新生怪獣王戦いの歴史   作:surugana

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こちら先ほどの投稿からの分割分となります。
ゴジラ達の関係ない箸休め回のはずがやたらと長くなってしまった…

今年中の投稿はおそらくこれが最後になると思われます、長らくお待たせしてしまった中で、また感想と励ましのお言葉をたくさん頂けまして、物凄く励みになりました。

こんな行き当たりばったりのシリーズでありますが、それでもよろしければまた来年もお付き合いくださいませ。

それでは皆様、良いお年を。


第39話

02年7月。子供達が待ち望む、全国の小学校が夏休みに入る終業式の日がやって来た。

国立生命工学研究所の副所長、桐島一人と明日香の息子桐島誠一も明日からの自由に胸をときめかせるその一人。

父一人と約束した天体観測会や通っている武術道場の合宿に想いを馳せながら、興奮に沸き立つクラスメイト達を宥めたりとクラス委員の役目に従事していた。

 

 

終業式を終えた誠一が帰宅すると、そこには意外な客人の姿。

家族ぐるみで長い付き合いになる新城功二・美希夫妻と、美希経由でG対策センターの関係者に挨拶するため、モスラのに挨拶するために眷属である妖精フェアリーに乗って海を越えてやってきたモルとロラの姉妹。

さらに生命科学研究所に属する美希の後輩サイキッカーの平田ミカだ。

 

先代のコスモス2人と美希の精神波が感応したように、ミカとモルとロラの精神波の相性が良いようで、今後2人の窓口はミカが担当することになるという。

 

はじめて見た神秘の存在に誠一は興奮し、彼らの出会いは活気と和やかさに溢れていた。

ただひとつ、何か妙なものを感じるから夜は気を付けて、というロラの警告を除いて。

 

 

その日の夕方、誠一は同級生の幼馴染み奥村梢の電話を受け、再び銀杏ヶ丘小学校に戻っていた。

待っていたのは梢と、クラスメイトの篠田亜樹。

彼女の妹美夏がこの時間になっても家に帰って来ず、心配した亜樹と亜樹の家で一緒に遊んでいた梢が探しに戻ることに。

道中に不安になった梢が、ボーイフレンドの誠一を呼び出したというわけだ。

 

三人は校庭で謎の紋様を描いていた下級生の千葉均を見つけ、彼から美夏の持ち物が旧校舎の玄関にある事を知らされる。

中に入った3人は、人体模型を持ち出そうとしていたクラスの悪戯コンビ中村健輔と瀬川将太、先輩の6年生小室香織、更に何かに追いたてられて旧校舎に逃げてきた均と合流。

7人で美夏を探すも手がかりがなく、レギオンの一件で常陸太田市からつくばに疎開した経緯から、まだクラスに馴染めていない亜樹と健輔が口論を始めてしまう。

何とか2人を宥めた誠一は、一度職員室に戻り先生に相談して警察を呼んで貰おうと提案。

正面玄関に戻るが、玄関には鍵がかけられてしまっていた。

近くの窓を開けようとするも、何故か鍵を開けたのに全ての窓を開けることができない。

事態の異様さに全員が気付き始めた時、誠一の背後に赤く光る妖怪テケテケが現れた。

 

 

一方その頃職員室では、最後まで残っていた誠一達の担任小向の元に旧校舎に閉じ込められた子供達の保護者が集まっていた。

その中には誠一の母である明日香と、梢の父親で、かつて2代目ゴジラの三原山落下作戦に関わっていた奥村宏の姿も。

小向は子供達は帰ったと言い張り押し問答の様相を呈していたが、丁度そこに均の弟一と、モルとロラのエリアス姉妹を引き連れたミカが駆け込んで来る。

 

均と一は、強力なテレパシーと霊感の持ち主で、精神科学センターでカウンセリングを受けておりミカとは顔見知りの間柄だ。

均の危険を一が感じ取って学校に向かう途中、街全体に異様な気配が漂っていることが気になり、エリアス姉妹と共に街を見回っていたミカと偶然にも遭遇。

ただならぬ一の雰囲気に、その能力の高さを知っているミカは案内されるがままに銀杏ヶ丘小学校に来たというわけだ。

 

 

国連関連機関の職員まで来られては小向も動かざるを得ず、鍵を持って旧校舎に向かっていると、偶然外に出ることが出来た亜樹と合流。

誠一たちの危機を亜樹が訴え、小向によって鍵が開けられると、次の瞬間に小向と亜樹、瞬間的に亜樹の手を取った宏が玄関の中に吸い込まれてしまう。

 

