ガメラ2の山場とも言うべき仙台の戦い、このような結果となりましたが果たして読者の皆様の期待に応えられましたでしょうか…
数日後、つくばのG対策センターに召集されていた祐介と碧は、会議の直後に仙台市郊外のパチンコ店に小型レギオンが出現したとの報を受けた。
やはりレギオンはすでに本土に潜入を果たしていた。
碧の提案で時彦と保を伴って満が現場に向かい、祐介達もグリフォンで現地に直接乗り込んで行く。
夜を徹して自衛隊によるレギオンの捜索が行われるが、奮闘もむなしく翌朝早朝仙台駅目の前に草体が出現。
周囲のビルを突き破って根が市の中心部一帯を占領し、しかも出現から殆ど間を置かず花弁が開いてしまっていた。
札幌の草体が数日の時間を置いて発芽から爆裂に至ったのに対して、余りにも変化が早すぎる。
碧は札幌から更に南で気温が高い仙台では成長が早いのではと推測するが、祐介はたった6度の温度差でここまで成長スピードに違いが出るのかと戦慄を隠せない。
しかも不幸なことに、普通科連隊が地下への侵入を試みたが、仙台駅の仙石線ホームを地下茎が貫いて崩壊させている為突入は不可能。
また地上の各部にも大量の根が張り巡っており、酸素供給を破断するには現状の爆発物では足りず、しかも高濃度酸素が大気中に拡散しつつある今、地下構内のみを爆破しても連鎖的に地表にまで影響を及ぼす可能性がある。
事ここに至って、Gフォース及び自衛隊は草体を爆発前に駆除することは不可能と判断、住民の避難を最優先とし、仙台駅を中心とした半径8km圏内に避難命令を、12km圏内に避難勧告を発令。
祐介の指示で碧も彼等と別れ避難する事となり、仙台中心部から見て南東にある航空自衛隊霞目飛行場に案内された。
そこでは陸路での避難が間に合わなかった住民たちを避難させるべく、現時点で東北方面で稼働可能な全ての輸送ヘリ、グリフォン、しらさぎがひっきりなしに避難民を少しでも遠くへ輸送するべく奮闘している。
避難民の列に碧が混ざりそろそろとヘリに向かい進み始めたその頃、ヘリのコクピットに緊急通信が入る。
松島湾からガメラが、そして霞目の目と鼻の先の長浜海岸からゴジラが出現、仙台市に向けて進軍を開始した!
連絡からほどなくしてガメラが霞目飛行場上空に飛来、ゴジラも姿を現し、未だ飛行場に残っていた輸送ヘリが次々と離陸していく。
と、地鳴りがどこからともなく鳴り響き、やがて大人が立つこともままならない揺れが避難民たちを襲う。
阿鼻叫喚する飛行場内。
と、地中から放たれた青いビームが上空で警戒していたメーサー攻撃機2機を直撃。
爆発炎上した機体の破片が降り注ぐ中、ゴジラの背後の地面から飛び出してきた巨大な、白い死神の鎌を思い起こさせる節の付いた脚がゴジラを、そして着陸するために高度を下げたガメラを直撃する。
二頭は折り重なるようにして滑走路に倒れこみ、その振動で碧の前の列を進んでいた松葉杖姿の少女が転倒してしまう。
友人らしき二人とともに少女を助けた碧は懸命に少女たちを励まし、何とかヘリのデッキに乗り込んだ。
そのヘリを見下ろしながら頭を振り立ち上がるゴジラとガメラ。
2大怪獣はヘリを背に立ちふさがると、これ以上は進ませぬと気合を入れる。
同時に再び地面が爆発するように爆ぜる。
ゴジラよりも巨大な白い体躯。
槍の穂先を思わせる頭部。
全身に生えた鋭利な突起。
青い複眼でゴジラとガメラを睨みつけ、ガラスが擦れあうような不快な鳴き声を上げ、大型レギオン=マザーレギオンがその姿をついに現したのだ。
ゴジラとガメラに、いやヘリに向かって地響きを立てて突き進むマザーレギオン。
ガメラはそれに猛然と突進し、ゴジラは熱線を放ちながら後に続いた。
だがゴジラの熱線はマザーレギオンの頭部周囲に映えそろう干渉電波放射爪、『ディストーションクロー』が形成する不可視のエネルギーバリアによって反らされ、マザーレギオン本体の後方に散っていく。
まさか自分の必殺技が効かないとは!
