最近はゴジラもガメラもいろんな企画が動いていて素晴らしいなあ…
さて、今回はいよいよ花谷隊員の名台詞です!
謎の生物に襲われた札幌市営地下鉄、死者数は全車両の乗客の5割にも昇り、老若男女関係なく多くの人命が奪われた。
正月休みの連休中の始発、乗客自体の数が少ない事が不幸中の幸いであったが、それを素直に喜べる人間は何処にもいない。
グリフォンで先行した祐介達に遅れて化防小隊の第二陣が各種計測装置などを伴って到着。
札幌中央病院に被害者を送り届けた祐介達が現場に戻る頃には地下鉄構内の各種データが揃いつつあった。
札幌駐屯地の北部総監部で開示された地下鉄構内のデータは恐るべきものだった。
構内の酸素濃度は78%、これは通常の空気の中に存在している酸素の4倍の量を意味する。
地球に生息する殆どの生物にとって、酸素は生きる上で必要不可欠な元素だ。
それこそ人間であろうとゴジラであろうと、酸素が無ければ死んでしまう。
だが同時に、濃度が高ければ高いほどいいと言うわけではない。
高濃度の酸素を長時間に渡って吸い込むと、気道粘膜や肺胞が障害され、重篤な場合は呼吸不全に陥り死に至る。
あの生物、特に草体が行っていることは、アドノア島でミレニアンが行ったテラフォーミングと同じものと見て良いだろう。
彼等の存在を許せば、地球はあらゆる既存生命が生きていくことが不可能な星に成り代わる。共存の可能性はない。
そして同時に、SUMP隊が被害者を想定して重火器を持ち込まなかった事が結果的に彼らの命を救っている。
現在の高濃度酸素下で爆発を起こせば、大量の酸素に一気に引火し地下鉄構内は火の海になっていただろう。
爆炎、もしくは大量の酸素が一気に消費され急性的な酸欠を引き起こし、死傷者の数は膨れ上がったに違いない。
草体、と呼称された巨大植物と宇宙生物を速やかに殲滅するべし、と国連G対策センター並びに日本政府は要請を下し、自衛隊及びGフォースは作戦を開始する。
札幌中心部は立ち入り禁止となり、移動司令部をさっぽろテレビ塔直下の公園に設置。
Gフォースの歩兵部隊とMPM部隊が生物が地上に出現しないよう、植物の出現によって崩壊したデパート周囲を固める。
地下鉄構内では植物を排除するため、根や茎にプラスチック爆弾の設置が行われていた。
これは碧に知見を求めた祐介が、彼女から聞いたハキリアリとアリタケの共生をヒントに発案した作戦だった。
生物と草体が依存関係にあるならば、まず片方を駆除する事が出来ればもう片方はそれ以上の繁殖を行う事が出来なくなる。
無尽蔵に出現する生物を危険な構内で完全に駆除するよりも、移動する事が出来ない草体を破壊する方が早い、と言うわけだ。
まず地下鉄構内とデパート地下に爆破を発生させ、充満している高濃度酸素への引火を利用して草体の下層部と根を完全に破壊。
栄養供給を絶つことで草体からの高濃度酸素放出を寸断し、その上で地上においてデパートを東西から挟む様に展開しているGフォースの冷凍メーサー部隊の攻撃で草体本体を凍結させ破砕する。
本来ならば直接メーサー部隊の攻撃で草体を真っ先に破壊したいところだが、周囲の高濃度酸素への引火で大爆発を起こす可能性があったため、このように複数の順序を踏む必要があった。
一方、碧にはまだ懸念していることがあった。
彼等が高濃度酸素を放出し続けている理由と、草体がどうやって繁殖を行うか、その手段だ。
植物は自分達の種族を繁栄・保存させるため、様々な工夫を凝らして自らの種子を新たな地に向かって放出する。
あるものは種子を動物に食べさせ排出によっての散布を狙い。
あるものは風に乗って少しでも遠くに種子を飛ばそうとし。
あるものは、接触などの外的要因で種子を弾き飛ばす。
恒星間、或いは星系間すらも考慮した『渡り』の方法は何なのか、碧にはそれが懸念だった。
翌日夕方、札幌の市民避難と爆破準備が着々と進む中、碧と満は札幌大学のコンピュータ室にいた。
草体の繁殖方法がどうしても気になった彼女は満と祐介に相談し、特殊戦略作戦への協力と言う事で大学の高性能コンピュータを貸し切ったのである。
突飛な発想だけれど…と恐縮する碧に、彼女等に協力するため大学に残った四郎は彼女の発想を肯定する。
