雛森「シロちゃんに『雛森ィィィィ!』と叫ばせたいだけの人生だった…」   作:ろぼと

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お待たせしました<(_ _)>

新章前の最後のわちゃわちゃ
超久しぶりの尸魂界メインの一幕です

 


幕間:五番隊の百合の間に無理やり挟まれた男

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 師走も間近、木枯らしが築地塀の間を吹き通る晩秋の尸魂界(ソウルソサエティ)。この日も、護廷十三隊一番隊隊舎はピリピリとした緊張に包まれていた。

 

 未だ藍染惣右介の乱が終結して間もない。物々しい空気は今や隊士等にとって馴染みの光景だが、此度の騒ぎは隊舎を訪れた数名の"客人"の顔ぶれを見た者たち、とりわけ古株隊士を中心に広がっていた。

 

 

「────いやあ、真子君が快諾してくれて助かったよ」

 

 

 そんな一番隊隊舎を歩くおかっぱ頭の"客人"──平子真子( ひらこ しんじ )は、連れ添う二人の男女の片割れ、ヒゲ面の伊達男に渋面で返す。

 

「なァにが快諾やボケ。アンタ等に無理やり連れ戻されただけやないかい」

 

「まあまあ、百年前の続きという事でここは一つ。収まるべきところに収まったと思っておくれよ」

 

「ったく、あん時は人ン話一個も聞かへんで処分認めよったクセに面皮の厚いやっちゃなァ」

 

 女性の副官を連れた伊達男──八番隊隊長・京楽春水へ"客人"は嫌味の棘を刺す。

 かつて藍染惣右介の陰謀で尸魂界を追われた元五番隊隊長の平子。従来の人の好さから隊長が三名も空席となった一大事に渋々手を差し伸べた彼だったが、未だ就任前ながら早くも己の性分を恨んでいた。

 

 恐らく、自分に押し付けられるポストはあそこしかないだろう。

 

「……うん、間違いなく五番隊だろうね。今のあそこは生半可な者には任せられないからさ」

 

「かーっ、勘弁してやァ。なんでいつも俺ばっか貧乏くじ引かなあかんねん」

 

「そう言いなさんな、フリーな君達三人で一番任期が長かったのが真子君なんだから。それに初印象は悪かっただろうけど、ホントは凄く素直でいい子だよ──雛森ちゃん」

 

 その名に顔を歪める平子。元五番隊副隊長であり藍染の部下としておぞましい実験の素体にされた、途轍もなく大きな闇を抱える女死神だ。

 京楽の言に深く頷く副官の美女を横目に、男は不愉快げに吐き捨てる。

 

「藍染の命令で優等生演じとっただけやろ。そない心にもない事ペラペラ言うんホンマ変わっとらんわ、アンタ」

 

「……僕たち隊長格が束になって手も足も出なかったんだ。彼女の力が恐ろしいのは認めるよ」

 

「そのアホ強い裏切りモンを冤罪で殺し損ねた俺に面倒見させんなやボケ!」

 

 そう嘆く平子だったが、恐縮する伊達男に反し何故か隣の女死神の顔が険しい。百年前にリサに可愛がられていた時から随分な美女に成長した現八番隊副隊長──伊勢七緒が、クイと眼鏡を正し苦言を述べる。

 

「お言葉ですが、雛森元副隊長の咎は四十六室より更に上、霊王宮より正式に無罪判決が下されております。彼女を"裏切り者"と形容する事は法に反します。撤回してください」

 

「…なんやねんキミ、あの爆発娘と仲ええんか?」

 

「七緒ちゃんの貴重な読書友達だよ。趣味が合うんだってさ」

 

「私情を挟むほど未熟ではありません。事実を述べただけです」

 

 明らかに私情の籠った目で睨まれ、面倒になった平子は「はいはいすんまへん」と適当に謝罪する。

 己の副官になる女死神、雛森桃。その明るく愛らしい人となりといい、零番隊の関心を引いた【魄内鬼道術】なる特殊な霊力鍛錬法といい、彼女の尸魂界における評判は予想より遥かに高い。まるで庇護欲を誘う美少女の容姿を得た藍染を部下に押し付けられたような難題に、男は心底頭を抱えたくなった。

 

「まあ藍染の影響で今の五番隊は上から下まで優秀な子ばかりだから、なんだかんだで仕事は楽だと思うよ? それに雛森ちゃんも三席の蟹沢ちゃんも美人だし、目の保養もばっちり」

 

「まるで俺の代は無能しかおらへんかったみたいな事言うなや! ……ほんでその"蟹沢"言う娘んコトもうちょい詳しゅう」

 

「蟹沢ちゃんかい? 彼女は藍染に憧…………いやあ両手に花で羨ましいねェ~!」

 

