輪廻の輪から外された男は別の世界で生まれ変わる事になった
「……」
いつの間にか眠っていたようだ。夢も見たようだが記憶に残っていない
目の前には起きるのを待っていたであろう元帥がいた
「久しぶりだね
「見て分かんねぇのかアンタは…アンタが元帥じゃなかったらぶっ飛ばしてたよ…ところで今日俺を呼んだのはどういう要件だ?」
「君に頼みがあr「嫌だ」……」
即答した。この男が頼んでくる事はだいたいめんどくさいからだ。
「アンタの頼みってことはどうせロクな事じゃないんだろう?」
「確かにそうなんだが…君にしか頼めないんだ!頼む!」
そう言って頭を下げた。俺より上の人間なんだからそこまでしないでほしい
「…はぁ、分かったよ要件は聞くが期待するなよ」
話を聞いてみると、最近提督がいなくなった鎮守府に着任してほしいとのこと
「そこの提督が酷くてね、艦娘達を酷く扱ったせいで艦娘達の殆どは人間に対して警戒を解いてくれないんだ。この前別の人を送ったんだけど数日前に逃げ帰って来たところさ」
俗に言うブラック鎮守府というやつだろう。聞いた事はあるがあまり良い話ではない、どっちかと言うと胸糞悪い話だ
「と、言う事なので人間のくせに戦闘能力がずば抜けてる君に頼みたい、艦娘も1隻つけよう」
「断る」
即答だった。
「報酬は弾むよ?」
「引き受けよう、是非とも俺にやらせてくれ」
しかしちょろかった
〜鎮守府〜
目の前には壁に大きい穴が空き、窓ガラスは割れ、廃墟と言われたら頷きそうになるような鎮守府があった
そしてそんな鎮守府の前には腰まで伸びた銀髪、ブルーグレイの瞳をした少女が立っていた
「そういえば艦娘を1隻付けるって言ってたっけか」
しかしそれなら少しだけ不思議だ。本来与えられる初期艦に彼女の様な艦はいなかったはず、なにかあったのだろうか
「響だよ。君が渚だね?よろしくね司令官」
「よろしく、響」
響と挨拶を済ませ、鎮守府に入ると、外見に比べて綺麗な内装が広がっていた
「…中は意外と綺麗なんだな」
「艦娘はいたはずだからね」
その艦娘は見当たらないが…
「とりあえず執務室に行こうか」
そう言っていると後ろからいきなり斬りつけられた
「司令官!」
振り返るとそこには龍の角を模したかのような装備に眼帯を付けた少女が立っていた
手に持っている刀のような物で斬られたのだろう
「結構深く斬ったな、塞がるのに時間がかかりそうだ」
「お前、なんなんだ?」
「ここに着任しに来た者だ」
「下がって、司令官」
響が後ろに下がるように促すが
「多分大丈夫、1回斬られたからだいたい分かった」
「そうかい、ならここで死ね!」
そう言いながらまた斬りかかってきた
「っ!?」
少女の表情が驚愕に染まる。そりゃそうだ。何故なら生身の人間が刀の刃を掴み止めていたのだから
「速いが軌道が分かりやすい。これだったらいつまで経っても斬れないよ」
「っ!ガキが舐めるなよ!」
刀を手放し、少女は距離を取った。9m程だろう
艤装をこちらに向けて弾を撃ってきた
「ふんっ!」
放たれた弾を殴って防ぐ、ものすごく痛い
「お前本当に人間かよ!」
「少なくとも俺はそのつもりだよ…っ!?」
なにかの気配を感じ急いで振り向くと
「ぐっ!」
錨の様な物で目を殴られた。
予想以上に威力が高く、吹き飛ばされてしまった
「片目を潰されたか、治るの何時間後かなこれ」
「なんで死んでないのよ」
そんなもん知るか!と言いたいところだが、
「…立てないな」
血を出しすぎたらしい。ナイフとか銃くらい持ってきた方がよかったかもしれないな
「ここで殺してあげるわ」
「させない」
響が艤装を展開して渚を守るかの様に立つ。
「そこを退いて響、あなたじゃ私には勝てない。どうして人間の味方をするの?」
「それは……」
響は答えない、答えれない、ついさっき会ったばかりだからだ。何故味方をするのか、その理由が分からない
「どうしても…退かないのね」
響は答えない、それを茶髪の少女は肯定ととったのだろう
「なら司令官と共に死になさい、響」
そう言って茶髪の少女は歩み寄ってくる。
パキンッ
「え?」
茶髪の少女が何かを踏んだ
すると辺りは青い光に包まれ、その青い光は渚へと集束した
「何が起こってるの、これ」
「どういう事だ!雷」
「知らないわよ!」
人を斬った記憶が頭の中に入ってくる。数えきれない、輝かしい物は無い。これは呪いだろうか、この刀の持ち主の呪い、例え生まれ変わろうとその記憶だけは引き継がせる呪い、魂に張り付く穢れ
『今のお前には必要だろう、これは使う者によって善にも悪にも変わり果てる。貴様の使いたいように使え』
どこか懐かしい声がそんな事を言った気がした。
「伏せろ響!」
響は咄嗟に身を伏せた。その瞬間、雷の持っていた錨が斬れた
「うそ!?」
雷は渚の方に目をやる
そこには先程の小柄な少年は消え、変わりにいたのは藍鉄色の刃をした刀を持った男がいた
「俺は敵じゃない、けどこれ以上攻撃を続けるなら…」
言葉が詰まる。彼女たちは被害者だ。それが邪魔をして斬れない、彼女たちが攻撃して来ようと渚は斬るのではなく防ぐことしかできないだろう
「………」
「攻撃を続けるならなんだ?」
少女が問う
「…君達を殺しはしない、けど少しだけ痛い目を見てもらうよ」
そう言い、自身の持つ刀を構えた
身長150cm
体重32kg
素の状態で艦娘と殴り合いができるくらい戦闘能力が高い、驚異的な再生能力と生命力を持っており、腹に穴が空いた程度では死なず、目を抉られても数時間後には視力もそのままで元通りになる