…タツベイと俺はすごくがんばった。オンバット達は眠っていた時もタツベイは一人で技を磨き、今朝『かみくだく』を習得した。レベルも一番高く、流星の滝で一人で頑張ったのだろう。だが、タツベイだけに時間を裂けてはいられない。
ドラメシヤもオンバットもいる。俺は今日も朝飯をかきこみ、ドラメシヤとタツベイの入ったボールを持ち、オンバットを起こして肩に乗らせた。そして、これも日課である…。
「起きろ。カガリ。」
俺のベッドで寝ているカガリを起こす。他意はない。ただ、彼女がいつのまにか忍び込んでくるのだ。足跡も立たずにね。親父にカガリの件は任せてもらっているが、親父の方が適任だと思う。あぁ見えて、親父はとても面倒見が良い。だから、こんな組織を作れたのだ。
「…むにゃ…。」
「…起きろ。カガリ。飯がなくなるぞ。」
「…すぐ起きる。」
…全く、現金な奴。
入ってくるのは良いが、ラフな格好で来ないでほしい。いや、パジャマまであの服にしろとは言わないが、デカいのが当たって寝苦しい。…俺は抱き枕じゃねえんだぞ。
「早く着替えていくぞ。もうすぐ、朝礼だ。」
「ん。」
…全く、そんな大々的にせんでええだろうに。朝から全戦闘員を集めて朝礼だなんて…。三日月の羽の首飾りもかけて…っと。
「…ボクの…服…どこ…?」
「右の棚。前みたいにここで脱ぎだすなよ。思春期。」
…さて、いきますか。と、置いてったら泣き出すから、待ってやんねえとな。あの泣き虫。待っている間、オンバットでも愛でるとしよう。…しかし、俺の周りにはチビしか集まらんな。ごめんごめん。謝るから噛まないでくれ。
「…着れたよ…リョウカ…。」
「ちゃんと名前で言えたじゃねえか。偉い偉い。」
頭を撫でてやると目を細めて満足げな声を上げるカガリ。同じ色の髪なのにどうしてこんなにも品質が違うのかはわからない。…わかったから。オンバット。後で構ってあげるから。今は朝礼に行かせてくれ。
「…親父。」
半時間ほどの朝礼も終わり、改めて親父と会話する時間ができた。親父とは血が繋がっていない。ただ、俺は彼の慈悲に報いるために強くなりたいのだ。
「リョウカ。お前、すこし戦えるようになったようだな。」
「…その言い方は無いだろ。コイツらが戦えないみたいじゃないか。」
「…悪い悪い。お前は力はあるはずだが、なにぶんデータの少ないポケモンを使うのでな。それにお前は人間相手じゃ全く笑わん。人付き合いは良くしておけよ。珍しくお前が部下を持つようにもなったし…。あの子のこともあるしな。」
親父は笑いながら俺の肩を軽く叩いた。
…親父もカガリのことは気にかけている。
アイツは頑張りすぎてはいないか…俺だって気にしている。アイツは俺と違って隊を持っているのだから。
「…私は心配しているんだ。お前もあの子もまだ子どもの歳だ。やれることはいっぱいある。それなのにこんなことに巻き込んで果たして良かったのか…と。」
親父の声が俺と…近くにいたカガリ以外が残された空間に虚しく響き渡った。カガリも何か言いたげに口を開くが、言葉が見当たらないのか口をパクパクさせている。
「…リーダー…マツブサ…?」
「おや。聞かれていたのか。すまない。辛気臭い話をしたな。…組織のボスがこんなのではいかんな。」
カガリは上目遣いで首を傾げ、親父を見る。やはり、親父には俺たちがついていないといけないな。それを認識する前に口が開いていた。
「…違うぜ。親父。」
「ん?」
「…安っぽい言葉だがよぅ…。アンタだから、俺やカガリ、ホムラもついていったんじゃね?アンタが居たから、俺たちはマグマ団にいるんだろ?…そこを勘違いしちゃいけねぇな。巻き込んだ…じゃねぇよ。ついてきたんだ。自分の意思で。」
…親父に拾ってもらった恩。俺は忘れちゃあいねえ。
俺は二人を無言で見つめた。…と、此方が真剣に喋っているにも関わらず、親父は大声で笑い出した。
「…えっと…リーダー…マツブサ…?」
「ハッハッハッ…!!まさか、あのポチエナのような少年がここまで立派になったとは…!!」
…親父の野郎…!!こっちは励ましてやったってのに…ッ!!