 またしても奴に毒された地雷女か。露骨に話題を逸らした京楽の肩を、平子は真意と真逆の笑顔で叩く。

 

「なんやなんや、そない五番隊が羨ましいんやったら先に言わんかい。七緒ちゃんもあの娘と親しいみたいやし隊首会で爺さんにアンタ等の異動を進言しとくわ」

 

「え"っ!? い、いや隊長人事は四十六室案件だから山爺じゃ代えられないんじゃないかなー?」

 

「なに声震わせとんねんシバくぞ」

 

 一番隊の隊首室へ逃げる伊達男を追いかけながら、平子は重い溜息を吐く。

 

 自分を五番隊隊長に任じる中央四十六室の意図は明確だ。同じ藍染の魂魄実験の被害者である立場を利用し、情報の宝庫である雛森の心を開かせたいのだろう。彼女の背後にいる、零番隊を動かせるほどの巨大なナニカに迫るために。

 

 だが藍染の残した置き土産であるそのナニカが、それを許す生温い存在であるとは思えない。下手に刺激してあの絶大な力が今一度尸魂界へ牙を剥いた時、果たして止められる者はいるのだろうか。

 

 

「はぁ、勘弁してやァ…」

 

 

 誰よりも先にその矢面に立たされる立場になろうと、自分しか適任がいないのなら首を横に振る事はできない。

 

 前途多難な未来に項垂れる平子真子とは、斯様に愚かで──立派な男だった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

「───五番隊三席隊長代理、蟹沢ほたるです」

 

 

 そんな男を五番隊隊舎で第一に迎えたのは、大人びた眼つきとキュートなさくらんぼの髪留めが印象的な、茶髪の女死神だった。

 思わず毎度の"初恋の娘"認定したくなる可憐な女性だが、相手の浮かべる営業スマイルがそれを許さない。

 

 仕方なく普通の味気ない挨拶を交わす。

 

「話ん通り俺がお前らの面倒見る事ンなった平子真子や、よろしゅうな」

 

「雛森元副隊長が復帰するまで私が補佐に当たります。よろしくお願いします」

 

「…ったく、聞いとった以上の石頭やなァ」

 

 まずは隊長として自分の色を出さねばと自然に振舞う平子。しかし蟹沢は気の抜けた彼の態度がお気に召さず、社交辞令の笑みをスッと消した。怖い。

 だが美女の能面なぞに怯むまいと新隊長は何とか言葉を続ける。

 

「…ほたる、お前今日はもう休みィ」

 

「……おっしゃっている事の意味がわかりません」

 

「ここんトコお前が仕事し過ぎっちゅー報告がぎょうさん上がっとるんや。あかん時こそ肩の力抜かなぶっ倒れて隊が回らんなるで」

 

 隊長格二人が同時に消え、大混乱に陥った五番隊を必死に束ねた蟹沢三席。この手の苦労人は責任感ばかりが突出して最も重視すべき自己の健康を怠る事が多い。不憫な部下に何故か涙腺を刺激された平子は、ほぼ善意で彼女に暇を与えようとした。

 

「…お気遣いありがとうございます」

 

 だが礼に対し、当の蟹沢の目は益々冷たくなる。

 

「ここは藍染元隊長と雛森元副隊長が率いておられた五番隊です。一番隊隊士にも勝る、優秀で高い向上心を持つ極めて優れた者のみが所属しております」

 

「お、おう?」

 

「私の席次は三番、副隊長に次ぐ最上位の席官です。藍染元隊長は体調管理もできない無能にそのような名誉ある地位をご用意してはくださいません。三食の食事、十分な鍛錬と睡眠、ストレス解消に友人達との団欒など心身の健康にはしっかりと気を配っております」

 

「せ、せやったか…」

 

「また当然、隊長格長期不在の緊急時における隊士達の取るべき行動は詳細にマニュアル化されております。お二人の不在の間、私達はそれに従い一週間で混乱を収め戦時体制へと移行完了しました。隊長代理の私が空座町決戦のため隊を離れた際も、引継ぎを済ませた石和厳兒四席の指揮の下大きな問題は起きておりません」

 

「……」

 

 淡々と無表情で語られる超エリート集団五番隊の実情。大きすぎるジェネレーションギャップに平子は唖然とする。

 

「なお目下懸念される最大の問題は新隊長就任時の引継ぎトラブルですので、担当する私が暇を頂戴するなど言語道断です。平子新隊長におかれましては我が隊独自の隊風から書式等公用文作成要領まで、こちらでご用意した二十六項目の必須事項を全て可及的速やかに把握習熟して頂きたく存じます」

 

 

 そして最後に「よろしいですね?」と小首をかしげ、蟹沢ほたる三席は改めてニッコリと新たな上司へ微笑んだのだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「───災難だったな、真子」

 

 

