新生怪獣王戦いの歴史   作:surugana

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引き続き対テラービースト戦をお送りいたします。

アメリカではあの秘密兵器も投入されて…?


第42話

オーストラリア中心部の都市、アリススプリングス。マンションや高層ビルを双頭のテラービーストがその頭を振り回して暴れている。

このテラービースト、デストロKの頚部関節は非常に柔軟性に富んでおり、鞭のように伸縮することで見かけ以上の間合いの物を攻撃することが可能だ。

更に口からは火炎光線「ハミングレーザー」を放つ能力を持ち、フレキシブルに可動する首と相まって、攻撃範囲に隙がない。

 

現地には既に陸軍の戦車部隊と空軍の航空隊が駆けつけているが戦力差は圧倒的であり、足止めすらできていないのが現状だ。

 

雲を切り裂くように上空で合流したアースライトSY-1と空中戦艦NSWが戦場に到達。

先行してSY-1がαラプターとβバスターに分離。二つの首の注意を引くべく左右方向からデストロKを挟むように攻撃を開始。

NSWはカタパルトから艦載機のAXF ブラックスワン部隊を発進させ、各兵装を展開、前進する。

 

ミサイル、ビーム、機関砲とあらゆる攻撃がデストロKに殺到する、だが堅牢な外皮を貫通するには至らない。

デストロK自身は地上と空中からの包囲攻撃を受け釘付けの状態になっている。

熱源探索で、反陽子動力炉の場所も既に割れていた。本体背部のタンク型の構造物、そして左右の頭部だ。

二つの頭部に搭載されている動力炉は中央の動力炉に比較して発せられる熱量は低いが、おそらくは中央を破壊された時を考慮したサブジェネレーターとなっているのだろう。

 

坡州市に出現した個体は撃破直前に自爆を敢行しようとしたと報告されている。

被害を増やさないためには、一斉に三ケ所の動力炉を破壊するしかない。

 

NFW艦長ジャビル・スコット・マーシャルは、考案した作戦をSY-1のデイビッド機長、ブラックスワン隊、戦場のオーストラリア軍を指揮する司令官に説明する。

作戦を成功させるには、全部隊の連携が必要だ。難しい作戦だが、成功させるしか勝ち筋はない!

 

航空機部隊は一層速度を増してデストロK周囲を飛行し攻撃を全方位から集中。

デストロKの注意を惹く間に、地上部隊は増援部隊として到着したオーストラリア国防軍特殊戦略作戦軍のイノベイターメーサー戦車、サラマンダーレール砲戦車と合流。

戦力を三ケ所に分散集中させデストロKを囲い込むと、メーサー車両部隊は超低温モードでの攻撃を開始した。

オーストラリア特殊戦略作戦軍が装備しているイノベイターはアメリカから輸入したアップデート版で、超低温モードと通常モードの切り替え機能が搭載されている。

超低温と熱エネルギービームの相互照射によるダメージの蓄積。地道だがこれもまた一定の成果のある戦術だと坡州市の戦いが証明している。

航空機の一撃離脱作戦と、地上車両による冷熱相互攻撃。役割を各々が果たし続ける徹底的な消耗戦の中で、少しずつデストロKの動きが荒くなってくる。

操縦しているガロガ兵、それともデストロK自身が苛立っているのか。注意力が散漫になっているのは目に見えて明らかだ。

好機と見て取ったブラックスワン編隊8機が4機ずつに隊を分けデストロKに突撃、狙う先は二つの頭部。赤く光る眼球だ。

 

発射される対獣ビーム砲。一直線に伸びたそれは右の頭部の左目、左の頭部の右目をそれぞれに直撃し爆発を引き起こす。

見悶えるデストロK。SY-1は更に追撃を仕掛ける。αラプターとβバスターが合体し、全兵装を頭部と背部のタワーへと集中させたのだ。

重力レールガン、レーザー砲、プロトンミサイルと攻撃は次々に命中し、頑強だった筈のデストロKの正面装甲を削り取っていく。

苦し紛れに放たれる反撃の赤い光線。ハミングレーザーがSY-1に伸びると、命中の直前にSY-1は再びαラプターとβバスターに分離する。

急上昇し斜線から離れたβバスターと反対に、αラプターは持てる速度を持ってハミングレーザーをかいくぐりデストロKへと突進。

そのまま二つの首の間をすり抜け、背部反陽子動力炉にプロトンミサイルを命中させ、更にαラプターを追ったデストロKの左右の首が伸び、発射されたままのハミングレーザーが反陽子動力炉の入っている本体タワーに直撃してしまった。

 

