ヤンデレが怖いので炎帝ノ国に入って弓兵やってます。   作:装甲大義相州吾郎入道正宗

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メイプルにお兄ちゃん呼びされたいので、色々書き換えました。

初期版を見てくれた方は本当に申し訳ない(メタルマン)。

それはそれとしてサリーには「アンタ」呼びされたい…されたくない?




迷宮探索とヤンデレのストーキング

【スキル: 仕切り直し を獲得しました】

アクティブ状態の敵に背を向けた時、基礎AGIに+50。

獲得条件:

ダンジョン最深部から連続100回の離脱を成功させる。

 

 

 

「これはまた不名誉な獲得条件だな…」

 

「ハァハァ…な、何か…スキルでも、得られた…の?」

 

毒竜の迷宮入り口で悩むアーチャーと息を切らせているミィ。

今日も今日とてレベリングや新しいスキルを身に付けようと2人でダンジョンアタックを繰り返していたのだが、どうにもうまくいかない。

 

「特に有用でもないがね…。さて装備を整えたとはいえ、ここに挑むには早かったかな?」

 

「うぅん…奥のヒドラ以外は安定してボス部屋に辿り着けるから、毒対策さえしておけば勝機はあると思うの…でも」

 

人前とは違い、2人きりになると気弱な性格に戻るミィは、体育座りになりながら攻略法について頭を悩ませている。

 

ボスモンスターとして最奥で待ち受けるヒドラを始め、そこに辿り着くまでの雑魚モンスターやフィールドギミックなど、至る所に毒の状態異常が待ち受けるダンジョン構成は、盾役や回復手段が乏しい2人には荷が勝ちすぎるようだ。

 

撤退と再挑戦を繰り返し、何度か死亡判定を受けてしまったミィとは裏腹に、ここまでノーデスのアーチャーから、今回でちょうど100回目だと告げられて、めげるように呟く。

 

「あぁ〜、このダンジョン難しいぃ! こんなの絶対攻略なんて出来ないよ〜」

 

「しかもユニークアイテム入手には更にソロかつ初回踏破だったか…鬼畜にも程があるな。それと、やはりパーティメンバーでも募集するかね? 最近街で金髪の僧侶姿をした魅力的な女性が…」

 

それは却下します

 

「むぅ…」

 

ミィ曰く、バグ仕様の剣弾を含めて今は情報を他人にバラすべきではないと諭されてコンビだけの冒険が今でも続いている。

ネットではそろそろ第1回のイベントが開催されるのでは? と噂になっており、そういった情報戦対策の話だとは分かるのだが、派手なエフェクトを撒き散らす剣弾による纏め狩りを自重した結果。育成が滞っているのも事実だった。

 

正義の味方を目指すアーチャーにとって、強さとは最低限以上に確保しておきたい要素であり、少し焦りが出ていた。

 

「……ミィ。一つ提案なのだが、しばらく互いにソロで活動してみないかね」

 

「えっ…」

 

一瞬で瞳から虹彩が失われ、虚無へと沈む眼。

しかしアーチャーにとってそれは『見慣れた反応』だったので、女性にはよくある話と勘違いして話を進める。

 

「いやなに、私と君では少々、プレイスタイルが噛み合っていないからね。スキルが手に入るまで手分けするのも手だと思わないか」

 

遠距離攻撃を得意とする2人だが、矢さえあれば休みなく継戦可能なアーチャーに対し、MP消費が激しい魔法使いのミィでは補充及び回復のタイミングが違いすぎて、足並みが揃わない事が多々あった。

 

サービス開始から今まで集まった情報の中でスキルの習得条件には、先ほどのような連続で高難易度の行為を繰り返したり、長時間フィールドで寝たりと一風変わった、言い方を変えれば尖ったプレイが必要とされるのが判明している。

 

現段階では互いが互いに遠慮して中途半端な行動が多くなっているのは確かな事実。

特に今まで一度も死に戻りしていないアーチャーだが、ミィを気にせず戦い続けたらどうなるのか。少なくとも研究する余地はあっただろう。

 