 鬼のような五番隊教習初日が終わった夕暮れ時。瀞霊廷のとある居酒屋にて同僚の三番隊隊長・鳳橋楼十郎と九番隊隊長・六車拳西の二人と共に酒杯を傾ける平子は、久しぶりの筆作業で酷使した手首を労いながら一日の苦労をグチていた。

 

「ホンマ俺、昔は喜助(きすけ)ん奴に偉そうな事言うたモンやなァ。今度会うたら謝っとかなバチ当たるで」

 

「俺んトコも東仙の野郎を後五回はぶっ殺したくなるような職場環境でよ。あの裏切り者が…どの口で規律だの正義だの抜かしやがる…!」

 

「拳西もかい? という事は僕が一番のアタリかな。三番隊(ウチ)のイヅルはシャイだけど素敵な心の音を奏でる紳士だよ」

 

 口々に語られる新隊長としての困難。彼等はつい最近まで仮面の軍勢(ヴァイザード)を名乗っていた虚化死神、そして百年前に同隊の隊長格位に就いていた者達だ。その八人の中でも特に護廷の使命に燃える英雄……と隊には通達されている平子ら尸魂界(ソウルソサエティ)復帰組だが、実際はそう輝かしいものではないと彼等の辛気臭い食卓が雄弁に物語っていた。

 

「ホンマ、なんで俺がこんな苦労せなアカンね──」

 

 

「───ホント、なんで雛森さんが隊長じゃないのよ…!」

 

 

 突如ガン!と後ろで食器が鳴り、聞き覚えのある女声が平子の耳を劈く。嫌な予感に恐る恐る敷居越しの背隣席へ振り向くと、凄く記憶に新しいさくらんぼの髪留めがぴょんぴょん跳ねていた。

 

「全く。百年前の藍染隊長の上司だか何だか知らないけど、せめて今の時代の仕事がわかる人にしてくれないと帳簿も書類表記も全然合わないじゃない。やっとあの子が帰ってきて隊に活気が戻ったのに余計な混乱持ち込まないで欲しいわ…!」

 

「お、おい蟹沢ペース早すぎ。あと藍染"隊長"は不味いだろ…」

 

「青鹿君までそんな事言わないで頂戴。…たとえ尸魂界と敵対しても、私にとってあの人は永遠に私達五番隊の隊長なんだから」

 

 …上司として聞いてはいけない会話が聞こえた。

 一瞬で事情を察した平子ら新隊長三人組は無言で席を変えようと腰を浮かすも、直後六車に止められる。問題の蟹沢の卓には彼の部下──檜佐木修兵の姿。下手に立つと位置的に顔がバレてしまうため結局三人は身動きが取れず渋々座り直した。

 

「だ、だけどよ。事情があったとは言え雛森は護廷に剣を向けたんだぞ? なぁ檜佐木…」

 

「まァ、そりゃあんだけ暴れたらなー。空座町決戦で俺たち隊長格部隊が壊滅したのも大体あいつのせいだし」

 

「…記録は見たがマジだったか」

 

「ったく、何なんだあの強さ。あんな純朴そうな顔してあんなの隠してやがったのかよ…」

 

 耳を塞いでも聞こえる気まずい会話から察するに、雛森桃の去就ネタを酒の肴にしているのは蟹沢の同期らしい。九番隊副隊長の檜佐木はもちろん、チラと覚えのあった青鹿の名も聞こえる。平子達仮面の軍勢(ヴァイザード)の負傷者が世話になった四番隊上位席官のゴリラ男だ。

 

 そんな彼等同期の否定的な意見に、酒精で耳まで赤い蟹沢が憮然としながら二人を睨む。

 

「貴方たち、こうして三人で呑気にお酒を飲めるのもあの子に命を救われたおかげだって忘れてないかしら?」

 

「それは…」

 

「そもそも雛森さんが藍染隊長の陰謀に巻き込まれたのも、あの現世実習で私たち監督生が(ホロウ)に無様にやられた代わりにあの子が戦ったのが切っ掛けになったのよ? 自分の不甲斐なさで恩人の人生をめちゃくちゃにしてしまったのに、それを棚に上げて彼女を悪人扱いするなんて恥知らずにも程があるわ」

 

『……』

 

 蟹沢に「最低」と吐き捨てられ押し黙る男たち。

 

「雛森さんが尸魂界と敵対したのは本当にそうするしかなかったからよ。その罪も【魄内鬼道術】の功績で免除されたんだし後ろ暗い事は何もないわ。わざわざあの胡散臭い仮面の軍勢(ヴァイザード)とやらを取り立てるくらいなら真っ先にあの子が隊長候補に挙がるべきなのに…!」

 

