新生怪獣王戦いの歴史   作:surugana

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いよいよマザーレギオンとの最終決戦開始です。
人類にも意地がある、レギオンも後がない。
人類もレギオンもお互いに総力でぶつかり合うストーリー展開となりました。

お楽しみいただければ幸いです!


第31話

国見山を望むように待ち構える戦車部隊。

 

 

後方の支援攻撃部隊の自走ランチャー砲が、接近するマザーレギオンに対する先制攻撃を行う為稼働し始めた。

 

 

D-03 試製03式旋穿削岩弾。

地震などで落盤事故や地崩れが発生した際に、岩盤を破壊して速やかに要救護者を救助するための、本来ならば救助作戦用に開発された対地ミサイル機材だ。

 

 

レギオンの電磁妨害を想定して事前入力した深度と距離で爆発するようにセッティングし、数発のミサイルが国見山の山体に命中するとドリル状の先端を回転させながら弾頭部が潜航する。

 

 

しばしの後、地面の底から腹に響くくぐもった爆発音と振動が発生。

爆発で生じた振動は少しの後に沈静化するが、入れ替わるようにさらに大きな地鳴りが発生して徐々に大きくなり、地面のあらゆる物体を揺らす。

 

 

レギオン出現!

国見山の山体を内側から吹き飛ばしてマザーレギオンが現れる。

怒りを感じさせる、普段よりも低い鳴き声を上げながら歩を進める白い悪魔に一斉攻撃が放たれた。

 

 

砲弾、ミサイル、対地爆弾、メーサービーム、機関砲。

地上部隊と航空部隊、支援陣地からの野砲や、湾内の護衛艦からのミサイルによる波状攻撃。

初手のアドバンテージを確保するように猛烈な攻撃を浴びせていく。

本来ならばミサイルはレギオンのディストーションクローが放出する電磁波によって、航法システムを破壊されて終端誘導が不可能であるが、陸上部隊の最前線を形成する無人戦車部隊に搭載されたレーザーデジグネーターによって命中精度を何とか補っていた。

 

 

 

だが、そんな小さい都市ならば一瞬で消滅させるような火力を受けても、レギオンの歩みは止まらない。

ディストーションクローが形成する不可視の電磁波障壁は冷凍レーザーを受け止めて直撃を妨げ、直撃する砲弾は甲高い音を立てて白磁色の外殻に弾かれる。

 

 

ミサイル、爆弾、ロケット弾の攻撃もダメージを与えているようには見えず、レールガンの直撃すら効果を見出せない。

鬱陶しいと言わんばかりにレギオンはスラッシュアキュートを展開し、中心部の濁った結晶状の物体に青い光を灯す。

 

 

仙台の時よりも狭い角度で展開されたスラッシュアキュートからマイクロ波シェルが発射される。

 

アキュートの角度はマイクロウェーブの収束率を高め、貫通力が増した青い光は前面に展開していた地上部隊を飲み込み、久慈川を挟んだ反対側の支援部隊すらも巻き込んで消滅させた。

 

 

 

次々と誘爆する車両の爆炎はレギオンの数倍の登頂高数倍の高さまで広がり、夕暮れの空を赤く黒く染めていく。

レギオンから一直線に伸びる地表をえぐった砲撃の痕跡が、破壊力の高さを雄弁に語り、生存した隊員たちを震え上がらせるのに十分だった。

 

たった一回の攻撃で、第一次防衛線に展開されていた部隊のおよそ5割が損失。

生き残った部隊は、支援部隊からの地帯砲撃の援護を受けながら久慈川を越えて那珂市内まで後退、平野部で第二次防衛線の地上戦力との合流を図る。

 

 

 

 

続いてマザーレギオンは腹部にあるエッグチャンバーから多数のソルジャーレギオンを、背部外殻下のコクーンスポットから10匹ほどの中型レギオン=オフィサーレギオンを射出する。

 

 

羽根が生えたソルジャーレギオンはマザー周囲を包囲していた攻撃ヘリやメーサー攻撃機、上空の戦闘機、轟天号に向かって飛翔。

更に群れの半分ほどが久慈川以南、第二次以後の防衛ラインに向かって飛んで行く。

 

