新生怪獣王戦いの歴史   作:surugana

17 / 45
大変長らくお待たせいたしました、第12話。ギャオスとの戦いも佳境に入ってきます
オリジナル展開も交えつつ、楽しんでいただければ幸いです


第12話

Gサミットに参加していたG対策センターと特殊戦略作戦室のスタッフは、手元にある書類に記された内容について、重い雰囲気のままに議論を交わしていた

拓也が持ち込んだ、亀型怪獣の背に存在していた碑文の解析内容。荒唐無稽と言うのは簡単だが、過去からの警告が持つ重さはモスラの存在から重々承知していた

 

とりあえず、亀型怪獣と飛翔生物をそれぞれ碑文内容に即して前者をガメラ、後者をギャオスと呼称する事が決定

ギャオスに対しての対応は依然変わりなく、速やかに発見し迅速に殲滅する事

異常な成長性と環境適応能力、そしてあらゆる生物を捕食対象とする狂暴性

優れた飛翔能力と組み合わされたそれは紛れもなく世界規模での人類に対する脅威であり、一刻も早い対処は必須であった

現在姫神島から逃げ出した残り5羽のギャオスは、その後西日本各地のレーダー施設のログなどから、複数羽のグループに別れてそれぞれに日本列島沿いに北上している事

飛行速度からの計算で、近畿から東海地方のいずれかの山地に潜伏していると推測されている

現在該当地域ではすべての山々で入山活動が禁止され、人口密集地では特生自衛隊が中心となって投光器が設置、陸上自衛隊は航空自衛隊と協力して過疎地からの住民の避難が行われ、港湾部では派遣された護衛艦が投光器の役目を果たしている

しかし、真弓と梓は一つの懸念があった

 

いずれギャオスは太陽光すら克服するのではないか?

元々夕暮れ時とは言え、完全に日が没する前に飛びたてるくらいには光に耐えられるのだ

あの黒々とした巨体が青空の下を飛び回るようにならない、とは誰に言えただろう

 

一方で、ガメラへの対応についてはあまり進展がなかった

彼の怪獣が果たして明確な人類の敵か如何かがまだ不明だったからである

今回ガメラは水上に出現してギャオスを攻撃し、取り逃がした末に追跡しその場を後にした

碑文の内容が確かであればあれが狙っているのはギャオスただ一つ

結果的ではあるが、陸上に上陸して都市に被害を及ぼしたわけではない。だが実際に内陸にギャオスが出現し、人口密集地周辺で戦闘になった場合、ガメラは果たしてどういった行動に出るだろう

最期の希望と言われる通り、人類を守護することを優先するか?それとも周辺への被害など関係なくギャオスを滅するには手段を択ばないのか?

 

かつてのジュニアやモスラは、移動過程で建築物の破壊被害こそ発生させているが、両者とも意図的に破壊しないように動いていたことが、研究の結果判明している。が、ガメラはどうなのかはわからない

甚だ身勝手ではあるが、たとえギャオスを倒すという点で利害が一致していたとしても、その過程で出る被害を無視することは出来ない。そこで銃を向ける相手かどうかが決まるのだ

 

結局は状況次第で、以上の結論は出ず。会議は終了となった

 

 

同日夜、高知県室戸市に住む住民が、南の海が青白く発光し爆発音を耳にすると言う現象を体験

翌朝にはすぐ近くの高岡漁港にギャオスの翼の破片と思われる物体が多数流れ付いた

現場に急行したGフォースと特生自衛隊は回収した肉片の破損状況から、ゴジラの熱線を受けてはがれ飛んだギャオスの破片と推定、海上自衛隊が周辺の海域を捜索するも死骸は発見されなかった

夜のうちにこの海域でゴジラとギャオスが交戦したのだろう

夜に室戸市民が目撃した発光と爆発音もこの戦闘であったと思われる

 

一向に謎なのは、日本中のレーダーサイトが稼働している中で、なぜ移動しているギャオスが捕捉できないか、であった

梓と真弓は非常に低空を飛行し、かつ夜間も明かりが強い人口密集地を避けて移動しているためにレーダー網に掛からないのではないか、と言う仮説を建てるも、決定的とは言えない

 

 

