ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜   作:アイリエッタ・ゼロス

12 / 87
戦王の使者 Ⅵ

 俺達は今、船の中にあるホールにいた。

 

「....ふむ。一瞬感じた気配、獅子の黄金(レグルス・アウルム)だね。普通の人間が第四真租を喰ったって噂、

 わざわざ確かめに来たのも、案外無駄じゃなかったわけか」

 ヴァトラーは俺の方を見ながらそう言ってきた。

 

「何で獅子の黄金(レグルス・アウルム)のことを....」

 俺はヴァトラーに獅子の黄金の事について話した事がないのに、ヴァトラーが

 獅子の黄金(レグルス・アウルム)について知っている事を疑問に思ってそう言った。

 

「おや、気づいていなかったのかい? 僕の眷獣が君に向かった時に一瞬現れようと

 していたんだけど。まぁ、彼等が僕の眷獣を吹き飛ばしたから実物を見る事は

 叶わなかったけどね」

 ヴァトラーは笑みを浮かべながら黒輪の根絶者(デリーター)の部下である二人を見てそう言った。

 

『つまらん世間話はいい。さっさと聞かせてもらおうか、貴様がこの島に来た目的をな』

『第四真祖に挨拶してはい終わりでは無いでしょ』

「....そうだね。ちょっとした根回しって奴だよ。この魔族特区が第四真祖の領地

 だというのなら、まずは挨拶しておこうと思ってね。もしかしたら迷惑を

 かけることになるかもしれないからねぇ」

「迷惑ってどういう事だよ」

「クリストフ・ガルドシュという男を知っているかい?」

「....いや、誰だ?」

 俺はヴァトラーが言った男に覚えがなかった。

 

『....クリストフ・ガルドシュ。戦王領域出身の元軍人で黒死皇派という

 過激派グループの幹部の男だ』

『十年ほど前のプラハ国立劇場占拠事件では民間人に四百人以上の

 死傷者を出したテロリストよ』

 黒輪の根絶者(デリーター)の部下の二人は俺にクリストフ・ガルドシュの事を説明してくれた。

 だが、俺はその説明を聞いて一つ疑問に思った。

 

「黒死皇派って名前は聞いたことがあるが、何年も前に壊滅したんじゃなかったか?」

『そうね。リーダーはそこの蛇遣いが殺したわ。クリストフ・ガルドシュは

 その生き残りよ。蛇遣いが中途半端に逃がしたせいで残党が新たな

 指導者としてクリストフ・ガルドシュを雇ったのでしょうね』

「ちょっと待ってくれ! じゃあヴァトラーがこの島に来た目的は、

 そのガルドシュって男が関係してるのか?」

 俺は何となく嫌な予感を感じたのでヴァトラーにそう聞いた。

 

「察しが良くて助かるよ古城! そのとおりだ。ガルドシュが黒死皇派の部下達を

 連れて、この島に潜入したという情報があった」

『なるほど....また随分とふざけた事を考えてるわね』

 そう言った黒輪の根絶者(デリーター)の部下の女はレイピアをヴァトラーに向けていた。

 それを見て、周りのヴァトラーの部下らしき奴等も戦闘態勢を取っていた。

 

「お、おい! 何で今のヴァトラーの言葉でそうなるんだ!」

『....わかりやすく言うとな。あの蛇男はクリストフ・ガルドシュに襲われた際、

 正当防衛の大義名分を使って黒死皇派の残党と殺りあうのが目的だ』

「ふふふっ、流石は黒輪の根絶者(デリーター)の部下! 勘が良いという次元を超えているね!」

 ヴァトラーは黒輪の根絶者(デリーター)の部下の男の言葉に笑いながら答えた。

 

『....あんた、そんな事した時には“根絶(デリート)”するわよ』

「っ!」

 そう言った黒輪の根絶者(デリーター)の部下の女のドレスは燃えていき、いつに間にか銀色の鎧を

 纏ってヴァトラーを睨みつけていた。その気迫に押されたのか、ヴァトラーも女を

 睨みつけて眷獣が出ようとしていた。気がつけば、場は一触即発の空気になっていた。

 すると....

 

「待ってください!」

 姫柊が雪霞狼を持って二人の間に入った。

 

「恐れながら、アルデアル公の心配には及ばないと思います。それに貴方も」

「....たしか君は、獅子王機関の剣巫、紗矢華譲のご同輩だね」

『....それはどう言う意味かしら?』

「この地の首領は第四真祖。 この地の火の粉を払うのは領主の務めなので、

 アルデアル公は大人しくしててください。そして、貴方達の主人にも」

「ひ、姫柊!?」

 姫柊は冷静な様子で二人にそう言った。

 

「....まぁ良いよ。君が古城の伴侶として相応しいか見極める良い機会だ」

『....言うだけなら別に構わないわ。ただし、選択を決めるのは先導者様よ。

 それだけを忘れないでもらえるかしら』

「....そうですか」

 そう言うと、女はレイピアを腰の鞘に直し、ヴァトラーも眷獣を戻していた。

 

『....さて、貴様の目的も聞けたし我等はこれで失礼するぞ』

『そうね。....言っておくけど、私達は忠告したわよ蛇遣い』

「あぁ....そうだね」

 そう言ったヴァトラーは少し冷や汗が流れていた。

 

『ではな』

 そう言って二人が部屋から出て行くと、何故か煌坂は二人を追いかけて出て行った。

 

 

 〜〜〜〜

 ブラストside

 

「ちょっと待って!」

 俺達が部屋から出て階段を降りていると、急に舞威媛の女の声が聞こえてきた。

 

『何か用か?』

「一つだけ、貴方達に頼みたい事があるの」

『頼みたい事?』

「えぇ。貴方達の主人に、こう伝えてもらえないかしら」

 舞威媛の女はそう言うと、一つの伝言を俺達に言ってきた。

 

『....わかったわ。先導者様には私の方から伝えておくわ』

「っ、ありがとう....!」

『....ではな』

 俺達は船から降り、我が先導者(マイ・ヴァンガード)の家に向かって走り出した。

 

 〜〜〜〜

 

我が先導者(マイ・ヴァンガード)、ただいま戻りました』

 俺とフェンサーは我が先導者の前に跪いていた。

 

「二人ともおかえり。それで、何かわかったか?」

『はい』

 フェンサーは蛇男から聞いた目的を話した。

 

「....そうか。面倒ごとをこの島に持ってきやがって....」

 先導者は忌々しそうにそう言った

 

『それと、もう一つ報告が....』

「もう一つ?」

『はい。蛇遣いの監視をしていた獅子王機関の舞威媛から先導者様に伝言が....

「あなたは覚えていないかもしれないけど、私はあなたに感謝している。10年前、

 私を助けてありがとう」だそうです』

「10年前....」

 フェンサーの言葉を聞いて、先導者は何かを思い出そうと考え込んでいた。

 

『心当たりは無いのですか?』

「あぁ....」

『そうですか....』

「まぁ良い....とにかくご苦労様。二人は戻って休んでくれて構わないぞ」

『はい』

『では、失礼します』

 俺とフェンサーはそう言ってカードの状態に戻った。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。