再び固く閉ざされた正面玄関。

大人の手でも開けることができず親達がパニックになるなかで、ミカとエリアス姉妹は強力な結界に校舎全体が包まれていると見抜く。

 

その時、均の思念波が一の元に届く。

ミカのテレパシーで増幅されたそれは、由美子のバイクのサイドミラーに均の姿となって現れ封印を壊したことで亡霊達が暴れまわっている、壊された封印の寄り代を見つけて直せば幽霊達は大人しくなると告げるのだった。

 

 

校舎の中に吸い込まれた亜樹は、何とか誠一達に合流を果たす。

幼い頃体が弱かった誠一は体を強くするために中国拳法を習っており、兄弟子達の見よう見まねでモップを棍棒代わりに振り回し、懸命に友人達を守っていた。

そこに小向と宏も、偶然現れた髭面の用務員に連れられて合流を果たす。

 

だが均の行方がわからず、美夏も見つかっていない。

どうするべきか宏と小向が悩んでいると、急に用務員―クマヒゲが苦しみ、唸り声をあげながら踞り、自分から離れろと叫び顔を上げる。

 

彼の口から蜘蛛の化け物がずるりと抜け出し、地面に落ちる。

子供達が悲鳴を上げ、その間も怪物―インフェルノはクマヒゲの体を取り込みながら実体化、B.O.W.を思わせる巨体となって襲いかかってきた!

 

宏は咄嗟に木で出来た椅子を投げつけ、その隙に小向が子供達を促し、そこにいた全員は教室の外へ駆け出していく。

かつて巨大フナムシショッキラスに仲間を全て殺された宏にとって、怪物とは恐怖の対象ではなく、怒り立ち向かうべき相手に他ならなかった。

 

 

だが、逃げた先の教室には再び怪異たちが復活し子供達を取り囲む。

万事休すと思われたその時、亜樹の手に握られていた紙が光を放ち、光はやがてフェアリーモスラの姿となった。

 

フェアリーモスラから放たれる聖なる光に怪異達は恐れを成して一斉に逃げ出し、子供達は間一髪救われる。

子供達の脳内に、モルの声が響く。

亜樹が握っていた紙切れは、一が持っていた魔導書の1ページ。

それを見た姉妹が、その本の力を利用してフェアリーモスラの思念体を魔術で校舎の中に送ったのである。

 

外では一が校庭に怪異を封じるための魔方陣を描き、大人達は封印の寄り代を探している、もう少しだけ待っていてほしい。

 

ロラが子供達を励まし、フェアリーモスラを通じてミカは均と美夏の居場所をテレパシーで見破った。

 

均と美夏は旧校舎の最奥に囚われていた。2人を宏達が助け出していると、壁を吹き飛ばして再びインフェルノが現れ、再び子供達を襲う!

 

 

その姿を見たモルは驚きの声を上げる、インフェルノは古代バビロニア文明の基礎となった、オリエント地方の超古代文明が封じていた大妖怪の一人だったのだ。

 

同じくオリエント地方を支配した吸血大妖怪の側近であり、300年ほど昔に復活し、日本に向かい行方不明となったと、コスモスに選ばれた際に読んだ古文書に記されていたのである。

 

まさかそんな大妖怪がこんなところに現れるとは…バビロニアの英雄達すら封印するのがやっとの存在だが、その気配は復活が不完全のせいか弱々しい。

 

小向と宏が咄嗟に掴んだ消火器から消火液を浴びせ、怯ませている間に子供達を走らせる。

目指すのは廊下の突き当たりにある正面玄関。

一方、ゴミ捨て場近くまで何かに呼び寄せられるかのようにやってきたミカは、そこに壊れた埴輪の像を見つける。

強い力を放つそれこそが目当ての寄り代と見抜き、手に取って一のもとへ。

校庭に描かれた巨大な魔方陣。その中心に埴輪を置き、モル達二人が封印の術式を発動。魔方陣が眩く光ると、大人すら立っていられないほどの地響きが起こり、旧校舎全体が光に包まれる。

 

南京錠が一人手に落下し、閉ざされた扉が開かれた。

だが最大の敵であるインフェルノは、一際強い光りに包まれ、それでも恐ろしい執念を見せ、唸り声をあげながら子供達の方に向かってくる。

 

 

最後の一押しが必要だ。

封印の力を直接インフェルノに流し込むことが出来たなら…ロラが、誠一の持っているモップの存在に気づく。

 

姉妹で呪文を唱え、封印の魔術をモップの先端に込める。

即席の武器が魔を祓う必殺の一撃に変わった。

誠一は最後の力を振り絞り、気合一閃!モップをインフェルノの胸元に叩き込んだ!