スミレ、ホウセンカ、カタバミ等、種子を内包する実が収縮と硬化を起こし、何かしらの刺激を受けることで破裂、種子を遠くに飛ばすと言う性質を持っている。
高濃度酸素を利用すると言う事についても、ある意味でこれはタンポポの様な風を利用して種子を遠くに飛ばす方式の一種とも言えるし、コアラの餌として有名なユーカリはその油分にテンペルと言う非常に揮発性の高い成分を内包している。
これが落雷や自然の熱波などで引火する事で周囲に広大な山火事を引き起こし、周辺の自分たち以外の植物を軒並み焼き尽くす。
その後、事前に地面に落ちた耐火機能を持つ種子から新たなユーカリが発芽しその生息範囲を広げる、と四郎は植物の恐るべき性質を解説した。
同時に、満はコンピュータに入力した各種データから、草体が種子を大気圏外打ち上げるとする場合、発生する爆発はどのような規模になるかを計算していた。
その結果に、碧も、満も、四郎も総毛だった。
爆発範囲を意味する赤い円が、札幌中心部を模した3Dモデルを完ぺきに飲み込んでしまう。
推定半径、約6km。住民が避難している藻岩山や彌彦神社もそれに巻き込まれてしまう。
今自分達がいる北海道大学も。
3人は慌てて大学を飛び出すと、作戦司令部にいる祐介や作戦の指揮を執る大河内一等陸佐にデータと情報の全てを開示した。
ほぼ同時刻、草体からの酸素噴出量が増加し札幌市の上空にオーロラが出現、電波妨害もひどくなり、特殊戦略作戦室との通信も途切れてしまう。
発射が間際に迫っている事は間違いなく、避難か作戦続行かで司令部の意見も分かれる中、祐介の進言から地下鉄構内限定でを爆破を行い酸素供給を寸断する事を大河内連隊長が決断。
速やかに爆破が行われ、駅入り口から黒煙が吹き上がってくる。
と同時に草体からの酸素発生が停止し、草体内部の温度が急激に低下した。
一撃を加えることに成功したのだ。
作戦が成功した…と思われたその時、電波妨害が解かれ、回復した特殊戦略作戦室から驚くべき情報が司令部に飛び込む。
三陸沖海底よりガメラが出現し、札幌方面に向かって飛び立った!
祐介達が驚愕する中、既に札幌に到達していたガメラはすすきの市街地に着陸する。
甲羅が巨大化し、顔つきも鋭く牙が延長しているように見える。
ガメラは怒りの形相で草体に接近すると、周囲の高濃度酸素を取り込みながら草体に向かってプラズマブリットを発射。
花の部分を吹き飛ばしたかと思うとそのまま草体を両腕で掴み、デパートを破壊しながら大通りに投げつける。
自衛隊員やMPM部隊が必死に逃げる中、叩きつけられた草体に向かって複数発のプラズマカブリットをガメラは再び発射。
札幌の空を爆炎で紅に染めながら、草体を完全に焼き尽くしてしまった。
ガメラの奮闘を薄く笑みを浮かべながら見守る碧たち。
だがその直後、破壊された草体跡から無数の生物が出現する。爆弾設置作業中にかなりの数が駆除されたはずだが、それが無駄だと思えるほど、まるで絨毯か波の様に市街地を黒く染めながら進んだ生物はガメラの体にまとわりついていく。
ガメラの姿が完全に見えなくなるほどの生物の数、しかもところどころ、放電しているかのように生物が発光し、腕を振り乱しながら苦しむガメラの悲鳴が響き渡る。
唖然とそれを見ていたGフォースと自衛隊だが、黒木の一喝に我を取り戻すとメーサー部隊、MPM部隊がガメラを援護する為に体表の生物に攻撃を開始。
苦痛を和らげ、呼吸を安定して行えるようにガメラの頭部周辺の生物に向かい通常モードに切り替えたメーサービームを発射する。
メーサービームが直撃し、もぎ取れるように数十匹の生物が顔から分離する。
だがその数は余りにも膨大で、攻撃に反応したかのように百匹ほどの群れがメーサー部隊にまで襲い掛かってきた。
慌ててメーサー部隊は後退し、車両に飛び掛かりそうになった生物をジャガーやティグレスが車両周囲を飛び回りながら銃撃で駆除していく。
悪魔の群れに貪り食われるかのように、苦しみ緑色の血をまき散らしながら悲鳴を上げるガメラ。
呆然と見上げていた保が独り言のようにつぶやく。
主が、お前の名は何かとお尋ねになると、それは答えた。
我が名はレギオン。我々は大勢であるが故に。
―マルコによる福音書5章9節―
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