雛森「シロちゃんに『雛森ィィィィ!』と叫ばせたいだけの人生だった…」 作:ろぼと
やあ!
ようこそUSJ(ユーエツジェー)へ!
特別な3-Dayパスだよ、ぜひ愉しんでいってね!ハハッ(違
と言うわけでお待たせしました。
まずは一話目です。
今回はかなりだらだら原作シーンを描写しますが2話&3話のニチャァに必要な前置きなので許して…
それではシロちゃん主人公のSS篇クライマックス全三話、お愉しみに(ニチャァ
「──何だ…これは…!?」
五番隊隊首室。
同隊隊長・藍染惣右介の遺品の検分中に見つけた、副隊長の雛森桃へ宛てた彼の置手紙。紐解いた文に目を通した日番谷冬獅郎はそのあまりの内容に絶句していた。
人様宛の遺書を暴くなど普段であれば決して取らない無礼な行動。だがこれまでの不穏な出来事の数々で疑念渦巻く冬獅郎は、長い逡巡の後、藍染と雛森両名に内心謝罪し中身を検めることを決断した。
その非礼がこの結果となったのは、少年の波乱万丈な運命を司る稀有な星の先触れか。
「どうしたんですか隊長! 一体何が書かれて──ッこれは…!」
「これを…藍染が書いたって言うのか…?」
横から覗き込む副官の松本乱菊と二人で幾度も文を読み返す。
──僕を殺したのは日番谷隊長だ。
見事な筆遣いで書かれ、宛先の雛森の心身を案じる彼らしい前書きから始まったそれは、書き手が知ってしまった真実だと銘打たれた全くのでっち上げだった。
「隊長…これ誰かに差し替えられた偽物ですよ…!」
「…だがこの筆跡や細やかな配慮…偽造なら余程あいつに近しいヤツにしか出来ねえ芸当だぞ」
「ッ!」
余程近くにいたヤツ。それが出来うる男に一人だけ心当たりがあった乱菊はハッと目を見開き硬直した。
藍染の遺書に書かれていたことは冬獅郎の冤罪だけではない。
昨今瀞霊廷を騒がせている十三番隊隊士・朽木ルキアの処刑を取り巻く巨大な陰謀の詳細。それは処刑に用いられる斬魄刀百万本の霊力に相当する霊具を奪い、尸魂界を破壊するという恐るべき計画についてだった。
無論そんな馬鹿げたことをする予定などない冬獅郎は、この文が伝える犯人の名前をある人物に置き換えていた。ここ数日の事件全ての渦中にいた最有力の容疑者──三番隊隊長・市丸ギンだ。
「…松本、お前の気持ちは重々承知してる。だがヤツが雛森を何らかの陰謀に巻き込みあいつを苦しめているのは事実だ。何を考えてんのか知らねえがその一点だけは絶対に許す気はねえ…!」
「…ええ、あたしも許す気なんてないですよ…ッ」
沈痛な声で「あのバカ…」と複雑な内心を零す乱菊。彼女と市丸は同期の仲で、縁など切れていると吐き捨てながらも未だ彼との思い出を大切にしているのは上司の冬獅郎も知るところ。
そんな気まずい空気に、ふと一つの小さな黒い影が入り込んだ。
「地獄蝶…?」
ひらひらと飛んで来た伝令を指に止まらせた少年は、受け取った報告に思わず声を上げた。
「──なっ! 雛森が隊舎牢から消えた、だと!?」
冬獅郎が対市丸用に最も厳重に守りを固めた十番隊隊舎牢。中で拘置と言う名の保護をされていた幼馴染の少女が居なくなるなど一大事だ。
「急いで戻るぞ松本!」
「はい──って、隊長お待ちを!」
「ッ何だ!」
乱菊の唐突な制止に振り返る少年。
「別の地獄蝶です! 今度は何よ…」
苛立たしげに新たな報告を受ける乱菊。そしてその顔が徐々に驚愕に染まっていく。
「おいどうした松本、何があった!」
「…朽木の処刑が再度早まったとのことです。日時は…八月六日、正午…」
「六日…!? 今日じゃねえかッ!」
想定外の通達を受け咄嗟に時刻を確認する。時針が示すのは辰の刻朝五つ、正午までもう二刻ほどしかない。
「隊長、如何なさいます…?」
焦る乱菊の問いに唇を噛む冬獅郎。出来ることなら雛森を探して守ることを優先したい。だが藍染の偽遺書が仮に事実であれば双殛の使用は何としても止めなくてはならない。
冬獅郎は瞼を閉じ葛藤する。迷い、苦悩し──そして決意に満ちた目を開けた。
「松本、十番隊隊舎牢へ行け。雛森の痕跡を辿り必ず保護しろ」
「…隊長!」
「おそらく市丸はまたあいつに何かさせようと接触してくる。てめえはそのときにヤツを止めろ」
合理的観点、そして部下への配慮を考慮した指示。暗に「一度市丸と二人で話し合え」と目で伝えると、乱菊が恐縮しつつも頷いた。
「ッ、では隊長は…!」
「決まってんだろ、処刑を中止するよう直談判だ。こんなふざけた命令を寄越しやがった…」