絶叫が上がり、インフェルノの身体に皹が入る。

 

破片に別れたインフェルノの身体が少しづつ校舎の奥に吸い込まれていく。

 

それでもインフェルノの歩みは止まらない。一歩一歩と子供達を狙って進むが、やがてインフェルノの動きが止まる。

テケテケを初めとした怪異達がインフェルノの身体を羽交い締めにし、その動きを封じていた。

 

彼等は銀杏ヶ丘小学校の歴代関係者の残留思念等が、妖怪や幽霊と言う形で魂と意思をもった存在。

悪戯をしたり、遅くまで学校に残っている生徒を脅かして家に返したりしこそすれ、ずっと子供達を見守り、寄り添って来た。

彼等はインフェルの悪意によって操られてしまっていただけで、本来は善良な存在なのだ。

 

取るに足らないモノ達に最後の足掻きを阻止され、インフェルノは光の果てに消えていく。

恐怖の一夜を作り上げた黒幕は、こうして子供達の勇気と友情の積み重ねに打倒されたのであった。

 

 

玄関が開け放たれ、インフェルノの呪縛から解放されたクマヒゲや怪異達が優しい笑顔で子供達を見送る。

その姿は徐々に透けていき、最後には空に溶けていった。

 

 

全てが終わり、解き放たれた玄関から誠一達が現れると、大人達は慌てて彼等に駆け寄り、成長と無事を喜ぶ穏やかな時間が過ぎる。

 

 

だが香織の姿がない。玄関を出るまでは一緒にいたはずなのに…

子供達が騒ぎだすと、そこで小向が大きな声をあげた。

 

 

小室香織、彼女は難病で一学期になってからずっと入院していたはずであり、学校にいることなど本来あり得ないはずなのだ。

 

 

と言うことは、彼女もまた…

暗い雰囲気が子供達を覆い、彼女に思いを寄せた将太は今にも泣きそうになっている。

だが、そんな子供達をモルとロラが勇気付けた。きっと大丈夫だ、と。

 

 

その言葉の意味を図りかねているところ、猛スピードで一台の乗用車が校庭に飛び込んできた。

 

中から現れたのは誠一の父、桐島一人。

 

一人は誠一に駆け寄り、その身体を抱き締める。誠一は微笑むが、直ぐに学校まで来てくれなかったことに妻明日香はひどくご立腹。

だが、次に一人の口から放たれた言葉に一同は驚愕することになる。

 

小室香織ちゃんの手術に付き合っていて、今終わって飛んできたんだ。

 

 

誠一が追求すると、一人は困惑しながらも詳細を口にした。

 

 

遺伝子疾患が起因とした難病を患っていた、小室香織と言う少女の治療と手術に一人が研究していた遺伝子技術が応用されることになり、手術が終わるまで一人はオブザーバーとして病院に詰めており、誠一達の異変は電話で知らされていても、帰るに帰れなかったのだ、と。

誠一達の関心は手術の成否のみに注がれる。健輔や将太に詰め寄られ、混乱を一層深めながら一人は応えた。

 

 

手術は、成功。

 

 

誠一達が吠える。天を仰いで各々に歓声を上げた。皆が肩を組み、泣きながら抱きしめ合い、ハイタッチを決める。

残されたのは、感極まって自分にしがみついて泣きじゃくる誠一と一人だけ。

 

 

お祭り騒ぎの様相を呈した人間達をフェアリーの上から眺め笑みを浮かべるロラ。

モルも微笑みを浮かべていたが、封印の埴輪を見ると表情が引き締まる。

先程見た封印の光、龍脈から沸き立つマナの流れを感じた。

マナの力を利用した封印だったのなら、レギオンとガメラ達の戦いの影響が、今回の事件にも絡んでいるかもしれない。これからも同じような出来事が起こる可能性は高いだろう。

 

子供達がもう二度とこんな目に合わないように、大人たちが手を尽くさなければいけない。

モルとロラ、そしてミカの三人は誓い合うのだった。

 

 

 

02年7月末、夏真っ盛り。道場帰りの誠一と塾帰りの梢が河川敷を並んで歩いていた。

亜樹は健輔とよく遊びに行くようになった、と梢。

将太は毎日のように香織の見舞いに行っており、2学期には学校に戻ってこれるらしい、と誠一。

均と一はミカの事を思い出してはため息を零す日々らしい。

たった1日の冒険で、少年たちは成長し、その関係性は少しずつ変わっていった。

 

そして誠一も、背中に隠した手で持つ映画のチケットをなんとか梢に渡そうと、静かに覚悟を決めているのだった。




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