新生怪獣王戦いの歴史   作:surugana

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御無沙汰しております…
2年近く間を開けて誰も待っていないと思いますが、ちびちびと書きためてなんとか完成いたしました…
これからも時間が空くかもしれませんが、少しずつ投稿し続けていきたいと思います…


第33話

地響きを立てながらマザーに突進するゴジラ。赤いスパイラルを纏った熱線を連射し、レギオンをけん制する。

対するレギオンもディストーションクローの電磁障壁でゴジラの熱線を受け止め、何度も煮え湯を飲ませてくれた宿敵の生き残りを、今度こそ完全に抹殺するべく、大きくスレッジアームを振り上げた。

 

振り降ろされるマザーの巨腕、ゴジラは見切って体をひねり、遠心力で加速させた尾に熱線のエネルギーをチャージさせた放射熱閃で弾き飛ばす。

高エネルギーを纏った大質量同士の衝突に空間すら震える中、マザーの脇を通りすぎたホワイトはマザーの背後に回る。

 

口から放たれるボルカニック熱線。細く鋭い光はマザーの背後、白磁の外殻に命中し大きく爆発を起こして夜の闇を照らした。

マザー本体にダメージは見受けられないが、コクーンスポットの一つが貫かれ外飛膜に穴が開いているのがわかる。

 

 

背後にまで電磁障壁の防御は及んでいないのか?

探査衛星からのデータと戦闘の映像を、司令室のスタッフ達が即座に解析する。

Gフォースが攻撃を行っている時とゴジラの熱線を防いでいる時では、マザー周囲の力場の形状にやはり違いがあった。

従来マザーの全方位に障壁のエネルギーが張り巡らされているが、ゴジラの熱線を防ぐ際には前方120度ほどにまでエネルギーが収束されているのがわかる。

 

流石にゴジラ程の攻撃となればリソースを集中させねば防ぎきれないのだろう。

強力な攻撃を一方から行えば、その反対側は障壁の死角となる。

確かに弱点と言えるだろうが、ラドンの熱線ですら外殻そのものを貫通できていないとなれば…

苦々しい顔を浮かべる黒木、今打てる手はほぼ皆無に等しい。

 

 

 

とりあえず周辺の生存部隊を更に後方に引き下げ、涸沼川付近の平野部で予備選力との合流を図った。

怪獣同士の戦いは迂闊に接近すればそれだけで被害を出してしまうのだ。

 

 

 

 

同時刻、仙台の避難所――

暖を取るためのたき火がぱちぱちと弾け音を鳴らす中で、子供たちはじっとガメラの姿を見上げていた。

支給品の菓子を子供達に配っていた浅黄とみどり、ふと母親に連れられた一人の少女が泣いている事に気づく。

ガメラ可哀そう、ガメラ苦しそう、そう言って泣く優しい少女の頭を、そっと碧が撫でる。

 

ガメラは起きる?

 

そう問う少女の前に浅黄たちはしゃがむと、にこりと笑顔を浮かべた。

 

起きるよ、みんなが願えば、絶対に。

証拠はない、だが確信はある。ガメラは死んでいない。

 

 

風が吹いた。浅黄の言葉をきっかけとするように。

前髪を靡かせる程度だったそれは、やがて眼を開けられない程のつむじ風となり、ドラム缶の上で揺れていた小さな火を大きく大きく膨れ上がらせる。

浅黄とみどりが、子供たちが、そして碧も目を瞑り、手を組み願う。ガメラの目覚めを、希望の復活を。

 

 

 

火は炎となり、うねるようにガメラの元に向かっていく。

周囲を警戒していた自衛隊の隊員もそれに気づいた頃、大きく地面がうねり、そして炭化していたガメラの表皮が砕けた。

 

 

鳴き声が夜空に響く。砕けた外皮の欠片を振るい落としながら、ガメラは立ち上がった。

願いが届いた!ガメラは復活を果たしたのだ!

