新生怪獣王戦いの歴史   作:surugana

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お久しぶりです、長らく…大変長らくお待たせいたしてしまいました…
バルゴンが四脚の怪獣であった事、ガメラとホワイトがどう連携すれば迫力ある戦闘シーンになるのか、そしてダイジェスト風という形で進めている以上シーンごとの描写のバランスはどうするべきか、ととにかく悩みつつプライベートも忙しかったため、こんなにも時間がかかってしまいました。
お待ちいただいていた方々には深くお詫び申し上げます。
そして今回駆け足ですが対バルゴン編最終話となります、どうぞお楽しみくださいませ!


第23話

TCシステムと防衛線を突破したバルゴンは全身から体液を滴らせながらも球磨川を渡って熊本県八代市内を北上

一面に広がる田畑がバルゴンの血で染まり、その周囲を攻撃で生き残った地上車両部隊が包囲、距離を取りながら必死の攻撃を続けている

だがその総火力は明らかに低下しており、明らかにバルゴンの動きを抑えきれていない

ヨウ化銀コロイドを搭載した航空機部隊の到着も間に合いそうになく、上益城に防衛ラインを引きなおす提案も黒木とGフォース司令部の間で持ち上がっていたその時だった

 

鹿児島のラドン復活作戦従事部隊より連絡が入った。ガメラ、およびラドン復活、北西へ飛翔す

 

 

 

程なくしてバルゴンによって斑に穴が穿たれた黒い雨雲が赤い光を帯び始める

その熱によって生じた渦で黒雲は蒸発し、銀色の体に赤い炎を宿したホワイトラドンが、そしてガメラが現れた

 

性懲りもなく再び現れた忌まわしい敵に苛立ちをバルゴンは募らせる

エネルギーは手に入らず、それでいて人間どもには手痛いダメージを受けた屈辱の怒りがさらに燃え上り、背鰭を光らせディアーヴォル・カルマを発射した

消耗は無視できないが、今度こそ息の根を止めなければいけない

 

空中で直角に折れ曲がりこちらに向かってくる死の虹をガメラは低空に逃れ、ホワイトは体をきりもみ回転させて回避

マグマの高温を宿すホワイトの翼は、その被膜から高熱の空気をジェットの様に噴射する事で急速な機動角度の変更を行うことが出来る

鋭角な軌道を描きながら破壊光線を回避したホワイトの角と背鰭が青く輝くと、ゴジラの放射熱線よりも色が濃い青色の光波熱線『ボルカニック熱線』が口から放射されバルゴンの表皮を焼き、爆発が夜空を焦がした

サイキックメロディが活性化させたホワイトの生命力は、かつてのファイヤーラドン同様の能力を彼に与えているのだ

 

ホワイトの熱線のダメージに怒りの叫びをあげ、バルゴンは後ろ足だけで起ち上るとディアーヴォル・カルマの攻撃をさらに強めた

鬱陶しい鳥の一羽くらいは瞬く間に返り討ちにしてくれようとバルゴンは考えたが、それは油断でしかない

 

バルゴンの熱線をホワイトが引きつけている間に、低く低く低空からガメラはバルゴンに肉薄

地表すれすれで陸上形態に変化すると着地して地を滑り、その勢いのまま左腕の肘を前に突き出してバルゴンに突撃した

当然ガメラのエルボークローはバルゴンの胸の部分に深々と突き刺さる

大量の出血を伴いながら、悲鳴を上げるバルゴンはガメラに海岸の際まで押し出された

相手が自分の弱点を狙っていると察知したバルゴンは必死に尾を地面に突き刺して勢いを殺すが、200mもない所まで海が迫っている

唸り声を上げながら組みあいお互いを睨みつける二大怪獣

体格こそバルゴンの方が大きいが、立ち上がったバルゴンの懐に上手くガメラは潜り込んでおり、バルゴンが押しのけるのは難しい

一方ガメラは脚の隙間からジェットの噴煙を吹かし上げながら一歩一歩確実にバルゴンを海面に追い詰める

 

焦るバルゴンの背や側面をホワイトが攻撃して集中を乱し、重量のバランスが崩れるとガメラがまた一歩前進する

あと数歩もすれば海岸、という所でバルゴンは怒りの声を上げ、体を支えていた尾をおもむろに振り回すと、ガメラの柔らかい脇腹めがけて突き立てた!

