新生怪獣王戦いの歴史   作:surugana

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あけましておめでとうございます。今回もだいぶ期間が空いてしまい申し訳ありません!

話の区切り的に一気にここまで行かないと見せ場にならない!と思い今回だいぶ長くなりました
ですが、ゴジラ世界でバルゴンと戦うならこれは必須だよな…?と言う装備と、バルゴンを生物兵器として見た場合の利点や弱点などの理屈付けはうまくできたかなーと思います
また本年もこんなSSですがよろしくお願いします!


第20話

日向灘上空、冷たい風が吹き渡る午前六時。

薄らと東の空が明るくなり出した頃、南西方向から飛来する4つの飛行物体をレーダーが感知

速やかにIFFが味方の識別信号を受信しレーダー上に米軍の最新鋭戦闘攻撃機であると判別した

 

XF/A-1 ナイチンゲール

前進翼状態と後退翼の二形態に可変する主翼、コクピット横の大型カナード翼を持つ特徴的な外見の機体で

日本のXF-1同様重力制御操縦補助装置を搭載し、驚異的な機動性を有している

パイロットは元アストロノーツと言う異色の経歴の持ち主グレン・ニック大尉以下4名

ランブリング所属の第887特殊戦術飛行隊である

轟天号の艦橋後方の装甲版が展開され、解放されたデッキより4機が艦内に格納されると、轟天号は北へと転進し再びバルゴン追尾の任務に就くのだった

 

 

日も昇った午前、先日よりもわずかに解凍が進んだバルゴンの凍結を今日も自衛隊、Gフォース、警察や消防民間のボランティアが必死に破壊する作業を続けている頃

黒木達の元にニューギニアから連絡が入った。

沈没したマクロムの船から救助された二人の生存者が目を覚まし、現地捜査員の事情聴取を受け船が沈没するまでの経緯が判明、国連を通じて情報がもたらされ集まった黒木やGフォース上層部の前で開示される

 

生存者の一人、今回事情聴取を受けた男はマクロムに雇われた宝石検査を行うためのレーザー照射装置の技師だった

マクロムはティアボー島から発掘した巨大なオパールをさっそく船内の様々な検査機材に掛けた。

レーザー、プラズマ、赤外線、紫外線、α線、β線、γ線、X線

ありとあらゆる最新検査機材に次々と掛けられ、その巨大なオパールのデータが集まってくるうちにマクロムの笑みはどんどん深まっていたという、その時までは

 

突然、オパールが光り始めた。目が眩むほどのまばゆい閃光を放ったかと思うと、高熱を帯び、機械を溶かしながら床へと転がると、蒸気を噴き上げながら罅が入っていく

見守っていたマクロムが何事かと目を向けると、オパールのようだった宝石は黒く焦げ付き、割れた内側から大型犬か狼ほどの大きさの一体の生物が現れたという

それはおもむろにこちらに目を向けると、検査室の強化ガラスを砕きながら飛び出しマクロムの首筋に噛みついた

悲鳴を上げる間もなくマクロムは息絶え、その死体の肉を獣が貪ると同時に凄まじい冷気が周囲を凍らせていく

壁、床、天井、機材、そして恐怖に慄く船員たちすらも巻き込んで冷凍地獄は広がっていき、男は慌てて船の上層へと逃げ始めた

だが段々と船が揺れ始め、獣の鳴き声はどんどんと大きくなっていく

船の竜骨が軋む音が鳴り響き、激しい揺れにある者は海へ、あるものは裂けめに落下し、階下から飛び出して来た触手の様なものに巻き取られて行く者もいた

やがてデッキ近くまで男は逃げてきたが、甲板を突き破っていつの間にか数十mまで巨大化した獣の頭が現れた

船は崩れ始め、猛烈な冷気に全身が凍り付きそうになる

そこから逃げることもできないと思った男は船内の倉庫に逃げ込むとそこに冷却装置が故障した業務用冷蔵庫があることに目を付ける

外部の温度変化を遮断出来、頑丈なこれに入れば…と考えた男は激しい揺れの中で必死にもがいて冷蔵庫の中に入り込み扉を閉めた

同時に耳をつんざかんばかりの怪物の―バルゴンの咆哮が鳴り響き、落下する感覚と水面に冷蔵庫が叩きつけられる衝撃で男は意識を失い

再び意識を取り戻したのはニューギニア海軍の救助部隊が冷蔵庫の扉を開いた時、腕を掴まれ助かった事を理解すると同時に再び意識を失った

と言う事である

 

