戦姫絶唱シンフォギア ~最善を生み出すその男は~ 作:青海 翠果
さて今回は、悠斗君とif最善の豪さんのバトル、そしてバトル後に悠斗君とif最善悠斗君が訪れる場所で、二人に絆が芽生える...!!そして合間合間の39ちゃんの様子もお楽しみに!!
それでは、第四十一話スタート!
~if最善世界・正常な者たちのアジト~
最悠「ゆ、悠斗さん!お爺ちゃんと戦うなんて、無茶ですよ!!」
悠「確かに、俺の知る爺ちゃんなら勝てないかもな。でもあの慢心したただのジジイには、負けてらんねぇんだよ...!!」
最悠「悠斗さん...。」
そして、戦いの場に行くと...
最豪「遅かったのう。」
悠「準備運動は大事だろう?」
道着を着た最豪が待っていた。
最豪「おぬしはその恰好でよいのか?」
悠「いつもこの格好だしな。生身で良いよな?」
最豪「好きにせい。どちらだとも負けぬがな。」
悠「ぬかせ。じゃあ悠斗、審判頼むぜ。」
最悠「はっ、はいっ!!」
そして悠斗が構えると、途端にオーラのようなものが悠斗の身体から溢れてきた。
最悠「えっ!?」
最豪「っ!!」(...これほどまで気を出せるとは...訃堂も相手にならぬだろうな。この歳でどれだけの修羅場をくぐってきたことやら...。)
悠「アンタも構えろよ。」
最豪「よかろう、久々に歯ごたえのある相手のようじゃ!!」
最悠「でっ、では、用意......始めっ!!!」
その合図と同時に距離をゼロに詰める両者。
悠「っ!!!」
最豪「っ!?」(手加減なしのようじゃな!!祖父と同じ顔だからと手を抜くかと思ったが、手を抜いておるのは儂のようじゃ!!!それにこやつの拳、儂でも耐えるのは難しそうじゃ!!!)
そう、この段階で悠斗の身体能力は全盛期の豪さえも上回っていた。そこにシンフォギアを装着すれば...考えるだけでも恐ろしい物である。
最豪「...見くびっていたようじゃ。これも、更年期という奴かのう...。」
悠「なるほどな、上手い言い訳じゃねぇか。」
最豪「では、改めて構えるとしよう。お主に敬意を込めてな。」(これで本気ではないのだからな。末恐ろしい孫じゃ。)
悠「そっちの顔が、俺は良いと思うぜ。じゃあ、続けようか。」
最豪「では、行くぞっ!!!」
悠「ああっ!!!!」
互いの拳を捌きながらも攻撃している。
悠斗が完璧に捌ききっているのに対し、最豪は所々攻撃を受け続けていた。
悠(こういう拳の打ち合いは、捌くことが大事なんだ。捌ききることで相手の体力と集中力を少しずつ奪って、その最中にできる隙を見逃さない。)
そうは言いつつも、音速の拳の打ち合いに、見切りを行うなど簡単にできるものではない。これも悠斗の経験と化け物じみた身体能力のなせる業である。
いったん離れると、息の乱れ一つない悠斗と少し息が荒くなっている最豪。
最悠「いっ、一旦休憩にしましょう!!」
悠「ああ、爺さん疲れてるみたいだしな。」
最豪「はぁ...はぁ...お主、こんな身体能力を、どこで...。」
悠「実践だな、もうシンフォギア装者歴9年だからな。」
最悠・豪『きゅ、9年(じゃと)!?』
悠「中一の二学期ごろからこのギア使ってるしな。」
最悠「し、失礼ですが、今おいくつ何ですか?」
悠「今は22歳だ。俺の世界のマリアの一個上だな。」
最悠「ぼ、僕は20になったばかりです。」
悠「えっ...!?時系列が違うのか...!?いや、そもそも大きな事件がなかったのか...!!月もそのまま、アルカ・ノイズも出ずに通常のノイズ...なるほどな、ルナアタック・フロンティア事変・魔法少女事変が起こらなかった平行世界ってことなのか。」
最悠「ど、どういうことなんですか!?」
悠「俺たちの世界では、シンフォギアやノイズが関わる巨大な事件が二件起きた。葛城悠斗という存在がいない世界線の平行世界では、その二つに加えもうひとつ別の巨大な事件が起きた。でも、この世界ではどの事件も起きていない。その事件に変わるのが、今回の悪魔の種の事件なんじゃないか?」
最悠「な、なるほど...!!」
最豪「...お主、ここにある古文書や文献などを、自由に見ても良いからな。悠斗、案内してやれ。」
悠「いいのか?」
最豪「お主なら、この世界を元に戻せる。そう思っただけじゃ。」
悠「...ありがとな、爺ちゃん。」
最豪「っ!!!」
悠「...さっ、悠斗、案内してくれ。」
最悠「はっ、はい!!」
そしてその場を悠斗たちが去ると...