 萎縮する檜佐木らに見守られながら、女死神は酒杯を高く呷り憤慨する。

 彼女が推す雛森桃は、藍染惣右介にみっちり仕込まれた元部下であるため仕事が早く丁寧で、隊士全員から慕われる美貌と優しさを持つ素晴らしい上司だった。そして尸魂界離反を機に明らかになった、他の隊長格が一瞬で蹂躙されるほど強力な卍解。たとえ他の隊に雛森を疑う者がいようと、藍染隊長を継ぐ人物として必要なものを数多く持っている彼女を嫌う者など五番隊には一人もいない。

 

 それに対し、蟹沢の新隊長・平子真子への評価は酷いものだった。「字が汚い」「すぐサボりたがる」「いやいや隊長やってるのが丸わかり」「雰囲気が胡散臭い」「眼つきがいやらしい」「藍染隊長はもっと優秀で紳士的で格好良くて」等々半分以上は偉大過ぎる前任者との辛辣な比較故の落胆だったが、仮にもその前任者の上司であった平子にとっては十分すぎるダメージだった。

 

 

「まあ、なんだ。元気出せよ真子」

 

「…俺の隊、こっから更にあの最強の地雷女が復帰して来んねんで? そんでも元気出る魔法あんなら早よ出さんかい」

 

『……』

 

 彼の涙目から無言で顔を逸らす同席の二人。それが客観的な平子の惨状を何よりも明確に表しており、彼らにできたのは哀れな同胞の酒代を奢ってやる事だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 翌日、早朝の日の出。

 

 飲み過ぎで頭が痛い…などと言う五番隊三席に相応しくない痴態は当然晒さず、蟹沢ほたるはソワソワと女子寮の前で待ち人が奥から現れるのを待っていた。

 

 

「──おはよー蟹沢。相変わらず朝早いわね」

 

 

 あくび交じりに投げられた眠そうな声に、蟹沢は「あら?」と振り向く。そこに居たのは待ち人ではなく、空座町決戦以来の戦友、松本乱菊。

 彼女もどこからか今日の復帰式の話を聞いたようだが、いつも前にいる筈の小さな人影が見当たらないのは何故だろう。

 

「日番谷隊長はいらっしゃらないんですか? 珍しい…」

 

「ああ、ウチの隊長ならあそこよ。あの木の陰に隠れてる変質者」

 

「えっ?」

 

 雑木林からコソコソこちらを窺っている隊首羽織の少年の姿に目を疑う蟹沢。あんな遠くで何をしているのか乱菊に問うと、呆れた顔で驚きの事実を披露された。

 

「あたしがお貴族サマの嫌味聞かされてる間に幼馴染二人で勝手に仲良く進展したらしくてね。隊長の顔を見ると雛森が恥ずかしがってマトモな会話になんないからああして離れてるの。バカみたいでしょ?」

 

「あれから進展したんですか!? く、詳しくお願いしますっ!」

 

「ちょっと勘弁してよ、あたし昨日今日でもう十回くらい皆からこの話訊かれてるのに」

 

 乱菊は辟易した顔で「馬に蹴られちゃうわ」と言いつつも、なんだかんだで詳細を語ってくれた。

 悲運に引き裂かれた日番谷冬獅郎と雛森桃。身近な人物の壮大な恋物語が遂に前進した喜びに、蟹沢の乙女心も大いに荒ぶる。

 

 …それでもやはり一番の安堵は大切な後輩の心。あれほどの不幸に苛まれた彼女が得た細やかな幸せに、ジーンと胸が熱くなる。

 

「よかった。雛森さん、元気になったのね…」

 

 しかしそうつぶやく蟹沢の横で、乱菊が暗い顔をしていた。

 

「…ウチの隊長が側に居る時だけは何とかね。あたしと話す時なんか見え見えの空元気よ。別にあの子のせいじゃないのに会う度に『ごめんなさい』って謝られてる気がするわ」

 

「そうですか…」

 

「たとえ周りから許されても本人は一生引き摺っちゃうでしょうね……例のきな臭い【叫谷勢力】とかの話もあるし、あたし達が支えてあげないと」

 

 二人の女死神は神妙な顔で頷き合う。こればかりは時間が必要だ。慰めるだけではなく、親しい者達が共に気持ちを背負う事で、彼女の心を軽くするしか方法はないだろう。

 

 そんな二人の憂鬱な沈黙は、待ち望んだ少女の声で霧散した。

 

 

 

「──お、おはようございます…」

 

 

 

 弱弱しい挨拶にハッと顔を上げる蟹沢達。その視線の先に、大切な後輩にして憧れのライバル──雛森桃が小さく佇んでいた。 

 

「ッ、雛森さん…!」

 

「…おはよう雛森、今日復帰するって聞いたから顔見に来てやったわよ」

 

