さっきの挨拶は滑ってしまったが、どうやら少し警戒は解けたようだ。
3人ともバカを見るような目で、俺を見てくれるじゃあないか!こいつは危険なやつではないと思ってくれているな。
ここらで、話を聞いてもらうとするか……。
―――大体の事は話した。俺の名前、フィットア領からここに転移してきたこと、魔力を具現化させた幻霊を使えること、そしてその幻霊は時間を止めることができること。
さすがに、転生者であることは言えなかったがまあ、これは言わなくても大丈夫だろう。
スペルド族の男はどうやら、俺の事を信頼してくれるらしい。
多分だけどこの人、子供が好きなんだろうな。
最初、俺に近づいてきた時もそこにいる女の子の頭を撫でていたし。
だが、男の子のほうはまだ俺を警戒しているようだ。
ふむ、どうしたものか……。
すると、男の子が俺に話しかけてきた。
「1つ、質問なんですが、その幻霊はいつ使ったのですか?先程の戦いの時に、まったく見えなかったのですが」
あ、重要なことを言い忘れていた。スタンドのルールを忘れるとはな。
「俺の幻霊は、一般人には見えないんだ。まあ、魔力で出来ているから、そこにいるスペルド族の人には見えていただろう」
「そうなんですか?ルイジェルドさん」
「ああ。少しボヤけているが、2、3m程度の人型の何かが彼のそばにずっといるな」
ルイジェルドと呼ばれた、スペルド族の男は、髪をかきあげて額の宝石を見せてきた。
あの宝石で魔力を見ているのか。
俺のそばにいた、スタンドを目で追っていたから、てっきり目で見ているものだと思っていたが、そうではないらしい。DBの天〇飯が持っている第3の目みたいな感じか。
「でも、なぜ、その幻霊を出し続けているのですか?僕たちに危害を加える気がないのなら、必要ないことだと思うのですが」
むむむ、まだ疑われているのか。
まあ、これにはちゃんとした理由があるから説明できるがな。
「それはな、ここが中央大陸とは違って―――」
「まて。魔物がジョイルに近づいてきているぞ」
ルイジェルドが、そう言ったので、後ろを振り向いてみると、また、あの狼の魔物が、近づいてきていた。
「はぁ……俺が、幻霊を出し続けているのは、こういう感じに魔物が襲ってくるからだよ。『Silver World』ッ!時よ止まれ!」
全てのものが静止する。すぐに、Silver Worldで狼の背後に周り、腹をぶち抜かせた。
「時は動き出す」
腹に穴が空いた狼は、パンチの衝撃によって、吹き飛ばされ、近くにあった、岩に叩きつけられた。
「まあ、こういうわけだな。この大陸ではいつ、命の危機が迫ってくるかわからん」
「……わかりました。僕はルーデウス、彼女はエリスで、このスペルド族の人はルイジェルドです」
どうやら、信頼してくれたようだ。
エリスという女の子は、何も言わないが、ルーデウスが言うならそれでいい、とでも言いたげな表情をしているから大丈夫だろう。
ちゃんと、挨拶をしておいてよかった……。
―――それから数日間、魔大陸を歩き、リカリスの町、と呼ばれているところについた。
旅をしている時、ルーデウスに、色々、話をしたところ、彼とエリスも、俺と同じでフィットア領から、転移してきたことを、知ることができた。
2人は、兄妹なのか聞いてみたところ、どうやら違うらしく、ルーデウスは、3年前に、エリスの家庭教師として、ブエナ村というところからロアの町に来たという。
その時、ルーデウスは7歳で、エリスは9歳だったらしい。俺と同い年で、家庭教師をやるとか、何者だよ……。
ジョナスが言っていた、ブエナ村の魔法使いはおそらく、彼だろう。
彼に聞いてわかったことだが、生まれつき魔力が決まっているっていうのは、嘘だったらしい。
最初は、ウォーターボール数発しか、撃てなかったルーデウスも、たくさん使っていくうちに、魔力が増え続けていったようだ。
俺も、ずっと練習し続けていれば、スタンドを出せる時間も、1時間ではなく2、3時間とかに、なっていたのだろうか……。
まあ、過ぎたことを振り返ってもしょうがない。今どうやったら、強くなれるかを考えた方がいい。
まずは、この町に入ってやらなければならないことを、達成するか。
どうやら、ルイジェルドはこの町に入ろうとしたことは何度もあるようだが、全て追い返されてしまったという。
なぜ、スペルド族だということだけで差別するのだろう。
彼が、こんなにいい人なだけに、納得いかない。
「ルーデウス、どうやってルイジェルドをここに入らせるんだ?」
「そうですね……変装とかしましょうか」
たしかに、うまく変装できれば門番の目を欺くことができるな。
だが、ルイジェルドはむっとした顔で俺とルーデウスを睨んできた。
何かダメなところがあっただろうか。
もしかして、スペルド族にはそういう事を禁止するしきたりがあったのだろうか。
「落ち着いてください、まずは町中に入ることからです」
「そうだぞ、ここに入らなくてはお前の名誉も、俺達の旅もここから進まん」
「いや、変装とはなんだ?」
「「え?」」
どうやら、変装を知らなかったようだ。だったらそんなに怖い顔で睨まないでくれよ……。
そしてルイジェルドはルーデウスの作った、フルフェイスフルメットで門番の目を欺き、町の中に全員無事に入ることができた。
お金のやりくりなどはルーデウスがうまくやってくれるだろうから、俺達3人は戦うだけでいいな。
本当に彼らの仲間になれてよかった。俺1人だったら中央大陸に戻るなんてことはできないだろう。
彼らの信用を裏切るようなことはしないようにせねばな。
ルイジェルドはスペルド族だということを隠すために髪を青色に染めることになった。
おまけで、弱いふりもするらしい。
俺はスペルド族は強くてとても優しい人達だということを知らしめたいが、今の状況では少し難しいか……。
まあいい、まだ慌てるような時間じゃあない。ゆっくり、名誉を回復させていこう。
そして、俺とエリスは少し髪の色が目立つからフードを被るらしい。
人族の中では金髪はあまり目立たないだろうが、ルイジェルドの青髪を強調させるには少し目立ってしまうか。
たしかに仕方がないことだが……。
「ルーデウス……、なんで耳付きなんだよ」
めちゃくちゃ批判する気でいたが、隣でエリスがめちゃくちゃ喜んでいるから、そんな事はできない。
「エリスもこんなに喜んでいるから、我慢して下さい」
この男は……!
いや、これもルイジェルドのためだ。
我慢して付けよう。
(ジョジョのセリフを言うのはまったく恥ずかしく思わないのに、なぜこれは……!)
いや、ルーデウスだって中身を知らずに買ってしまったのだろう。
彼に落ち度はない。
まずはこの冒険者ギルドを乗り切らねば……!
「あ、ジョイル、似合っていますよ」
決めた。こいつはあとで殴ろう。
前の話でも言いましたがキャラ崩壊させてないかすごい心配です
エリスを喋らせる勇気は俺になかったよ……