さらに翌日、事態は動いた

小豆島近海で、ガメラ探索を行っていた海自の潜水艦がガメラを補足。ソナー音を聞いたガメラは覚醒し、両足だけを格納した高速飛行形態になり一気に浮上、海面から飛び出し東に向かって飛行した

通達を受けた空自の偵察航空隊をも振り切り、長野県上空で姿を再び消す

 

そのニュースを高校で聞いた浅黄は、ガメラの元に行かなければ、と言う強い衝動を感じ、思わず高校を飛び出す

慌ててそれを追いかけ引き留めるみどり。だがみどりも同じような衝動を感じ取っており、一人ではなく一緒に往こうと提案し、ある人物に電話をかけた

出たのは拓也だった

 

 

 

同日の夕方ごろ、米森と草薙は木曽山脈のふもとにある宮田村に向かっていた。ギャオスの足取りを追っていた真弓たち調査隊に、付近の山から異様な鳴き声のような音がするという情報が入り、一足先に現地位置していたのだ

ちなみに梓と一馬は連れて来ていた一也少年の事も考慮し調査隊からは離脱し、一足先に都内の実家に帰宅していた

 

遠くから半鐘の音が響いていることに米森は気づく。間違いなく何かが起こっていることを二人は察し、車を加速させた

 

 

到着した天竜川沿いにある村に、やはりギャオスはいた

全身に傷を負い、夥しい量の血を滴らせながら、牧場の家畜舎に顔を突っ込んでいる。ゴジラに攻撃され、肉片をばらまいたのはこの個体だったのだろう

闇夜に紛れて何とか逃れ、この地に隠れ付いていたのだ

消防団や自分たちの護衛についている自衛隊員と共に村民を避難させ、逃げ遅れた少年を連れていた真弓は、牛や豚を貪るギャオスの傷が急速に回復していることに気付く

驚異的な生命力だ。と、すべての家畜を胃に納めたギャオスが顔を持ち上げ、首を動かす

次の得物を探しているのだ。このままではそれは自分たちになる

 

少しでも距離を、と駆ける真弓。だが吊り橋の中央で、橋床の裂け目に足を取られ転倒。抱きあげていた少年が痛みと恐怖で限界を超えて号泣し、その泣き声にギャオスが気付いてしまう

ゆっくりと、まるで愉しむ様に低速で浮上し真弓に向かうギャオス

そこに避難民をすり抜けて米森が現れ、間一髪で二人を伏せさせギャオスの牙から救いだす

起ち上って駆けだす三人に、狩りを妨害され怒ったギャオスが再び攻撃を仕掛ける。口を大きく開くと、超音波メス『ヴァイブレート・レイ』の発射段階に入った

口から放たれる高周波は人が耐えられる代物ではなく、吊り橋を支えるボルトがはじけ飛び、米森の腕時計も表面のプラスチックが砕け散ってしまった

そして音に苦しみ倒れる米森と真弓、せめて子供だけはと折り重なる二人に、ギャオスがヴァイブレート・レイを放つ

 

だが、その光が三人を切り刻むことはなかった。谷底からガメラが現れたのだ!

ガメラは腕を三人の盾にするように差し出し、その身でヴァイブレート・レイを受ける

甲羅ほどの耐久性はガメラの皮膚は持たない。表面を超音波で破壊され、緑色のガメラの血が米森達の周囲に降り注ぎ、鉄が焼けるような嫌なにおいが充満する

 

ガメラが自分たちを救ったと判断した米森は、それ以上ガメラが傷つかぬようにと最後の力を振り絞って吊り橋を渡り切り、草薙と消防団員がそれを出迎える

 

三人を目で見送ったガメラは、どこか安心するような表情で頷き、鋭い視線をギャオスへと向けた。そこに宿るのは怒りだ、か弱い存在を甚振り、悦んで殺す虐殺者への怒り

 

それを受けて脅えるのはギャオスである。自分の傷では目の前の宿敵には敵わない。恐れ慄いたギャオスは一目散にその場を逃げ出し、ガメラは再び空へとそれを追跡する

 

米森は確信する。ガメラは人類の味方だ、と

 

 

