昼と夜の間で 作:ののよ
学校から帰り、私がまずやる事はゲームである。
しかし、人とつるむのが苦手で、ゲームなのに人と関わる理由がわからないため、基本的にオフラインゲームをやっている。
しかし、今日はなんとなくNFOだ。
とは言っても誰かとチャットしたりパーティを組んだらはしないし、ギルドにすら入ってない。初心者用ミッションの「ギルドに入ろう」は未だにクリアされていないのが少し気になるが、完全にソロで通している。
それでも、トッププレイヤーである自負はある。
「ただいま」
紗夜が帰ってきた。
そのまま、私の部屋の前を通り過ぎて自室に入ってしまった。
紗夜は日菜がギターを始めたことを知っているのだろうか? そして、日菜から逃げるためにまた無理をしてないだろうか?
心配だ。最近、また、バンドを辞めて違うところに入ったばかりだと言うし、暴走していないだろうか?
そう思っているだけで、なにも出来ていない。
心配しているだけで、何もしない。
紗夜に近づくのが怖い。
「あきおねえちゃん。ねぇ、一緒にギターやろ!」
唐突に部屋の扉が開いて日菜が入ってきた。
手にはギターを持っており楽しそうだ。そういえば、前野さんもギターについて触れてたし流行っているのだろうか?
というかノックはして欲しい。
ボス戦中だがゲームのウィンドウを閉じる。ソロプレイだから出来る荒技だ。パーティを組んでたら仲間に迷惑がかかるからな。
「ギター? なんでまた突然。」
「紗夜おねーちゃんもやってるし、きっと3人で弾いたらるんっ♪ってすると思うんだ。」
3人で、か。
「紗夜は嫌がると思うし、そもそも、私は楽器を弾く気は無い。」
「なんでー。」
「なんでもなにも…………。あー、楽器に……、うん、るんっ♪をこれっぽっちも感じないんだよ。私は」
嘘だ。
ギターは正直カッコいいと思う。るんっがなんなのか分からないけど。
やりたくない、と、言ったら嘘になる、
なら、なんで断るかと言えば単純だ。この2人とはあまり関わりたく無い。
諦めたとはいえ、完全に劣等感が無くなった訳ではない。それに、日菜は私より、なんだかんだで紗夜の方が好きだし、紗夜の目には私はうつっていない。
それがなんだか、悲しくて、これ以上近づいてしまったら、何かが爆発してしまいそうなんだ。
はは、だったら心配なんてすんなって話なんだよな。
本当に中途半端だ。
「うーん、でも、私はるんってするよ?」
「人によって何にるんってするかは違うんだよ。」
「えー、そこをなんとか、るんってして!」
「なんとかで、るん出来たら苦労しないよ。」
私の知る限り、るんっとは、そういうものではないと思ってたのだけど。
「でも、あきおねえちゃん、この間、ゲームの周回?が始めは苦痛でも1000変えたらるんっ♪どころか、るるるんっ♪ってするって言ってたじゃん。おねえちゃんは、るんっ♪ってしないものでもるんっ♪て出来るようになるんでしょ?」
あー、あの時ののか。
ドロップ率0.01%の素材を100ほど集めた時の……。
なんか、テンションがおかしくなって変な事を口走った気がする。
「………いや、それは言葉のアヤっていうか、テンションがおかしくなってるだけだった。うん。 でも、ギター弾きたかったら紗夜と2人で弾けば良いんじゃない?」
「えー、それじゃあ、意味ないよ。私は昔みたいに3人で…。」
あー、日菜、その顔は卑怯だよ。
幾らあまり、関わりたくなくても、ただ3人の姉妹だ。仲良く無くてもずっと一緒にいるのは変わりない。
そんな悲しそうな顔をされたら心にくるものがある。
まぁ、断るけど。
会話だけなら日菜とは、それなりに楽しくできるが、それ以上は無理だ。
きっと、日菜を傷つけることになる。
「……無理だよ。私はそんな事出来ない。日菜、昔からずっと言ってるけど、人はみんな違うんだ。自分が、やりたいと思っても周りがついてこないなんて事はザラだよ。この話は終わりだ、部屋に戻れ。」
「………うん、ごめん。」
そういうと、日菜は捨てられた子犬のような表情で部屋から出て行った。
日菜は紗夜の事を「おねーちゃん」もしくは「紗夜おねーちゃん」
オリ主のことを「おねえちゃん」もしくは「あきおねえちゃん」と、呼びます。