ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
煌坂side
伊吹 終夜が島への攻撃を防ぐと言ってここを離れてから、私達はナラクヴェーラと
対峙していた。
すると、ナラクヴェーラは私達に向かってミサイルを放ってきた。
私は二人の前に立ち、ミサイルを受け流した。受け流したミサイルはいくつかが本島の方に
向かってしまったが、伊吹 終夜が召喚した三体の獣が全て撃ち落としていた。
「凄いわね....あんな力を持った獣を一気に三体も召喚するなんて」
私は三体の獣の動きや、攻撃の威力、防御力を見てそう呟いた。
「あぁ....だけど、これなら後ろに気を使わずに戦える!」
「そうですね」
「さぁ、一気に行くぜ!
暁 古城は
ナラクヴェーラの女王機には装甲の表面に少し焦げ目をつけただけだった。
「なっ!? 効いてねぇのかよ!」
『その眷獣の攻撃は君達が戦っていたナラクヴェーラを通して既に学習済みだ。
もう通用しないのだよ!』
女王の機体からはガルドシュらしき男の声が聞こえてきた。
「マジかよ....! そんなもん、どうやって倒すんだよ!」
「大丈夫ですよ先輩。方法なら....」
そう言って雪菜が何かを説明しようとした時、突如空が暗雲に包まれた。
「っ、今度は何だ!」
突然の暗雲に、私達やガルドシュは周囲を警戒した。
「(向こうも警戒している? という事は、ガルドシュの味方ではなさそうね....)」
そう考えていると、
「竜巻!?」
「何故あんな所で....!」
暁 古城と雪菜は突然の出来事に驚いていた。そして警戒していた次の瞬間、
竜巻が晴れ、そこに青いロボットのようなものが現れた。
「アレは....!」
「黒輪の、
私と雪菜は、その現れた正体を獅子王機関の資料で見たことがあった。
「何で、こんな所に....」
私がそう呟いた瞬間、黒輪の
「いつの間に....!」
そして、黒輪の
「嘘だろ....!? 一撃でナラクヴェーラを!」
『バニッシュデリート』
黒輪の
黒い球体の中に封じ込まれた。そして、黒輪の
『また会ったな、暁 古城、姫柊 雪菜。....それと、お前はあの時の少女か』
黒輪の
「っ! 覚えていてくれたの」
『まぁな。それよりも、前を見ろ』
そう言って、黒輪の
ナラクヴェーラのレーザーを全て無効化した。
『あの女王機に何も手立てが無いなら、俺がもらうぞ』
その言葉に....
「待ってください! あの女王機を倒す手立てはあります。ですから....
あなたは手を出さないでください」
雪菜が待ったをかけてそう言った。その言葉に私と暁 古城は驚いた。
『....良いだろう。ならば、俺は雑魚の処理をしてやる。その間に、奴をさっさと倒せ』
「....言われなくても」
『そうか』
それだけ言うと、黒輪の
「ひ、姫柊! 本当にナラクヴェーラを倒す手立てはあるのか?」
黒輪の
「はい。この携帯にナラクヴェーラの自己修復を利用して自滅させる
コンピューターウイルスの一種があります。その音声を女王機の中で流せば....」
「一体、どこでそんなものを....」
「藍羽先輩が解析をしながら作ったそうです」
それを聞いて、私は暁 古城の周りにいる人間はめちゃくちゃだと思った。
「なるほどな。だが、この状態をどうやって抜ける....?」
ナラクヴェーラはどんどん黒輪の
ナラクヴェーラの増援は増えていった。それに、黒輪の
攻撃でこの中を突破して女王機に潜り込むのは至難の技だった。
だけど、私には一つだけ策があった。
「....私が動きを止めるわ」
そう言って私は前に出て煌華麟を前に突き出して煌華麟を真の姿にした。
「"
そして、この状態で使う事の出来る技が一つあるわ。だけど、チャンスは一度きりよ。
もし失敗でもしたらアンタのこと灰にするから」
「....わかった」
「....では、行きます!」
雪菜の言葉に暁 古城と雪菜は女王機に向かって走り始めた。
〜〜〜〜
終夜side
『(姫柊はまだ警戒してるか....)』
俺はナラクヴェーラ達を呪縛しながらそんな事を考えていた。
すると、さっきまで話し合いをしていた三人がそれぞれ動き始めた。
『(さて、俺は援護してやるか)』
そう思いながら、俺は古城達に向かってレーザーを放とうとする
ナラクヴェーラを集中的に攻撃した。すると....