 駆け寄る二人へ少女が笑顔を作る。意識が戻ってから彼女の顔を見るのは初めてだが、目元の隈とやつれた頬が痛々しい。

 

 三人の談笑は多忙な隊長格の時間に急かされ終わり、乱菊…と遠くの不審者を見送り、しばしの二人きり。意を決し先に口を開いたのは雛森だった。

 

「蟹沢さん……あの、あたし…」

 

 悲痛な緊張。必死に言葉を探す彼女の姿を見ていられず、蟹沢は優しくその震える体を抱き締めた。

 

「か、蟹沢さん…?」

 

「…落ち着いた?」

 

「え、ぁ…」

 

 後輩とは言え仮にも元上司に馴れ馴れしかったかもしれない。先ほどの松本副隊長のような親友の間柄でもない。

 それでも勇気を出したお陰で、少女の青白い頬には微かな朱が浮かんでいた。照れているのだろうか、彼女のこういうかわいい所は昔から変わらない。

 

 謝罪しようとする雛森を制し、蟹沢はこれまで何度も考え行きついた一つの言葉を、潤む瞳の笑顔で口にした。

 

 

 

「──お帰りなさい、雛森副隊長」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 その後、一応隊長として付いてきた気の利く平子と共に、蟹沢は雛森に付き添い護廷の各隊を回った。

 これまでの事を詫び、コメつきバッタのように頭を何度も何度も下げる哀れな後輩。蟹沢にできたのは、どんどん憔悴していくその顔を胸が張り裂けそうな思いで見つめる事だけだった。

 

 少ない救いは隊長格たちに大人の慈悲があった事か。

 十一番隊と十二番隊での決闘解剖騒ぎを除けば概ね穏やかに進み、浮竹や狛村などからは「無事で本当によかった」と手放しで復帰を歓迎された。他にも藍染の陰謀に気付けなかった事を悔やむ京楽、掟で決した事に是非などないと割り切る山本と朽木、冷淡な事で有名な砕蜂もどこか態度が柔らかかった。

 どうやら蟹沢の知る以上に雛森は悲惨な目に遭っていたらしい。先輩として口惜しいが、訊かない方が彼女のためだろう。

 

 そんな謝罪回りの中、最も長く引き留められたのは三番隊と七番隊、そして九番隊。

 いずれも前任の離反した元隊長、市丸ギンと東仙要と縁が深く、特に後者と仲が良かったらしい雛森も多くの事を語った。死者の意思を大切にしたいと核心的な事は黙したが、少女の言葉の節々から感じる彼への深い敬意に狛村と檜佐木も目を潤ませていた。

 

「東仙隊長は、藍染隊長にとって最も大切な忠臣でした」

 

「では何故ヤツは東仙を…」

 

 その問いに、自分に真実を述べる資格はないと前おきながらも、雛森は泣きそうな顔でぽつりと呟いた。

 

「…東仙隊長は、いつも苦しんでおられました。そして藍染隊長は、一度認めた部下のためならば幾らでも泥を被れてしまう、とても、芯の強い人でした」

 

「泥、か…」

 

「意地悪な人でした。尸魂界の敵になった人でした。…でもあたしにとって藍染隊長は、どれほど感謝してもしたりない…」

 

 

──大切な、    

    恩人なのです。

 

 

 そう言葉を絞り出す少女を責める者はおらず、同じく藍染に憧れていた蟹沢も、静かに涙を流す。

 

 彼女は知っているのだ。藍染隊長が何故尸魂界を裏切ったのかを。そしてその理由が決して、皆の言う私利私欲のためではないのだと。

 真実を知る事は出来ずとも、恩人の不名誉に耐え忍ぶ後輩の背中を見つめるだけで、蟹沢は不思議と救われる気がした。

 

 藍染隊長は、自分の知る偽りの仮面の彼よりは邪悪な方なのかもしれない。でもその邪悪な本性の中にも、自分が憧れた誰よりも優れた気高い死神の姿は……確かに、あったのだ。

 

 

 

 

 

「───やっと終わったわァ…」

 

 鬼道衆や四十六室など瀞霊廷の隅々まで回る事、三日。その内丸一日を貴族の嫌がらせで浪費した蟹沢ら三人はようやく五番隊隊首室にて緊張の糸を解していた。

 

「…平子隊長、蟹沢さん。その…この度は本当にありが──」

 

「あーもう毎日毎日聞き飽きたわソレェ! ったく誰に気ィ遣うてんねん。そない思い詰めてばっかやとすぐハゲるで、桃」

 

「ちょっと平子隊長、雛森副隊長の想いを何だと思ってるんですか…! あと神聖な五番隊隊首室の応接間で寝そべらないでくださいっ!」

 