と俺が思っていると、親父は言った。
「そうふて腐れるな…っ!!くくっ…。お前の部下はつくづく幸せ者だな。ポケモンも。…よし。お前ら2人に休暇を与える。好きなように使え。」
と言い、親父は自分の部屋に帰っていった。俺…だけではなく、カガリにも休みを与えたということは暫くはマグマ団は大きな動きを見せないということか。俺はともかくカガリ隊を動かさないのは妙だからな。
さて、折角の休みだ。タツベイ達の育成をするのもよし、本を読むのもよし…。だが、親父からは何か他意を感じる。
「…ねぇ…。」
嫌な予感は鈴のような声によって実現へと歩み出した。
ミナモシティに沈む夕日よ、なんて言うが今は昼前である。ホウエン地方特有の潮風が気持ちいい。カガリに私服に着替えてここに来いと言われたが、正直、アイツに並んで居られるほど俺はオシャレじゃない。適当に選んだ黒パーカーにジーパン。俺の好きな革靴を履いてきたぐらい。
にしても遅え。約束の時間から五分経ってら。普段なら即行動のアイツはこんなに時間かかること無かったのにな。
「…来たか。」
本に目を移して2、3分は立った。コーヒーが甘くなるくらいの恋愛小説も別のことを考えていたら陳腐に感じる。ただ、待った甲斐はあったようで、すっかり粧し込んだカガリがそこには立っていた。
「…ハァ…ごめ…ん…ハァ…ハァ…。」
「全く…。運動音痴が。無理しやがって。」
「…だって…待たせた…かと…。」
…俺も男だな。背丈は年相応のくせに…体つきばっか発達しやがって…。服装もあまり彼女が好まないのに、履いてきた丈の短いスカートから見える足ばかりに気を取られてしまう。まだまだ未熟ってわけか。ただ、ヒールではなく、ローファーだったのが救いだ。
「…んな待ってねえよ。さっき来たばかりだ。気にすんな。」
上等文句…。定型文みたいで俺は好きじゃない。が、頭脳明晰で冷静な彼女がここまでしたのだ。すこしは労ってやらなければな。
「…そっか…。……似合ってる…かな…?」
「…まぁ、似合ってるんじゃ…ねえの。」
…直視できねえ…。汚い大人になっちまったな…。俺も…。
「…ァハ♪…そっか…ァハハハ♪」
「あー!!もうっ!!さっさと行くぞッ!!」
カガリの年相応のキラキラした笑顔が不覚にも愛くるしく思ってしまった。…まさか、親父はこれを見越して…!?
…いや、あの眼鏡コレクターに限ってそりゃないな。…チッ!!意識し出したら、暑くなってきやがった。
「…どうしたの…?顔…真っ赤…熱?」
「…近えよ、馬鹿。」
「…んっ…。」
俺は珍しくフードに隠れていないカガリの頭をポンポンと軽く叩いて撫でた。本人曰く、これが好きなそうで…。オンバットやポチエナとは感触は勿論、違う。全く、童貞殺しめ…。
「ほら、折角粧し込んだんだ。行くぞ。」
「…あっ…お手手…。」
「あぁ…。ほらよ。」
握ったカガリの手は小さくて華奢で、壊しちまいそうに思えた。軽く彼女の手を握るとにへらと笑った彼女の顔が俺の脳を刺激した。…嗚呼…本当…今日はあちぃな。
ORASをプレイしたのが何年前だったか…。
XYなら10回以上やったんだが…。カエンジシの顔と彼の名言を何回も聞きました。どうでも良いですね。はい。
オリキャラ紹介
リョウカ
マツブサのことを親父と言って慕う紫髪の青年。自分のことは全く覚えていない。カガリには好印象を持っており、普段笑わない彼がポケモン以外で唯一、心を許している。ドラゴンタイプをこよなく愛し、ホウエン地方では見られないドラメシヤを持っていることからガラル地方への渡航歴があるとかないとか…。
普段はフードを外したマグマ団の服を着ており、首には三日月の羽の首飾りがかかっている。意外に熱い性格をしている。
てな感じで。今から怒るぜとは言いません。ひひひろしではありません。…もう古いのかな。BW2って…。
では次回。ではでは〜。