「黒輪の
急に煌坂に呼ばれた。
「今から私が技をそこの周囲に向かって放つわ! 魔法陣が現れたら、その魔法陣の外に出て!」
煌坂はそう言うと、弓の形になった煌華麟を上空に向けた。
「獅子の
憤焰をまといて妖霊冥鬼を射貫く者なり!」
煌坂の詠唱が終わり、銀色の矢を放つと上空に巨大な魔法陣が描かれた。
俺はそれを見て、急いで魔法陣の外に出た。魔法陣からは無数の光の矢が
ナラクヴェーラに降り注ぎナラクヴェーラ達の動きを止めた。
『(チャンスだな....)』
俺はそう思い、動きが止まったナラクヴェーラに向かって身体から出ている
コードでナラクヴェーラを貫き、一斉に
「っ、先輩!」
「あぁ!
古城は一気に駆け抜け、二体の眷獣で女王機に攻撃した。
『(なるほどな....)』
女王機は既に二体の眷獣の攻撃に耐性はついているが、二体同時の攻撃の
耐性を付いていないことに古城は気づいたようだった。
すると、女王機から獣人化したガルドシュが出てきた。
「ハハハッ! やはり戦争というのはこうでなくては!」
「守るべき国も民も持たないあなたに、戦争を語る資格はありません!」
姫柊は哀れみの目でガルドシュを見ると、煌坂の援護を受けて女王機に走っていった。
「うおぉぉぉ!」
そして、姫柊に気を取られていたガルドシュは、背後に回っていた古城に殴られて
吹き飛ばされた。
「ぶち壊れてくださいナラクヴェーラ!」
そして、姫柊は携帯を女王機に投げ入れると不協和音が流れ始めた。
それは、聞いているだけで気分が悪くなりそうな音だった。
そして、その音ともにナラクヴェーラは崩壊を始めていった。
『
俺は音が止まると、
そこから出てきたのはただの砂となったナラクヴェーラだった。
『(これで、全部終わった....)』
そう考えていた矢先、背後から強力な魔力を持った蛇が俺に向かってきた。
『....はぁ』
俺は向かってきた蛇の首を掴んで消滅させた。
『....何の真似だ、ヴァトラー』
俺は蛇を飛ばしてきたヴァトラーを睨みつけながらそう聞いた。
「決まっているだろう? 君へのリベンジだ! あの時、君にはやられてしまったからねぇ」
ヴァトラーはそう言いながら魔力を高めていった。
「さぁ、君も構えたまえ」
『断る。ここで俺とお前が戦えば島が無事では済まないからな』
そう言いながら、俺はヴァトラーに手を向けた。
『
すると、ヴァトラーの中にある眷獣の
「これは....」
『お前の中にある眷獣を三体
「断ったら?」
『....この場で
そう言ってしばらく対峙していると、ヴァトラーは自分の魔力を抑えた。
「....わかったよ。今日のところは引こう」
『....そうか』
その言葉を聞き、俺も腕を下げた。
「では、僕はガルドシュを連れて帰るとしようかな。彼を連れて帰らないと僕の沽券に
関わってくるからね」
『ならさっさと帰れ。お前がいると面倒で仕方がない』
「ふふふ、釣れないなぁ」
そう言って、ヴァトラーはガルドシュを担いで何処かに歩いていった。
『....俺も帰らせてもらうか。ではな、姫柊 雪菜、暁 古城、煌坂 紗矢華』
「っ、どうして私の名前を....!」
『....さてな。
俺は適当に言葉を濁してゲートの中に入り、この場から姿を消した。