雛森「シロちゃんに『雛森ィィィィ!』と叫ばせたいだけの人生だった…」   作:ろぼと

62 / 145
 

おまたせしました、アーロニーロ戦です。
一先ず出来た分だけ乗っけます。
誤字は許して…
 


喰虚ィィィィ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 虚夜宮(ラスノーチェス)、アーロニーロ宮。

 

 日の光の届かない闇の宮殿の中に二つの霊圧があった。宮の主アーロニーロと侵入者の朽木ルキア、両方知っているものだ。

 

 原作における二人の戦いはアーロニーロが元十三番隊副隊長の故・志波海燕に化けて、彼の死に深く関わったルキアとの再会を喜び合う一幕から始まる。OPBにおける語りフェイズだ。

 その後はアーロニーロが全て嘘の演技だと明かしたことで戦闘フェイズへ移行し、終始ルキアを圧倒していたものの、死に体の彼女が最後の力で相手の油断を突いて相打ちとなる。

 

 この戦いは、それまでの技術・超自然エネルギー(霊力)・精神力・知力・能力・装備などの差で勝敗が決まる通常のバトル漫画の基準では絶対に起こり得ない結果だった。そのため鰤ファンによる大規模な検証が行われ、今では常識となっているOPBの理論がこの時初めて提唱されたのである。

 

 無論、そんな歴史的イベントを見逃すBLEACH転生者など「何しに来たの?」と問われるレベルのガバだ。あたしは以前からアーロニーロ宮に無数の監視装置を設置していたし、当然当日の今も、観戦しているのを悟られないよう慎重に忍び込みベストプレイスを確保する。

 

 

「──なんだその暗い顔は? 相変わらず辛気臭え女だなァお前、はっはっは!」

 

「こっ、これはいつも通りの顔ですっ! 揶揄わないでください海燕殿!」

 

 

 よし、語りフェイズ開始だ。あたしは早速脳内でOPB実況を開始する。

 

(解説席にはハエが友だち桃玉さん。今日はどうぞよろしくお願いします)

 

『──"ハエが友だち"じゃないわよ!──もう綺麗になったもん!──ディ・ロイ蘇生でガバの称号は返上したのに!──崩玉の扱いがブレソル並に雑過ぎませんか、お姉さま…──』

 

 

 心で呼び出すと憤慨の声が脳裏に響いた。そもそも実際にあの飛梅ちゃんの精神世界にハエはいるのだろうか。肥溜めは牛車の牛さんが頑張ってくれたらしいけど。

 

 

「──ともかく。こうして体を取り戻した俺は十刃(エスパーダ)の一人とすり替わり、ずっと藍染を討つ機を狙っていたんだ」

 

「そんなことが…」

 

 

 さて。早速実況していきましょう、アーロニーロvs.ルキア。まずはアーロニーロ選手の変化状態です。

 

(解説の桃玉さん、彼の志波海燕の姿はルキア選手に強力なメンタル特攻がありますが…この虚言も高OSR値を期待出来そうですか?)

 

『──そうですね──一度希望を見せてから突き落とすのは精神攻撃の定石ですから──素直に攻めた感じでしょうか──…あ、もうみんな実況始める感じなのね──』

 

(なるほど、相手の心を揺さぶればカウンターOSRも仕掛けやすいですからね)

 

『──はい──ですがアーロニーロはルキアのメンタルを侮ってますね──心の地雷を突く戦法は慎重に行わないと逆に敵の【トラウマ克服】でこちらが大カウンターOSRを喰らう可能性があるんですよ──』

 

(ああ~それは致命的ですね。ルキア選手のカウンターOSR、果たして発動できるのでしょうか。楽しみです)

 

 

 そうしているとアーロニーロが徐に「作戦は奥で説明する」とルキアを宮の深部へ連れて行った。素直にトテトテついていく少女が危なっかしい。

 

『──アーロニーロは露骨すぎですねえ、【裏切りの予兆】OSR値ボーナスを稼ぎたい意図はわかるんですが──対するルキアは一見隙だらけですけど、逆にその信頼が裏切られた時にOSR反転スキルの発動チャンスを得られます──効果的に使えたら素晴らしい数値が出せるでしょう──』

 

(なるほど、全幅の信頼からの裏切りという巨大なギャップをそのまま悲憤のオサレブーストに使えるワケですか。これを直感で行ってるのがまた凄いですね)

 

 

 その後アーロニーロが突然ルキアを斬りつける。だがルキアは顔に一筋傷がつくも何とか回避。それを見て「腕を上げたな朽木」と称賛する彼と、唐突の攻撃にポカンと呆けた顔で相手を凝視するルキア。

 

(ああ~やっぱり避けられましたか。桃玉さん、これをどう見ます?)

