雛森「シロちゃんに『雛森ィィィィ!』と叫ばせたいだけの人生だった…」   作:ろぼと

50 / 145


桃玉埋め込み位置2nd-LEG.

・師匠のエロリョナ嗜好の"下腹部"派
・アニメヒロインの王道の"胸元"派
・洗脳系アイテムの伝統の"おでこ"派
・量森たちも一緒に見れる"眼球"派
・髪型変化のメタファーの"うなじ"派

コメ欄で鮮烈な派閥争いが勃発してて草。
個人的にはさとりんのサードアイが個性的で面白いと思った(こなみ

そしてここに「崩玉七変化のイメージ」議論の種を追加で放り込んでいくスタイル…!
アンケート仕組み把握したら試してみたい。


 


編成ィィィィ!

 

 

 

 

 

 "桃ちゃん's崩玉"で桃玉とふざけて呼んでいたものが本当に桃玉だったと明かされた後、あたしはまたもや自室で相棒の飛梅ちゃんと二人会議を行っていた。

 

『…これが問題の崩玉ですか』

 

「100%あたしの霊圧、というか魂魄で出来てるみたい。義魂クローンだけど」

 

『確かに感じます。本当にこんなことが…』

 

 話だけはしておいたが、いざ実物を見ると驚くだろう。魂魄などの霊圧の強弱で格が定まるような次元の物質ではない。反膜(ネガシオン)拘突(こうとつ)のような理の領域にある存在。それが全て、あたしたちの霊圧で構成されているのだ。

 

『正直…以前貴方が話してくださった(ホロウ)化や劣化崩玉のような得体の知れないモノを魄内に入れるのは嫌だったのですが、これならば私も不満はありません。流石は藍染惣右介と言ったところでしょうか』

 

「…飛梅ちゃん、二重の意味でチョロいなぁ」

 

『?』

 

 ウキウキ可愛い飛梅ちゃんもご納得頂けたようなので、早速本題に移ります。

 

 そう。新たに手に入れたこの"無数の雛森クローンの命で作られた崩玉"という最高のシロちゃん曇りアイテムを、如何にしてより良い「雛森ィィィィ!」のために生かすか。それが今回の会議の論点である。

 

「本来の計画では入ってなかった新しい切り札だからね。使い道は慎重に決めないと」

 

『…あの、そもそもこの崩玉って死神の限界を超えて強くなるためのものですよね?』

 

「うん、強くなったりキモくなったりしてシロちゃんを曇らせるためのものだよ?」

 

『……そうでしたっけ? そうでしたね』

 

 飛梅ちゃんが首を捻っているが、実際今のあたしは霊圧なら既に目標の一〇レベルに到達しているので個人的にはもう満足している。

 もっともヨン様はあたしにもっと強くなって欲しいみたいだし、飛梅ちゃんが二年後も氷輪丸相手にドヤ顔マウントを取り続けるにはこのままだと不十分。そういう意味ではやはり桃玉と融合し更なる力を望まなくてはならないだろう。

 

 話がズレたので軌道修正。

 とにかく。崩玉との融合は決定事項として、本番の空座町決戦でどんなムーヴをするかが問題なのだ。

 

 

 ここで当初の愉悦案を紹介しよう。

 

 あたしはまず、最早ヨン様に従う道しかない悲劇のヒロインムーヴで護廷隊に挑む。そのまま湿度高めのオサレムーヴで無双し、鬼道で無力化したシロちゃんに止めを刺そうとして「出来ません…」と戦意が挫ける演技をする。その流れでヨン様の「失望したよ」で一度斬られてリタイア。

 そして護廷陣営がブチ切れてヨン様(偽)を袋叩き、からの鏡花水月下のシロちゃんにお腹を貫かれる原作展開を再現し、最後にシロちゃんの腕の中で「ごめんね…大好きだよ…」と言い残して死ぬ。

 最高の「雛森ィィィィ!」が期待できる完璧な愉悦計画だ。

 

『だからどうして死ぬ必要があるのですか! 傷付く程度なら目を瞑りますがそれ以上は絶対に許しませんッ! 私の気持ちも考えて…っ!』

 

「わ、わかってるってば…ごめんなさい」

 

 顔を真っ赤に怒る飛梅ちゃんへ頭を下げる。後先考えず普通に死ぬつもりだった転生当初とは異なり、飛梅ちゃんとの絆が出来、一護に強化ホワイトを仕込み、ヨン様に巨大な借りが出来た今、あたしは簡単に命を捨てることが出来なくなった。