緑色の血しぶきが飛び、ガメラが悲鳴を上げる

ぐりぐりとえぐるように突き立てられた尾の先端、結晶部位はバルゴンの能力で凍結しており、鋭い氷の刃によってより貫通力が高められている

その上突き立てられた結晶から超冷気がガメラの体内に直接注ぎこまれ、再びガメラの体が内側から凍り始めた

悲鳴が上がるガメラの口から緑色の血が垂れ、それすらも徐々に凍り付き氷柱へと変貌を遂げる

そこにさらにバルゴンが追い打ちをかけていく

伸ばした舌をまるでロープの様にガメラの首に何重にも巻き付け、渾身の力を込めて締め上げた!

熱を奪われ、呼吸を奪われ、血を奪われ、ガメラの体から少しずつ力が抜けていく

 

 

だがガメラは止まらない

自分の痛みを和らげるため、二人の少女が必死に苦しみに耐えている

だからガメラは歩みを止めない、体内の熱エネルギー炉が最大効率で稼働させ、ぶれる足に一層の力を籠める

徐々にバルゴンによる超冷温に、ガメラの超熱量が勝り始めていた

凍った血は再び溶けてしたたり落ち、全身が内側から薄く輝き始め、クローを突き刺していない手で握ったバルゴンの舌が手の高温で焼け焦げる

 

その姿に、勝っているはずのバルゴンが悲鳴を上げた

本能的に怯み、後ろに一歩後退するのをホワイトが見逃すはずもない

上空から高速で舞い降りたホワイトはバルゴンとガメラのごくわずかな隙間、体を90度横に倒し、翼が地面と垂直になる様にして狙いを付ける

ホワイトは口中で生成したボルカニック熱線のエネルギーを口から放つのではなく、そのまま飲み込み全身、特に両方の翼に行き渡らせて行く

翼がボルカニック熱線のエネルギーで発光し、熱線のエネルギーを放出する事でさらに加速を得たホワイトは一気に二体の怪獣の隙間をすり抜け、エネルギーで満たされた翼による切断攻撃、『ウインギングスライサー』でバルゴンの舌を切り裂いた!

 

 

毒々しい色合いのバルゴンの体液が噴水の様に切断された舌の断面から噴き出し、ガメラとバルゴンの体を紫に染めていく

反撃最大の好機、促すホワイトの声にガメラはうなずくと、最後の力を振り絞り、絶叫を上げて悶えるバルゴンの額、極彩色に輝く宝石を熱で蒸気を上げる右手でむんずと掴み、そのまま海に向かって足から噴煙を放って突進

紅いジェット噴射はバルゴンの体を浮かび上がらせ、胸にエルボークローを突き刺したままガメラは低空で八代海上空を飛び越え、富岡湾沖に突入した!

 

巨大な水柱が上がり、海が紫色に染まっていく

バルゴンの全身が溶け始める

必死に足搔き、激痛と死の恐怖の中なんとかガメラを引きはがそうとするが、それも出来ないまま額の宝石がガメラの握力と熱に負け、ついに砕け散った

背から放つディアーヴォル・カルマのエネルギーを制御する器官でもあったそれが失われ、とうとうバルゴンのあらゆる反撃能力はついに失われた

背中から暴走した虹色の光が四方八方に放出され、深夜の海を明るく輝かせる

薄れゆく意識の中でバルゴンが見た最期の光景、それは怒りの形相で口中にプラズマエネルギーを凝縮させるガメラの姿だった

 

 

バルゴンとガメラが富岡沖に沈み、海中での光の乱舞が収まると同時に、先ほどの落下で発生したそれの数倍の大きさの巨大な水柱が上がる

数秒も間を置かず、それを飲み込む勢いで今度は海底からの大爆発が海を焼き尽くした

 

 

司令部で固唾を飲んで状況を見守る黒木たち、真弓たちもヘリで熊本上空に差し掛かっていた

爆発の正体は?勝ったのはガメラか?それともバルゴンか?

