Kyo After   作:エリミサ号

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CLANNAD書き始めたのはいいけどUA自体余りのびない…笑趣味で書いてるだけなので全然いいのですが!笑あとこの物語では智代を中心的に出していこうかな…??渚やことみや時には風子もバンバン出していきたいなとは思っています!
原作に沿った杏編のストーリーを少々改変するかもです、すみません!
長い文章をいつも読んでいただきありがとうございます。



第4話 初デート

10時にセットしていたアラームが鳴り響く。

いつもの休日なら12時か1時頃まで寝ているのでなかなか体を起こすこともできずしかも昨日はなかなか寝付けなかったので尚更だった。

なんでアラームなんか鳴らしてたんだっけ……?やべえ、眠過ぎて考えられねえ。

起きなければならないという思考はあるのだが睡魔には勝てずアラームを1度停止してもう一度横になる。最近は寝坊もせずにきちんと学校にも行っていたので余計な疲れも溜まっていた。

 

『じゃあ今週の日曜初デートね!遅刻したら容赦しないわよ?』

『おう』

 

そういや、金曜日杏に髪を切ってもらった後の帰りにそう言われたな……それでその後春原の部屋に行って。

そこで俺の意識は覚醒する。

時計を見ると時刻は10時30分。

 

「今日日曜じゃねえかよ!!」

 

杏との駅前集合は11時だった。

 

 

 

 

 

 

「遅いわよ!!」

「悪い!」

 

意識が覚醒した瞬間俺はダッシュで布団から起きて服を着て歯磨きをして寝癖を直して急いで駅前に走っていったところ着いたのは11時ジャストだった。

初デートに遅刻ギリギリで来るやつとなれば誰もが不愉快になるだろうが相手は杏だ、不愉快どころじゃないだろう。

 

「私つい最近友達と話してたのよ〜。デートで遅刻してくる男は甲斐性なしで馬鹿で陽平と同じくらいヘタレって。特に初デートで遅刻とか最悪よねーね、トモヤ??」

「はは、それは最低だな!」

「分かってるじゃなーい!ってことで次は遅刻しないで済むよう足の骨何回も折って矯正してあげようかええっ!?」

「ま、待て!悪かった次からはしねえから!」

 

杏は俺に一気に詰め寄ってきて本当にやりかねない顔で拳を振り上げる。

殴られるーーと思って構えたが意外にも腹に1発だった、でもすごい痛い。

 

「ギリギリ遅刻じゃないからこれで許してあげるわ」

 

はあ、とため息をつきながら杏はそっぽを向く。普通だったら怒った彼女が可愛いと思う人もいるのだろうが杏が彼女になればそんなことは1ミリたりとも思わないしただただ恐ろしい。

だけど、いつもと違う姿には可愛らしさを覚えるわけで。俺は腹をさすりながら杏を見つめると水色のミニスカートに5月らしい春物のカーディガンを着ていた。杏と外で会うということはなかなかないことだったし前椋と付き合っていた時に偶然会った時も身軽な服装だったので実質私服を見るのは初めてだった。にしてもやっぱり制服のときとは印象がかなり変わるな……私服を着ると一気に大人っぽくなってやがる。

高3というオシャレや化粧などそういう類には敏感な年齢だ、顔を見るとうっすらと化粧もされているのが分かる。きっと杏も、服装選びや化粧などで早起きして準備していたのだろう。それに対して男は特に何もしないで家を出るだけだ、それなのに俺は遅刻してしまった。

それにデートで遅刻をする、ということは待っている相手からすればあまり楽しみじゃないのかなと不安な気持ちを生み出すこともあるだろう。今更ながらなんで2度寝してしまったんだと深く後悔しもう一度杏に謝った。

 

「すまん、杏。俺もすげえ楽しみにしてたんだ。次からは絶対に遅刻しない」

「言ったわよ?次それでしたら本当に足の骨折るわよ」

「ああ、ちゃんと守る」

「そ。ならもう行くわよ!映画始まっちゃうじゃない!ちゃんと予約してるんだから」

「何時からなんだ?」

「11時半よ!」

 