 共に修羅場を潜り抜けたからか、あるいは平子の人間的魅力がそうさせるのか。謝罪回りの前よりは打ち解けた隊首脳陣。何もかもが完璧な藍染隊長とは真逆のズボラな男だが、彼は時折見せる真剣さや温かい気配りのギャップで人の心を掴む天性の上位者だった。

 彼ならば自分のように雛森さんの味方になってくれるかもしれない。そんな期待を込めて、蟹沢は平子の前に書類の山をドンと置く。

 

「…さあ、そろそろ要領も身に付いているはずですのでこちらの分をお願いします」

 

「ちょ、もうちょい休憩させてやァ! つかなんやねんこの量、俺書類仕事なんて百年ぶりやのに無理に決まっとるやろ!」

 

 ソファーから飛び起き床を四つ足で後ずさる平子。藍染とはあまりに違う幼稚さに蟹沢は雛森と揃って彼へサルを見るような目を向ける。

 

「あの、この量なら藍染隊長はもちろん東仙隊長や市丸隊長も半刻で終わらせてましたけど…」

 

「百年間も書類を触った事がないって、ジャングルにでも住んでたんですか?」

 

「…思い出したわ。昔藍染隊長が平子隊長の事を話してくださった時に…」

 

「! 雛森副隊長、それは?」

 

「……い、いえ。平子隊長の名誉のために言わない方がいいような内容でした」

 

「お前ら絶対俺ン事嫌いやろ!?」

 

 部下たちから隊長としての能力を疑われている現状に焦りを覚えたのか、文がダメならと平子が立ち上がる。

 

「ッ、せや斬拳走鬼や斬拳走鬼! 死神の仕事は瀞霊廷を守る事! 書類仕事なんてお前ら下っ端がやっときゃええねん!」

 

「…斬拳走鬼? 鍛錬でしたら練習場の申請書をこちらに…」

 

「どうせいつもの逃げる言い訳ですよ。雛森副隊長も律儀に対応しなくていいですから」

 

 端から無視を決め込む蟹沢。だがその時、渾身のドヤ顔を見せる平子が聞き捨てならない事を口にした。

 

「シャラーップ! お前ら二人とも随分鬼道ン成績ええけど、実は俺も昔藍染のハゲに教えてた事あんねんで!」

 

「!? ひ、平子隊長って藍染隊長の鬼道の師匠だったんですか!?」

 

「……ハゲにされたのは平子隊長では?」

 

 目の前の威厳ゼロな男があの藍染隊長の師匠。驚愕の話に蟹沢は一人仰天する。

 

「おう、せやでせやで~? お前らが『藍染隊長ぅぅ~♡』言うて崇めとるあいつも昔はかわええ若造やったわ」

 

「藍染隊長が…若造…」

 

「なんや、ちったァ俺の事尊敬する気ィなったか? は~~~どないしよっかな~~~? 今まで散々舐められてもうたしなァ~~~?」

 

 俄かに信じられず、ウザい顔の平子の佇まいを真剣に探る蟹沢三席。上手に抑えられているが、なるほど確かにかなりの霊圧を感じる。それまで完全に見下していた男の驚くべき過去を知っただけで、途端にその剽軽な態度が大物っぽく見えてしまう。

 まさか、本当に彼は藍染隊長の上司に相応しい人物だったのでは。そんな考えが浮かんでしまった事実に愕然とした女死神は、何としてでも憧れの人の名誉を守らんと拳を握りしめた。

 

「……わかりました。平子隊長の鬼道練習、私がお相手いたします」

 

「おっ、ノリええやんほたる。ほな後から付いて来ィや!」

 

「"鬼事"ですか、負けません…!」

 

 百年経とうと変わらない、死神同士の鍛錬の定番だ。蟹沢は室内で平子とほぼ同時に瞬歩を操り、揃って流魂街の練習場へと場所を移す。

 

「あれれ~~、藍染の部下にしては威勢だけやなァ? ホラホラお気に入りの髪留めもーらいっ」

 

「なっ! く…子供ですか!」

 

 ふざける相手を全力で追いかけるも、蟹沢は完全に遊ばれてしまう。悔しいが相手は腐っても隊長格。こんなデリカシーの欠片もない男が実力者である事を突き付けられる度にこの世の理不尽を感じてしまうが、彼女のプライドは鬼道にこそあった。

 

「逃がしません!」

 

──縛道(ばくどう)の五十八・掴趾追雀(かくしついじゃく)

 

 雛森に触発されて編み出した独自の鬼道コンボ。元は霊圧から対象の正確な位置を突き止めるためのみの術だが、連続詠唱を行う事で応用が可能となった。

 

「…捕捉完了! 往きなさいっ!」

 

──縛道(ばくどう)の六十二・百歩欄干(ひゃっぽらんかん)

 

「おぉおお!?」

 

 射出された無数の細い杭を平子が避けた瞬間、それらが一斉に反転し逃れた男へ再度殺到する。

 