 

 ということで計画の見直しが必要となり、どうせならここへ新たに手に入れた桃玉を加えて、人の姿からどんどん醜い怪物へと変貌していく更なる絶望イベントをプラスしてしまおう。

 

「どうかな、飛梅?」

 

『…ダメとは言いませんけどあまり美しくない変化は止めてくださいね。あの東仙のように気持ち悪くなるのは絶対に嫌…ッ!』

 

 DJ、こんな可愛い女の子に気持ち悪いとか言われて可哀想。

 

 しかし気持ち悪い要素が嫌いなんだったら、あたしのグロ堕ちヒロイン(?)参考リストは全滅だ。まあダクソのエルドリッチは部下のアーロニーロと被るし、DoDの女神フリアエは上級者向けすぎてシロちゃん廃人になりかねないからね。

 腹案のブラボの再誕者や、森の食人族ミュータントも嫌がられそう。無数の雛森桃の集合体的な感じがしてエログロオサレなのに。うーん、困ったな。

 

 退廃的神秘性がある美しい異形…

 

「月光蝶…じゃなくてオオミズアオみたいなのもダメ? 蝶とか蛾って蜘蛛の巣にかかる囚われのメタファーだし、ボロボロの翅を崩玉にお願いしたらそれっぽくなると思う」

 

『…蝶々なら、まあ』

 

 渋々了承する飛梅ちゃん。むふふ、ホントはちょっと興味があるのあたし知ってるもん。

 だが崩玉ヨン様も蝶蛾の翅があるので、共通性を残しつつ独自路線を探す感じになるだろう。女のあたしのほうが似合いそうなのはちょっと内緒だ。

 

 

 さて、桃玉を生かす肝心の悲劇のヒロインムーヴである。何かいい案はないだろうかとしばらく二人で悩み、悩んで…

 

 そしてあることを思い付いた。

 

 

「明日の現世侵攻で破面(アランカル)たちをあたしが回収しに行って、そのときシロちゃんの前で突然苦しそうに胸を押さえたりするのはどうかな。体の異常を仄めかして、雛森桃の身に起きている最悪の展開を想像させるの」

 

『段階を踏んで少しずつ崩玉融合のことを明かしていく…ということ?』

 

「そうそう。やっぱりいきなり化物化するとシロちゃんが混乱して、せっかくの絶望の純度が下がっちゃう気がするのよね」

 

 俗に言う「伏線を張る」だ。これがあるのとないのとでは心構えが違ってくる。

 もっともこの方法は諸刃の剣で、飛梅ちゃんも同様の懸念がある様子。

 

『難しくないかしら…? やりすぎると危機感を煽ってあの子が虚夜宮(ラスノーチェス)まで貴方を追って来てしまいますよ?』

 

「藍染隊長に頼んで鏡花水月で山本総隊長を操れば問題ないわ。もしくは浦原喜助と十二番隊を抑えて物理的に虚圏(ウェコムンド)に来れなくするのよ」

 

 それでもこっちに来てしまったなら致し方ない。ハリベルに対応を任せて原作マッチアップを再現し、頃合いであたしが彼女を回収して一緒に空座町へ行けばいいかな。

 シロちゃん、ちゃんと現世まで追い駆けて来てね…!

 

 そしてあたしの体の異常(笑)の伏線を回収する、空座町決戦。

 

 あとは完全に全てを諦めた絶望ヒロインムーヴで八つ当たりのように飛梅ちゃんと二人で大暴れして、満足したら当初の愉悦案に沿って死んだふり。「雛森ィィィィ!」を堪能し、ヨン様が無双してる途中でこっそり鳴木市のアジトへフェードアウト出来たら大満足だ。

 

『…あなたが生きてさえいたら私もそれで構いません。変化のタイミングは戦闘中に少しずつ進行させる形に?』

 

「そうね。後はあたしが苦戦するようなら、その時に一気に深化が進む感じがオサレかな。桃玉と融合して強くなりすぎたら演技で力を隠しましょう」

 

『…氷輪丸は私が正々堂々いたぶって潰しますからね。鬼道はお控えください』

 

「ご心配なく。でもシロちゃん本人には手加減してよね」

 

 

 こうして漠然とだが、無事今後の方針が決まったあたしたち。

 この戦いで生き残ることを決めた以上、他にも色々とやるべきことが増えてくるだろう。これからは更に気の抜けない日々が続きそうだ。

 

 さあ、愉悦計画第一陣に、明日の原作イベントで愉悦の種をばら撒くぞ!

