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飛翔生物殲滅作戦はもはや作戦継続どころの話ではなくなっていた
展開していた護衛艦群のすぐ近くに出現したゴジラと、亀型巨大怪獣
2体はあまりにも艦隊に近すぎた。ゴジラの熱線の様な光熱攻撃でなくとも、少しでも機敏に動けばすぐさま打撃が届くほどの距離
明確に人に対しては攻撃を仕掛けてこないことが確定しているゴジラはともかくとして、亀型怪獣が安全な存在とは限らない
何よりもまず優先されるのは少しでも距離を取り、安全を確保することだ
黒木と佐竹の一喝を受けて各艦の首脳部は混乱から脱し、それぞれに行動を開始
南東と北西にそれぞれ出現した2大怪獣と対極的に、海自部隊はそれぞれ北東と南西に向け艦を移動させる
各レーダー設備も水上の怪獣に対して全てが指向される形となる。それを知っているとは思えないが、飛翔生物は亀型の怪獣を見るや否や異様に興奮したようになり
個々にその場から飛び去って行く
各艦艇からの対応攻撃が不可能だと判断した佐竹は、上空待機中のグリフォン隊、および周辺に配備されている空自航空隊に追撃命令を下した
現場直掩を行っていたグリフォン隊のうち3機、築城基地から派遣された築城基地のF-15とGフォース空軍のF-16部隊がそれぞれに爆音を立てて飛翔生物を追う
一方、怪獣達から距離とを取りつつある各艦艇は、再び攻撃態勢を整えつつあった
ゴジラは飛翔生物を目で追い、飛び立った先を睨みつけていた亀型怪獣に、話しかけるかのように柔らかい鳴き声を放つ
本来ゴジラは温厚な性格で、基本的には外部の見慣れない存在に対してもこうして友好的な態度での接触を行う
これまでのアドノア島への来訪者が攻撃的過ぎたのである
だが、亀型怪獣はゴジラに見向きもしないまま、ずっと空を睨みつけている
まるで狩人が直前で得物を逃がしたかのような苦々しさが、周りの護衛艦にいるクルーたちからも感じられていた
と、亀型怪獣は一転して身をひるがえし、海中に向かって沈んでいく
島﨑艦長は怪獣が移動を開始したと判断し、追尾をソナー手に命じようとして、その手を止めた
艦が揺れているのだ、明らかに異常な速さで、そして怪獣が沈んだ辺りの水面が光っている
揺れが強まり、何かに捕まらなければ立っていられないほどに大きくなる
揺れの強さに比例して、水底から唸るような轟音が強まっていく
瞬間、水中から何かが飛び出してきた。先ほどの怪獣だ。だがその姿を見た一同は驚愕に目を見開く
頭部、四肢、そして尾をリクガメの様に体の内側に引き込み、その代わりに四肢の穴からジェットの様な噴煙とエネルギーを放出しながら上空で滞空している
やがて体を捻るように回転させると、その勢いをジェット噴射で加速させ、まるで円盤の様に超高速で回転しはじめ、飛翔生物を追いかけるかのように全く同じ方向へ向かって飛び去ってしまった
数分後、あいづ後部のヘリ甲板に梓はいた。飛翔生物、怪獣に続いてゴジラもまた移動を始めていた
あいづクルーと一馬に見守られながら、梓はそれを見送ろうとしていたのだ
梓の視線に気づいたゴジラは動きを止め、身を向き直して梓と相対する
迫力に周囲の自衛官や一馬が息をのむ中で、梓だけが優しくゴジラを見つめていた
どんな姿になったとしても、彼女にとって彼は可愛い息子なのである
ゴジラも同じく、瞳には優しい雰囲気が浮かんでいた。尾は甘えるしぐさである左右への旋回振りを行っており、梓の姿を見て安堵しているようにさえ見える
やがてゴジラはあいづが波に揺れないよう、静かに、完全に水中に姿を消した
先ほどまでの騒乱が嘘のように、姫神島近海は静まり返っていた
これ以上この海域で出来ることは何もない。事後処理を黒木、佐竹、島崎の首脳陣が行っていると、空自基地より通信が入る
飛翔生物追跡の任に就いていた戦闘機部隊が、生物が口から放った黄色い光線によって反撃され、Gフォース所属機が撃墜されてしまったという
そのまま生物の追跡は失敗。ゴジラもまた追尾が不可能なほどの深海に身を沈め、足取りを追うことは不可能となり、辛うじて亀型怪獣のみが瀬戸内海への着水と潜水が確認されるにとどまった