最豪「...頼んだぞ、孫たちよ。」
~数時間前・原作世界~
未「悠斗さんが、居ない...あの時、しっかり手を握っていれば...!!」
原響「あれ?悠斗さんの世界の、未来!?」
原未「わ、私!?」
未「あっ、この世界の響と、私だ!!」
原響「どうしたの?な、なんか泣いてるけど!?」
未「じ、実は...。」
~正常な者たちのアジト・図書室~
最悠「なぜお爺ちゃんは、悠斗さんに本を自由に見ていいと言ったんでしょう?」
悠「...少しは信頼してくれたんじゃないか?」
最悠「そう、ですね!僕は悠斗さんのこと、最初から信じてますよ!!」
悠「嬉しいねぇ。そういえば、弦さんや緒川さん、藤尭さんみたいに年上の男の人の仲間はいたけど、年下の男はいなかったんだよ。だから結構新鮮だな。」
最悠「ぼ、僕も年の離れた男性の方はよく話すんですが、悠斗さんみたいな年の近い方とお話したことがなくて...それに、弦十郎さんも、八紘さんも、緒川さんも、藤尭さんも......。」
悠「あっ...なるほどな、じゃあ皆助けに行こう。イーヴィルウッドをぶっ壊したら、皆を助けられるかもしれねぇ。」
最悠「はっ、はい!!」
悠「そのためにも、悠斗は皆の攻撃から正常な人たちを守らなきゃいけない。別にお前が攻撃しなくても、俺がその役目を担う。だから悠斗は皆の避難を手伝ったり、盾とか武器で皆を守ればいいんだ。」
最悠「そっか...攻撃だけが、戦いじゃない...ということでしょうか?」
悠「ああ。でも、敵の本拠地に乗り込むときは、ノイズくらいは片付けてくれよ。奴ら、ソロモンの杖使ってくるかもしれないからな。」
最悠「そ、ソロモンの杖?」
悠「ノイズを召喚するための異空間、バビロニアの宝物庫の門を開くための完全聖遺物だ。ソロモンの杖を使えば、ノイズを自由に召喚、使役することが出来る。」
最悠「そ、そんな聖遺物が...!」
悠「ノイズくらいは倒せるだろ?」
最悠「は、はい!!でも、悠斗さんのギアの聖遺物ってなんなんですか?」
悠「俺のギアはレーヴァテイン。といっても、別世界の神を名乗ってるやつからもらった神お手製のギアなんだけどな。」
最悠「か、神ッ!?」
悠「そう言うお前のギア、白黒だけど何の聖遺物だ?」
最悠「ぼ、僕のギアは『バルムンク』という聖遺物を使っています。」
悠「バルムンクね。鬼神ジークフリートの愛剣だって言われてんな。」
最悠「き、鬼神...。」
悠「ニーベルンゲンの唄っていう神話に出てくる、背中以外無敵の剣士のことだな。つまり、悠斗がバルムンクを持ってるってことは、背中...つまり仲間の皆が弱点...!!だから悠斗は今ボロボロなのか...。」
最悠「すごい解釈ですが、納得できるのが不思議です...。」
悠「...ん?『オートクレール』?聖遺物の文献か?」
話の中、悠斗が見つけたのは聖遺物『オートクレール』の情報を記した文献。
悠「『オートクレールとは、触れたもの全てのエネルギーを吸収する聖遺物。人間や生物に触れるとその生体エネルギーを吸い取り、吸いきると肉体や魂までも自分のエネルギーとして吸収してしまう。神話上では、オリヴィエのみ扱えたとされる伝説の剣。』...なるほどな、オリヴィエ...『ローランの歌』のオリヴィエのことだな。」
最悠「オートクレール...。」
悠「俺が平行世界の響たちに聞いた話だと、完全聖遺物デュランダルってのはあるらしい。そのデュランダルは無限にエネルギーを放出し続ける聖遺物らしい。でもこのオートクレールはエネルギーを吸収し続ける聖遺物、さすがローランの歌の親友コンビが使う武器だな。」
最悠「そうなんですか?」
悠「ああ、デュランダルはローランの歌の主人公・ローランの武器。対してオートクレールはローランの親友・オリヴィエの武器なんだ。この二人の武器が対になってることには必ず意味があるはずなんだ。いつかオートクレールとデュランダルが揃えば、どうなるか見てみたいものだな。」
最悠「な、何が起こるんでしょう?」
悠「それは見てみないと分からないな。でも、放出と吸収...それを無限に行うとき...何か別のものが生まれる...?考えても仕方ねぇ...あった、悪魔の種。」
