるし」
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
「うわぁ〜〜」
「凄いなぁ、みんな!俺もあんなふうになれるかな!?」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
善逸は泣きながら叫ぶ。
「よーーし腹も膨れたし丸太担いで岩押してくるわ」
「いや、前向きすぎだろ!頑張らないと!」
それからわずか一日で滝修業と丸太担ぎの試練を終わらせる。
「はぁ、これで残るはあとひとつ……」
「カナヲさんや咲夜さんには負けてられないですものね」
俺はあの二人のことを思い出す。
「負けないからね!」
「私が先に次へ行く!」
あ、完全に闘争心だけで終わらせたのか。
それにしても2人とも最後の試練に行ったのか。
今、同期で最後の試練に行ってるのは3人。
頑張らなくちゃな。
「ぐぉぉぉぉお!ふんんんんんんん!」
駄目だ、足の方が下がってしまう。完全に押し負けてる。
悲鳴嶼さんの試練は過酷だったけど何ひとつ強制じゃなくて、やり直したいと思ったらいつでも山をおりてもいいらしい。
俺は夜、みんなのご飯を作って食べさせていた。
「俺今回の訓練で気づいたわ、今の柱の継子に女の子しかいない理由」
「何でですか?」
「俺も何となくわかったわ」
「しんどすぎてみんな心がやられちゃうんだろ」
「あぁ……他の隊士みたいに柱との違いに打ちのめされて心折れたりさ」
「こういうのを当然のようにこなしてきてんだから柱と女の子たちってすげぇわ」
「そうですね……」
「ていうかめっちゃ上手くない?料理めっちゃうまいしよ」
「俺、炭焼き小屋の息子で元々母親と交代で料理作ってたんで料理得意です。料理は火加減から」
この後心が折れていく人々が続出し、今この試練を受けている人はほんのわずかになってしまった。
はぁ、俺も追いつきたい。
次回、岩柱編完結です。