ヤンデレが怖いので炎帝ノ国に入って弓兵やってます。 作:装甲大義相州吾郎入道正宗
ここから先は、地獄だぞ。
炎帝の影とヤンデレ愛の行き着く先
『炎帝』ミィとは。
あらゆる難敵を鎧袖一触にする戦闘力と、威風堂々たる立ち振る舞いによって、多くのプレイヤーを魅了する炎帝ノ国のギルドマスターである。
その拠点たる黄金劇場のメインホールは、数多く在籍する団員数に比例したような巨大さを誇り、NPCの演目やダンスの鑑賞以外にも、戦闘訓練を熟す場所として度々解放されている。
今回の使用者は団員にすら人払いを掛けて、秘密裏に訓練相手と刃を交え合い切磋琢磨…いや、一方的に蹂躙されていた。
「遅いわ、ノロマよ、アメリカヤマシギみたい。攻めのリズムは褒めてあげるけど、守りと回避はお話にならないわ貴方」
「くっ…君が早すぎるんだ。本当にチートは使っていないだろうな」
「自分の未熟を私のせいにしないで貰える? これは歴とした技術の問題、愚痴を漏らす暇があったら早くその『剣』を構えなさい」
「こっちはまだ初歩的なスキルしか覚えていないのだ…ぞ!」
最後の一言に弾みをつけて突撃するのは炎帝たるミィ。
訓練相手のメルトリリスから押し付けられた『原初の火』という長剣に慣れる為、定期的に模擬戦を繰り返している。
普段愛用している短剣とはカテゴリーが違う上、未経験の近接戦を強要されては実力をうまく発揮出来ず、屈辱の時間が過ぎていく。
時折挟む【炎帝】のスキルによって形勢を押し返す事は可能でも、指摘の通り、受けに回ると反射的に身体がビクついて対応が遅れてしまうのだ。
それもそのはず、皆が憧れる炎帝ミィとはゲームのアバターと同じように仮初めの殻であり、内側の本人は引っ込み思案で大人しい性格をした一般人の少女。
いくら仮想世界とはいえ、痛みに対する恐怖を簡単に拭い去る事など出来ない。
もう何度目になるか分からない、脚の刃で蹴り上げられて無防備な所へ突き刺さる追撃の膝蹴り。
一切の遠慮なく鳩尾に入った痛撃に顔をしかめて後退るが、相手は待ってくれない。
「【踵の名は魔剣ジゼル】」
「くぅ…! 【花散る天幕】!」
メルトリリスを放った蹴りの衝撃波を、同じく長剣から斬撃を飛ばす事で何とか相殺する。
しかし、彼女の攻撃はまだ終わっていない。反対側の脚から続け様に衝撃波が繰り出されて防御すら出来ずに直撃。ミィはホール端まで転げ回る。
「はぁ…はぁ…」
「咄嗟の判断は良いけれど舞台を降りるまで演技は終わらないと前も言ったでしょう。あまり不甲斐ないようならサッサとあの男を私の物にするわ」
「そ、それだけは駄目だもん!」
「はぁ、このまま心を蹴り砕いてしまいたいけど、今はまだアヒルなのか、白鳥なのか判断しかねるわね。…実技は追々にするにしても、せめて【宝具】の解放までには至りなさい」
「…宝具?」
聞き慣れない単語に思わずオウム返しをするミィ。
その反応にメルトリリスは咳払いを一つしてから説明を始めた。
「そうね、貴方に分かりやすく伝えるならば【スキル】の上位に位置する新要素が【宝具】と言ったところかしら。伝説や神話に謳われる英雄達の武器、逸話を元にした幻想の具現化。その一つである『原初の火』の中にはある『英霊』…NPCがいます。彼女を呼び起こす事で使用が可能になるでしょう」
「彼女…」
「先入観を与えない為にもヒントは与えないわ。まぁ、あの性格からしてひょっこり出て来るかもしれないけれど、精々頑張りなさい」
一方的に言い放つとメルトリリスはハイヒールを響かせながらメインホールを後にする。