そこでようやく、悪魔の種の文献を見つけた。
悠「『悪魔の種とは、元々はフランス北部でのみ栽培されていた観葉植物の種の一つなのだが、別の国、特にアジア系の国へ持ち込むと途端に所有者に不幸が訪れることから、悪魔の木と呼ばれるようになった。その種が哲学兵装を孕み、意志を持つようになった。』なるほどな、その悪魔の種の一つが、皆を支配してるのか。」
最悠「はい、でも人々に埋め込んだツタの中で種を一つずつ栽培していて、それが育ちきったら自分からツタが抜けて、大元の種と融合して、あの木へと成長するんです。」
悠「その場合、ツタが抜けた人たちはどうなるんだ?」
最悠「...また別のツタを埋め込まれて、栽培を繰り返します。」
悠「...惨いな。」
最悠「...悠斗さん、僕...怖いんです。皆がそんな目に遭ってることが...それに、いつ僕にもツタが、種が...お爺ちゃんを攻撃してしまうかもしれない...それが、たまらなく怖いんです!!!」
悠「悠斗...。」
最悠「僕も、運が良かったからここまで来れた気がします。でも今度は分からない。助けたいという気持ちでここまで来ましたが、もう、怖さで心が...壊れ、そうで...。」
その時、悠斗が最悠斗を抱きしめた。
最悠「えぇっ、ゆ、悠斗、さん...?」
悠「お前が弱気になるなよ...お前がいるから、あの爺さんも頑張ってこれたんだろ!?お前がいるから、正常な人たちも必死に生きようとしてるんだろ!?大丈夫、お前も俺も、絶対に負けない。俺もお前も、信じて帰りを待っててくれる人たちがいるんだから。最後を絶対、ハッピーエンドにしよう。」
最悠「...悠斗、さん...あの、兄さんって呼んでいいですか?」
悠「唐突だな、でも良いぜ。俺も元の世界じゃ、切歌と調にお兄ちゃんって呼ばれてるけど、弟は初めてだな。」
最悠「ぼ、僕も、兄は初めてですよ。」
悠「さあ、色々調べたし、明日に備えて寝るか。」
最悠「そうですね!」
悠「ご飯はどうしてるんだ?」
最悠「僕もお爺ちゃんも作れなくて、僕も正常な人たちに習ってはいるんですが...。」
悠「なるほどな、じゃあ俺が作るぜ。こう見えても俺は未来と調の料理の師匠だしな。」
最悠「そ、そうなんですか!?兄さん凄い!!」
悠「食料庫見せてくれ。」
最悠「分かりました!!」
~原作世界・SONG司令室~
未来は原弦十郎や原響、原未来たちに事のあらましを説明していた。
原弦「なるほど、そんなことが...。」
未「私、悠斗さんが心配で...!!」
原未「私はよく知らないけど、凄い人なんでしょ?」
原響「生身で師匠に勝てる人だもん。」
原未「え、えぇ...!?」
未「人類最強説は出てるね。」
原響「やっぱり...!」
原未「それでシンフォギア纏えるんでしょ...?それは、不安にならないと思うけど...。」
未「何が起こるか分からないんだよ!?」
原響(未来、あっちの世界の私と未来、切歌ちゃんと調ちゃんは悠斗さんのことが大好きなんだから、あんまりとやかく言うとボコボコにされるよ...私も何度ボコボコにされたことか...あ、あぁ...〈震え始める〉)
原未(ひ、響がボコボコに...!?〈想像で戦慄する〉)
原未「そ、そうだ、ね...ごめんね...。」
未「でも、悠斗さんが何処に行ったのか、分からないのが危険なんですよね...。」
原弦「そうだな、ワープ先がどこなのか確かめる術がないのが辛いところだ。」
未「ゆ、悠斗、さぁん...。」
遂に膝をついてしまった未来。果たして、二人の運命は如何に!?
if最善悠斗君のバルムンク、そして気になるオートクレールの文献、これは後に重要な役割を果たします。オートクレールに関してはこの章よりももっと先の予定です。これはちょっと、デュランダルも含めて悠斗君に深く関わってくるので。
さて次回は、夜が明けて決戦。そして39ちゃんは翳りを救いに原作39ちゃんと一緒に...!!
次回は金曜日投稿予定です。感想、誤字脱字報告お待ちしております!
それではまた次回、読了ありがとうございました。