昼と夜の間で 作:ののよ
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一人称が向かないと悟
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三人称にした、
◆
数日後の
純子はベースを買ったが、先に関しては担当する楽器すら決めていないため、とりあえず、楽器に触れてみよう、ということだ。
「こ、ここ、なら、楽器の、貸し出し、も、充実、してるから、北村、さんが、やりたい、楽器も見つかるとおもう。よ。」
「楽器ねぇ。ボーカルと兼任がいいな。やるなら、歌いたいし楽器も弾いてみたい。」
「な、なら、ぎ、ギターボーカルが、め、メジャーみたい、だよ。」
「ギターねぇ。そういや……。いや、なんでもねぇ」
よく、電話で予約できたな、と、言いかけて咲は口をつぐんだ。
咲はすでに純子が
「そういえば、意外だな、前野が学校サボろうなんて言うなんて」
「そ、そうかな、ど、どのライブハウスも、き、休日や、放課後は借りられなかった、から。そ、それに、サボってない。ちゃんと、休むって、電話したよ。」
「………いや、それってサボりに入るだろ? てか、オレが電話したらら“サボりだろ!"って怒られるんだけどなぁ。だから、普通に無断欠席。」
「それ、平気なの?」
「ヘーキヘーキ、いつものことだからな。」
「………。」
そんな会話をしながら、CiRCLEにはいる。
受付には女性店員のまりなが1人いるだけだ。このライブハウスはサービスが充実しているため、人気が高いが、今は平日の昼間だ。学生や社会人の方は来ていないためかなり空いている。
それでも、利用者は一定数いるが、まりな1人で充分捌ける。
「で、電話、で、予約した。前野、です。」
受付をしようとすると、まりなは明らかに驚いていた。
咲も純子もどちらも学校へ行くテイで出かけているため制服姿である。予約の時間までファミレスで時間を潰していたため、ある程度の奇異の目には慣れているため、特に気にしていない。
「………えっと、君たち、学生、だよね? 制服着てるし」
まりなは今まで様々なバンドを見てきたため、暗そうな少女と、不良のような少女の組み合わせには驚かないが、時間が時間である。
「えっと、あ、あの、きききききき今日は、」
慌てまくる、純子を横目に咲は咄嗟に思考を巡らせた。
この手の質問は今まで歩いていて散々きており、その都度、適当にその場しのぎの返しをしていた。しかし、今回は出来ない。
(バンドを続けていくのなら、このライブハウスはお世話になることが多いと思う。受付も女性で、前野の話だとガールズバンドもたくさん使っているらしい)
もし、継続して使うなら下手な嘘はつけない。
店員との関係は常連になるとかなり重要だ。仲がいいと無理なお願いも出来るし、なんだかんだで仲が悪いとサービスが悪くなる。
適当な嘘をついてバレたら不味い。
(ならば、いっそのこと、サボったって言うか? 制服で学校がわれてるわけだし……。いや、学校に連絡されたらめんどくさい。というか、なんで、気がつかなかった!)
その間、0.1秒。
「ははは、学校、学校ね……。」
「もしかして、サボり?」
少し、意地の悪い笑みを浮かべながらまりなは言った。
その笑みに誤魔化しは効かない事を、なんとなくだが2人は悟った。
「さんません! 学校には連絡しないでください!」
「お、お願い、します!」
そして、潔く、頭を下げた。
その様子に、まりなは悪い子ではない、と、感じた。けれど、学校をサボるのはいい事ではない。というか、悪いことだ。
しかし、まりなも気持ちがわからない訳でもないし、学校に行くことが全て、なんて考えてもいない。
けれども、長者として黙っておくことは出来ないため、軽く注意する、程度で留めておくことにした。
「ふふ、わかった。学校には黙っておくね。だけど、留年とか、中退とかしないようにね。」
「「ありがとうございます!」」
「じゃ、CiRCLEについて説明するね。」
「「はい」」
貸し出された部屋に案内されると、すでに電話で予約するときに伝えた楽器が用意されていた。咲はそれらを片っ端から弄り、触りはじめた。純子は自前のベースで弦を抑える練習を始める。
キーボード、ギター、ドラム、ベース、それらをネットで調べながら音を鳴らす。
全部楽しそうで、やってみたい。けど、バンドの活動を考えると、まずは一つに絞りたい。
「さて、どうしたものか……。そういえば、前野はなんでベースにしたんだ?」
「え? わ、げ、弦が、少ないから、簡単、だってネットに書いて、あった。から」
「難易度か………、」
ふと、そこで、咲は難しい事をやってみたい、と、考えた。
そこで、ネットでとある記事を見つけた。
「よし、決めた。オレはドラムとボーカルの両方をやる。ドラムボーカルだ。」
ドラムボーカル。
難易度が高く、かなり希少な存在である。
その希少さや、難易度から“出来たらカッコいい"という、かなり単純な理由から咲は決めた。
「で、でも、かなり、むむ、難しいってき、聞くけど」
「歌にはこれでも人並み以上には歌えんだ。どうにかなるさ。それに、やるなら楽しい方が良いだろ? ドラムできるメンバーが見つかりゃ、オレはただのボーカルになるさ」
これでも周りのことはそれなりに考えている咲である。
こだわりすぎて出来なければ純子に迷惑がかかると考えていた。
「で、でも、ま、まずはめ、メロディを弾ける人、さ、探さないと。ぎ、ギターか、キーボード。」
ベースとドラムだけではバンドは成り立たない。咲がドラムボーカルとなるとして、最低でもあと1人、ギターかキーボードが欲しいところだ。
「そっか、なら、オレがメロディを出せるのにすれば…….」
「で、でも、ド、ドラムも、ひ、必要だから、ど、どちらにしても、も、もう1人は欲しい。ツーピースは、難しい。」
「もう1人、か……。」
2人は同時に、明星のことを思い浮かべた。
バンドをやるなら、知り合いの方が良い。出会ってまもないが、それでも、0から探すよりも絶対に良い。
「やっぱ、氷川のやつやってくれねぇかな」
「………。む、難しい、と、思う。バンド、それ、どころか、音楽が苦手みたいだから」
「無理に誘って意味ないか……」
そう残念そうに言いながら2人は練習を始めた。
◆
夕方、
ライブハウスでの練習を終えた2人は駅で別れた。方向が逆であるため仕方がないが少し寂しいものがある。
(あ、やべ、スマホ忘れたわ)
咲は改札をホームでスマホを鞄から出そうとすると、スマホを忘れていたことに気がついた。仕方がないので、CiRCLEまで戻ることにした。
CiRCLEでは、学校終わりに練習に来ている学生が多くおり、まりなと見知らぬバイトが受付作業をしていた。
さっきまで自分がいた部屋にはすでに別のグループが入っており、おそらく忘れ物はまりなが回収しているだろうと、考えたが、忙しそうなので割って入るのは申し訳ないと思った。
そのため、落ち着くのを待っていると、知っている顔が視界の端に映った。
(アレは? 氷川?)
紗夜がRoseliaの練習に来ていただけなのだが、すぐに咲の視界から居なくなり、かつ、
(あいつ、オレらに嘘ついてたのか!)