 

 

 

 

 もっとも、まずは"再誕者"と聞いて『変化それにしろ!』とはしゃいでいる桃玉の雛森クローンたちを宥めるのが先だけど…

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 

 十月二十九日、早朝。

 原作時空における第三次空座町襲撃作戦が行われる日がやって来た。

 

 作戦の主目的はウルキオラが井上織姫と接触するための囮だ。既に彼には断界(だんがい)へ向かう準備をさせており、あたしは尸魂界の注意を引くための主力メンバーを執務室へ呼び出した。

 

「──任務内容は三つ。一に現世戦力の再確認、二にワンダーワイスの戦闘試験、三に別動のウルキオラの支援。特に浦原喜助と、彼の支援を受けた仮面の軍勢(ヴァイザード)の情報は最優先で集めてください」

 

『はっ!』

 

 集まった四人の破面たちに作戦を説明する。今回は前のグリムジョーの独断専行とはワケが違う。ワンダーワイスを含め、全員が"十刃(エスパーダ)"級の霊圧の持ち主だ。

 

「ワンダーワイスさん、あなたは浦原喜助を担当してください。ただし、斬魄刀の解放は厳禁です。ルピさんとヤミーさんは他の敵を倒しつつ、ワンダーワイスさんの支援に回れるように可能な限り気を配ってください」

 

「あーぉ」

 

「りょーかーい! 軍団長さん♡」

 

「任せてくれ、雛森さん」

 

 ワンダーワイスの反応がアレだけど、彼は命令はちゃんと聞くので不安はない。初顔合わせなルピは中々ウザそうでいいキャラしてる。そしてヤミーの舎弟感はなんかもう可愛くてズルいわ。

 

 

 ──"第6十刃"(セスタ・エスパーダ)──

LUPPI ANTENOR(ルピ・アンテノール)

 

 ──"第10十刃"(ディエス・エスパーダ)──

YAMMY LLARGO(ヤミー・リヤルゴ)

 

 ──"破面No.77"(アランカル・セテンタィシエテ)──

WONDERWEISS MARGELA(ワンダーワイス・マルジェラ)

 

 そして…

 

 

「おそらく、現世の仮面の軍勢(ヴァイザード)勢力と遭遇する可能性が最も高いのはあなたです。黒崎一護と戦う時は背後に気を付けてください──グリムジョーさん」

 

「…はい」

 

 

 ──"十刃落ち"(プリバロン・エスパーダ)──

GRIMMJOW JAEGERJAQUES(グリムジョー・ジャガージャック)

 

 以上四人が、第三次空座町襲撃作戦に従事する。あたしが原作シーン再現にお膳立てできるのはここまでだ。

 

「これは藍染様直々のご命令です。何かイレギュラーがあった場合はあたしが直接対応に向かいます」

 

『…!』

 

 驚く一同。彼らにとっては普段何をしてるかわからないボスの肝煎りだ。発破をかけたけど多少はやる気を見せてくれるとありがたい。

 

 …まああたしの本音はシロちゃんに会うことだ。"イレギュラー"はただの言い訳、はっきりわかんだね。

 

「作戦終了時には皆さんを反膜(ネガシオン)で回収します。まだまだ戦いは続くので、決して油断せず、無理をなさらないで」

 

「お、おう…」

 

「言われてるねェ、ヤミー」

 

「うるせえ! てめえこそ現世の連中侮ってボコられる未来が見え見えだぜ」

 

 ルピもヤミーも仲良さそうだけど、これ大事なブリーフィングね。ヨン様命令だからね。ちゃんと任務内容覚えてね。

 不安になったので一応真剣味アピールに霊圧で四人を威圧しつつ、細かい決まり事を伝えてガバの可能性を減らす。全員まじめな顔になったので最後に激励して、あたしは彼らを送り出した。

 

「我々破面軍最初の、正式な大規模攻勢です」

 

 

 ──各員、成果を期待します。

 

 

 

 

 

 

 さぁて、ではあたしはあたしで動くとしましょう。まだ尸魂界でお別れしてから二ヶ月も経ってないけど、一日千秋の思いだったよ。

 

 待ってて、シロちゃん…

 

 

 

 

 

 

 今 逢 い に 行 く ね ?

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。