ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
「....かなり落とされたな」
「えぇ。全く....アイツは加減ってものを知らないわけ!?」
「それは俺にじゃなく古城に言えよ....」
俺と煌坂は
やり過ぎたため、俺達は地下に落とされてしまった。落ちた時に大量に瓦礫が
落ちてきたが、煌坂が全て煌華麟で弾いてくれたお陰で俺は怪我をせずに済んだ。
「てか、さっきはありがとな。お陰で怪我をせずに済んだ」
「別に....さっきアンタに助けてもらったんだからこれでお相子よ」
「そうか。....それよりも、あの馬鹿は何処に」
俺は古城が周りにいないか探していると....
「おーい! 二人とも無事かー!」
俺達がいる所より少し上から古城の声が聞こえた。
「お前、そこにいたのか....こっちは無事だ!」
「そうか! なら良かった....」
古城は安堵したように息を吐いた。
「暁 古城! そこからナラクヴェーラは?」
「見えねぇよ。多分、瓦礫に埋まってると思う」
「破壊したの!?」
「多分な。少なくとも、修理しないと動けないくらいのダメージは与えたはずだ」
「....わかった。とにかく一度合流するぞ。俺らも上に行く道を探す。古城もどうにか
上に行く道を探して上に進め」
「わかった。二人とも気をつけろよ!」
そう言って、古城は奥へと進んで姿が見えなくなった。
「....さてと、俺達も上に行く道を探すか」
「そうは言うけど、何処から探すの? 広過ぎて何があるかわからないのに」
「んなもん、時の運に身を任せるだけだ」
そう言って進み出そうとしたが....
「ちょっと待って!」
急に煌坂は俺を呼び止めた。
「何だ?」
「ちょっと手の怪我見せて」
「手の怪我を?」
「いいから早く!」
煌坂は真剣な表情で言ってきたため、俺は大人しく怪我を見せた。怪我の傷はさっきよりも
広くなっており、血も少し流れる量が多くなっていた。すると、煌坂はポケットからハンカチを
取り出して怪我の部分をハンカチで結んでくれた。
「これで血の出血は少しマシになるはずよ」
「....ありがとな」
「べ、別にこれぐらい普通よ! 元はと言えば私のせいで....」
そう言いながら煌坂が歩こうとした時....
「きゃっ!?」
煌坂の足元が崩れて煌坂は倒れそうになった。
「っ!」
俺は煌坂を支えようとして動き、倒れる前に煌坂を支えることができたのだが、
俺の足元の地面も同じように崩れてそのまま後ろに倒れてしまった。
その時、俺の掌にはとてつもなく柔らかい感触があった。
「(何だこれ....って!?)」
俺は自分の掌がある位置を見て背筋が凍った。何故なら、俺の掌がある場所は
ちょうど煌坂の胸の位置だったからだ。
「....わ、悪い!」
俺はすぐさま両手を離して誠心誠意の謝罪をした。
「どうして謝るの! 故意なの! やっぱりあなたも暁 古城と同じ邪な下心があったわけ!」
煌坂は胸元を押さえながら、上目遣いで睨んでそう叫んだ。
「アイツとは一緒にすんな! ....その、さっき姫柊から聞いたんだよ」
「雪菜が、何を....?」
「お前が男嫌いなこと....」
「っ!」
そう言った瞬間、煌坂の表情は強張った。
「その、本当にすまなかった。男嫌いなのに俺、お前の事散々触れちまって....」
「....」
俺の謝罪を黙って聞いていた煌坂は、急に俺の頬をつねってきた。
「い、痛いんだが....! 急に何すんだ....」
「あ....いや、その....何で雪菜はそんなこと言ったんだろうって....」
「煌坂を怖がらせるような事するなって言われたんだよ。単純に姫柊は煌坂の事を
心配してるんだろ。男嫌いのお前に俺ら男二人だからな」
「....別に怖いわけじゃなくて、苦手なだけよ。というかウザい? いや、気持ち悪い?」
「よくもまぁ男の胸を抉るような事をポンポンと....古城だったら膝をついて
ダメージを受けてるな」
俺は煌坂につねられたところをさすりながらそう言った。すると、煌坂は
俺に向かって微笑んでいた。それは、気負いのないものだった。
「あなたって、変な人間ね。....あなたからは、少しあの人と似たような
感じがするわ」
「あの人?」
「....十年前に私を救ってくれた恩人、黒輪の
「....そうなのか」
「(....こういう運命とかもあるものなのか?)」
そう考えていると、急に背中に何かが落ちてきた。
「何だ....?」
俺は頭上を見上げると、小さな水滴が落ちてきた。
「この匂い....海水か」
俺のユニットと、古城の
来ているみたいだった。周りをよく見てみれば、俺達が気づかなかっただけで、
あちこちで浸水は始まっていた。
「あんまりのんびりしてる余裕はなさそうだな。先を急ぐぞ」
そう言って進み出そうとしたが、突如大きな揺れが起きた。
「今度は何!?」
俺は周りを見ると、瓦礫から這い出て
ナラクヴェーラの姿を見つけた。
「煌坂、多分アレだ」
「ナラクヴェーラ!? 第四真祖の眷獣の攻撃を受けて何でまだ....」
すると、突如ナラクヴェーラの破壊された脚が光り出し、形は歪だが、
動く分には問題が無さそうな脚に修復された。
「まさか、元素変換!?
