本当に申し訳ありません。
この回も今現在入院しながら書かせていただいております。幸い経過は良好で暇は持て余しておりますので、入院中にまだ何回か投稿できればなーと思っておりますです。
韓国 坡州市。
テラービーストRスパークは東部の角を怪しく発光させながら北朝鮮との非武装地帯に向けて北上を続けている。
腹の中心の細胞が幾何学的に変化して構築される高密度荷電粒子砲「ブレストアーティラリー」、球状の手のひらから放射する熱線粒子「バーナリングフレイム」を垂れ流し、歩いた後には廃墟だけが残る有様だ。
臨津江に進むRスパークを迎撃するため、韓国軍は防衛線を構築し懸命な迎撃を行っている。
軍事境界線を越えて北朝鮮を巻き込む事態となれば混乱は加速してしまうだろう.それだけは防がなくてはならない。
F-15Kが一斉に発射したミサイルが顔面に直撃してもRスパークは意に介さず、腕を振るうだけで跳ね飛ばしてしまう。
戦車部隊が重粒子ビームで薙ぎ払われ、最終防衛ライン突破も時間の問題、と思われたその時だ。
黄海から臨津江を遡っていたヤンガリーと地下を掘り進んでいたプルガサリがついに合流。威嚇の咆哮をRスパークへと向ける。
同じく中国特殊戦略作戦軍も戦闘空域に到達、新型の艦載機『辟邪1型 B-1』を8機発進させた。
B-1は前進翼と全遊動式のカナードを備え、尾翼は可変機構により垂直尾翼と水平尾翼を兼ねる一風変わった翼構成となっている、優れた運動性を誇る中国初の対特殊生物戦闘攻撃機だ。
韓国空軍部隊と即席航空隊を編成し、Rスパークを囲むように空中を駆け巡る。
人類と地球怪獣による、侵略者の共同迎撃作戦。気迫を込めて李翔艦長は火龍に攻撃命令を下す。
Rスパークはブレストアーティラリーの砲撃を行い二体の怪獣の一挙撃滅を狙う。
だがプルガサリ、ヤンガリー共に熱エネルギーへの耐性は非常に強い。二体はビームを浴びるままにRスパークへと迫り、得意の格闘戦にもつれ込んだ。
二体掛かりのパワーは恐るべき未知のテクノロジーで生み出されたテラービーストにも通用するが、Rスパークは触手状の指『熱振動鞭ホイップクラッシャー』を振り回し、素手の攻撃を得意とする二体の間合いの外から反撃を仕掛ける。
頑強なプルガサリの表皮を溶かし斬る威力を持つホイップクラッシャーの乱舞に苦しみ、零距離から立て続けにブレストアーティラリーの連続発射を受け、さしもの韓国二大守護神も大きく吹き飛ばされてしまう。
寸でのところで。B-1部隊が一斉に援護攻撃を開始。航空総隊長劉の号令で一糸乱れぬ軌道でRスパークへ突撃する。
B-1部隊、ひいては李艦長率いる全員が、ヴァンガード一族の叡知からテラービーストの弱点を頭に叩き込んでいる。
体内で熱量の最も高い箇所、反陽子動力炉にはガロガバランの兵士が生体移植されテラービーストと同化しているのだ。
彼らは動力源を制御し、テラービーストを操る操縦士にして生体中枢としての役目を担っている。一度テラービーストと同化した兵士は二度と分離することは出来ず、もしテラービーストが撃破されれば運命を共にする。
人類から見れば残酷な処置だが、侵略行為こそが生命体のあるべき姿と認識するガロガの兵からすれば、最も名誉ある役割なのである。
ともあれ、テラービースト内部の高熱量ポイントを狙えば、制御中枢と動力源を一挙に破壊することが出来る。
B-1部隊はウェポンベイに搭載している隠し玉のミサイルを発射する。ターゲットはRスパークの腹部、プルガサリ達に攻撃を放とうと展開されていた高密度荷電粒子子砲ブレストアーティラリー!