ギャオスを追うガメラは南東方向に高速で飛行していた

と、櫛形山上空に差し掛かったガメラの甲羅のスリットから光が漏れだす。大きく口を開けて息を吸い、それを吐き出すと漏れ出ていた光が口中に収束し、巨大なプラズマの火球となって打ち出された

ガメラの放ったプラズマ火球『プラズマブリット』はギャオスに一瞬で着弾し、断末魔を上げる間もなく5羽目のギャオスは殲滅された

 

空自と特自の航空隊にスクランブル発進の命令が下る。

ガメラを追跡していたレーダーに、ガメラ以外の飛行体の存在を知らせるランプが灯った

 

隠れていた4羽のギャオスたちだ。傷つき役に立たなくなった同胞を囮に使ったのである

ガメラの後ろを取ったギャオスたちはヴァイブレート・レイを一斉に発射。脚の噴射口の周囲に攻撃を集中させ、大ダメージを与える

痛みに悲鳴を上げながら、なんとかギャオスに反撃を加えようとするが、直線速度で勝りながらも運動性ではガメラは勝てない。そして何より数が違う

 

 

自衛隊はギャオス迎撃の為に部隊を展開していた。富士駐屯地所属の、98式ハイパワーレーザービーム車<改>が導入され、戦闘機部隊と連携し攻撃の機会を探っている

だが空中の怪獣同士の戦いは目まぐるしく、なかなか狙いを絞れない

 

ガメラとギャオスは戦いながら更に南寄りに進路を変更、芦ノ湖上空を通りすぎ、湯河原から真鶴の上空に差し掛かっていた

4体のギャオスはそれぞれ速力が低下したガメラを取り囲むように分散し、四方八方からヴァイブレート・レイや、柔らかい頭や腕を狙って脚の爪で切り裂くように攻撃を仕掛けていく

 

 

悲鳴を上げながら避難する群衆を尻目に、それを見つめる3人の姿

浅黄とみどり、そして拓也だ。みどりは拓也を呼び出し、無理を承知でここまで車で連れてきてもらっていたのである

かつてのモスラ事件の際、みどりに大きな迷惑をかけた拓也はそれ以来彼女の願いをどうしても断れないでいる。今回もそうだった

 

やがてバランスを崩したガメラは真鶴岬の山間に落着、木々を薙ぎ払いながら仰向けに力なく横たわってしまった

そこに飛来するのはギャオスだ。巨大な餌を貪るように首筋や腕に噛みつき、肉片を引きちぎろうとする

 

するとどうだろう。浅黄とみどりの二人の腕や首筋、ガメラが傷ついた所と同じ部位にうっすらと傷が浮かび上がってくる

ガメラのギャオスへの怒りと受ける痛みが、二人が手を重ねて握りしめる勾玉を通じて伝わってくる

それを察した拓也は二人に勾玉を手放すよう叫ぶが、二人は首を横に振るばかり

これがガメラと人のつながり、これがなくなればガメラは勝てなくなってしまう。と

 

 

 

ギャオスにまとわりつかれて藻掻いていたガメラの動きが段々と緩慢になっていく、と同時に、仰向けになった腹部の皺に赤い光が灯ったのを拓也は見つけた

G対策センターでも、探査衛星による分析の結果、ガメラの体内温度が急激に上昇していることが分かる。かつてメルトダウンを起こしたゴジラ程ではないが、生物が発する熱としては明らかに異常だ

 

浅黄たちにもそれは伝わっていた。丹田を中心に全身が紅く火照って高熱が起こり、立っていることもままならなくなった二人はその場にへたり込んでしまう

 

腹の赤い光はガメラの全身に血管の様にいきわたり、とうとう体そのものが紅く発光し始める

それが何を意味するのか、拓也は理解した。自爆するつもりなのだ、ギャオス諸共に

そしてそれが起これば、今ガメラと同調している娘みどりと浅黄はどうなってしまうのか?

