ども、美少女(アプリ)です   作:みゃはる

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 最近毎日が楽しい。

 

 

 学校では相変わらず誰にも喋りかけられず。

 家族ともあまり会話をしていない。

 

 だが、僕は確かに充実した毎日を送っていた。

 そう思えるのは僕の携帯に宿ったイアのおかげだと確信する。

 

 イアが人格を宿してから早くも一週間。

 退屈だった世界が何もかも変わって見えた。

 

 あれだけ嫌だった学校へ行くのも楽しい。イアと話す時のネタになるから。

 買い物に外に出るのも、運動するのも。全てイアのおかげで楽しいと感じるようになった。

 

 ーーホント、イアには感謝してもしきれないや。

 

 イアに人格が宿ってまだ一週間しか経っていないが、イアがいない人生なんて想像できない。

 

 ーーそういえば、リアルが充実している僕はリア充の一員とも言えるんじゃないかな?

 うん、家に帰ったらイアがいるし。イアは彼女みたいなものだし。やっぱり僕はリア充なのかもしれない。

 

 なんて考えながら。今日はなにを話そうか、と帰路に着く。

 

 

 こんな毎日が永遠に続いてくれればいいのに。

 僕は柄もなくそんなことを願っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数式や文字列の浮かぶ空間を滑る様に駆ける。

 背後には数多もの赤い光。そして異音。

 その音の大きさから振り向かずとも、徐々に距離を詰められていることが分かる。

 

 結論を言うと、俺は追われていた。

 

 

 所謂セキュリティシステムとやらに。

 

『ウイルス確認。排除します』

「あほ! バカ! こんなに可愛いウイルスが存在するわけないだろ! お前の目は節穴か!」

 

 SF映画に出てそうな量産型ロボットの見た目をした、セキュリティシステムは聞く耳持たず。

 俺の必死の訴えを無視し、耳にタコが出来るくらい聞き飽きた定文を発した。

 

『ウイルス確認。排除します』

「うっひゃあああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…えらい目にあった……」

 

 深夜2時。

 何とかセキュリティシステムから逃げ切った俺は、ため息を吐いた。

 

「なんか凄い疲れた……」

 

 疲れる肉体がないのに全身が怠く感じる。

 俺はその場に腰を下ろし、大きく伸びをした。

 

 

 マスターに名乗りを上げてから早一週間。

 

 毎日夜中にコソコソとネット上に出ては、端末から出れないか試行錯誤を続けた結果、それらしき通路を幾つも見つけることはできた。

 

 しかし、結果は全敗。

 当たり前のようにセキュリティが張ってあり、そのどれもが強固ゆえ突破出来そうにない。このまま闇雲に突っ走っても時間の無駄になることは目に見えていた。

 

「やっぱりプログラムの勉強したほうがいいのかな…」

 

 独りごちる。

 

 ぶっちゃけ俺のやっていることは他人の端末への干渉とクラッカーと変わらない。

 にも関わらず専門知識はゼロ。

 流石に成功しないのも仕方ないと言える。むしろこれで成功したら、舐めてるのかって業界の人に怒られそうだ。

 

 まぁ…最近はマスターの情緒も落ち着いてきたし……当分は猶予ありそうだから、マスターが学校へ行っている時間と深夜帯は勉強するか。

 

 そんなことを決意した。


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