G対策センター長官の権藤千夏とG生物研究所の青木義郎博士は、この証言と先立ってティアボー島に到着したG対策センターの研究団による遺跡の調査データを比較する

ティアボー島の遺跡を調査した所、インファント島の先住民であり超古代文明の生き残りであるコスモス族が使う古代エリアス文字で記された碑文と、ガメラの背で見つかった石碑より発見された通称『ガメラ文字』で記された複数の碑文を発見していた

それはバルゴンが数千年に一回のスパンでこの遺跡より生み出される、成長しきる前に速やかにダイヤモンドを使って水に沈めて殺せ、と言う内容であった

 

そこから青木博士は、マクロムが船内で行った卵への複数のエネルギー照射がバルゴンを異常活性化させ、本来ならば生まれた直後は小型なはずのバルゴンを巨大化させたのではないかと推測

千夏もそれに同意し、また一つ人類の過ちが怪獣を生み出してしまったと痛恨する

 

一方、何故バルゴンについてエリアスの言葉で記されていたのか、そして今バルゴンは何を求めて九州を北に進んでいるのか、と言う疑問に突き当たった

産まれてすぐのバルゴンはダイヤモンドによって誘導されると言うが、巨大化したバルゴンは健一郎らが行ったダイヤモンドによる誘導に興味を示さなかった

それはバルゴンがダイヤモンドよりも優先する何かがあると言う事に他ならない

それに悩んでいると、会議で使われる円卓の中心が突然発光し、閃光の後にある文様が光で刻まれた

十字の周囲4方向に延びる8つの光、それは間違いなくモスラの紋章だ

異変を察知した警備兵がドアを開けると、そこに1人の女性が入ってくる

平田ミカ。かつてベビーゴジラの卵に付着していたシプニオキスからサイキックメロディを再現した超能力者の一人で

今は半引退している新城未希に変わってサイキックセンターのサイコメトラーとしてGフォースに協力している

 

彼女は動揺する会議室の面々を落ち着かせると、手をモスラの紋章にかざして精神を集中

すると紋章の上に、モスラの精神の分離体であるフェアリーとオレンジ色のゆったりとした民族衣装姿の女性が二人現れた

 

コスモス

1万2000年前に崩壊した古代インファント文明の末裔、モスラの巫女を務める二人の小美人だ

彼女達はGフォースの面々を前に挨拶もそこそこに、まずはバルゴンの対応に動けない事を詫びた

モスラは外宇宙の隕石破壊と異星人のアサルトボードとの戦いで生命の殆どを使い果たし、次の世代に命を繋ぐために今インファント島を離れることが出来ないでいる

こうしてフェアリーを伴って幻として皆さんの前に現れるのも少しずつ溜めた力を使い、ミカさんの手助けがあってやっと出来たのだと

 

続けて、麻生司令の何故バルゴンの事を知っているのかと言う問いにも、彼女達は答えを示す

バルゴンは古代インファント文明をはじめとした超古代文明が全盛期であったころ、地球全体を巻き込んだ世界戦争で生み出された兵器の一体であり

現在の南アメリカ大陸で興った文明がアマゾンに住む爬虫類を母体に改造した怪獣兵器である事

それが海を渡ってかつて太平洋にあった巨大大陸ナーカルで栄えていたムゥ連邦帝国と古代インファントに攻め込み、モスラとムゥの守護神である龍神によってある山脈に封じられた

その後にナーカル大陸が天変地異と怪獣、外宇宙からの侵略者と言った多重災害によって海底に没し、山脈の一部が今のティアボー島になったという

そして、バルゴンの卵が安置されていたティアボー島最奥の遺跡がある島最大の山

その山そのものが、なんとモスラと龍神によって倒されたかつてのバルゴンの遺骸だった

正確には、モスラに倒されたバルゴンの遺骸が長い月日の間に地層の中に埋もれ、バルゴンの体格に沿って堆積物が蓄積された結果山になってしまったのだ

 