 

『──迂闊極まりないですね──奇襲とは原作藍染隊長が雛森ちゃんにしたように回避し辛い胴を狙うものです──ですが避けられても即座に【師の称賛】で精神的優位を保持したのは見事です──』

 

(やっと十刃らしいOSR機転が見えましたね。一方のルキアはどうでしょう)

 

『──彼女は先ほどからずっとカウンターOSRの布石を準備しています──これはルキアに特殊ボーナス【敵対:亡き師】シリーズが発動し、逆にアーロニーロが追い詰められる展開もあり得そうです──』

 

 

 実況中もアーロニーロとルキア二人のOPB語りフェイズは加速していく。唐突に斬られ唖然とするルキアに、アーロニーロが「俺はお前に殺された」だの「ここで罪を償え」だのと彼女に自殺するよう要求する。それにルキアは泣きそうになりながらも気丈に頭を下げた。

 

「私は仲間を助けねばなりません! この命、井上織姫を救い出した後までお待ち頂けないでしょうか…?」

 

 

(うーん、実に彼女らしい誠実な覚悟ですね。償うことを当然だと一切命を惜しまないのがトラウマの深さを感じさせますが、桃玉さんどうでしょう?)

 

『──実に巧みな【トラウマ克服】ボーナスのフラグ立てですね──おまけに【亡き師への信頼】&【負い目】と【仲間への想い】を天秤にかけて後者を選ぶという最良のオサレ選択──これはルキアのほうが圧倒的に上手ですね、とても見事です──』

 

(なるほど、実況席としてはここからのアーロニーロの挽回に期待したいところですが…)

 

 

 二人で推移を見守っていると、やはりアーロニーロは原作通り「冗談だよ」とギャグ時空誘導に失敗したり、その後に「井上織姫を殺して来い」とか「そうしたらお前を許す」とか敵意の籠った挑発を続けた。

 あたしと桃玉は呆れ返る。

 

『──これはダサいですねぇ~──ここまで言うくらいなら、例えば「虚になったことで負の感情が強まった」とか嘘ついたり、そのことに苦しんだり葛藤したりする演技をして同情を誘うなどの手段を取ったほうがいいですね──』

 

(そして最後に嘘泣きでルキアに介錯をお願いし、その時の二度目の隙を突いて「今度は外さねえぞ?」とか言って逆転勝ちですね!)

 

『──それくらい狡猾なら今の"第9十刃"という低い序列にも試合巧者らしさが出てオサレなんですけど…──』

 

 

 無論、それが出来ないからこその原作での不覚。ようやく始まった戦闘フェイズでもアーロニーロはルキアを悲憤にブチ切れさせ、どんどん溜まっていく彼女のOSR値を呑気に眺めている。

 

「お前に"ヤツらを殺せ"と頼むまでもない。もう直死ぬな、お前の仲間」

 

「くっ、一護…ッ」

 

「どうする朽木ィ? どうにも出来ねえよなァ、ハッハッハ!」

 

 そして、お約束とばかり別の場の戦いのことまで持ち出し安い挑発を仕掛ける始末。ああ、これもいけない。

 

『──遠くで戦う仲間の危機は精神攻撃のネタにはならないんですよ──逆に相手の【味方への想い】ボーナスでOSR値が上昇します──』

 

(あのセンスの欠片もないダッサい挑発…この時点ではアーロニーロの勝利が全く想像できません)

 

『──ま、まあいくら彼が墓穴を掘り続けてるとは言え、ルキア自身の総合OSR値も圧倒的じゃないと流石にあの巨大な霊圧差は覆せませんよ──それにアーロニーロにはまだアレがありますからね、ふふふ──』

 

 

 その後もルキアは斬魄刀のオサレ技でOSR値を稼ぎ続け、アーロニーロ相手に優位を取ろうとする。しかし変わらず【師の称賛】でそれをさせないアーロニーロが、遂に斬魄刀の解放を行った。

 だがそれは破面の帰刃(レスレクシオン)ではない。彼が解放したのは、なんと死神の斬魄刀。それも今化けている志波海燕の【捩花】だったのだ!

 

(さあ、アーロニーロ選手最大の見せ場です! これは特別感あって凄くオサレですねえ!)