 

 

子供たちが歓声を上げ、浅黄たちも笑顔を浮かべた。

同時にガメラの脚から昇る噴煙。速やかに飛行形態に変化したガメラは、子供たちの上空を旋回しつつ、まるでお礼を言うかのように軽くバンクを行い、南に向かって最高速度で飛び立つ。

 

 

握り合った浅黄とみどりの手の中で、煌々と勾玉が煌めく。

 

ありがとう

 

炎よりも熱く優しい感情が、光を通して浅黄たちに伝わってきた。

 

 

 

ガメラ復活す、仙台からの通信に司令室内が俄かに騒ぎ立つ。

 

それは轟天号のブリッジも同じだった。保守要員の賢明な努力によって、辛うじて飛行機能は回復し、墜落は免れている。

だが主砲プラズマメーサー砲の1番が大破、2番がエネルギー回路の断絶により使用不能、ミサイルセルも複数が破壊され、辛うじて艦首右側面のレール砲だけが万全な状態だった。

対空火器類もほとんどが沈黙し、ホワイトラドンがオフィサーレギオン達を引き付けていなければ今頃なぶり殺しにされていただろう。

 

赤い非常灯に照らされるブリッジの中、戦場の推移を見守っていた立花艦長は、その生き残ったレール砲へのエネルギー供給を最優先とする指示を出す。

即座に電流回路がバイパスされ、メーサー砲へ供給される分のエネルギーがレール砲に向け流された。

残された弾薬は少なく、ビームの類は通じない、だが満身創痍の艦でも出来る事はまだ残っている。

ガメラが復活し、ゴジラもいるとなれば、必ずチャンスは訪れる。今は息を潜め、耐えるしかない。

傷を受け、痛みに耐え、それでも轟天号クルーたちから戦意は消えていなかった。

 

 

ゴジラは一気にマザーレギオンに組み付くと、ディストーションクローの破壊を目論見鋭い牙をその『関節部』に突き立てようとする。

熱線攻撃を防ぐバリアの発生装置と見ぬいているようだ。

振り下ろされるスレッジアームを受け止め、尾で弾き飛ばし、何度も大きく口を開いては突き付ける。

だが体格と言う点ではマザーレギオンに軍配が上がっており、かつて仙台でガメラと同時に組み付いても吹き飛ばされた様に、パワーの点でもマザーレギオンの方が上。

 

猛烈なアームの連打を受け、至近距離から熱線を放つも障壁に防がれる。

ゴジラを再び吹き飛ばそうとアームをマザーレギオンが振りあげると、空から飛来した火球がアームに直撃した!

 

 

砕け散った外殻が飛び散り、悲鳴を上げるマザーレギオン。

ガメラだ。飛行形態のまま放ったプラズマブリットがマザーレギオンの右スレッジアームを吹き飛ばしたのだ。

 

甲高い怒りの声を上げ、因縁の相手の復活に怒るマザーレギオン。

サイズアームでゴジラを吹き飛ばすと、体を捻りつつスラッシュアキュートを展開しマイクロ波シェルを放つ。

体をその場で回転させながら、青白いビームを放つマザーレギオン。

掻い潜ると同時に着地し、地面をドリフトしながらプラズマブリットを連射するガメラ。

 

マイクロ波によって周囲の建築物が薙ぎ払われ、火球は電磁障壁に受け止められる。

マザーレギオンの周囲を一回転するように滑ったガメラは、丁度ゴジラの真横で停止。

渾身の攻撃が功を奏さなかった事に唸りつつ、両手を握りしめ構える。

 

 

驚いたのはゴジラだ、起き上がると、死んだと思った戦友の復活に目を見開き、声を上げ見つめ合う。

ガメラはゴジラの目を見て頷き、ゴジラもまたマザーレギオンに向き直った。

喜び合うのは後でも出来る、今はただ、目の前の敵を倒すのみ。

 

 

気炎を上げるマザーレギオン、迎え撃つ二大怪獣。決着の時は近い。




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