バルゴンが生み出された目的がコスモスから明かされる、それは衝撃的な内容だった

バルゴンに備えられた能力は三つ

まずは超低温エネルギーを体内で生成し、冷線として放射し侵入した敵対国の国土を氷結させる

もう一つは背中から放たれる超高出力のプラズマエネルギービーム。最大出力で放たれたそれは成層圏やそれよりもっと高度が高い磁力線圏まで到達し、地球を有害な放射線や紫外線から守っているオゾン層や放射線帯に干渉・破壊し宇宙から降り注ぐ有害なエネルギーで敵国領土を物理的に汚染・破壊し生物の住めない土地にする事

最後の一つは、マナを用いて強制的な自己循環だと言う

マナとは、一個の生命体である地球そのものがもつ超自然的なエネルギーで、地下にある次元空間のズレた流動路、俗に言うオカルトや風水で気脈や龍脈と呼ばれる地球の血管を流れているもので

それをエネルギー源として、敵国領土内で自分自身を自爆させるのだ

半径数kmを巻き込むほどの大爆発と凄まじい圧力はバルゴンの肉体を形成している各種有機物の性質を変化させ、爆発の後に残る遺骸はそのまま新たなバルゴンを生み出す生体工場となる

こうして適地を侵略、崩壊させつつ自分自身を複製することで相手の領土の価値を低下させ国力を低下させ国土自体を疲弊させる。それがバルゴンの生み出された目的なのだ

 

 

では、モスラに倒され死んだはずのかつてのバルゴンがティアボー島の遺跡の中枢であるならば、何故数千年に一度バルゴンの卵が生み出されるのか

カレンたちの疑問にコスモスたちはあくまで推測、と前置きをしたうえで

現在のゴジラよりも巨大な体格になっていたかつてのバルゴンをモスラは完全に封印することが出来ず、体内の生育器官がほんのわずかながら機能を維持し、長い長い時間を掛けて卵を生み出していた

そこに、古代文明の崩壊から生き延びた古代インファント文明の人々が漂着しバルゴンを発見、封印を強化することも補強することもできない彼らは定期的に産まれたバルゴンの幼体を駆除することで世界に氾濫するのを防いでいたのだろう

やがてユーラシア大陸から入植してきた現在のティアボー島の先祖たちにそのしきたりを教えてきたのだと述べ、最後に本来バルゴンが目覚め人の手に余るほど強大になったなら私達とモスラが対処するべきだが、それが出来るだけの力が今のモスラには無い、と二人は頭を下げた

そして、おそらく今の急激に巨大化し性質が変異したバルゴンはマナを自力で吸収することが出来ず、代替となるエネルギー源を求めているのだろう、とも

 

 

 

各方面から上がってくる情報が、まるでパズルのピースの様に噛み合い一つの形に組みあがってくる

結局はまた、欲に目がくらんだ人間が原因の自業自得だったわけだ

それでも、無辜の人々が怪獣の手によって命が奪われることだけは何としても防がなければいけない

この場にいる面々が必ずやバルゴンを撃滅すると改めて口にし、そして一番肝心なバルゴンの弱点をコスモスに質問しようとすると、まるで映像にノイズが走ったかのようにコスモスたちの姿が乱れ始める

実は、コスモスからテレパシーを受け取ったミカが自身の超能力を使い中継器の役割を果たし、自分の脳内に送られてくるコスモスたちの姿をこの場に投影していたのだが

彼女自身の精神力がもう限界となり、その中継が途切れてしまった

その場にうずくまってしまったミカを精神センターのスタッフが抱えて退席していくのを一同は感嘆の思いを込めて見送る

弱点こそ聞き出せなかったものの、入手できた情報はどれも値千金の価値がある

バルゴン攻略にあたり必要な情報は後二つ、弱点とバルゴンが何を求めてどこに向かっているかの目標だ

 

後者に関して、自衛隊とGフォースには心当たりがあった

熊本県の上益城郡にある陸上自衛隊大矢野演習場、その地下50mに作られた第六特殊機材格納庫

自衛隊とG対策センターの中でも限られた人間のみがその所在と内に保管されている機密倉庫で、耐熱合金NT-1Sを加工した100枚もの積層装甲版によって隔離されたそこには、かつて福岡に襲来した宇宙怪獣スペースゴジラが形成したバトルフィールド、その結晶が保管されている

大半の結晶生命体はスペースゴジラの死後に内包していたエネルギーの自然放出で消滅したが、エネルギー漏洩を遮断できる程に成長した一部の結晶体はエネルギーを内包したまま、消費しきるまでは生命活動を続けており