 

『──彼のみが持つ能力に、さらに幾つもの偶然が重なって生まれた極めて稀な刀剣解放です──【捩花】もルキアの回想ではテンタクルスに封じられて見れなかったので、満を持しての披露──解放の瞬間の刀くるくる、三又槍というオサレ形状、存在が語られつつ実物としては初登場の流水系斬魄刀、敵が使う亡き師匠の力、などなど──まさにオンリーワンの解放パターンですね!──』

 

(「水天逆巻け」の解号もかっこいいですよねぇ…)

 

 

 それまでの低OSR値状態を一瞬で覆す、アーロニーロの最高の刀剣解放にあたしと桃玉は惚れ惚れする。

 

「確かに腕は上がったが、その程度じゃ俺は倒せねえぜ!」

 

「くっ──あァッ…!」

 

 敵の氷雪系能力という不利をものともせず圧倒する様は正しく十刃のあるべき姿。何も出来ずにやられるルキア、大ピンチ!

 

(ルキアってキャラデザ全般が全く男に媚びてないところが読者に人気ですけど、現実で声を聞くと吐息や悲鳴がめちゃくちゃエロいですよね。あとちょっとした仕草とかも凄い可愛い)

 

『──わかる──ギャップ効果で他のアニメのヒロインより五割増しくらい可愛く見える──』

 

 

 無関係な感想に盛り上がりながら、ワクワク次のルキアのオサレ行動を待つあたしたち。

 アーロニーロに斬魄刀を弾かれ絶体絶命の彼女だが、こういう不利なときでも強引にOSR値を稼げるのが死神の鬼道である。お得意の【蒼火墜】でアーロニーロを牽制。

 

「チッ、壁が…」

 

 そして奇しくもその苦し紛れの一撃が相手の弱点を暴くヒントとなり、ルキアは状況打開の一手を試す。

 

「──【縛道の四・這縄】!」

 

「ッ何のつもりだ朽木! 今さらこんな時間稼ぎの小技…!」

 

 囚われ苛立つアーロニーロ。そこをルキアは更に畳み掛ける。

 

「──…血肉の仮面、万象、羽ばたき、人の名を冠す者よ──雷鳴の馬車、糸車の間隙──蒼火の壁に双蓮を刻む、大火の淵を遠天にて待つ──光もて此を六に別つ…」

 

「なっ、二重詠唱だと!?」

 

 アーロニーロの持つ志波海燕の記憶に、ルキアがそれを使える情報はない。だが彼の死から三十余年、ルキアはあの悲劇を繰り返さぬよう日々努力を続けて来た。

 

 

「【縛道の六十一

──六杖光牢】!」

 

「【破道の七十三

──双蓮蒼火墜】!!」

 

 

(きたきたきたぁーっ!!)

 

『──はあああ良いですねえ~!──作中初登場の上級破道!──しかもルキア得意の【蒼火墜】の上位版と一目でわかる鬼道名!──』

 

(二重詠唱も確か初ですよ! おまけに使った理由がただの脳筋攻撃じゃなくて頭脳プレイというね!)

 

 

 そんなオサレ鬼道を使ったルキアの狙いは、相手の背後。高位破道に壁を壊され、差し込む陽光がアーロニーロを照らす。

 そして悲鳴を上げながら解け落ちた志波海燕の皮の中から現れたのは、赤い円筒形の水槽だった。

 

「な…なんだ、貴様は…!」

 

『チッ、剥ガレチマッタカ』「しょうがないねぇ、改めて自己紹介しておくよ」

 

『「(オレ)ラが"第9十刃"アーロニーロ・アルルエリさ」』

 

 ルキアは驚愕する。その水槽の中に浮かんでいたのは、二体の虚。手のひら大の球体に浮かんだ顔が、交互に言葉を発していたのだ。

 

(はいオサレ。言うまでもなく師匠にしか思いつかない素晴らしすぎるデザインですね)

 

『──これを想像できた読者は一人もいなかったでしょうね──本体は海燕殿とは別の姿だと予想していた人はともかく、まさかの二重個体、しかも自立行動する培養器バイオSF的な存在だったとは──』

 

(ルパンのマモーみたいな脳管系はよくありますけど、こういうタイプは初めて見ましたよ。このBLEACHらしからぬデザイン、正直めっちゃ好き)

 

『──ただ、こう…個性的すぎると言うか──ビジュアルの悪役感が強すぎて「ラスボスじゃないならここで消える役なんだろうな」って悟っちゃうんですよね──』

 

(ああ、少年誌あるある…このオサレすぎる容姿に彼の力量が追い付けなくて死亡フラグになっちゃったのかもしれませんね。これも珍しいOPBの実例です)

 

 