1人残されたミィは俯きながら恨み辛みと宝具について愚痴を吐くが、やがて心の膿を出し切ったのか、長剣を杖代わりにして立ち上がり、トボトボと自室へ向かう。
ギルドマスターたる彼女には、日々の業務をこなす支配人室の他に個人用スペースである自室も割り振られている。
そこは劇場内でも最も奥まった場所にあり、直前の通路そのものに入場制限が掛かっているので、中を見た者は誰1人としていない完全な密室だ。
ミィは他の団員に落ち込んだ所を見られないよう慎重に歩を進め、その部屋へと近づく。
両手開きの扉を開け、中に足を踏み入れると彼女は解放された気分で口を開いた。
「ただいま、アーチャーさん」
疲れ果てたミィを出迎えたのは褐色肌の偉丈夫。赤い外套を見に纏い、ニヒルな笑顔を浮かべて見つめ返す青年の『スクリーンショット』だった。
「今日もね、メルトリリスに虐められたの。酷いよね」
愚痴を溢しながら動きやすい私服に装備変更し、辺りを見回す。
そこには、部屋一面に配置されたアーチャーの姿。
それこそ壁、天井、床、平面という平面全て。
『アーチャーの隠し撮り』が所狭しと敷き詰められ、1mmの隙間も無い。
しかも一枚とて同じものは貼られておらず、遠景で薄ぼんやりとしか写っていないような構図すら網羅する徹底ぶりだっだ。
常人が見れば狂気としか表せない空間だが、彼女の表情はどこまでも軽やかで一面を薔薇の花で囲まれたかのような幸福感を感じている。
更に天蓋付きベッドには、絵師を雇って描き下ろした特製のアーチャー抱き枕が鎮座。秘密のリバーシブル加工付きでミィの帰りを待っていた。
身軽になった彼女はボフンとベッドに飛び乗ると抱き枕を抱擁しながら横になる。その姿は炎帝という二つ名をまったく感じさせない、少し幼児退行した少女の顔で頬を緩ませた。
「はぁ…好き、好き、好き。アーチャーさんは本当に理想の男の人だよ」
思い返すのは出会いの頃からつい最近まで。
そう、私はアーチャーに出会った瞬間から男性としての魅力に惚れてしまっていた。
一人寂しくソロ狩りをしていた時に現れたヒーロー。見た目から少しだけ怖いかもと思ったけど全然そんな事はなくて、むしろ時間が空けばいつだって私を気遣いフォローや相談に乗ってくれた。
人前に出るのが苦手で、そんな自分を忘れる為にロールプレイをしてみたいと打ち明けてもあの人は笑わずに、寧ろ自分も演じてプレイしてると、
あんな素晴らしい人なのに演技なんてあり得ないよ。
彼はその分け隔てない性格から他の女に勘違いされて、迷惑を被る事も多い。しっかりと管理してあげないと負担を掛けてしまう。
その為に、私の演技を勘違いしたプレイヤー達に祭り上げられて結成した炎帝ノ国を一大ギルドまで発展させて支援体制を整えた。
群がる敵をあらかじめ排除し、二人きりになる機会さえ増えれば自然と私だけを見てくれるはず。
だけど、さっきまでの性悪女が頭を過ぎり、無意識に抱き枕を強く握り込んでしまう。
彼のパートナーを自称する、メルトリリス。
大空洞で『ボスモンスターを演じていたチート使い』は運営にBANされる事なく、今も彼に付き纏い自室すら共有して私を苛む。
本人はもうチートを使ってないと豪語するが、その理不尽な強さに疑いを捨て切れず、毎日のように違反報告を運営に送って総数が500を超えても何のお咎めも受けていない。
正直、強くなる為と渡された『原初の火』もチートアイテムだと疑っているけど、こちらは問題ないと驚くほど返信が早かった。
一刻も早く使いこなして彼の横に並び立ちたい。その想いだけ今日まで頑張ってきたけど、もう…いいよね?