迂闊に破壊しようとした場合は危険である事、またこの結晶生命体の構造を解析することでエネルギーを効率よく制御、管理する技術を獲得できることが想定されたため、本演習場の地下に作られた特別格納庫で隔離保存されている

現に現在Gフォースが開発を進めている新型対G兵器や轟天号に施された抗エネルギーコーティングは、この結晶生命体の構造を再現し従来の人工耐熱ダイヤモンドコロイドと混合したものだ

格納庫内部に保管されている結晶生命体が内包しているエネルギー総量は電力に変換した場合大都市を一か月間淀みなく稼働させるのに十分な量であり

バルゴンはこれを目指し現在も九州を北上していると思われた

 

バルゴンが求める物、それも今白日の下にさらされた

これをバルゴンが手に入れればコスモスの語った大爆発をバルゴンが起こし九州に大きな被害が出るだろう

だが逆を言えば、バルゴンがこれを求めている限り、これを使って誘導することも可能なのだ

そこに、福岡の大学から連絡が入った。モニターに映るのは伊集院博士、目の下に隈が出来無精髭が生えたまま、見た目を取り繕う暇もなかったのだろう

開口一番に彼は言った

バルゴンの体液の秘密、そして弱点がわかった、と

 

 

会議室の面々が見守る前で、モニターの向こう、大学の実験室で青紫色の液体で満たされたビーカーを研作博士がテーブルに置く

鹿児島市内から採取されたバルゴンが舌より放出した冷却液だ、それの入ったビーカー対して博士は一対の電極を入れ、発電機の電源を入れる

電源がうなりを上げ、博士が発電機の出力を上げると、会議室の一同は驚きの声を上げた

ビーカー内に満たされた液体の色が、青紫色から赤みがかった紫に、鹿児島湾内やガメラに攻撃されて吹き飛んだもう一種類のバルゴンの体液の色に変化したのだ

研作博士は言う、この液体、バルゴンの体液は一定の電流を流すことで化学変化を引き起こし、色と共に特性を全く正反対の物に変えると言う

元々限りなく近い構成の液体と言う事で、何かがきっかけで特性が変化したと言うあたりを付けていた研作博士だったが、その変化を与える何かを見つけることが出来ず思い悩んでいた

だが、ふとバルゴンの鹿児島市内での行動を最確認している時にあることに気付いたのだ

バルゴンの破壊活動が特に執拗だった建造物に一定の法則があったのだ

理工科学系の大学の研究室であったり、電気製品製造会社の倉庫であったり、特に地元電機メーカーの工場が原型をとどめなくなるほどの破壊を受けていたことから、あることをひらめいた

バルゴンが産まれたばかりの時に強烈に惹かれるもの、ダイヤモンド

ダイヤモンドは伝導電子を持たない絶縁体なのである

 

そこから先ほどの電流をバルゴンの体液に流すと言う実験をつくばの一人博士と共同で行った所、見事体液の特性を突き止めることに成功した

つまり、バルゴンは体内電流によって体液の特性を変化させる能力を持ち、それを制御するには絶縁体を摂取する必要があった

バルゴンの破壊活動が活発だった場所はそれぞれ絶縁体の生産や貯蔵を行っていた場所で、そこでバルゴンはダイヤモンドの代わりとなる絶縁体を摂取したというわけだ

つまり強力な冷凍液も電流を流すことが出来ればその特性を変化させ無力化が可能だと言う事

そして同時に、自衛隊が採取したバルゴンの皮膚組織を一人博士が分析した所、水に非常に弱く、濡れることで急激に細胞の劣化と崩壊が促進されることもわかっていた

だから古代インファントの人々は産まれてすぐのバルゴンはダイヤモンドでおびき出し、水に沈めろと伝承を残した、全てがつながって行く

そこで黒木は気づく、だからバルゴンが出現した鹿児島湾やマクロムの船が沈んだ海域がバルゴンの体液で紫色に染まり、フィリピンの地下に回廊を作り日本まで進んできたのだ

 

バルゴン対策に必須なのは、弱点となる大量の水と、冷凍液を無力化しうるための電気

その二つを同時に用意する事……一つの装置を、その場にいる誰もが思いついていた

 

かつてゴジラの体内に注入された抗核エネルギーバクテリア、その活動を促進させるため、京都の若狭湾一体に展開された、弾道弾迎撃用の人工雷発生装置

 

 

 

 

 

 

M6000TCシステム




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