護廷隊で御目通りが叶うのは隊長格のみ。
その瀞霊廷最高権力者たちの名は…
「──中央四十六室だ」
***
中央四十六室。
尸魂界全土から集められた四十人の賢者と六人の裁判官で構成される司法機関。司法とは名ばかりの事実上の最高意思決定機関であり、その実態は現体制の維持を目的とした保守的な貴族層の牙城だ。
冬獅郎が此度の異例ずくめの朽木ルキア処刑の流れに異変を察知したのも、この機関の負の側面を良く知るからこそ。
何か良からぬことがここで起きている。その予想を確信に引き上げた若き隊長は、中央地下議事堂を訪れ…そこで信じ難い光景を目にした。
「なッ…なんだこいつは…!?」
最高警備体制がしかれているはずの尸魂界首脳部へ難なく辿り着いてしまった冬獅郎が目にしたのは、無惨に殺害されている四十六人の男女の遺体だった。
──中央四十六室が全滅している。
「どういうことだ…これを全て市丸がやったというのか…?」
乾いた血から事が起きたのは少なくとも一週間以上前と推測される。つまり旅禍襲撃以後に護廷隊へ通達された中央四十六室の命令は徹頭徹尾が誰かに偽装されていたということ。しかしこれほどの陰謀を一人の死神が実行出来るとは思えない。
だがそこで、唖然とする冬獅郎はふと、あり得ない気配を感じる。
「…雛森?」
霊圧だ。錯覚ではない、慣れ親しんだあいつの霊圧だ。
「雛森…ッ!」
何故こんなところにいるのか。全力で気配を辿り、完全立ち入り禁止区域の清浄塔居林へ突入した冬獅郎は…
「──やぁ、日番谷君」
そこで、死んでいるはずの男、藍染惣右介と出会った。
「藍…染…!?」
柔和な笑み、聡明な印象を覚える眼鏡、低く優しげな声色。己の目を耳を疑う冬獅郎は本物なのかと何度も問うも、彼の返答は自らの無事を肯定するものだけだった。
「それにしても随分早いご到着だ。詰めが甘かったかな、ギン」
「なっ、市丸…!?」
藍染が見つめる塔居林入り口へ振り向くと、そこには少年が全ての元凶と推理したはずの男が立っていた。
「──いやァ、すんません藍染隊長。あの手紙、片方しか引っ掛かってくんまへんでした」
いつの間に現れたのか、面目なさそうに藍染へ謝罪する市丸ギン。被害者と加害者がまるで上司と部下のように接する光景に困惑する冬獅郎は二人の間で視線を彷徨わせる。
「想定? 引っ掛かる? てめえら一体…一体何の話をしてんだ…!?」
「ただの戦術の話だよ、日番谷隊長」
──敵勢の分散は戦の初歩だろう?
そう口にする藍染は、常の柔和な笑みを薄ら寒いものに歪めていた。どす黒い悪意を滲ませる怖ろしい笑顔に背筋が凍り、されど冬獅郎はそこでハッとあることに気付く。
「ひな…もり…?」
無い。ここに来るまで確かにあったあいつの霊圧が。
「雛森君かい? さて、どこかな」
悪戯をしかけた子供のような陽気さが覗く琥珀の目。緊張感のまるでない藍染の声に異様な胸騒ぎを覚えた少年は、辺り隅々へ視線を飛ばし…
「────!」
瞬歩で通り抜けた藍染の背後で、血だらけで倒れ伏す大切な幼馴染の姿を目にした。
「残念。見つかってしまったか」
瞳孔の開いた大きな双眸に涙を浮かべた雛森桃が、真っ赤な水たまりの中に沈んでいる。弱々しい魄動はまだ彼女の息がある証。だが、だが…
「なん…で…」
眼前の状況が全く理解出来ず、冬獅郎はただ立ち尽くし震えるばかり。そんな彼へ「すまない」と藍染が頓珍漢な謝罪を送る。
「君を驚かせるつもりはなかった。本当は見つからないよう隠しておくつもりでね。かの天才少年の頭脳と行動力を見誤った僕のミスだ」
変わらない優しげな声色でそう告げる藍染惣右介。見つからないようにとはどういうことだ。隠しておくつもりとはどういうことだ。
そして長い混乱の末、冬獅郎はようやくこの認め難い現実を直視した。
雛森の憧れ、藍染惣右介は──尸魂界の敵だったのだ、と…
「…グルだったのか…てめえら…! いつからだッ!」
今までの市丸の怪しい動きの数々は全部この下種野郎の指示の下。掌で踊らされていた屈辱が怒りとなって際限なく胸中に湧き上がる。
「もちろん最初からだよ。私が隊長になってから、ただの一度も彼以外を副隊長だと思ったことはない」
言葉の衝撃に胸が締め付けられる。それは、つまりこいつは今までずっと、雛森を──
「騙したつもりはないさ。ただ、君たち
「ッ、理解…してない…?」