明らかだ、作戦は失敗した
例え一回の戦いが失敗に終わろうとも、人と国土が脅威にさらされている以上、行動をしないわけにはいかない
梓と真弓は、大迫や長崎県警のSUMP、Gフォース陸戦部隊の護衛を受けながら再び姫神島に上陸
巣穴から共食いの結果死亡したと思われる大量の生物の死骸と卵の破片を発見
炭素同位元素分析をしたところ、卵は10000年単位で時間を超えた耐久卵であること、ヒナのすべてが雌である事を知る
同時に、一馬等Gフォーススタッフも姫神島近海で撃墜された二羽の生物の遺骸と、追跡して空中で生物と交戦した戦闘機のカメラなどから生物攻略のヒントと見つけようとしていた
そして一馬は、長らく存在意図が不明であった首の部分の音叉状の骨の正体に行きつく
この骨は音波を共鳴・増幅させる為の機関であり、ここで増幅させた音波を超音波の領域で指向性を持たせて口から放出していると一馬たち解析スタッフは見破った
光線で目視可能なまでに指向させ、発射された所謂超音波メスによって、F-16の機体の分子間結合を切断、航空隊を返り討ちにしたのだ
そしてもう一つ、この事実を知って真弓は戦慄した
撃墜された生物の遺骸は、先日最初にグリフォンに撃墜された最初のものよりも一回り巨大化していたのだ
殆どの餌を食べつくした環境で、わずか数日のうちにそこまで成長していたのである
最高飛行速度も一馬の計算では当初より増速しており、このままではこれまでの飛行怪獣の様にミサイルや戦闘機を振り切るほどになるのも遠い話ではないとしている
どこまで巨大化し、どこまで強大となるのか、それまでに果たしてすべての生物を撃滅できるのか
米森と雅子は都内に戻った後、雅子の伝手で紹介された夫拓也が解読した、怪獣の背の遺物に記されていた碑文について説明を受けるため、横浜にある草薙邸を訪れていた
そこで雅子と拓也が驚いたのは、草薙邸に拓也たちの娘みどりが居た事だ
草薙の娘浅黄は、みどりのクラスメイトで友人であり、偶然遊びに来ていたのである
そこで拓也は解読に成功した碑文の内容についての展開を行った
古代のカナダやアイルランドで使われていた古文字、そしてルーン文字との共通点があり、同じ言語圏、或は共通の系統下にある文字である可能性が高く、翻訳自体は容易であったと言う
大いなる水瓶枯れる時、初めにギャオスありき、其は災いの影にして破滅の呼び笛。死の虹、悪なる刃、悍ましき無限、魔の母、汚れた魚、笛の音に応えて、封印を破り目を覚まさん。我等、我々は過ちに驚くが遅すぎき。最後の希望ガメラを時のゆりかごに託す、この言の葉を心得るべくば、ガメラと共に絶望に立ち向かえ
まるで予言のような内容だが、拓也は既にこの内容について察しがついていた
つまりこれは過去からの警告なのである。太古の昔に封印された怪獣が、再び目覚め、人々に牙を剥く可能性がある、まるでかつてのバトラのように
拓也はそう思えてならなかった
そして、碑文と同時に大量に怪獣の背で発見された、勾玉状の物体の材質検証も同時に行われており、拓也はその結果も手にしていた
米森がくすねていたそれは、現在の地球上に存在しているあらゆる金属に該当しておらず、未知の金属でできている事しかわかっていなかった
研究所は通称としてその構成物質をオリハルコンと呼んでいた。オリハルコンとは、かつて大西洋に存在していたという、海の底に沈んだアトランティス文明で使われていたとされる未知の金属の事だ
大西洋と言う点では、このルーン文字の起源とも合致している。超古代文明の存在は怪獣史的にも無視できない存在であり、あながち間違っていないとも拓也と雅子は思っていた
米森は確信していた、あの飛翔生物こそがギャオスで、それを追って現れた怪獣がガメラである、と
米盛からプレゼントされた勾玉が浅黄と緑の手の上で淡く輝いていることに、大人たちはまだ気づいていなかった
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