昼と夜の間で   作:ののよ

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第7話

突然だが、私が好きなポケモンはリーフィアである。

別段、めちゃくちゃ強い訳ではないが、見た目が好きだ。

そのため、必然的に使うパーティはリーフィアを活かす為に最適化されている。

リーフィアが特出すべき点は攻撃力だ。まぁ、めちゃくちゃ高い訳ではない、かなり高い。そして、次は特性“葉緑素"による晴れの時の素早さ。

この2点から、晴パとの相性はいい。ソーラーブレードで上から殴るのだ。

 

しかし、リーフィアはとてもじゃないが受けが弱い。下手をしたら一撃で死ぬ。理想は相手のダメージ受けずに晴れにすることだ。

 

そこで考えたのが、コータスである。

 

コータスの特性ひでりにより、場に出した瞬間に晴れに変える。

さらに、道具、脱出パックを持たせる事により、オーバーヒートを打つだけで手持ちに戻る。さらに、足の遅さから相手の方が先に行動する。

完璧だ。

また、コータスは硬い。効果抜群でも、耐えることが多い。つまり、天候を上書きされたり、長期戦に持ち込まれ天候が戻ってしまっても、コータスを出せばもう一度晴れに変えることができる。

 

完璧だ。

リーフィアを使うためだけにいると言ってもいいポケモンだ。

 

「はっ! ミミカスばっか使いやがって、もっといろんなポケモン使えってんだ!」

 

腹が立ってきたな。

 

「ただいま……」

 

紗夜が帰ってきたか。

確か、今日は両親と日菜は仕事で遅いから、夕飯は紗夜と2人だ。正直、気まずい。紗夜と話すことがない。

なんだかんだと話題が尽きない日菜と話してた方がマシだ。もしもう少し遅かったら先に食べてしまうつもりだったが帰ってきてしまったのだから仕方がない。

 

「明星、いる? 話したいことがあるんだけど」

 

珍しく、紗夜が私の部屋のノックをした。

なんなんだろうか? 

正直、彼女とは何を話していいか分からない。というか、あまり関わり合いたくない。

話すのが苦痛だ。偏差値が離れていると会話にならないというが、まさにそれだ。

ちょっとしたズレが、私と紗夜の差を感じてしまう。日菜レベルまで離れていれば、まだマシだが、紗夜のはダメだ。近いからこそその差が明確につきつけられる。

 

「何? 入っていいよ。」

 

「ええ、失礼するわね。」

 

紗夜が入ってきたので、ベットに座るように促す。しかし、彼女は首を横に振った。まぁ、別にいいけど。

 

「で、話って?」

 

「…………………………。今日、あなたと同じ学校の子にCiRCLEで会ったわ。顔の半分を包帯で覆っている子よ。」

 

包帯?

 

「ああ、多分、北村さんだな。」

 

そういえば、今日は前野さんと2人でバンドの練習に行くとか言っていたと思う。学校までサボって、音楽ってそんなに楽しいのだろうか?

まぁ、そのせいで、1人でお昼ご飯だった。

思ったよりも、あの、屋上は広かった……。なんてね。

 

「……。そう、やっぱり、明星の知り合いだったのね。ごめんなさい。彼女に誤解させてしまったわ。」

 

「誤解?」

 

「ええ、実は……。」

 

 

 

(マジか……,)

 

紗夜からCiRCLEでの出来事を聞いた明星は、頭を抱えた。咲が直情的な人だとなんとなくだけど分かっていた明星だが、それでも紗夜と自分を見間違えるなんてことは思ってもいなかった。

 

(そんなに似てるかね?)

 

「………………。聞いただけど、明日、話しかけた瞬間に殴られそうだな。」

 

これは本音だった。

最近では彼女の「ぶっ殺すぞ」が口だけだと分かってきた明星だか、それでも聞いた限りでは本当に鉄拳か飛んできそうだ。

 

「……本当にごめんなさい。ちゃんと説明できていたらよかったんだけど……。」

 

「いや、紗夜は悪くないよ。間が悪かっただけだよ。」

 

(そもそも、三姉妹ってのを話してれば良かった。)

 

別段意識していなかったが、明星は紗夜のことをまったく話していなかった。それも、咲や純子は明星のことを2人姉妹だと思っているぐらいだ。強いて原因を突き詰めるなら、この紗夜との距離感だ。

 

「……。うん、とりあえず、連絡を取ってみるよ。」

 

「ええ、…………何かあったら教えてね。力になるから。本当にごめんなさい。」

 

これ以上、2人の会話は続かず、紗夜は申し訳なさそうに部屋から出て行った。

明星は深いため息をついたあと、ケータイを取り出した。交換した連絡先から咲のものを開く。そして、一度、深呼吸をする。

 

「よし」

 

意を決して電話をかける。

正直に言うと、明星は咲や純子のことを気に入っている。なんとなくなが、このまま、ずっと一緒でもいいんじゃないかと思っていた。

だからこそ、こんな形で喧嘩別れになってしまうのは嫌だと思った。

 

『………………よお。反省したか?』

 

低い声だ。

本当に機嫌が悪そうだ。

 

「………弁解させてくれ、今日、私は家でずっとゲームをしていた。北村さんが今日会ったのは紗夜、私の姉だ。」

 

『また、そんな嘘言うのかよ。』

 

「嘘じゃない。」

 

そうは言うが、口でそう言っても何も変わらないだろうと、明星は思っていた。咲は頭がいい。キチンと論理的に証明すれば、分かってくれるだろうとは思っているが、その方法が思い浮かばないでいた。

今日はNFOとかなら最終ログイン時間とかで証明できるが、今日やっていたのはポケモンだ。いつやってたかなんて分からない。

 

『じゃあ、合わせろよ。』

 

「へ?」

 

『その、サヨとか言うヤツと2人でオレに会え。』

 

そう言われて、ああ、なるほどな、と、明星は納得した。

彼女は無意識に、紗夜と出かけること自体を考えないようにしていた。というよりも、そもそも、紗夜と関わると言う選択肢が抜け落ちていたのだ。

 

『無理だろ? ほらな、サヨなんてヤツはいないんだ。』

 

「……いいよ。分かった。それが1番早い。」

 

正直、明星は紗夜と出かけるなんて気まずいことしたくなかった。

けれど、そうでもしないと、この誤解は解けない。

 

『………………じゃあ、今日だ。今からオレが言うところに来い、』

 

 

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