何を言っているのだこの男は。雛森以上にこいつを理解しようと励んでいた者など一体どこにいる。その一途な姿を苦々しい思いで見てきた冬獅郎は、それでもそれがあいつの望みならと、自分がヤツを超えるまでの辛抱だと、自らの想いに蓋をし彼女を見守り続けてきたのだ。
あいつはこの男に憧れて少しでも近くにいるために五番隊に入り、この男の役に立つために馬車馬の如く働き、夜は寝る間も惜しみ鬼道衆で期待に応え続け、十年前から新副隊長としてずっとこの男を支え続けていたではないか。
それを…
「知っているさ。自分に憧れを抱く者ほど御しやすいものはない」
「な…」
しかし、男は少女の五十年の思いをまるでゴミのように振り払う。そして混乱に右往左往する冬獅郎の激情へ、逆賊藍染惣右介は愉しそうに正道を示した。
「いい機会だ。一つ覚えておくといい、日番谷君」
理解から最も遠い感情だよ──
その言葉が少年の最後の理性の緒を引き千切った。正当な行き場を見つけた爆発的な憤怒は一瞬で暴力へと昇華し、正気が飛びそうなほどの極寒の霊圧が周囲に四散する。
「
氷雪系最強と謳われる日番谷冬獅郎の斬魄刀。巨大な清浄塔居林の全てを凍り付かせ、荘厳な竜を背負った少年は刀の切っ先を幼馴染の仇敵へ突き付ける。
「藍染…俺はてめえを殺すッッ!!」
だが冬獅郎の殺意をまるでそよ風のように流す藍染は、ムカつく美貌を嘲笑に歪めていた。
「あまり強い言葉を遣うなよ、弱く見えるぞ」
頭の血管がぶち切れるほどの挑発に正々堂々と乗ってやる冬獅郎。冷静さも戦術も何もない。狂声を上げ、ただ最短距離で、最短時間でこの男が死ぬ未来へ手を伸ばした少年は、見事それを掴んだ…かに思われた。
「【縛道の六十一・六杖光牢】」
「なっ!?」
突然あらぬ所から放たれた鬼道が冬獅郎の体を拘束する。
バカな、どういうことだ。ヤツは確かにこの剣で貫き氷漬けにしたはず。そう混乱する彼の目の前で、突き刺したはずの藍染が笑顔を浮かべながら煙のように消え失せた。
「君のことは傷つけないで欲しいと頼まれているんだ。少しの間、そこで大人しくしていなさい」
「バ…バカな! 幻…だと…!?」
動揺しながらも何とか拘束を解こうと霊圧を吹き荒らす。だが幾ら足掻けど藍染の術はビクともしない。詠唱破棄されたただの鬼道如きに、自慢の卍解が完全に封じられてしまったのだ。
そんな最中、舞台の清浄塔居林へ新たな役者が現れる。
「──大逆の罪人、藍染惣右介」
辛うじて動く首で冬獅郎が見たのは四番隊の二人の隊長格、卯ノ花烈と虎徹勇音。だがこちらの援軍を見ても藍染は眉一つ動かさない。
「どうも、卯ノ花隊長。想定通りのお越しで誠に結構」
「…やはりこれまでの全てが貴方の陰謀だったのですね」
そこから始まった卯ノ花との答え合わせは、藍染の斬魄刀【鏡花水月】の真の能力を明かす恐るべきものだった。今まで死を偽装して来たのも、ここ中央四十六室に異変無しと皆が判断したのも、全てその力──完全催眠によるものだと男は自慢する。
鏡花水月の発動条件は、始解の瞬間を目にすること。一度でもそれを目にした者はその虜となり、以後彼が始解を使用するたびに完全催眠の支配下に入る。
だが恐るべき事実はそれだけではなかった。
「気付いたようだね。鏡花水月は目の見えない者にはかからない。つまり最初から盲目の身の…」
──東仙要は僕の部下だ。
とんでもない暴露に冬獅郎は息を呑む。藍染、市丸、そして東仙。誇りある護廷十三隊。その頂点にして模範たるべき十三名の隊長から当代同時に三人もの裏切り者が出たのだ。
戦慄する三人の姿に満足したのか、藍染が鷹揚に頷く。
…その直後。市丸が懐から取り出した白い帯が、雛森を囲む逆賊二人を中心に渦巻き出した。
「さて、時間も押している。我々はここで失礼させて貰おう」
「な、何だそれは…! 雛森を返せッ!」
身動きできない冬獅郎は、瀕死の少女を抱え上げる市丸へ叫喚する。
自分たちで刺したクセに何故彼女を連れ去る必要があるというのか。隣の卯ノ花に大至急治療してもらわなくてはならないのに、口惜しくも冬獅郎には負け犬の如く吠える以外に巨悪を止める術がない。
だが無力な少年の必死の抗議も空しく。
「日番谷隊長」
そして白帯の渦に包まれる藍染が挑発的な笑みを浮かべ、意味有りげな一言を最後に三人の姿は掻き消えた。
──彼女にお別れを言いたければ、急ぐといい。
桃「リョナ女王は…あた…し…(ゴフッ」
ヨ「カット(物理)、千円になります」
ギ「桃ちゃん楽しそうやね(ドン引き」
次回:明かされる雛森桃の真実(笑)