Kyo After   作:エリミサ号

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本編を書くのに結構時間がかかりそうなのでその代わりといってはなんですが杏と朋也が体育倉庫に閉じ込められたあの時、そのまま進んでいたら…?という短編ifストーリーを書いてみましたので見ていただけると嬉しいです!※アニメのストーリー上あまりイチャイチャはしません!


番外編1 体育倉庫 その後

やばい、なんだこの空気……。

この沈黙の雰囲気に俺は気まずさを覚え背中から冷や汗が出てくる。お前だったらもし体育倉庫に閉じ込められても大丈夫かと思ったのになんでさっきから黙ってるんだよ、なんか言えよ……。

 

(お前を選んだ意味がねえじゃねえか……!!)

 

俺も何も言うべき言葉が見当たらないので呆然と杏の方を見つめる。暗くてよく分からないが杏はふんわりと頬を赤くさせて気まずそうに突っ立ていた。

ああ、あんな変なおまじないなんか試すのではなかった、あの資料室にある変なおまじないは絶対にやるべきではないということが分かったぜ。ていうか本当にこんなピンポイントなおまじないよく成功できたよな……。

そしてしばらく2人で沈黙を過ごしていると、杏はやっと口を開き始める。

 

「朋也……椋のこと迷惑………かな?」

「あいや迷惑とまでは……」

「じゃあもしそれが……」

 

と、言ったところで杏の口は再び閉じられた。

咄嗟に俺も杏の言葉を聞いてる時に宮沢から教えてもらった体育倉庫から脱出できる言葉を思い出したのだが、杏の言いかけた言葉の方が気になったので言葉を待つことにする。

 

「それが、なんだよ?」

「えっ、あ、いや……あはは、やっぱ何もないや〜!」

「お前な……言おうとしてたことを結局言わねえんだったら最初から言うなよ、こっちからしたら凄い気になるだろ」

 

だから言え、と催促したのが伝わったのか杏は動揺しながら視線をあちらこちらに向けている。

そんなに言いにくいことなのだろうか?言葉の続き的には藤林関連の話かもしくはこいつのことか。

本人が言いたくないことを無理やり言わせるのも癪なのでもしこのまま何も言わなかったら諦めてこのおまじないを解く言葉を言おうと思ったが、そう経たない内に杏は口を開いた。

 

「あのね、朋也っ」

「あ、ああ」

「もしそれが逆に……椋がいなくて私と2人だけでお弁当食べるってなったら、迷惑かな?」

 

一瞬、思考が止まる。

今の言葉は藤林杏という人物から聞いた言葉だよな……?

それはつまり、こいつは俺と飯を食べたいということなんだろうか?今までの俺に対する行為からしてあんまり好意という好意は向けられてないと思っていたのだが。

だとしても今の言葉や表情からしてあきらかに俺に対してそういう好意があると思っていいだろう。

確かに、杏が作ってくれる弁当は美味いし毎日作ってくれるものならそれはもう最高だ。だが……多分俺は、杏がそこまで俺にしてくれる本来の気持ちには応えることができないだろう。ただ飯だけタダ食いして後は何も知りませんで終わるのはあまりにも残酷ではないだろうか。だから、決して一緒に飯を食うということに関しては全く迷惑ではないし逆に歓迎だがそれと同時に変に期待させて落ち込ませたくもなかった。俺はそれを理由に杏が何故こんなことを俺に聞いてきたのか全く分かってない様子のフリをしながら口を開ける。

 

「別に迷惑じゃねえけどお前の方が俺と一緒に食うなんてお断りだろ。それに藤林だけ除け者にすんのは可哀想じゃないのか」

「っ………そう、ね。私何言っちゃってんだろ、ごめんねっ?変なこと聞いちゃって。……でもね?朋也」

「あん?」

「私、全然迷惑じゃないわよ。逆にアンタと昼休みずっと居れて嬉しいくらいかもね!?」

 

それは杏からすれば凄く言うのが恥ずかしかったのだろう、顔面真っ赤にしてそう告げた。

いつもの杏からは絶対に聞くことのない言葉に少し俺も照れてしまう。

もうこれ以上は2人で居続けるのはあまりよろしくない上に照れ隠しも兼ねて俺は上着を脱いでおまじないを解く体制に入ろうとした。が。

 

「ちょっと待って、何する気!?まさか今ので私のことーー」

「安心しろ、杏。俺に全部任せておけっ」

「へっ??ほ、本気なの!?朋也っ」

「本気って、そりゃこのままだとお前も嫌だろ?それともこのままがいいのかよ?」

「いやそのこのままっていうか……ほ、ほらっ、やっぱりそういうのって順番があるじゃない!」

「いや、やることは1個だけじゃねえか。とりあえず俺に任せておけ、少し後ろ向いててくれないか?」

 

流石に呪いなんてヘノヘノカッパなんて叫んでるところを見られるのは苦痛すぎるのでそう頼んでおくと杏はさっきより緊張した面持ちで後ろを向いてぶつぶつと独り言を言っている。

さっきから微妙に会話が噛み合ってなかったのでまた変な勘違いをこじらせているのだろう。

俺は全意識を集中させ呪いなんてヘノヘノカッパ…呪いなんてヘノヘノカッパ……と3回目の途中まで言った時、小さいながらも微かに杏の声が聞こえてきた。

 

「こういうこと許せるの………朋也だけなんだからね……」

 

……今の言葉で、俺は杏がさっきの会話でなにと勘違いしていたのか少し想像がついたがこれはこれで分かったら色々と今以上に気まずくなりそうなので聞かなかったことにしろと無理やり脳に命令する。そしてさっきのは聞こえなかったんだと自分に言い聞かせ、無事体育倉庫から出ることができ、再び演劇部活動に向けて意識を働かせた。

 

 

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