驚きの表情を浮かべ、それでもゴジラはマザーレギオンに突進する。
ゴジラとガメラとぶつかり合いそれでもなおじりじりと2体を押し戻すマザーレギオン。
怪獣たちの戦いの影響で、ヘリは上昇に必要なローターの回転数が稼げず立ち往生していた。
目の前で繰り広げられる神話の戦いに避難民が悲鳴を上げる中、碧は目の前にいる少女たちがおびえることもなくゴジラとガメラを見つめていることに気づく。
けん制のためにゴジラは一回熱線を使ったが、それでもすぐ近くにヘリと人々がいる以上全力を出してマザーレギオンを攻撃できない。
レギオンの頭部の角を抑え込み、何とかその足を止める2体だったが、レギオンの前脚、鋭い鋏でもある大槌腕スレッジアームがその刃に青白いプラズマを帯び、ゴジラの脇腹につかみかかる。
同じく地中からは全長の倍の長さがある後脚、太鎌脚サイズレッグが飛び出し、ぐるりと関節の制限を超えて向きを変え、ガメラの体に突き刺さった。
悲鳴を上げるゴジラ、ガメラ。その体から赤と緑の鮮やかな血が流れだす。
マザーレギオンの目的は、ゴジラ達が草体に到達できないように爆破までの時間を稼ぐ事。
霞目飛行場からの伝令からレギオン出撃の報を聞いた祐介はそう判断する。
すでに草体の花弁周辺では活性化した酸素による断続的な爆発反応が発生しており、間違いなくゴジラ達は間に合わない。
すでにこの戦いの勝敗は決してしまってる。
そう判断した祐介の進言に従い、草体を包囲していた自衛隊、およびGフォースは草体周辺からの撤退を決定した。
マザーレギオンは時間は十分に稼いだとみて、この戦いの決着をつける事にした。
サイズレッグをに突き刺さったガメラをそのまま自身の後方に向かって投げ飛ばすと、地面にたたきつけられたガメラを何度も打ち据える。
一方ゴジラに対しては、空いた左のスレッジアームも使って左右から滅多打ちに殴りつけた。
体格で負けるゴジラはこの攻撃になすすべがなく、遂には打ち据えられたガメラと同じ場所に向かって放り出されてしまう。
流血し、全身に傷を負い、ふらつき、それでも立ち上がる二頭。
そこに、ヘリに背を向けたマザーの隙をついて、2機のしらさぎが強行接近。
機体下面のハッチから射出したマグネットアンカーでヘリを掴むとその場から全速力で離脱する。
ヘリを守り切ることができたガメラたちだったが、マザーレギオンは頭部の斬大角スラッシュアキュートを左右に開閉させると、そこと頭部頂点の角の3点の間で超高出力のマイクロウェーブを生成。
青色の破壊光線、マイクロ波シェルとして発射した。
直撃を受けたガメラの甲羅が抉れ、ゴジラも6万トンの重量が嘘のように吹き飛ばされる。
2発目の発射体制に入るマザーレギオン。
ゴジラとガメラは受け止めるように放射熱線とプラズマブリットを同時に発射!
3体の怪獣の真中で3つの光波攻撃はぶつかり合い、一瞬の拮抗の末にマイクロ波シェルが熱線を押し切り2頭に直撃してしまう。
ゴジラもガメラも吹き飛ばされ、さらに追い打ちとして放たれたマイクロ波シェルが2頭を打ち据え、周囲の燃料庫やガスタンクを爆破し炎が2頭の姿をかき消していく。
爆風は上空に避難したヘリをも大きく揺るがし、椅子に向かって倒れこんだ碧は少女が発したガメラを呼ぶ声にハっとする。
視線の目の前、少女――草薙浅黄と、藤戸みどりの手の中には勾玉があった。
意識を失い、倒れ伏すガメラとゴジラ。
厄介な敵の無残な姿に満足したのか、マザーレギオンは再び地下を掘り進みその姿を消す。
無音の静寂に包まれる、廃墟と化した霞目飛行場。
ゆらりと立ち上がったのはガメラだった。
隣で倒れ伏す戦友が、意識を失いながらも生きていることに安堵すると、全身の痛みに耐え、一歩、また一歩と草体に向けて歩き始める。
その姿を避難中の祐介は車の中からすれ違いざまに見上げていた。
それほどの傷を負って、間に合わないだろうに、それでも往ってくれるのか。
草体周囲の温度が急上昇し、根のあちこちから濃縮された高濃度酸素が蒸気のように吹き上がる中を進むガメラ。
ふらつき、膝をつきかけ、それでも長い長い時間をかけて草体にたどり着いた彼は、そのおぞましい花の花弁を両の手で強く掴み、握りしめる。
熱に皮膚が焼けこげる中、ガメラはそのまま両足からジェット噴射を開始した。
プラズマを帯びた赤いジェット炎が吹き上がり、熱で早まった血流から緑色の血液が一層噴き出してくる。
とぎれとぎれの意識の中、何度も何度も草体を持ち上げようとするガメラ。
遂に根から草体が引きちぎれ、その勢いのままにガメラは仙台市の上空に向けてぐんぐんと上昇し始める。
少しでも高く、少しでも遠く。
誰も傷つけることがないように、そこに自分を換算することがないままにガメラは空へと昇っていく。
やがて眼でその軌跡すら見えないくらいに達した時、空の果てで光がはじけた。
太陽がもう一個できたと思えるほどの超巨大な爆発。
発生した衝撃波は仙台中央の高層ビルを揺らし、ガラスが砕け降り注ぐ。
地上に届いた熱は街路樹を焼き、ビルの表面を焼き尽くし、溶かし尽くし。
それでも地表で爆発していた場合の何百倍も被害は少なく。
仙台湾沖に展開している在日米軍艦隊所属空母ラングレーの艦上。
何とか危機を脱した碧と浅黄たちがいるこの空母のデッキも、激しい振動に襲われた。
悲鳴を上げる避難民たち、デッキクルーや彼女らが見上げる先、仙台市の上空に超巨大な火球が出現していた。
何が起こったか、何があったのか。誰もが理解してしまった。
ガメラが去ってからしばし、遅れて目を覚ましたゴジラは戦友の姿を探して仙台市に向かう。
そして彼は見てしまう、夕日を背に、悲しみの咆哮を上げるゴジラ。
黒く焼け焦げ、駅前大通りの中央に落下した、炭化したガメラ。
その姿はまるで磔刑にかけられ息絶えた救世主の様であった。
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