 そんな感じに桃玉と二人で原作アーロニーロの末路に哀愁を抱いていると、突然それまでの本家に順じた台詞が妙な具合に変化した。ルキアの縛道を片手で破り、破面が女死神を嗤う。

 

『フン、【六杖光牢】ニ【双蓮蒼火墜】カ』「使い手が違うとこうも変わるんだねぇ」『トテモ同ジ鬼道トハ思エンナ』

 

「…ッ!」

 

『アノ方ノモノニ比ベタラコンナ縛道、紙切レニモ等シイ』「君の【双蓮蒼火墜】モドキじゃ精々手傷を負わせるのがやっとだよ、僕たちに直接当ててればね」

 

 

(…あれ、こんな台詞ありましたっけ?)

 

『──お姉さま、現実逃避は止めましょう──お姉さまが初期のヒャッハー破面たちを鬼道の的にし続けた結果のガバですよ──アーロニーロはいつもヤミーが火だるまになる姿見てましたから──』

 

(あっ、ちょ、アーロニーロさん? ほ、ほらあたしの話はそのくらいにして、ね…?)

 

 

 思わず実況ごっこを忘れてしまう不味い展開だったが、流石に今のルキアは海燕殿のことで頭がいっぱいだったらしい。アーロニーロが海燕本人ではないと確信したのか更なる憎悪で相手に斬りかかる。

 

「貴様が海燕殿でないと知れた今、私はなんの容赦もなく…貴様を斬れる!」

 

「…聞き違いかな?」『容赦ガナケレバ俺ニ勝テルト聞コエタガ』

 

「そう言ったつもりだ…!」

 

 

(いやぁ、いいですねルキア選手。ナイス発破)

 

『──こう、なんて言うんでしょう──自分の実力を過信しているワケでは決してないけど、心では常に相手を上回ろうとしている気高さが姿勢に表れてますよね──』

 

(一見相手への挑発に見える勝気な台詞も、よく見ると自分の戦意を奮い立たせるための言葉なのがわかります。ホント気高い、好き)

 

 

 だが、それでも彼我の実力には絶望的な差があった。影さえあれば自在に使えるその能力の本質を、アーロニーロは遂に言葉にする。同時に、海燕の運命についても。

 

「…俺が最下級大虚(ギリアン)上がりの破面でありながら、十刃の地位を与えられている理由。それは全ての破面の中で──俺だけが無限に進化することが出来るからだ!」

 

「ッ!?」

 

「俺は喰らった虚の記憶、経験、能力、形状を全て自らの力とすることが出来る! この志波海燕の体はヤツに取り憑いたテンタクルスの体を喰って手に入れた! お前が俺に感じた懐かしさ、既視感は全て、俺が本物の志波海燕だからだッ!」

 

 外した手袋から覗くおぞましい触手。生理的嫌悪に思わず顔を顰めるルキアを嗤うアーロニーロ──

 

「終わりだ、朽木。餞別に十刃の刀剣解放ってヤツを見せてやるよ」

 

 そして破面が遂に、最後の切り札を切った。

 

 

「…喰い尽くせ」

 

 

──喰虚(グロトネリア)──

 

 

 アーロニーロの解号と共に、彼の下半身が膨れ上がる。現れたのは巨大な異形の蛸。触手に覆われた幾つもの歯口が餌を求め開閉する。その姿はまるで、果て無き虚の飢餓が具現化したかの如き怪物だった。

 

(エルドリッチ!? こんなところで何してるんだ、早く火継の祭壇へ行きなさい!)

 

『──あっちはもう少しスライムっぽかったですけどね──にしてもキモい見た目です──おまけに巨大化なんて鰤界に限らず殆どの少年誌では死亡フラグですよ──』

 

(あなたたち……いえ、何でもないわ)

 

 

 こいつらは前に同系統のグロい怪物(再誕者)になりたいとか言っていたはずだが、思い出させても面倒なのでお口にチャックな桃ちゃん。

 

 そうしているうちに、遂に戦いはクライマックスへ。桁違いの霊圧、巨体、醜姿、そして…ヤツが化ける海燕の正体。全てがルキアの心を絶望に誘い、少女は悲愴に放心する。

 

「十刃の刀剣解放を凡百の破面のそれと同等と思うなよ。俺の【喰虚(グロトネリア)】は、喰らった虚の能力を全て同時に発現出来る」

 

「あ、ぁ…」

 

「俺が喰らった虚の数は三万三千六百五十。ここから先の戦いは、それら全ての大軍勢と一人で戦うに等しいものと思え!」

 