そろそろ『ご褒美』が欲しいなぁ…。
「えへ…えへへ…」
空中に浮かび上がるコンソールを操作してファイルを開く。
そこにはアーチャーさんが何月何日何時何分何処で何をしていたのか、事細かにリストアップした私の集大成だ。
勿論、どんな言葉を使ったのか一言一句聞き逃さないよう、常に動画撮影とメモは欠かさない。交代で監視している団員にもそれは徹底させているのでNWOの世界で一番彼に詳しいのは私だと断言出来る。
そのせいもあって、断片的に入手した多くの情報から彼の所在がかなり絞り込めた。
普段利用しているというスーパーは幸いにも個人経営だったので、名前をネット検索で調べれば該当するのは一店舗のみ。その周辺地域で住んでいるのは間違いない。
そしてバス通学という話から、スーパーと付近の住宅地から最も近い学校を発見。ログイン履歴から通学時間を割り出して、どの路線を使用しているかも把握した。
後は
「もうすぐ会えるね! アーチャーさん」
約束はしていないけど、きっと彼は私なら受け入れてくれるはず。もう既に新幹線のチケットを用意して準備は万端だ。
下校時間に合わせてバスに同乗し、ご実家に挨拶させて貰う予定だ。
将来の家族になるのだから今の内から仲良くするのは我ながらいい案だと思っている。もしかしたらお泊まりの可能性もあるのでこっちの準備も整えよう。
「あはははっ、楽しみだなぁ…今日は寝れるか心配になっちゃう」
遠足を前にした子供みたいだけど、私は胸のトキメキを抑えられずにいた。
「どうしたのよ? 急に身震いなんかして」
下校時刻を過ぎ、いつもの三人で帰り道を歩く中、青年が急に立ち止まって辺りを見回した。
どうにも馴染みのある鋭い視線を感じて気になったという。
横を歩くサリーは疑問符を浮かべ、最近寝入りが悪いというメイプルは彼に背中を押されてユラユラ揺れるだけ。視線に心当たりが無い彼は頭を捻るが、周囲に怪しい人影はない。
「よく分からないけどバスに乗り遅れちゃうわよ。ほら、ちゃんと自分で歩く!」
「うぅ…だって眠いんだもん…」
急かされてようやくメイプルが歩く速度を上げる。青年としては一本くらい遅らせても気にしないが、どうも彼女達は第四回公式イベントで上位入賞を狙っているらしく、レベル上げやスキルの取得を目指して頑張っているので一刻も早くプレイしたいのだろう。
そのせいで寝不足になっては日常生活に支障を来すと注意しているが、一向に改善の兆候は見られず、今日も介護がなければマトモに歩くのも億劫の様子だ。
ただしNWOにログインすると、途端に元気になるので実は仮病を疑っていたりもする。
青年はこのまま寝不足が続くなら、昔のように朝方迎えに行くかと冗談めいて提案した。するとメイプルの顔は喜色満面に染まり、大賛成とばかりに相槌を打つ。
「ホントに!? やったぁ!」
「じゃ、じゃあ私も心配だから迎えに行くわね!」
何故かサリーも同意して、あれよあれよと明日以降の登校時間が勝手に変えられていく。どうも寝不足そのものを解消するつもりは無いようだ。
テンションが高いままバス停に向かう二人を追って苦笑しながら道を歩く青年。
途中で腕に抱きついてきたり、謎の手相占いと称してボディタッチが多いのはいつもの事である。ただし、少し間違えば痛い目をみるので、内心ヒヤヒヤしているのは内緒だ。
バキンッ
小さい何かが割れる音に気が付いて、青年が足を止める。
おもむろに振り返るといつからそこに居たのか、手元のスマートフォンを慌てて操作する少女がいた。
目出し帽と襟の大きいコートで顔がよく見えないが、必死にスライドやタップを繰り返して動作確認しているので、音の原因は間違いなく彼女だろう。