完全な破壊には至っていないが、それでも本体タワーは爆発とともに大きな穴が開いている。マーシャル艦長の作戦は見事成功したのだ。

ここでNSWは切り札を切る。艦首に搭載されているモジュール型特装砲、ハイパーメーサーキャノンのブーメランモードを起動したのだ。

NSWの特装砲ハイパーメーサーキャノンは、通常時には他のATRAGON計画級同様に超高出力メーサー砲として機能する。

だがブーメランモードと呼ばれる機能を発動することで、その特性は全く違うものに変化するのだ。

砲身がX字状に展開されると、ニュートリノ粒子を固定させるための開放バレルが伸び、砲身内部に三叉状にメーサーエネルギーの巨大な刃が構築される。

艦の全長にも匹敵する大きさの巨大なメーサーエネルギーの塊はやがて高速で回転し人の目には円盤にしか見えない程加速、遂には射出された。

発射されたメーサーエネルギーの円刃は、度重なる攻撃で耐久度が低下しているデストロKの左右の頭部を易々と切り裂き、そのまま背部タワーの反陽子動力炉に直撃した。

タワーは爆発とともに完全に砕け散り、頭部を失ったデストロKの体がゆっくりと地面に倒れ伏す。

エネルギー活動が急速に弱まっていく。三つの動力炉すべてが破壊され、恐るべき獣の命脈は完全に断たれたのだった。

 

 

 

アトランタの中心地であるミッドタウン地区。出現したDロラは高層ビル群を左腕の鋭い鎌「フォーミダブルサイズ」で次々と斬り裂いて行く。

州軍と空軍が、もう何度か目の集中攻撃を仕掛ける。遠方に展開した野砲部隊、前線の戦車部隊、航空機や攻撃ヘリのミサイルがDロラに次々と着弾するも、ダメージを与えられているようには見受けられない。

その上、Dロラの背部から生えるもう一つの首が吠えると、Dロラの前方に異常な色をした、円形の穴のような空間が広がる。

それは軍の攻撃すべてを吸い込むと消え、もう一度現れると同時に、吸い込まれたはずのミサイルや砲弾をそのまま撃ち返してくる。

反射された攻撃を受け、州軍の車両部隊や航空機が次々と破壊され無数の火柱が上がる。

Dロラの後方の頭部は四次元空間を制御する能力を有している。亜空間につながる円形の穴「バニティホール」を形成することで他者の攻撃を亜空間に受け流し、位相を反射して攻撃にも転用することができるのだ。

炎と黒煙の照り返しを受け、不気味に笑うような鳴き声を上げるDロラ。ふと聞こえる何かの音に空を見上げると、そこには銀色に煌めく紫苑の飛行体が。

 

 

アドノア島から飛来したホワイトラドンだ。紫焔を思わせる熱エネルギーを纏って飛ぶホワイトは本能でDロラを地球と自分たちの敵と判断。

猛然とボルカニック熱線を浴びせかけてきた。

Dロラはバニティホールを形成して即座にボルカニック熱線を反射。

目前に迫った自身の攻撃に驚きつつも寸前で身を翻すホワイトラドン。

低空からビルの隙間を縫うようにDロラの周囲を飛び、フェイントを混ぜながら超速熱旋破砕波とボルカニック熱線の連携で有効打を狙うが、Dロラもいつまでも攻撃されるままではない。

右腕の先にバニティホールを開くと、右腕の植物の蔦を思わせる鞭腕「スイーパーアームズ」をその中へと伸ばす。

 

すると、バニティホールがホワイトラドンの真横に開き、スイーパーアームズがホワイトラドンを絡めとる。

亜空間を経由して空間同士を繋げ、本来の右腕の間合いを超えた距離の相手を攻撃したのだ。

全身を縛り上げられ、先端の蕾にある鋭い牙が食い込み苦悶の声を上げるホワイトラドン。

更にDロラの口から赤色コロイド粒子「ブラスティングダスト」が吹き付けられる。

皮膚に付着した赤い粒子は、即座に化学反応を起こし連鎖的に爆発する。ホワイトラドンの全身を爆炎が包み込んだ。

熱エネルギー自体には強い耐性を持っているホワイトラドンだが、それでも衝撃を至近距離で受ければダメージは免れない。

翼に熱エネルギーと力を込めてスイーパーアームズを振り払い、お礼とばかりにバニティホールに逃げる寸前のスイーパーアームズにボルカニック熱線を浴びせかける。

熱線をかわし切れず、Dロラの右腕は白い煙を上げている。

 

戦いは仕切り直しとなった。ラドンは再びビルの谷間を盾にしながらかく乱に徹し、Dロラはバニティホールを用いた奇襲でホワイトラドンをけん制する。

 

二頭の怪獣同士の死闘に紛れ、戦闘空域に到達した空中戦艦ランブリング。ブリッジでゴードン艦長は艦載部隊の発進を指示する。

上部カタパルトからはナイチンゲール隊が発進し、艦体下面ハッチからは4両の大型車両がロケットブースター付きのパラシュートパックを使い、台地に降り立つ。

 

VMBT-1 ガンヘッド

U.S.C.X.F.が開発した史上初の対特殊生物戦闘用可変装甲戦闘車だ。

射撃性能と防御性能に優れた車両形態のタンクモードと汎用性と格闘性に優れたロボット形態のスタンディングモードに変形する能力を持ち、背面ユニットを換装することで様々な任務に対応可能な新概念の兵器である。

第一特殊戦車小隊を率いるバング・チョウ中佐が、部下達に檄を飛ばす。

 

 

パーティーの始まりだ。

 

 




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