 

 

意を決した拓也は二人の手に自分の掌を重ねて勾玉に向け怒鳴りつける

自分の娘を勝手に巫女扱いしておいて、自滅にすら巻き込む等ふざけるな、二人はまだお前を信じているのにお前が一番最初に諦めてどうするのか

俺はまだみどりの嫁入り姿も見ていないし、孫だって抱いていない。こんな所でこんな形で娘を喪うわけにはいかない、と

 

 

そして浅黄とみどりも必死にガメラへ思いの丈を叫ぶ。人を信じて欲しい、私達も一緒にギャオスに立ち向かう。だから諦めないで一緒に歩んで、と

 

 

果たして、その声はガメラの心についに届いた。自爆シークエンスを急遽停止したガメラは、四肢と頭を体に格納し、最後の力を振り絞り、四肢のブースターからチャージした自爆用のエネルギーも込めた赤いジェット炎を放出しながらその場で高速で回転する

高熱の強化ジェットを回転しながら放出し回転する『スピニングフレイム』によって焙られたギャオスたちは熱に耐えきれず急上昇、ガメラも一時空中へ避難し、その隙を指揮所に居た黒木は見逃さなかった

 

 

待機していた航空隊と陸上部隊に一斉攻撃を命令。各戦闘機から一気に空対空、空対獣ミサイルが発射され、地上のハイパワーレーザービーム車からも青白いレーザーがギャオスに向け放たれる

レーザーは集中して一羽のギャオスに向け照射された

その高熱は左右両方の翼を貫き、胴体と頭部にも次々と突き刺さって一瞬でその一体の命を奪う

もう一羽は地面ギリギリで弾幕をすり抜け、木と稜線を盾にミサイル攻撃をしのいだ

残り二羽は回避行動が間に合わずミサイルが殺到した、が

二羽のギャオスは同時に口から向かってくるミサイルに向け、高周波を放出した。ヴァイブレート・レイとして指向されるほどの収束率はないが、放射状の範囲に向かって放たれた高周波は互いに増幅しあって強化され、範囲内にあったミサイルすべてを破壊してしまう

数発ほど範囲攻撃を逃れたミサイルはあったが、それも航法装置などに異常が発生してギャオス追尾は不可能となり、空中で自爆処理させられる

 

爆発の光と煙を陰に二羽のギャオスは富士の樹海方面に逃走、残る一羽は低空で海の、拓也と浅黄たちがいる場所に向かっていた

ガメラ殲滅を邪魔された八つ当たりとばかりに、大きく口を開いて狂気の叫びをあげながら三人に迫るギャオス

ついにヴァイブレート・レイが発射され、せめて二人だけでもと浅黄とみどりを庇う拓也

 

 

だが、攻撃を受けた痛みはなく、自分の周りが異様に暗くなっていることに気付く

 

目の前に壁があった

青緑色のごつごつとした、岩の様な壁…否、それは巨大な『尾』であった

 

みどり達を庇い、超音波の刃を自らの身で受け止めながら、ゴジラがそこに姿を現していた

 

慄くギャオス、だがすべてがもう遅い

まるで姫神島の時の生き写しの様に、ゴジラは熱線で目の前のギャオスを粉砕した

 

黒焦げになって真鶴の海に散らばっていくギャオスの遺骸。ゴジラはすぐ近くにいるみどり達を潰さないように、静かに唸って勝利の味をかみしめ、顔をみどり達に向けた

 

ゴジラの視線を受け、かつてインファント島近海で先代のゴジラに殺されかけた拓也は息をのむが、みどりと浅黄は、自分たちを救ってくれた頼もしい尾に手で触れる

湿った冷たい感触の奥に、ほんの少しだけの温もりがある

 

ありがとう、と拓也に連れられてゴジラから離れつつ二人が感謝の声を上げて手を振ると、安心したようにゴジラは頷いて顔を上げた

 

その先に居るのは、全身に傷を負いながらも未だ健在なガメラの姿

 

再びゴジラは大きく咆哮する。思いをガメラに届かせるように

 

そして、今度はガメラもそれに応えるように叫びをあげた

 

二大怪獣の咆哮が木霊する。決戦の時は近かった




書いてて思いましたが藤戸さんが便利キャラすぎる…もうちょっと他の登場人物との配分も考えねば

後勾玉でこっちから訴えかけられるかどうかはオリジナルでございます。どうもあれ使って人とリンクする意味って原作だと描かれてなかった気がしたので、こんな感じとなりました


ちなみにこの時空ではVSモスラで幼虫が護衛艦に体当たりしたのは無かったことにしています……

誤字脱字など発見されましたらどんどんご指摘くださいませ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。