ミサイルは砲身やその周囲の胸部から腹部にかけて次々と命中し、青い煙とともに命中個所を凍結させていく。
B-1部隊が発射したのは、日本の特自と共同開発していた超低温冷線ミサイルだ。
命中個所を瞬時に凍結させるミサイル群は、生体細胞を変化させて砲身を構築するRスパークの細胞変化機能を胸部を中心に停止させた。
露出、固定された砲身は高熱を帯びた状態から一気に冷やされたことで急激にその耐久性を低下させている。
さらにそこに、火龍からの一斉攻撃が注がれる。
プラズマメーサー主砲、副砲レールキャノン、テラービーストに効率よくダメージを与えられるプロトンミサイル、そして艦首龍剣高電子砲。
全身を砲弾とビームとミサイルの嵐にさらされたRスパークは悶絶し、遂に龍剣高電子砲の直撃でブレストアーティラリーが周辺細胞ごと大爆発を起こした。
千載一遇の勝機、人類の援護を本能的に感じ取ったヤンガリーとプルガサリは立ち上がるとRスパークに突撃、プルガサリが巨碗を振りかぶり、砕け散ったRスパークの胸に燃える拳、熱火拳を叩き込む。
反陽子動力炉ごと背中まで貫くプルガサリの拳。断末魔を上げて動きを止めるRスパーク。だがその体の熱量の急上昇。プルガサリは危険を察し上空へとその姿を投げ飛ばす。
すかさずヤンガリーはエネルギーをチャージし、口から矢じり状の火炎熱線バーニングジャベリンを放つ。
単発の火炎弾ではなく、熱線状に放たれた赤い奔流はRスパークの全身を焼き尽くし、遂には上空で大爆発を引き起こす。
火龍のブリッジは歓声に包まれ、プルガサリとヤンガリーも勝利の咆哮をあげた。
侵略者の第一陣は敗れた、だが戦いはまだ始まったばかり。
途中で合流したロシア空軍、SMPA航空隊を引き連れヤクーツク市に到達したペイルーン。クルーはそこで驚くべきものを目にする。
レナ川から上陸し、市街地中心部を目指すテラービーストを相手に、数年前アンブレラのロシア秘密基地攻略作戦の際に出現し、それ以来行方不明となっていた未確認の怪獣が戦いを挑んでいたのである。
4足歩行、体色は茶色。短い角が鼻先に1本、頭部に4本。甲羅上の背部には鈍い金色の鋭い角が剣山のように並び、長い尾の先端に角が全方位に伸びるハンマー上の瘤。
すさまじい反射神経と移動スピードを発揮し、テラービーストZキロが放つレーザー機関砲『ニードルエンブロイダリー』の弾幕をアクロバティックな挙動ですり抜け、背後の赤いタワーから放射する超磁力光線『マグネトロンスタビライザー』も、高速で街中を走り抜け回避している。
更にそのスピードを活かし、すれ違いざまに鋭い牙や爪、尾の先のハンマーを用いての攻撃さえ行使していた。
最も頑強な装甲を持つZキロにダメージを与えるまでには至っていないようではあるが。
先行して現地入りし、住民避難を行っていたGフォースロシアの隊員からペイルーンに連絡が入る。4足歩行型怪獣は明らかにテラービーストの市街地中心部への侵攻を阻止する動きを見せている。
彼がいなければ、中心部の病院都市に入院している患者たちの避難は間違いなく間に合わなかっただろう。
更にサハ地方に住む人々は、口々に怪獣を古くから伝わる大地の守護神アンギラスと呼んでいる、とも。
スヴェトラーナ艦長はしばらく思案したのち、怪獣アンギラスを援護しつつテラービースト撃破を最優先と下命。ペイルーン並びに航空機部隊に攻撃指示を出した。
空軍のSu-27、Mig-29を率いてIg-1部隊がZキロを目標に突撃する。
Ig-1は無尾翼、3次元推力偏向ノズル、飛行速度に応じて折り畳まれる主翼の翼端可変機構といった特徴を持ち、高い機動性と安定性を兼ね備えた機体だ。