 己の浅ましさが殺した最愛の上司。せめて遺体だけは取り返せたと自分を慰め続けてきたが、それもまやかし。彼の体は虚に奪われていた。

 心折れ、剣折れ。まして自分に海燕殿の体を斬る資格などあるはずもなく。

 そして全てを諦め、死に場所を欲するルキアは、敬愛する元上司の三又矛に…成すすべなく貫かれた。

 

 

(──さあさあ、始まりました! この志波海燕の体を持つアーロニーロと戦うルキアのみが使える鰤界最大級のオサレボーナス【過去回想:悲劇の師弟】です! これまでの四十九年間に撒かれた全ての布石を一気に使用し発動する、まさに彼女の半生を使った人生一度きりの究極奥義!)

 

『──残念ながら部外者のあたしたちには見えませんが、恐らく今のルキアの頭の中では海燕殿との切ない思い出が山のように想起されていることでしょう──多分あのアニ鰤ピアノBGMも流れてますね──』

 

(確か原作では昔ぼーっとしてたときに海燕殿に頭を叩かれた思い出で回想イベが始まったんでしたよね)

 

『──「風が頬を撫でる~」の高OSR値ポエムも三つくらい唄ってましたね──回想にポエムまで挿入するとかオサレ欲張りセットかな?──』

 

(このコンビネーションはホントOPBの参考になります。それと、あとなんかこの回想のルキアってめちゃくちゃ可愛くなかったですか? お腹鳴らせて真っ赤になったり、海燕殿といちゃつく都殿を羨ましそうに見てたり、完全に海燕殿のヒロインしてましたよね)

 

『──作画までなんか普段の三割増しくらい可愛かった気がします──これだけでもう勝利確定ですね──カワイイは正義──』

 

(そして最後には海燕殿の「死ぬときは、心を仲間に預けて逝くんだ」の台詞で回想が終わり、アーロニーロへの戦意を取り戻すはずですが……さて、そろそろ)

 

 

 今か今かと原作名シーンを待ちわびるあたしたち。眼下にはアーロニーロの【捩花】に貫かれ、ゆらゆらと揺れるルキア。

 

 その時。

 

 

「──ほう、まだ意識があるのか。上々、いや哀れと言うべきか」

 

 

 死に体のルキアが、自らを穿つ三又矛を掴んだ。あたしと桃玉は歓喜に目を輝かせる。

 

「…思い…出したのだ…」

 

「何?」

 

 ルキアの周囲に、疎らな白雪が舞う。掴んだ自身の斬魄刀は半ばから折れている。

 

「…そんなモンで戦いの真似事か? 目ざわりだ、下げろ」

 

 しかしその折れた切先を、彼女は震える腕で敵に向けた。

 

 そして──

 

 

「…さ…参の…舞」

 

 

 

──白刀(しらふね)──

 

 

 

 無より現れた新たな刀身が、アーロニーロの頭部を貫いた。

 

「──思い出したのだ…心の在りかを…」

 

『が…ぁ…』

 

「貴様の持つ…その体の中に、海燕殿は居ない…!」

 

 剥がれ落ちる志波海燕の体。一体の本体ごと貫かれ、砕け散る赤い水槽。

 憎き仇へ致命の一突きを喰らわせた朽木ルキアは、精一杯の慈愛と感謝、そして誇りを、その言葉に注ぎ込んだ。

 

 

 

「海燕殿の心は…

 

 

 

 

──私が預けて戴いた!」

 

 

 

 

 

 

 

 その時、世界に新たな理(OPB)が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

恐らく作中でもっとも狂ってる桃ちゃん回。


それと今回たくさん挿絵を頂きました!

far様のペプシ〇ンヨン様。
https://img.syosetu.org/img/user/15981/69523.jpg

驚きのシュワシュワ!最近のクソみたいな気温の救世主ですね!
そしていつもの桃に草。


師走亀様の梅の木雛森さん。
https://img.syosetu.org/img/user/267739/69540.png

死した大地に梅の花を咲かせる神森さん!上品な仕草と微笑、これは天女ですね間違いない(なお現実


白岩@様のドルドーニおじさん。
ポエム:あい(愉悦部)様
https://img.syosetu.org/img/user/202142/69557.jpg

コメ欄のあい様とのコラボポエム!イケおじホントすこ。まるで太陽のように温かく破面たちを包み込む神森さんのアガペーは原作キャラのみにあたえられます。多少(?)の好き嫌いはあるけど(ボソッ


far様、師走亀様、白岩@様、素敵なイラスト大変ありがとうございました!





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。