....でも、飛行能力はまだ回復していないみたいだけど」
そう、煌坂が話している間にナラクヴェーラは破壊された部分を修復しながら
穴をよじ登っていた。だが、脱出が不可能と思ったのか、自身の足元に
真紅のレーザーを放って大穴を開けた。ナラクヴェーラが開けた大穴からは
大量の海水が入ってき、半壊していた場所からも大量の海水が流れ込んできた。
「っ、ヤバイな....急ぐぞ煌坂」
俺は煌坂の手を取り、一目散にここから走り去った。
〜〜〜〜
「....また行き止まりか」
俺達はメンテナンス用に使われる狭い通路にいた。普通この通路は地上に
繋がっているのだが、先ほどのナラクヴェーラのレーザーのせいで、
天井が崩落して進める道が塞がれていた。更に、海水が浸水するスピードが
速くなっており、既に足首のところまで浸水し、俺と煌坂は頭上から
降り注ぐ海水を潜ったせいで全身びしょ濡れだった。
「へっくしゅ....!」
すると、後ろにいた煌坂がくしゃみをした。
「....煌坂、これ羽織っておけ」
俺は魔法陣からブラスター・ジョーカーの背中にあるマントを煌坂に渡した。
「あ、ありがとう....」
「別に良い。....それよりも、こっからどうするかだ」
「あなたの召喚する子達で使える子はいないの?」
「....いやまぁ、いるにはいるんだが、全員かなり破壊力が高過ぎてな。
ここでやると、上にいる古城にまで被害が及ぶから使おうにも使えねぇんだよ。
使うんだったらアイツが合流してからだな」
「そう....」
「まぁ一応、他に方法があるといえばあるんだが....」
「何よ、その方法って?」
「....古城の眷獣を新しく覚醒させる」
俺がそう言うと、煌坂は目を見開いた。
「新しくって....肝心の暁 古城と合流できなきゃ意味無いじゃない。
それに....誰がやるのよ?」
「まぁ、それはお前に頼むしかない....俺じゃ霊媒としては弱いからな」
それを聞いて、煌坂は苦い表情になった。
「....暁 古城に血を吸わせろって言うの?」
「いや、別に吸わせなくても良い」
「へっ?」
「お前の血を俺が採血して、アイツにそれを飲ませたら良い」
「さ、採血って....道具が何処にも無いじゃない」
「そんな事はない」
そう言って、俺は手を前に向けた。
「来い、
俺達の前に展開された魔法陣から、銀髪で首に黒い輪がある男が現れた。
「コイツの持っているこれで血の採血ができる。まぁ、普通の採血より結構
痛いけどな....」
「....」
「先に言っておくが、無理にとは言わない。煌坂が嫌なら、俺も最後の手段を使って....」
考え込んでいる煌坂に俺がそう言うと、急に煌坂は俺に変なことを聞いてきた。
「....ねぇ、私って大きいよね?」
「....何がだ?」
「....身長よ」
「あぁ....まぁ確かに姫柊と比べたらな」
煌坂の身長は、確かに俺のクラスの女子とかよりも全然高い。というか、
167ぐらいは女子ならかなり高いほうだ。
「....だよね。可愛くないよね」
煌坂は寂しそうな笑顔を浮かべてそう言った。
「そこまで気にする事か? 大きい方が好きって男もいるだろ」
「そうなの? 小さい方が可愛くない?」
「それは個人の問題だ。まぁそもそも、大きいから可愛くないって理論には
ならねぇよ」
「そう、なんだ....じゃあ、あんたはどっちが好き?」
「(責任重っ....)」
煌坂の少し期待したような言葉を聞いて、俺は心からそう思った。
そして、色々と考え抜いた結果....
「....俺的にはどっちも同じぐらい良いと思うけどな。大きいかったら
大きいなりに良いことがあるし、小さかったら小さいなりに良いことが
あるからな。まぁ、だからそんなに自分の身長が高いことを卑下すんな」
「....そっか」
すると、煌坂は小さな声でこう言ってきた。
「あのね....私ってこの身長だからさ、お姫様抱っこをするのは私の役なの。
だから、あんたにお姫様抱っこをしてもらった時、少し嬉しかったの」
こういう意味だったらしい。
「ほ、ほんとにそれだけだからね! いつか運命の相手に強引に抱きかかえられて
恋に落ちるかもとか、そんな妄想したわけじゃないんだからね!」///
煌坂は顔を赤くしながら、慌てて捲し立ててきた。その様子を見て、
俺は笑ってしまった。
「な、何笑ってるのよ!」
「いや....あんなこと言っておいて、お前も可愛いところがあるじゃねぇか」
すると、煌坂は耳まで真っ赤になってしまった。
「ほ、本当にそう思ってる?」///
「あぁ」
「....私、可愛いかな?」///
「可愛いし美人だ」
「っ! ....そっか」///
すると、煌坂は小さく笑い、俺に近づいてきた。
「....じゃあ良いよ」
「良いって....」
「採血! これなら、私は暁 古城に血を吸われなくて済むんでしょ?」
「....本当に良いのか?」
「....まだ男は苦手だけど、あんたのことは信じれそうなの。だから....」
煌坂はそう言いながら、腕をまくった。
「....わかった。頼む、ステラガレージ」
『....了解』
煌坂の覚悟を聞いた俺は、ステラガレージは針のついた筒と、液体を
入れる筒を手に取った。
「....ねぇ、一つだけお願い」
「何だ?」
「手、握って」
煌坂は採血する腕とは反対の腕を出した。
「....わかった」
そう言って、俺は煌坂の手を優しく握った。そして、ステラガレージは
煌坂の腕に針を刺して採血を始めた。