決して彼女の相手をするのが面倒くさい、というわけではなく、強くなる為の一時的な処置。

そう言い聞かせてアーチャーは説得を試みる。

そしてたっぷり2時間ほど掛けて、途中ダンジョン攻略に来た赤い大楯使い達に痴話喧嘩だと茶化されたりもしたが、ようやく話がまとまる。

 

「分かった…我慢する…」

 

「…理解してくれて嬉しいよミィ。とりあえず1週間は離れて活動してみよう。だが、連絡したい事があればいつでもチャットしてくれて構わんからな」

 

「うん…五分おきにすゆ…」

 

「おっと? それは流石に困るな」

 

別れ際に「絶対強くなる絶対強くなる絶対強くなる」と俯きながら呪詛のように繰り返していたが、アーチャーは気にしない事にする。

それぐらいは【友人】も普段から呟いているので、きっと女性にはありがちに違いない。

 

…彼の価値観は世間一般から明らかにズレているのだが、指摘する者はいなかった。

 

去っていくミィを見送って一息ついた彼は、久し振りに自分のステータス欄を確認する。

 

 

 

アーチャー

Level 35

HP 100

MP 50

【STR 85〈+1〉】

【VIT 13 〈+18〉】

【AGI 13】

【DEX 24〈+38〉】

【INT 0】

 

装備

頭 【空欄】

体 【空欄】

右手 【白亜の洋弓・Ⅲ】

左手 【木の矢】

足 【空欄】

靴 【空欄】

装飾品

【フォレストクインビーの指輪】

【フォレストクインビーの指輪】

【フォレストクインビーの指輪】

 

スキル

【弓の心得:Ⅳ】【短剣の心得:Ⅰ】【矢作成:Ⅱ】【生産の心得:Ⅱ】【鍛治:Ⅰ】

【見切り】【正義の味方】【仕切り直し】【遠目】

 

 

 

レベルに関しては、適正レベル帯をかなり超過しているせいで上昇速度が緩やかになっている。

そしてこの男、資金の殆どを武器に一点集中させすぎて、防具を更新していないので未だに全裸。…もといタンクトップ姿のまま。街ではある意味悪目立ちしているのに気がついていない。

 

「改めて見るとステータスUP関連のスキルがほとんど無いな…。ふむ、今日からは趣旨を変えて双剣でも戦ってみるか」

 

弓を仕舞い、取り出したのはイズの店で衝動的に購入してから更に一段階強化を施したお気に入りの【白亜の短剣・Ⅱ】と【黒曜の短剣・Ⅱ】だ。

 

戦闘中の装備変更には専用のスキルが必要となる為、未取得のアーチャーはミィに敵を近づけさせないよう弓ばかり使ってきた。

たまには近接系の武器を使用して別系統のスキルを獲得したいと考えての選択である。

 

そして新たな狩り場を目指してマップを頼りに森を進んで行くと、何やらポコポコというか、ゲシゲシというか、小気味良いリズムが聞こえてきた。

不審に思ったアーチャーは、ここが低レベルプレイヤー向けの森林地帯だと知っていたので無遠慮に近づいていく。

 

やがて草むらを掻き分けた先に居たのは、1人の少女と大量のモンスター。

彼らは群がって攻撃を仕掛けるも、彼女にはまったく効いた様子は無く、そのまま呑気に寝続けているという奇怪な場面だった。

 

「なんでさ」

 

呆気に取られるアーチャー。

少なくとも10は下らないモンスターに攻撃されてダメージを負わない防御力も充分異常だが、何より驚いたのは黒髪のショートヘアに緩い幼顔をした少女に見覚えがありすぎたからだ。

 

頭に手を当てて、深い深いため息を吐く。

 

「よもや、まったく同じ姿にするとは…らしいと言えばらしいが何をしているんだ、楓」

 

事前の話では、理沙が親からテストで良い点を取るまではゲームを禁止され、楓もそれに付き合うような流れだった筈。

 

しかし蓋を開けてみれば、目の前にいるのは見間違えるはずもない産まれた時から一緒に居る妹分の姿。

 