困った女性を無碍にするのも気分が悪いので、青年は自然な動きで近づき声を掛けようとする。
しかし一歩踏み出すより前に、両肩をがしりと掴む二人の手。
「ーーーバスはこっちだよお兄ちゃん」
「ーーーよそ見寄り道は厳禁だから。……分かるよね?」
はい…。
囚われの彼は、美少女二人に引っ張られるという傍目からすれば両手に花の状況だが、思いっきり抓られているので痛みを我慢するので精一杯だ。
早速の痛い目に、親切を働こうとして何が悪いと反論するが、それで何人勘違いさせたと身に覚えが無い話をされる。
本気で自覚がない様子に幼馴染と友人は深くため息を吐いて、青年を強制的に前へ前へと歩かせる。
本気で抵抗するのもみっともないので、心の中でスマホの少女に謝罪しながら早足でバス停へと向かった。
「そんなの…嘘だ」
その様子を悟られないよう覗き込んで見ていた彼女は、細い指を握り締めて睨む。
視線は二人の少女よりも、むしろ青年の方へと真っ直ぐ突き刺さり、射抜かんばかりの眼光を湛えている。
「そういう…関係なの…? 私の事は遊びだったの?」
あの人だと、一目で気付いた。
あの人なら、きっと受け入れてくれる。
あの人は、私だけを見ていたはず。
あの人だって、私を愛してる。
なのに、なんでメイプルとサリーなんかと親しそうなの…?
悲観と憎悪が入り混じり、自分でも信じられない規模の感情の洪水に意識が上手く保てない。
裏切られた。裏切られた。裏切られたーーー。
確かにNWOのゲーム内では青年の事を良く知っているのはミィである。
しかし逆に言えばそれはゲームだけの話であり、リアル側での付き合いは完全に想定外だった。一方的な全能感が消え失せて、沈み込むような喪失感が心を汚泥に引き摺り込む。
茫然自失寸前の彼女だが、目の前で三人がバスに乗り込んだ所で正気に戻る。このままだと見失う…!
幸運にも、すぐ側にタクシー乗り場があったので無心で飛び乗ると、ドラマでしか聞いたことのない「あのバスを追って下さい」と一万円を握らせて追跡を開始した。
「ーーー嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」
流石に昨日今日で送り迎えはしないと、元気そうに愚図るメイプルを自宅最寄りの停留所で降ろし、二人でバスに揺られる。
この時間はサリーにとって、登校も含めて確実に青年と二人きりになれるボーナスタイムのようなひと時であり、この上メイプルの自宅まで迎えに行くとなれば起床は早くなるが、その分一緒の時間が増えると正しく棚から牡丹餅の気持ちだった。
特に最近はうっすらと本心を伝えた事もあって、青年との関係がステップアップするのではと期待感が高まる。
そんな恋する乙女丸出しのサリーだったが、バスが進むに連れて違和感を感じるようになった。
車内に異常な点は見られない。彼の様子も問題無い。なら何故、こんなに警戒心が顔を出すのか。
女の勘を信じて視線だけ動かす。するとバスの後方、車を二台挟んだ距離を走るタクシーの存在が目に止まる。
距離が離れている為、視認しにくいが停車の度にあちらも止まるので、気になってみれば一目瞭然。明らかに尾行されている。
もしかして…。
他の乗客に有名人がいるはずもなく、そのターゲットが彼である保証は無い。しかし念には念を入れるべきだとサリーは判断した。
「ごめん。今日はちょっと用事があるからここで降りるね」
理由を尋ねる青年に言い訳をしてから、次の停留所で降りるとスマホをいじる真似をしながらタクシーを見張る。