なんでそんなギリギリに予約してやがる!?と反論すればまた怒らせてしまうので黙っておく。

杏は俺の手を取り駆け足で映画館にへと向かおうとする。

今までなら絶対に手を繋いだりする仲でも2人で遊ぶことなどもしない(俺が絶対に断っているだろう)2人なのに、今はこうしてデートをしている、お互いがお互いを想っている。

本当、1年前の俺からすれば予想もしない状況だろうな。まず彼女という存在を必要としていなかったし他人にも興味がなかった。それに杏に関しても全く恋愛感情を持っていなかったしな。

たまに見える杏の横顔は常に笑顔で。それをずっと守ってやりたいと思った。

そのまま駆け足で手を繋ぎながら移動しやっとショッピングモールにたどり着く。ショッピングモールと映画館が併用しておりここの上階に映画館がある。俺と杏はエレベーターに乗り少しかいた汗を拭き取った。

 

「まだ10分は余裕あるわ。よかったあ」

「ちなみに何の映画見るんだ?」

「ん、これ」

 

杏はカバンからチケットを取り出しそれを渡してくる。

そのチケットには『愛しの君へのラブレター』と書かれておりなんとも興味が出にくい内容っぽかった。

 

「面白いのか、これ?」

「アンタ知らないの!?めっちゃ今CMとかでやってるじゃない、今予約しないと席が取れないほど埋まる映画なんだから!ほら、そこのビラも見てみなさいよ」

 

エレベーターの壁にでかでかと貼っていたビラを見るとこのチケットの題名と同じ『愛しの君のラブレター』のあらすじや登場人物などが書かれていた。そして上の方にデカ文字で『日本中が泣いた大ヒット作!!今見ないでどうする!』とありきたりの文章が並んでいた。

正直、全くもって興味がそそられない。だが杏の言っている通りそんなにも流行っているのならばこれで見たいと思う人が続出しているのだろう。こんなのに1000円も払うのならばもっと他のやつに使いたい。

 

「しかも映画代朋也が払ってくれるんだもんね〜いやありがとね!」

「は?」

「なに覚えてないの?言ってたじゃないこの前弁当食べた時、俺が払うって」

 

じわじわと昼休みの時の会話が思い出されていく。

言った、確かに言ってしまっていた。この映画に俺は2000円も払わなければならないのか?興味もない恋愛映画になんで俺の金をつぎ込まなければならないんだ……。

第一今まで映画館など滅多に行く機会もなくDVDが発売されてから見るという感じだったので映画を見るだけで1000円取られるというのは俺にとっては高額だった、バイトもしてないし尚更だ。

映画館に着いて列にしばらく並んだ後仕方なく受付の人に2000円のチケット代を支払ってチケット1枚を杏に渡した。

 

「サンキュー朋也!たまには優しいとこあるじゃない!」

「分かったからさっさと行くぞ。時間ねえんだろ?」

「どうしてアンタってこういう時キザな言葉一言や二言言えないのかしらねぇ?お前の為ならなんでも奢ってやるよ、とかさ」

「言ってほしいのかよ?」

「まあ、好きな人に言われたら嬉しいもんじゃない?」

 

こいつ的には言って欲しいのだろうが断固としてお断りだ。俺はそんなことを言う人柄でもないし言いたくなるセリフでもない。

あと本当に杏の為ならなんでも奢ってやるよ、とでも言った始末には破産の未来が待っていることだろう。ていうか、春原に関して言えばもし彼女が出来たとすればそういうキザなセリフ1日に1回は言ってそうだよな。そしてあの伝説の言葉『君の瞳に乾杯』とかも軽々しく言っているかもしれない………恐ろしいぜ、春原。

 

「とりあえず本当に始まっちゃうから早く行きましょ!ほら朋也、手」

「また繋ぐのかよ?」

「恋人なんだから当たり前でしょーが」

 