…正確には寝ているだけなのだが、相変わらず行動基準が分からないと、アーチャーは声を掛けようとして、踏み留まった。

 

ここで下手に接触を持てば、自分がこのゲームをプレイしているのが2人に知れ渡ってしまう。それだけは回避したいと見た目や口調まで変えているのだ。

 

自分からボロを出すわけにはいかないと、胸に誓う心とは裏腹に「こんな所で無防備に寝て、もし悪い奴に捕まったら…」と完全に兄目線で心配する自分もいるアーチャーは、何とか足を動かして、ブリキ人形のようにゆっくりと距離を取る事に成功した。

 

そんな様子を遠巻きに見ていた赤い大楯使い…クロムは掲示板に少女メイプルの事も書き込みながら、さっきまで美少女と会話してたのに今はもう別の女の子を狙う怪しい不審者がいると、住人に注意喚起するのだった。

 

後にこれが原因でアーチャーへのヘイトが高まり、公式イベントを引っ掻き回す大問題に発展するのだが、今はまだ誰も知る由もない。

 

 

 

 

 

 

所変わって、街の南側に位置する地底湖に移動したアーチャー。

スキルの取得も目標の一つだが、現在の装備である白亜の短剣を生産及び強化する素材として、この湖から釣りで取れる純白の魚鱗が必要だとイズから教わっていたのだ。

 

あらかじめ購入しておいた釣竿を垂らして1時間程。

 

釣果に関わるDEXの数値を一時的に弓を装備する事で高めたアーチャーは、それなりの速度で目的の鱗を集めていたが、延々と釣れた魚に短刀で一撃を入れる単純作業に飽きが来ていた。

 

ただの釣りスポットという事もあって、周囲に人影は無く、気を使う必要も無い。

そこでアーチャーは片手に持ったそれを何となく眺めていたかと思えば、一計でも案じたのか立ち上がって身構えると、

 

 

『湖に向かって弓を構えた』

 

 

「いわゆるガチンコ漁という奴だな」

 

岩を投げ込んだり、露出した岩肌に振動を与える事で水中に衝撃を伝播。気絶させる古典漁法の一つ。

本来ならば他に様々な条件が整わなければ不可能なやり方だが、ここはゲームの世界。やってみる価値は充分にあると、よりにもよって森で放ったレーザービームじみた威力の鋼鉄剣を装填した。

 

「……フッ!」

 

一息の後に、地底湖中央目掛けての一矢。

それは以前と同じように光の奔流を生み出して湖面に突き刺さると、轟音を立てて水飛沫を撒き散らし、美しい地下水を湛えていた湖に大穴を開けた。

 

凄まじい威力によって穿たれた水底に見えるのは、次々と絶命していく魚のエフェクト。当然、目的の品である大量の鱗もドロップしていく。

上手くいったな…。とほくそ笑むアーチャーだったが、直後にゴゴゴ…という地響きを聞いて立ち竦む。

 

視界の端に地底湖の横穴がチラリと見えたが、それよりも早く彼の頭に過ぎったのは『退避』の一言。

剣弾によって掻き分けられた大量の水が、引き潮の如く押し寄せて津波を引き起こしたのだ。

 

「そ、そこまで再現するのかこのゲームは!?」

 

大穴へ押し戻された水流が殺到し、ぶつかり合い。反動で発生した波が四方八方へと散らばっていく。

 

その時、何処からか「いぃぃやぁぁぁ!?」と絶叫が響き、驚いた視線の先にはいつから其処に居たのか、金髪タレ目の少女が波に攫われて溺れかけていた。

 

幸い、魚達からヘイトを買ったのか取得したばかりの【仕切り直し】のスキルが発動したアーチャーは、罪悪感による焦りと高AGIによる瞬発力で彼女の元へ素早く向かうと、すかさず抱き抱えて出口へひた走る。

 

「ちょっ、ちょっとなに、何が起こってるのよ!?」

 

「…まさか湖を撃ったら津波が起こるとは…」

 

「馬鹿じゃないの!? どうやったらこんな範囲攻撃…って来てる、来てるぅぅぅぅぅ!!」

 