バスが発車し、やはりそのタイミングで走り出車内の様子を持ち前の動体視力で見切った。
運転手は問題無い。しかし乗客がついさっき青年が気にかけようとした少女その人だった。
しかもサリーだからこそ、分かる違和感の正体。隙あれば自分も陥る悪癖の気配がすれ違いざまに漂う…。
ーーーあの女は、彼に危害を加えようとしている。
青年は何事もなく家に着いた。
といっても最寄りのスーパーで買い物をする為、私服に着替えて身支度を整えるだけの一時帰宅だ。
制服のままだと何かと目立つ上、汚したくないのもある。手縫いで作ったマイバッグを掴んで、ネットの割引情報を確認しながら階段を降りる。今日は鮭とキャベツが安いので安直にちゃんちゃん焼きにするか、奇をてらって回鍋肉風でも良いかもしれない。いやむしろ一日味噌床に漬けて焼き物も有りだろう。
趣味と実益を兼ねた料理に関して並々ならぬ拘りを持つ青年は、一階に降りて、ふと思う。
買い忘れが無いよう冷蔵庫のチェックをするべき否か。
そこで彼は念の為、足を向き直してキッチンへ向かう。
簡単な手間で面倒が省けるならした方がいい。そう思い至るとほとんど彼専用スペースになっている場所へと暖簾を潜って入る。
そこには、机に力なく倒れ伏す母と妹の姿。
姉妹と間違われるくらいに似ている年齢詐欺な二人が、朝まで徹夜テンションで元気だった母と妹が、ピクリとも動かない。
薄暗い部屋に夕暮れの陽は差し込まず、証明の灯りも無いので細かな表情は分からないが、苦しみに耐える顰めた顔つきというのは分かった。青年は一瞬惚けてから、ゆっくりとキッチンに入り込むと気付かれないよう新聞紙を丸めて棒代わりにする。
そこで目撃する周りに散乱する有り得ない物。それは
「「も、もう食べられない…」」
菓子パンの空き袋だった。
青年は暴食の限りを尽くした似た者親子の頭を叩いて、説教モードに入った。
買い置きのパンは朝食か、おやつの時に一人一個まで。賞味期限はまだしも消費期限切れには手を出さない。食べかけを放置しない。封を閉じる。包材をそこら辺に捨てない。などなど。
どちらが親か分からない立場関係だが、ポンコツ二人の世話を昔から焼いている青年にとって、こういったお小言は日常茶飯事である。
その様子なら夕飯は要らないなと話せば、いやまだ食べられると宣う。
そんなだから腹が出るんだと脅すと、そこがチャームポイントだの愛らしいだの言い訳を始める両者。
確かに母に関しては今でもゲームチャンプに君臨し続けるプロゲーマーだが、妹はただの引き篭もりだ。
無駄にアタマが良いので義務教育が終わったタイミングでゲーム三昧。しかし通信教育だけで既に大学卒業の資格を持っている才女。
ただし何度も言うが、見た目が残念すぎてエリート感は全くない。
大きな丸眼鏡が可愛いと豪語するが、いつも鼻で笑う青年。
やがて気が済んだのか、冷蔵庫の在庫チェックと菓子パンの買い足しを決めてキッチンを出る。
背中に今日は牛肉が食べたいと声が掛けられるが、無視して靴を履き変え、家のドアを開く。
空模様はいつの間にか夕暮れから夕闇へと明るさを変え、辺りは一層暗くなっている。
そして、街灯が順番に光を灯して道を照らしていく。
スポットライトのように一つ、二つ、三つ。
そして
青年の自宅前も明るく光り、
一人の少女が目の前にいた。
「裏切り者!」
どこかで聞いた声と共に、
閃く白刃が青年の胸へと突き刺さった。
自宅でキッチンに寄らない選択肢を選ぶと、ブロッサム道場行きでした。
大丈夫、ヤンデレではなくて直接危害を与えるのは殺傷事件です。
ヤンデレ相手に刺されるのは通過儀礼だからセーフ。