日常の中で   作:ひいろ@支部民

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博士の口調がおかしいかもしれません‥むずかしいです。


4.大切な人

哀side

 

「灰原!」

 

部屋のドアが開けられると同時に彼は私に駆け寄り、抱きしめる。

 

「工藤君‥」

 

「オメェは余計なこと気にすんな。大丈夫だから。蘭も落ち着いたし。

その内いいやつ見つけるさ。」

 

あんなに泣いていたのに‥?

私が彼女から工藤君を奪ってしまったから‥

 

「灰原」

 

彼がキスをする。

 

優しくて、甘い。

 

「オレは、灰原が好きなんだ。それだけ。

それだけのことなんだ。灰原が悩む必要はない。」

 

「ほんとに‥?ほんとにいいの‥?」

 

「ああ。オレが灰原を好きだから。愛してるから。

灰原を幸せにしたいから。」

 

こんな幸せなことがあっていいのかな、お姉ちゃん。

 

「オレの恋人に、なってくれる?」

 

でも、彼が望んでくれるんだったら。

 

「はい。」

 

涙を拭いて、そう答えた。

 

「じゃあ、志保。」

 

「えっ」

 

「二人きりの時はそう呼んでもいいだろ?

工藤新一と宮野志保は、オレたちの中だけにいつづける。」

 

「ええ。そうね、工藤君。」

 

「どうする?博士には言うけど、あいつらには黙っとく?」

 

「吉田さんたちには‥黙っておきましょう。」

 

「んじゃ、ここで寝ていい?」

 

「駄目に決まってるでしょ。客間に戻っておとなしく自分の布団で寝なさい。」

 

「へーい」

 

「じゃあ、おやすみ、志保。」

 

「おやすみなさい、工藤君。」

 

彼は私の額にキスをし、部屋を出て行った。

 

博士side

 

朝。なぜか毛利くんちに住まないと言い出した新一は、至って普通に起きてきた。

 

「おはよー」

 

「おはよう、新一」

 

「もうご飯できてるわよ、工藤君。そこのお皿テーブルに持っていってくれる?」

 

「ん。お、うまそー」

 

「はいはい。早く運んで。」

 

新一を急かす哀くんも、今朝起きてきた時から妙に機嫌がいい。

何があったんじゃ‥?

 

朝食を食べたらまず新一に何があったのかも聞かんとな。

 

**************************************

 

「皿くらい洗うから、志保は座っとけよ。」

 

「そう?じゃあ、お願いするわ。」

 

ん?新一のやつ、今哀くんを本当の名前で、それも下の名前で呼ばんかったか?

 

しかも名前を呼ばれた哀くんは驚いてはいないものの少し嬉しそうじゃ。

 

どういうことじゃ‥?

 

「新一。昨日毛利くんのところには住まないと言っておったが何があったんじゃ?事情は明日説明すると言っておったじゃろ?」

 

後片付けを終えた新一を呼び、二人になって聞く。

 

「あーえっと、蘭にオレのことがバレちまって

「そんなのまた変装や試作品でなんとかなるじゃろ」

いやそれが、オレと志保の会話を蘭が聞いててバレたんだけど、その‥

ちょうどオレが志保に好きだって言った時だったんだ。」

 

「なんじゃと!?」

 

「それで志保のこともバレて‥

オレは新一で、でも蘭に告白したくせに他のヤツ好きになったって蘭はわかってんのに、

いまさらおっちゃんとこで暮らせるわけねーし。

だからここに住ませてくれ!博士、頼む。」

 

新一は蘭くんのことが好きじゃったんじゃないのかの?

哀くんを?

新一の言ったことを理解するのに少し掛かったが、意味がわかると

哀くんの今朝の機嫌の良さや新一が志保と呼んだことも納得がいった。

 

「‥わかった。では新一はここに住むんじゃな?

じゃったら必要なものを持ってこんと‥ああ、有希子くんたちにも言わんとな。」

 

「ありがとう。博士。あ、それと、志保オレの恋人になったから。」

 

「哀くんに何かしたら‥ただじゃおかんぞ。新一。」

 

「わ、わーってるって。じゃあ、博士ほんとにありがとう。

母さんたちにはオレから電話しとくから。」

 

リビングへと戻る新一を見送る。

そうじゃったか、新一が哀くんを‥

びっくりじゃが、哀くんが幸せなら良いことじゃ。

 


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