開けた平地ならいざ知らず、狭いダンジョン内で引き起こされた津波は行き場を失い、鉄砲水となって2人に襲い掛かる。

 

「すまないが、君もしっかりと捕まってくれ」

 

「ひぃ!」

 

途中の通路でポップした雑魚モンスターに引っかからないよう、ステップを刻みながら駆け抜けるアーチャー。

金髪の少女は、もはや脳の処理が追い付かずギュッと抱き締めて固まるばかりだ。

 

すぐ後ろでは水に巻き込まれたモンスター達が、サイクロン洗濯機のような回転で迫る地獄絵図の中、ようやく見えた出口を目指してラストスパートを掛ける。

 

そして、差し込む光の元へ抜けた瞬間。吹き出した濁流に飲まれた2人は地面を転がりながらも、何とか脱出に成功した。

 

 

 

 

【スキル: 守護者 を獲得しました。】

戦闘状態が継続する限り全ステータスに+1。(最大+30)

獲得条件:

一定以上の総ダメージから他プレイヤーを守る。

 

 

「ぐぅ…何というマッチポンプだ…」

 

短時間ながら神経をすり減らすプレイングを繰り返した為、ハァハァと息を切らせるアーチャーは愚痴を溢す。

その隣ではリアル側で気絶してしまったらしい金髪の少女が、打ち上げられたマグロのように横たわって目を回していた。

 

そして誤算だったのは、波に巻き込まれたモンスターが窒息ダメージで死亡した上、同じ方向に流される関係で周囲を埋め尽くす程のドロップアイテムに囲まれる事になった。

もはや魚の鱗など小山が出来るほど積み重なっている。

 

思わぬ収穫に喜びたいアーチャーだったが、自分のミスで危険に晒してしまった彼女に詫びを入れねばと身体を揺するも、完全に伸びているらしく、芳しい反応は返ってこない。

流石にこのままにはしておくのは気が引けるアーチャーは、安全な街まで送り届けるために彼女…フレデリカの肩を抱き、膝裏から手を差し込む『お姫様抱っこ』の形で移動を開始するのだった。

 

 

 

 

 

ーーーその様子を

木陰からじっと見つめていた紅髪の少女。

 

一度別れたものの、本当に5分おきにチャットを入れていたミィは、返事が返ってこない事に不安を覚えて、彼をストーキング……もとい、偶然道がいっしょだったと言い訳するつもりで、後を尾け回し……散策していた。

 

地底湖への道は一本道の洞穴だったのでバレないよう、近くの木に隠れて待っていたのだが、目の前のアレは何だろうか。

 

大事な宝物を抱えるような繊細な手つきで抱かれ、あまつさえ彼と密着するような至近距離で遠慮もせずに身を預けるなど、以ての外。

 

「その顔…覚えたぞ、女」

 

一方的な嫉妬に燃えるミィはその後、日常生活に支障が出るほどゲームにのめり込み、数々の強力なスキルを手に入れる。

 

しかし「まだだ…まだ足りない…」と、約束の1週間が経過しても取り憑かれたように狩りを繰り返し、更には他プレイヤーへストイックな対応をしている所をクールかつ沈着冷静な性格だと誤認され、密かな人気を博していた。

 

そして第1回公式イベント当日。

 

肝心のアーチャーは経緯を知らない為、未だに連絡がつかないミィに対して

 

「他に気の合う仲間でも見つけたのだろう」

 

と楽観視し、今回得た素材の隠し球を引っさげて、バトルロイヤルへ身を投じるのだった。

 

 




R-15版では、魚の代わりに水着姿のミィが釣れて、そのまま水底へ引き摺り込まれる幻想的な雰囲気が素敵でしたね。

大丈夫。窒息させれば合法的にキス出来るので、ヤンデレではないです。

今後のお話に必要なエッセンスは…

  • 3人をもっと病ませるべきそうすべき
  • キャラ改変はNG 硬派な雰囲気を求む
  • バトル展開! 防振り王に俺はなる!
  • 甘い甘いラブ路線。作者は嫉妬で死ぬ
  • オリキャラとか…どう? 出そう?
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