蘭side
夕食のあと新一に電話したのに、すぐに切られちゃった。
もう!どうして帰ってこないのよ。
苛立った心を落ち着かせる為風に当たろうと思い家を出ると、
近くの公衆電話からコナン君が出て行った。
公衆電話なんてどうしたんだろう?
それに疲れた顔してたのにうちに入らずに道を歩いていく。
「コナン君!そろそろ寝ないと!」
呼びかけるが聞こえなかったみたいで、阿笠邸へと入っていく。
仕方ないので後を追い、小さな声で「失礼します」と言うと
阿笠邸に入り、
コナン君を追ってリビングに入ろうとしたが、
「灰原」
と声が聞こえ、思わず入るのをためらい少し開いた扉の隙間から覗く。
コナン君が哀ちゃんに、キスをしていた。
小1でキスなんてするの!?と驚きながらも、見ているのは
悪いので立ち去ろうとした時。
「工藤君!?あなたには蘭さんが–––」
哀ちゃんの言葉に立ち止まる。
どういうこと?
今哀ちゃんとキスをしていたのはコナン君のはず。
じゃあ、やっぱりコナン君は新一だって言うの?
今のは聞き間違いだ、そんなわけないと願いながら、
もう一度扉の隙間から部屋を覗く。
今度は二人は深いキスをしていた。
そして離れた時。
「工藤君、なんで–––第一、あなたには蘭さんが––」
「愛してる」
もう一度、放たれた哀ちゃんの言葉と、その後続いたコナン君の言葉にその場に座り込む。
じゃあ、本当に––?
でもなんで?なんで私がいるのにあの子と?第一あの子は小学生じゃない。
そこまで考えた時に、気づく。きっと彼女も小学1年生では無いのだと。
コナン君の小学生離れした推理小説の話を理解していたのは彼女だけだったし、
彼女も私には理解できない難しい医学書を読んでいることが多かった。
「な、に、言って––」
哀ちゃんの声が聞こえ、もう一度確かめようと、震える身体を動かし話を聞こうとする。
「気づいたんだ。電話するたびに蘭に催促されるのに、疲れていることを。
待っててくれって言ったのはオレのはずなのに、待ってると言われることを重荷に感じていることを。」
「でも灰原が横にいてくれるとその疲れも取れることを。
いつも横にいてほしいのは、蘭じゃなくて灰原だってことを。」
なんで?そんなのひどいよ、新一‥
「でも、そんな、私はあなたを蘭さんの元に返すために––
あなただって何かあったらすぐに蘭さんを、」
「わかってる。たしかに蘭のことは好きだし、笑顔でいてほしいって思う。」
「だったら、」
「灰原は、オレの手で笑顔にしたいって思うんだ。
蘭には笑顔でいてくれたら、蘭を幸せにするのはオレじゃなくてもいい。
それに、横にいてくれって思うのも、お前の全てが欲しいって思うのも、灰原だけだ。」
なんで?私は新一に幸せにしてほしいんだよ?
「そんな、私は、今までずっと‥」
「解毒薬はもう作らなくていい。
灰原がオレのことを好きでいてくれるんだったら、
工藤新一と宮野志保は二人の心の中だけにしまって、
江戸川コナンと灰原哀として、ずっと生きていこう。
だから、訊くよ。」
みやのしほっていうのは、きっと哀ちゃんの本名なのだろう。
「灰原は、オレのこと、好き?」
コナン君の、いや新一の、震える声が聞こえる。
お願い、哀ちゃん。好きじゃないといって。私に新一を返して。
「いいの‥?第一、あなたをこうしたのは、私なのよ‥?」
どういうこと?新一を小さくしたのは哀ちゃんだっていうの?
じゃあ、新一のそばにいるなんて言うわけないよね。
そんなことしておいて。
「オレが、そうしたいんだ。
じゃあ、いいのか?オレで。」
「駄目なわけないじゃない‥ずっと、あなたを見てたんだから‥」
「良かった」
なんで?なんで?なんで!!
新一は待ってた私じゃなくて、新一をそんなにしたその子を選ぶの?
なんで哀ちゃんはそんなことしておいて新一にうんて言えるの!