日常の中で   作:ひいろ@支部民

3 / 5
3.壊れていくもの

コナンside

 

「なんで!」

 

灰原にOKをもらえたことに安堵しながらもう1度キスをしたとき。

 

扉を開けて、叫んだのは蘭だった。

 

怯えたような顔をした灰原を後ろに隠し、蘭の方を向く。

 

「新一、どうして?どうして?ロンドンで私のこと好きだって言ったのは新一だよ?

待っててくれって言ったのは新一だよ?なのになんで、

その子に愛してるって言うの?私のこと疲れたなんて言うの?」

 

話を聞いていたのだろう。

新一であることはもう誤魔化しようがない。

 

「蘭、」

 

「それに哀ちゃんが新一を小さくしたってどういうこと?

なんで哀ちゃんはそんなことしておいて新一のこと好きだなんて言えるの?私から新一を奪っておいて!」

 

「‥っ!」

 

「蘭!灰原にそんなこと––」

 

「そうよ、私なんかが許されるわけない、そう、思い上がってたのよ「灰原!」くど、くん?」

 

青ざめた顔をした灰原を抱きしめる。

 

「いいか、蘭の言うことは気にするな。悪いのはオレなんだから––」

 

「そうやって新一に守ってもらってたの?卑怯な「蘭、話をしよう。」‥。」

 

そこで蘭には聞こえないように灰原に囁く。

 

「オレが愛してるのは灰原なんだ。資格がないとか考えるな。オレは蘭を少し落ち着かせるから、部屋で待っててくれ。それからこれ。」

 

コクリと頷いた灰原に、機械を渡す。

オレの眼鏡が拾った音が届くようになっている。

蘭を落ち着かせるためと、蘭の言葉で灰原が傷つかないようここからは遠ざけたいが、

自分のいないところでオレが蘭に何を言っているのか、

悪い想像をしてしまうかもしれない。

だからオレの言葉のみを聴かせようと考えた。

部屋に入ったのを確認し、蘭の方に向き直る。

 

「新一、どういうことなの?

説明してよ!」

 

「蘭。まず、オレは蘭とトロピカルランドに行った帰りに、

犯罪現場を目撃し、

口封じとして毒薬で殺されかけた。

でもその薬は試験段階だったから運良くオレは助かったけど、

代わりに身体が縮んでいた。」

 

「じゃあなんで最初からそう言ってくれなかったのよ!」

 

「オレに薬を飲ませたやつらはオレが死んだと思っている。

生きていることがバレたらオレを含め、蘭や周りの人たちまで命を狙われることになる。

だから母さんと父さん、博士以外には言わないことにし、

江戸川コナンと名乗って探偵であるおっちゃんのとこに転がり込んだ。

それで帰れなかったんだ。」

 

「でも時々新一の姿で現れてたじゃない!新一の姿にもどれるんだったら帰ってきてうちとかで隠れて住んでればよかったじゃない!」

 

「オレが時々新一の姿で現れてたのは‥灰原のおかげだ。」

 

「なんでそこであの子の名前が出てくるのよ!

それにあの子が新一を小さくしたってどういうことなの!」 

 

 

「灰原には親がいなかった。

だけど優秀な頭脳を持っていたから、小さな頃からある犯罪組織で、

唯一の家族である姉を人質にとられて様々な研究をさせられていた。

そこで薬を作っていた時、たまたま毒薬が生まれてしまった。

研究を人殺しに使ってほしくない灰原は捨てたが、

組織はそれを灰原に隠して暗殺に使おうとした。

それを飲まされたのが、オレ。

灰原もまた、お姉さんを組織に殺されて抗議したら自分も殺されそうになって、

殺されるくらいならと自殺用に飲んだ薬で、幼児化した。小さくなって逃げ出せた灰原が街をさまよっていたところを、

博士が助け、ここに住むことになった。」

 

 

「じゃあやっぱりあの子のせいで新一は小さくなったんじゃない!なのになんでのうのうと。」

 

「灰原はオレの命を救ったんだ!」

 

「は‥?」

 

「犯罪現場を目撃したオレを、組織は生かしておかない。

灰原の薬が無かったら、オレは他の手段で殺されてたんだ。

それに灰原が解毒薬の試作品を作ってくれてたおかげで、

何度か新一に戻れたんだ。」

 

「だから、灰原については何も言うな。

ロンドンで告白したのに、そのあとでアイツを好きになったことは、蘭に対しては悪いと思ってる。

悪い。

でも、オレはもう蘭をそう言う意味で好きではない。

蘭は、家族みたいなものなんだ。ごめん。」

 

「なんでよ‥」

 

「このことは、誰にも言わないでくれ。

さっきも言ったように、大勢の人たちが危険にさらされる。」

 

「もう毛利探偵事務所には戻らない。

必要なものはあとで取りに行くから。ごめんな、蘭。」

 

「ひどいよ‥」

 

泣きながら、蘭は家に帰って行った。

 

「おや?新一来とったのかね?こんな時間に。

もう毛利くんのところに戻らんと。」

 

玄関の扉がしまったのを見届けてリビングに戻ると、博士が研究室から出てきていた。

 

「博士、もうあっちには住まない。どこに住むかは明日決める。

明日は土曜だよな?じゃあ必要なものは明日持ってくる。

事情も明日説明するから。」

 

「え、ええ!と、とにかく今日は泊まるんじゃな。蘭くんに連絡は?」

 

「大丈夫だから。じゃあ、おやすみ。」

 

「お、おやすみ‥」

 

首を傾げる博士は置いて、灰原の部屋に急ぐ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。