「なんやなんや、霊圧ロックオンして追尾させとんのか? オモロイ使い方するやっちゃなァ!」

 

「ッ、余裕ですね…!」

 

「そら俺ン仲間にもっと凄いモン使うハゲおるしィ? 何なら──」

 

──破道(はどう)の五十七・大地転踊(だいちてんよう)

 

 直後、平子の周囲の岩石が百礫、目にも止まらぬ速さで百本の銀杭を撃ち落とした。

 

 

「──()()なら現世で山ほど叩いて来てんねんで、俺?」

 

 

 唖然とする蟹沢へ新隊長がニィと並びの良い歯を見せる。

 

「下位番号の破道で…完全相殺ですって…!?」

 

「びっくりすんのソコかいな。妙なアレンジ加えんのが今の流行りか知らへんけど、言霊にその分の容量割いたら術自体の完成度は下がるに決まっとるやろ。自作鬼道なんて百年早いわボケ」

 

 詠唱破棄の六十番台を使った複合鬼道。その難易度の高さは並の隊長格でさえ満足に使える者は数えるほど。三席の彼女を平子が「まだ早い」と窘めたのは厳しいながら当然の言葉だった。

 

「くっ…なら──」

 

 だがこれは誇りがかかった手合わせ。このままでは終われない。

 蟹沢は斬魄刀を引き抜き、自身の持つ最高位の破道を、その完成度を自慢するように詠唱する。

 

「…咲き狂う鉄の華。駆け抜ける曲輪の蹄。旋風・迅電・瞬馗(しゅんき)の標石。薙げば閃光、斬れば雷鳴。双子の死血を片刃で啜る

 

「はーっ、三席が七十番台後半の破道! ったく藍染の野郎、こない優秀な娘残してくとかどんだけ傲慢やねん」

 

「ッ、黙れ! 藍染隊長の事を悪く言うなッ!」

 

 やはりこの人とは相容れない。綴った言霊が抜いた刀身に青色の霊圧を纏わせ、女死神は全身全霊の一撃を目の前の法螺吹き男へ振り下ろした。

 

「はあああああああッッ!」

 

 

──破道(はどう)の七十八・斬華輪(ざんげりん)

 

 

 空座町決戦で敵の従属官(フラシオン)を相手に大立ち回りを見せた彼女の奥義。霊圧の斬撃が土煙を上げながら疾走する。

 

「ッチ、しゃーないなァ」

 

 その進む先には、無造作に片手を正面へ向ける男の姿。金色のおかっぱ髪を靡かせながら、新五番隊隊長・平子真子は、無礼な部下に自らの背負う名の"格"を見せつけた。

 

「…避けェや、ほたる。怪我じゃ済まへんで」

 

 

──破道(はどう)の八十八・飛竜撃賊震天雷炮(ひりゅうげきぞくしんてんらいほう)

 

 

 一瞬、蟹沢は何が起きたのかわからなかった。突如目が眩むような閃光が瞬き、直後何かに引っ張られるような感覚の後、気付けば自分の立っていた地は背後の丘ごと渓谷のように抉り消えていた。

 

「か、ぁ…」

 

「何するんですか平子隊長! 蟹沢さんに当たってたらどうするつもりだったんですか!」

 

 茫然自失としていると、ふと体が柔らかい何かに抱き締められている事に気が付く。

 

「この俺が当てるワケないやろ、アホか! デカい霊圧の余波ぶつけて頭冷やさな思っただけやねん!」

 

「だったら縛道でいいじゃないですか! あたし知ってるんですからね、平子隊長が結構大人げない事っ」

 

「はぁー? どうせ藍染の私情たっぷりな話鵜呑みにしとるだけやろボケ!」

 

「私情も何もあの人完全に平子隊長の事を飽きたオモチャとしか見てませんでしたけど!?」

 

「なんやてェ!? あのハゲくたばってなお俺ン事おちょくってくるんか…!」

 

「くたばってませんしハゲにされたのは平子隊長ですっ!」

 

「どんだけあの話拡散させてんねんあいつ!!?」

 

 爆音で遠くなった蟹沢の耳に男女の言い争う声が聞こえる。呆けた頭のまま見上げれば、それまでの後ろめたそうな遠慮を取り払った、怒りに赤らむ顔の雛森桃が。

 

「全く……蟹沢さん、怪我はありませんか?」

 

「あ、ぁ…」

 

「毛がない!? 今俺ン事見て毛がない言うたかおんどれ!!」

 

「平子隊長は黙っててくださいっ!!」

 

 蟹沢の体に巻き付いていた鬼道の帯が解かれる。初対面の現世演習でも同じように自分を救ってくれた、雛森桃の【這縄】。

 その強烈なリフレインに、女は万感の思いに打ちひしがれた。

 