強引に杏は俺の手を取り先導していく。

正直さっきはかなり急ぎ足で来たのでまだ暑さは残っていてあまり手は繋ぎたくないのだがこの手を自分から振りほどくのも嫌だった。なので握られている手を握り返し少しお互いの手汗を感じたが気にもとめなかった。

中に入るとほぼ満室状態で杏の言っている通り本当に人気の映画なんだなと感じる。事前に予約していた席は後席付近の真ん中よりの席で、そこに座る。

 

「映画館って後ろの方が見やすいのよねー」

「確かに全体的に見えるな」

「でしょ?ほら、始まるわ」

 

大きなスクリーンに顔を向けると最後の予告編が流れて映画が始まった。小さく聞こえていた話し声も始まると無音になり全員がスクリーンに夢中になっている。

どうやら最初は高校時代の出来事を振り返っているらしく2人は相思相愛だったらしい、それでそのまま何もなく高校生活が終わったと。

そこのシーンまでは俺も見たが、正直全く興味もないジャンルだったので睡魔の限界が来てしまいそこからは話の内容などこれっぽっちも分からなかった。1度杏に何かしてみようかーーと考えたがあまりにも真剣に見ていたので何もせずに静かに寝た。

 

 

 

 

 

 

 

「せっかく感想言い合いたかったのになんで寝てんのよ!」

「お前こそ俺が恋愛映画なんか興味ねえの知ってんだろ!」

「興味なくても彼女と見てんだから無理やり起きるもんよ!第一映画ってのはね終わってから感想を言い合うのが醍醐味ってもんなのよ!」

「だったら友達多いんだからそいつら誘えばよかっただろ」

「あーもう!あー言えばこう言う!!」

 

杏はもういいわ!とだけ言い目の前に置いてあった水が入っているグラスを飲み干して無言になる。

俺たちは映画を見終わったあと近くにあった学生には良心的なファミレスに来ていた。俺は見事に映画が終わる最後まで寝ていて杏も終わった時に俺が寝ていたことに気づいたらしく中盤と後半の内容が全く分からなかった。だとしても普通寝ていたら途中で絶対気づくだろ、それだけこいつが映画に夢中になってたってことだから余程面白かったのだろうが。確かに終わったあとに感想を言い合うのは杏からすれば大事なのだろうがもし仮に俺が全部映画を見て感想を言い合ったとしても一言二言しか話さなかっただろう。そしてしばらく無言だった杏が口を開く。

 

「私は朋也とどこかに行きたかったからこの映画誘ったのよ……」

「なんだって?」

「ほら、今週末にデートしよって決めたのって最近じゃない?遊園地とかだったらお金のこともあるでしょーが。だから身近な映画にしたのよ。恋愛映画にしたのは私の友達が初デートは絶対恋愛映画って勧めてきたからさ……」

 

俺は杏が杏なりに色々考えているんだなと思い少し驚いた。

確かに遊園地などとなれば飛んでいく金が大きすぎるのでいきなりはキツい、そうなればまだ出費があまり出ない映画やカラオケなどになってくる。カラオケは本当に2人の空間になり個室にもなるのでこいつからすれば会話やその他の面も少し抵抗があったのかもしれない。逆に映画となればそれだけで2、3時間は潰れるだろうし終わってからも感想などを言い合うことができ楽しむことができる。なので倍に緊張してしまう初デートに映画を選ぶというのは最もいい選択なのだろう。正直こいつといれるのならば公園でダラダラ過ごすとか金のいらないいつでもできるようなことでも良かった。でもそれは俺の価値観なわけで、杏からすれば2人で色々な所に行きたいと思っているかもしれない。できるだけそれを叶えてやりたくもあった。

 

「……悪かったよ。俺お前と居れたら別にどこでもいいって思ってるからさ、本当にどこでもいいんだ。だからこれからもお前が行きたいと思った場所に行こうぜ」

「え?」

「それで2人の思い出をたくさん作るんだ。まあ、受験だから色々行こってのもせめて夏休みまでくらいだろうけど」

「行きたいと思ったところ、全部連れて行ってくれるわけ?」

「ああ、そうだな」

「……そかっ。ありがと、朋也。確かに今年はキツイだろうから卒業後とかたくさん行けそうじゃない?」

 