重力制御能力を活かし、慣性を一部無視して空中をドリフトするような軌道でZキロに迫るチームもいる。
ミサイルとビームが降り注ぎ、ペイルーンからも猛烈な砲撃を受けるZキロ。だが頑強な宇宙金属で構成された装甲はそれら一切を跳ね返すと、背中のタワーから全方位に向かって超磁力波が放たれる。
反重力飛行を行っているペイルーンやIg-1でもその洗礼殻は逃れられず、Ig-1部隊は高度が稼げずペイルーンは速力が低下。Zキロからレーザー攻撃を受けてしまった。
ダメージに揺れるペイルーンの艦体。接近して撃沈を図ったZキロだが、直前にアンギラスが空中から飛び込みZキロを吹き飛ばす。
生身の怪獣であるアンギラスは超磁力波界の下でもその素早いフットワークが変わることはないが、矢張りダメージは心もとない。
熱探知でZキロ内部の反陽子動力炉の位置も割れているが、今のままでは決定打がないままの消耗戦になってしまう。
スヴェトラーナ艦長はブリッジで取得される各種データに目を走らせていた.、状況を打開するためには冷静な判断が必要だ。窮地であろうと狼狽えるわけにはいかない。
かつての父のように、最後まで諦めることは自分たちには許されないのだから。
モニターを精査していたスヴェトラーナ艦長の目があるデータに留まる。
Zキロが形成している磁力波界の磁力の流れを可視化したデータだ。超磁力は下方へのベクトルを持ちつつ、Zキロに向かって円錐状に強くなっている。
スヴェトラーナ艦長の脳裏にあるプランが浮かび上がる。艦にかかるダメージは大きいだろうが、このままじり貧になるよりはとる価値のあるリスクだ。
艦長命令が下る。機関最大、上昇と共にZキロの上方からの全速突撃。どよめくブリッジクルーを一喝すると、もう一度同じ命令を発した。
この戦いを終わらせる手段はこれしかない。
重力制御クラスターユニットが唸りを上げ、熱核ロケットエンジンが磁力の結界に抗うようにペイルーンの艦体を持ち上げる。
同時に発射可能な火器を全門斉射。Zキロの注意を向ける。
ペイルーンはZキロが形成する磁力線に沿う形で上昇から急降下へと移行。自重と推進力、そこにさらにZキロ自身が発生させる磁力が加わり艦体は更に加速、限界までZキロに接近すると同時に、艦首下部に搭載されたハイパーメーサージャベリンを射出した!
運動エネルギーと磁力けん引のパワーが合わさり、もともと頑強な物体を貫くことを想定してあるジャベリンユニットはZキロの分厚い装甲を容易く貫いた。
同時に、内部にチャージされているニュートリノが解放され、内部からZキロに大ダメージを与えていく。
両腕を闇雲に振り回して暴れるZキロだが、そこにアンギラスがとどめの一撃を打ち込む。
空中に飛び上がったアンギラスは全身を縦に回転、落下と回転の勢いを上乗せした状態で、Zキロに突き刺さっているジャベリンユニットに尾のハンマースラッシャーを全力でたたきつける!
反陽子動力炉の寸前で停止していたジャベリンユニットはその追加の一押しを受け、遂に最後の装甲版を貫通。
動力炉を貫き反対の装甲から飛び出し地面に突き刺さるほどのパワーには、Zキロの宇宙葬鉱金属も耐えられるものではなかった。
限界を迎え、大爆発するZキロ。赤い熱光に照らされるアンギラスをスヴェトラーナは見つめていた。戦友ともいうべきこの怪獣、果たして我等は今後どう接していくべきなのか、と。
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