 …悔しい。情けない。

 

 本当は彼女、雛森桃の事が羨ましかった。妬ましかった。誰よりも藍染隊長の側に居て、目をかけて貰えて、離反の一大計画においても共に歩む事を許された。

 

 日番谷先遣隊から上がった彼女の真の実力に関する情報も信じられなかった。信じたくなかった。空座町決戦で実際に彼女の戦いを見てしまった時も、蟹沢はまるで夢を見ているような感覚だった。

 

 だが、圧倒的な差への無意識の現実逃避も、最早限界。憧れの藍染と因縁がある平子に意地を張って対抗しても、結果はこのザマ。

 やはり自分は、あの人に選ばれなかった無価値な敗者なのだ。

 

 

「───雛森副隊長!」

 

 

 しかし。

 

 ならばせめて。せめてこの曇った目を覚ましてくれる人くらいは自分で選びたい。

 蟹沢は、気付けば眼前の長年のライバルへ頭を下げていた。

 

「…恥を承知でお願いします。藍染隊長の名誉を守ってください…っ!」

 

「えっ?」

 

「は? ちょ、待てや桃は反則やろ! そいつ浦原の結界ン中で八十番台の三重詠唱カマした鬼道長レベルのバケモンやで? 人間の土俵にゴリラぶちこむなや…」

 

「反則じゃありません! これは藍染隊長が作り上げた我々五番隊の沽券に関わる事なんです! 雛森さん、あの人の愛弟子として、どうか…!」

 

 勢いに任せ懇願する女死神。その頭上で雛森が「…オ…値が、いやでも…」と小さく独り言を繰り返す。

 そして短い逡巡の末…

 

 

「……わかりました」

 

 

 少女が抱える蟹沢を優しく立たせ、首を縦に振った。

 

「雛森さん…!」

 

「…な、なあ桃? せめて何するかくらい言うてや…?」

 

 平子の問いに雛森が振り返る。そこにあった彼女の笑顔に、二人は思わず硬化した。

 

「決まってますよ、藍染隊長の代名詞とも言える最上位鬼道です」

 

 ゾワリと大気が震える。桁違いの気配が少女の体から立ち上り、その掌に漆黒の霊圧が不気味に渦巻く。

 

「…範囲はあの大岩が丁度いいですね。行きます──」

 

 

 

 

 

 

破道(はどう)の九十・黒棺(くろひつぎ)

 

 

 

 

 

 

 その瞬間。十丈はある巨大な岩が闇の匣に包まれ、消えた。

 文字通り包まれた面が磨き上げられた壁のように垂直に切り取られ、内部の質量そのものが跡形もなく消失したのだ。

 

「…きゅ、九十番台詠唱破棄…」

 

 ここに至って、絶句以外の表現は必要ない。歴代の護廷隊隊長でさえ使えるものは一握りと言われる九十番台の鬼道。どれもが一撃必殺に等しい威力を有し、その多くは禁術に指定される。蟹沢自身、その壁の足元にさえ立てていない究極の領域だ。

 

 そこに、自分が追いかけた少女は立っていた。

 

「……すごい」

 

 感情が、子供のような語彙で零れ出す。あらゆる劣等感が、たった一つの純粋な心に淘汰される。

 

 その感情の名は──憧憬。

 

 薄っすらと微笑む後輩の顔が、憧れの藍染惣右介と重なった。

 

 

「ひ、雛森さんッ!!」

 

 

 かくして蟹沢は彼女の両手に襲い掛かった。

 

「私、目が覚めました! やっぱり私の上司は雛森さんなんです!」

 

「え、あの…蟹沢さん?」

 

「例の【魄内鬼道術】の実証実験ってまだ雛森さんと藍染隊長のお二人のみでしたよね? なら三席の私が三番目になります! 存分に私の体で実験してください」

 

「は? え?」

 

「私決めました! 一生貴方についていきます──雛森副隊長っ!!」

 

「ええぇぇぇええええ!?!?」

 

 仰天する少女に抱き着き、蟹沢は心臓が破裂しそうになるほどの高揚感に支配される。

 

 ああ、そうだ。この人こそ私を導いてくれるお人なのだ。この人こそが私の砕けた心を拾い集めてくれたのだ。

 

 

 当初の罪の意識に苦しむ後輩を支える先輩としての決意も、それまでの建前も全て忘れ、蟹沢ほたるは新たな崇拝の想いを胸に、その深緑の瞳を輝かせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ホンマ、勘弁してやァ」

 

 

 黄色い声が響く練習場の端で呟かれたそんな独り言は、されど誰の耳にも入ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

平子さん、すこ(満面の笑み


今回誤字多いかも…申し訳ないです(汗

次回からようやく完現術篇を始めます
お楽しみに!

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