新生怪獣王戦いの歴史   作:surugana

18 / 45
丁度いいところで区切れたので、今回は少し短めに
いよいよ次回、GGVSギャオス決着!……まで行けるといいな




第13話

ゴジラ、ガメラは海へ、そして自衛隊の攻撃を逃れた残り2羽のギャオスは富士樹海に姿を消した

数日後自衛隊とGフォースは樹海を中心に、富士山周囲に避難命令を発令。無人となった富士吉田市内に移動司令部を設置し、地上部隊を展開

樹海を包囲しギャオス捜索を行っていた

しかし、敵を一か所に追い詰めつつも最後の詰み手に至るまでが難航を極めている

 

理由は敵、即ちギャオスが潜伏している場所にある

青木ヶ原樹海は南北およそ8km、東西はおよそ6kmに及ぶ広大な原生林で、その中を貫く国道71号線は戦闘車両の展開には狭く、ギャオスが降下したらしき箇所も71号線から最短距離で2km、遊歩道を迂回しながら進めばそれ以上の距離を歩かなければいけない

視界の効きにくい森の中を数kmにわたって歩兵戦力だけで行軍するのは非常に危険であり、日が落ちればギャオスからの襲撃の可能性も発生し危険度は更に高まる

更に、偵察衛星が樹海内を偵察したところ、地上部にギャオスの姿は確認できず、おそらく樹海地下、かつて噴火した溶岩の隙間に構成された洞窟内部に潜伏している可能性が高かった

 

視界が効かず行動が阻害される場所を長距離進み、更に行動が制限され逃げることもままならない洞窟の中に突入するなど自殺行為に等しい

 

かと言ってこのままではさらにギャオスの成長は促進され、巨大、狂暴になるだろう

 

Gフォース側からハイヤード隊とMPM部隊を編成して、航空支援を受けつつ地上から進軍する事が一番安全性が高いと提案され、自衛隊、CCI側も轟天号の出撃準備に入った

最悪の場合、天然記念物に指定されている樹海を上空から制圧爆撃で焼き払ってでも、ギャオスを殲滅するべしという機運が高まる

 

真弓と米盛は会議を複雑そうに見守るしかできなかった

 

 

 

会議終了後の午後である

真弓と米盛は、梓と彼女と一緒にやってきた未希に連れられて、茨城にある筑波生命工学研究所を訪れていた

撃破されたギャオスの遺骸から採取された染色体の解析が完了したのだ

出迎えたのは未希の古くからの知り合いである同研究所の研究主任、桐島一人

 

会議室で一人は、苦々しい表情で解析結果の顕微鏡写真をプロジェクターにセットする

壁に映し出される電子写真に写る染色体は僅か一対。真弓や梓はもちろん、未希や米盛もその写真に疑問を抱く

染色体とは、簡単に言えば生物が進化の過程で経験してきたデータを蓄積した設計図ともいえる有機物質だ

長い時の中で進化と変異を繰り返す生物は、現在の生態において無駄ともいえる染色体を複数持つのが当然であり、一対しかないと言うのはありえない

現在確認されている中でもっとも染色体が少ない生物は、2対だけのトビキバハアリ

最大がシダ類の630対。人間ですら23対存在する

しかも、一人が言うにはたった一対の染色体に様々な生物の作用部分が混ざり込んでおり、サンプルとなった4羽のうち2羽の染色体がXX、1羽がXY、最後の1羽に至っては部位ごとにXXとXYが混在していたという

 

一人は言う、こんな遺伝子を持った生物が自然界に自然に存在するなどありえない

間違いなく、人為的に生み出された生物、しかも戦闘と殺戮に特化した生物兵器である、と

単位生殖で爆発的に繁殖し、地球上のあらゆる場所に適応、進化し、そこに居るあらゆる生物を食い尽くす

ガメラの碑文にあった通り、ギャオスこそ災いの影だ

絶句する全員の前で、一人は小さくつぶやいた

 

どうやら、人間は既に自分達の過ちに一回滅ぼされた後らしい

 

 

 

夕方、一行は一人と別れ、つくばの生命科学センターを訪れていた

先日ガメラと精神を同調させ、疲労から意識を失った浅黄とみどりがここのメディカルセンターに入院している

元々は地元の病院に搬送されたが、精神的な疲労が原因で、自分以外の他者と精神同調を行った後なら本格的な検査が必要だろうから、と未希と一人の妻でセンター長を務めている桐島明日香博士の提案で受け入れられていたのだ

一行を出迎えたのは飛鳥、草薙、雅子、両ほほに絆創膏を付けた拓也だ。今回の一件で娘を危険にさらしたため、草薙と雅子に一発ずつ顔を殴られたのである

 

病室でベッドに横たわり、安らかに呼吸している浅黄とみどり。物理的な傷はほとんど癒えているが、今も数時間眠っては十数分だけ目が覚め、またすぐ眠りにつくのを繰り返している

怪獣と言う巨大な生物と精神を同調させると言うのは、人間にとってはそれだけ難しく危険な行為だと言う事だ

かつては才能に溢れた未希すら、ゴジラを足止めするために精神力を使い果たし数日間意識が戻らなかったこともある

 

2人のカウンセリングは未希自身が行っており、精神面での後遺症もほとんど見られず、次に目を覚ませば後は簡単な検査だけで退院できるだろうと判断されている

その報告に、不安な情報ばかりが押し寄せていた一同は胸をなでおろした

 

 

 

しばらくして、浅黄の元に残った草薙以外の一行は入院棟の屋上で休憩をはさんでいた

そこで真弓が言う。なぜガメラが生み出されたのか。ギャオスはアトランティスで最初生物兵器として生み出され、戦争に投入されたのではないか

実際、インファント島の遺跡の発掘・研究結果からおおよそ1万2千年前、まだコスモスの文明が崩壊するよりも前に、当時の古代文明全てを巻き込んだ大戦争があった可能性が示唆されている。と未希と拓也が情報を補強する

だが、アトランティス人はギャオスの制御に失敗、暴走し増えすぎたギャオスはアトランティス自身にも牙を剥き、そしてアトランティス文明、或はその中の良識的な人々が、はギャオスを殲滅するためにガメラを新たに生み出した、しかし間に合わなかった

それでも、後の世に再びギャオスが現れた時、その時代に生きる人々の為にガメラを託し、歴史から消えていった

 

厄介な問題を残してくれた。とぼやく米盛に、私達だって人の事を言えない、と長峰がいい、梓とみどりが同意する

 

過剰な環境破壊による生態系の崩壊、核廃棄物の問題、そして、怪獣

繁栄に身を任せ、取り返しのつかない事態になっているのかもしれない

だが、それでも生きたいと思うのが人間だし、それが当然である、とも拓也と米盛は言う

 

今人間は、自らの過ちを償いながらも必死に生き残ろうとする道を探す、最後のチャンスの中にいるのだろう

怪獣、異星人、自らと違う存在との共存の模索

核に頼らないエネルギー資源の獲得

 

難しく、そして成功するかどうかもわからない。だがそれでも挑まなくてはいけない、人と人とが争い合っても生きていける時代は、おそらくもう終わってしまっているのだから

 

未希の言う言葉にうなずき、この問題を解決すると改めて決意する一同

だが、そんな決意をあざ笑うかのように、G対策センターの敷地一体に警報が鳴り響き、職員たちの動きがにわかにあわただしくなる

と、そこにGフォースの制服姿の功二が慌てて駆け込み、告げる

 

二羽のギャオスが江の島海岸に出現した

 

 




誤字脱字など発見されましたらどんどんご指摘くださいませ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。