そう杏は当たり前のような口調で俺たちが卒業してもまだ付き合っていられるんだ、と確認できることを言う。

そこからは行きたい場所や杏の友達話や椋の話や色々なことを話し(ほぼ俺は聞き役だ)外がだいぶ暗くなっていたのでファミレスを出た。

家まで送るよと伝えると杏は俺の腕に絡んでくる。結構歩きにくい状況だがそれ以上に幸せな時間だった。

 

「杏、お前保育士になるんだよな。大学か専門学校どっちなんだ?」

「専門学校に行くつもり。だから受験っていっても内申きちんと上げとけばいけるかなって感じね」

「そうか」

「朋也は?」

「今できる限り真面目に授業とか課題に取り組んでんだよ。少しでも頑張ってたらもしかすると今の状況で就職するよりはいい所に就けるかもだろ?」

 

杏は俺からそんな言葉が出るとは思いもしなかったのかしばらくぽかんとあの朋也が……!?とでも言わんばかりに驚いていた。

無理もない、自分自身でもこの3年間真面目とかそういう類のものには縁のないものだと思っていたのに今こうして学校という存在と向き合おうとしている。

だけどこうして向き合えるのは、今目の前にいる杏のおかげでありこいつがいるから少しくらい頑張ってみてもいいんじゃないかと思えてくる。今のままダラダラと過ごして適当に就職活動して内定を貰えない、という結末はあまりにも彼氏としてはヘタレで甲斐性なしだ。

杏は更に抱きついている腕の力を強くする。

 

「私のおかげ?」

「まあな」

「今のままじゃ内定取れるかすら不安だもんね〜。確かに彼氏が私よりダメダメだったらもう終わりね」

 

冗談なのか本気で言っているのかは分からないが少し突き刺さるぞ……今までの俺は全部ダメダメってことになるじゃないか、そりゃそうだが。それに俺と付き合っていたらクラスのやつらとかに前みたいに言われるかもしれない。それは賛成的な言葉やめでたい言葉をかけるのではなく否定的な言葉だ。だが杏は人脈が広いのでこいつがどんな性格なのか、どんな人間なのかっていうのは分かってる人が多いはず。だからそこは好都合だ、そういう言葉は全部俺に向かってくるだろうから。そう言われるのは俺の今までした行動や、良くない印象ばかりを与え続けていた結果である。だからそこに杏を巻き込むのはごめんだ。

 

「こっちの方がかっこいいだろ?」

「そうね、まず前までのアンタが無気力すぎんのよ」

「そうだな。なあ、杏」

「ん?」

「キスしたい」

 

唐突に言ったので杏は少し顔が赤くなる。

俺たちはまだ1回しかキスをしたことがないので余計に緊張が走った。俺は喉をごくんと鳴らし杏の返答を待つ。今はこいつに触れたくて仕方がなかった、腕を絡めるくらいじゃ足りない。

そして杏は絡めていた腕を振りほどき俺の真正面に立ち手を俺の肩に置く。OK、ってことなんだろうな。杏の腰に手を置いてゆっくりと接近していく。お互いほんのり顔が赤くなっているだろう、もう口が重なりそうな瞬間、お互い目を瞑ってキスをした。

杏は軽いキスだけのつもりだったのだろう軽く5秒間くらい重ねてた唇を離そうとするので俺は無理やりもう一度キスをせまる。

 

「んっ……!!」

 

驚いたのか僅かに声を響かすが無視してしばらくキスを続けた。

やがてゆっくり離すと杏は顔が赤くなりながら不機嫌そうな顔で2回するんだったらちゃんと言いなさいよ!!と怒鳴る。

俺は軽く謝って杏を抱きしめた。

こんなにも誰かを必要とするのは初めてだ、本当に。

これからの日々は2人とも忙しくなるだろう、そう簡単にデートも行けないだろうしな。でもその分、その後には楽しい出来事がきっと待っているはずだ。

 

 

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