 

海を焦がす黒煙の周囲をホワイトが旋回し、ガメラを呼ぶように鳴き続けると、海の底から円盤状態のガメラが飛び出してきた

ガメラが勝った。バルゴンは倒されたのだ

 

熊本の司令指揮所でもおもわず歓声が上がり、ため息をついて黒木は椅子に座り込む

ギリギリの勝利、否実質敗北した上で首の皮一本繋がった、今回はそんな状態だろう

 

 

真弓たちもヘリの中で心の底から安堵していた。浅黄とみどりがガメラを、真弓がホワイトをそれぞれ見つめ、ガメラたちも視線を返し見つめ合う

と、眼下の水面が青白く発光すると、水中から光の柱が吹き上がりそれに巻き込まれて何かが空中に飛び出し水面に落下した

 

それは異形だった

矢じりを思わせる頭部の形状は間違いなくギャオスだが、頭部後方の二角は長く背まで伸び、銀色の体色とバショウカジキを思わせる体型は魚のそれだ

水棲に適応し進化したであろう変異したギャオスは腹部に巨大な穴をあけ、体液をまき散らしながら水中へと沈んでいく

そして入れ違う様に少し遠くの水面が白く発光し、海面に大きな波を立たせ、ゴジラが現れた

 

ギャオスとの戦いからしばらくの間、同様の存在を懸念し太平洋一帯を回遊しアドノア島に戻っていなかった彼だが、先ほど海に没した水棲ギャオスを追って九州近海までやって来ていたのだろう

 

戦いを終え息をつくゴジラだが、すぐ目の前の光景に珍しくぎょっと目を見開いている

無理もない、空を見上げれば戦友であるガメラが、かつての義兄とよく似たホワイトと共に飛んでいるのだから

一方のガメラ側は既にゴジラの姿も見慣れたもの、ゆっくりと高度を落とすと、本能で傍らの戦友がいるべき場所が分かったのか、はたまた自分と共にいるべきではないと理解したのか、柔らかい鳴き声と身振りでホワイトをゴジラの方へと誘導する

 

ホワイトも最初は見た事もないゴジラに怯えに近い態度を取っていたが、ガメラに促され、ゴジラの周囲を飛んでいるうちに彼の内なる本能が徐々に目覚めていく

互いの温度、匂い、鳴き声、仕草、全てがお互いを共に生きる存在であると訴えかけてくる

 

ヘリからその光景を眺めていた真弓は後ろ髪を引かれる思いながらに決断する

彼がいるべき場所にいることが出来るように、怪獣たちが脳波で思いを伝えあうことが出来るなら…強くホワイトに向かい念じた

貴方はゴジラと一緒に生きて、と

そして真弓はヘリの操縦士に現場から離れるよう促し、窓から目を反らす

赤くなった目を誰にも見られないように

 

真弓の思いが通じたか、ホワイトは何度も何度も離れていくヘリを追いかけそうな素振りを見せ、やがてホワイトの判断を待っていたゴジラの方に向き直る

全てを察したゴジラもゆっくりと背を向け、ホワイトを引き連れて日本を去っていく

目指す先は故郷であり、ホワイトの新たな安住の地であるアドノア島

 

ガメラもヘリに乗る浅黄とみどりに目を配り、空の彼方へと消えていく

戦いが終わり、静寂を取り戻した九州、長い夜がやっと明ける

 

 

戦いを終え、自衛隊では損傷したスーパーXⅢ、戦いの連続からメンテナンス作業に入った轟天号と戦力の大きな低下を受け、MFS計画を加速させることを決定

G対策センターも新たにアドノア島の住人となったホワイトラドンについての研究と脱走防止の対策に追われることとなる

 

 

後日、ティアボー島にあったバルゴンを製造する生体プラント遺跡はGフォースと国連軍の手で完全に破壊され、二度とバルゴンが生み出されることはなくなった

アーヤとカレンは正式にパスポートを取得し日本の大学へ留学が決定

その事を報告し、村の宝である巨大ダイヤを返すべく、健一郎は再びティアボーの地を訪れる

村長と二人成長する子供達の姿を、父として語り合いながら酒を飲みかわすのだった

 

 

 

 

 




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