 

どうやらマザーの進軍より先だって先遣となり、人類側の戦力を削ぐことが目的のようだ。

航空隊は迫りくるソルジャーの大群を捌くことで精一杯、群れの南進を阻止する事が出来ないでいる。

 

 

ソルジャーの飛翔を確認したGフォース側は、事前に茨城県の各所に設置していた簡易電波発生施設から、ソルジャーの群れに向かって誘導電波の発信を開始した。

 

 

簡易発生施設は無人運用されるうえに、発信網の下部にはブラストボムが設置されている。

電波発信源にソルジャーの群れが密集し耐荷重を越えた瞬間にブラストボムが起爆、群れを一挙にせん滅する手はずとなっていた。

 

 

 

電波源に向かって、黒い大河の様に空を染めていたソルジャーの大群が別れていく。

だが、一部のソルジャーだけは南進する動きを辞めないでいる。

オフィサーレギオンの周囲にいたグループだ。

オフィサー達はまるでソルジャーを誘導するように群れを先導している。

 

 

オフィサーには電波誘導が効かないのか?

戦場を偵察衛星で観測した所、オフィサー種は体の周囲に強力な電波を放出していることが分かった。

 

恐らくこれが攻撃性が過敏に引き出されたソルジャーをある程度鎮静化させ、オフィサーに追従させる効果があるのだろう。

 

 

戦場を見守っていた四郎曰く、一部のハチやアリ等は、経験豊富な個体がまるで群れ全体の指示系統を中継するように振舞い、効率よく餌の収集や巣の拡張を行うとされている。

彼等は文字通り、マザーと言う司令部からの命令をソルジャーに伝え指示する士官の役目を持っているのだ。

 

 

 

これはもう怪獣を退治するための戦いではない、文字通りの戦争だ。

黒木が忌々しげに呟く。

 

 

二次防衛ライン、最終防衛ラインに襲来する小型種レギオンの群れ。

各防衛線の戦力を漸減する為空を黒く染めてやってきたそれ等。

だが人類側とて当然、誘導が失敗した際の対抗策を講じている。

 

 

主力車両を守る様に、ハイパワーレーザー車部隊、自走高射砲部隊が前進し、猛烈な弾幕を形成する。

機関砲弾と紫のレーザー光に薙ぎ払われ、次々と撃墜されるソルジャー種。

オフィサー種は速やかに全ソルジャーの編隊を急上昇、更に編隊を広げることで弾幕をすり抜けようとする。

 

 

しかし、上昇した編隊に向かって黒沼川後方の陣地群、88式地対艦誘導弾の発射車両から一斉にミサイルが発射される。

群れに向かって上昇した大型ミサイルは、群れの四方を囲む様に位置を揃えると同時に起爆。

黄色い火球が空中に形成され、巻き込まれたレギオンはオフィサー種ソルジャー種問わずに焼き尽くされた。

 

 

発射されたミサイルは本来の88式対艦ミサイルではない。

轟天号を始めとした空中戦艦が装備している、対空プラズマ機雷弾を転用した地対空プラズマミサイルだ。

 

爆発と同時にプラズマ反応を発生させ、一定の空間に巨大な火球を形成するこの装備。

元々は初代バラン戦において、バランの飛行能力を奪うために行われた気化爆弾による空間真空化作戦からアイデアを得た、飛行怪獣の揚力を奪う為のものだ。

その為形成される火球の温度や破壊力はガメラの火球には遠く及ばないが、それでも小型怪獣ならば一瞬で滅却するのに十分である。

 

 

対怪獣戦の基本はいち早く目標怪獣の身体的特徴を判別させ、判明した弱点を一気に突くのが基本だ。

だがレギオンには明確な弱点は存在しておらず、逆に高い知能と戦術でこちらに襲い掛かって来る。

そうなってしまえば、後はお互いの戦力が完全に消え去るまでの消耗戦を挑む以外に道はない。

 

 

そう簡単に東京にたどり着けると思うなよ。

祐介はソルジャーレギオン第一陣壊滅の報を聞いて静かに呟くのだった。




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