ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
「....はぁ、浅葱と築島にノート借りないとな」
次の日、俺は学校を休んで絃神島をフラフラしていた。流石に女の姿で学校には
行けず、一日中俺は外で買い物やら食べ歩きをしていた。その時に、今日俺は
街を歩いている人々に凄く見られていた。特に女性を中心に....
「(何かすごく疲れたな....)」
そんな事を考えながら俺はネカフェでパソコンの画面を見ていた。家に帰っても良かったが、
この姿を古城達に見られるのは抵抗があったため、ネカフェで寝泊まりをしようと考えていた。
そんな事を考えていると、急に携帯が鳴った。電話をかけてきたのは紗矢華だった。
「もしもし」
『終夜、今大丈夫?』
「あぁ。今日はどうした紗矢華」
『あ、あのね。私、今週末に絃神島に行くから』
「....またあの金髪か」
俺は心底嫌そうにそう言った。
『金髪って....違うわよ。今回は別件』
「別件....」
『アルディギア王国の要人が来日するから、それの護衛と道案内』
「アルディギア....」
『どうかしたの?』
「いや....少し知り合いを思い出しただけだ。にしても、護衛って大変だな」
俺がそう言うと、紗矢華は少し歯切れが悪そうにこう言ってきた。
『そうなんだけど....何かトラブルがあったみたいでね。その要人との連絡が
取れなくなったのよ』
「....そうなのか。その要人ってどんな人間なんだ?」
『悪いんだけどそれは言えないわ。私も任務だから』
「....そうか。悪いな、変なこと聞いて」
「(....まさか、アイツじゃないよな)」
俺はある一つの不安を感じた。
『べ、別に気にしてないわ! そ、それでね、そっちに行ってもすごく、すごーく
忙しいんだけど....もし時間があったら私に付き合ってくれる?』
「俺なんかで良いのか?」
『そ、そうよ! あんたが良いの!』
紗矢華は耳に響くぐらいの声でそう言ってきた。
「わ、わかった。一応、いつでも良いように予定は空けておく」
『い、言ったからね! 約束破ったら許さないわよ!』
「わかってるっての。....じゃあ、日が決まったら電話してくれ」
俺はそう言って切ろうとしたのだが....
『ねぇ、声どうかしたの?』
「えっ?」
紗矢華は不思議そうに聞いてきた。
『あんたの声、そんなに高い声だった? もしかして、どこか調子が悪いの?』
紗矢華は心配そうな声だった。
「い、いや、別に調子は悪くねぇよ。ちょっと魔術でドジって声が変になっただけだ。
二、三日あれば治る」
『そうなのね。気をつけなさいよ』
「あ、あぁ。悪いな、変な心配かけて」
『べ、別に心配なんかしてないんだから! じゃ、じゃあね! 身体、暖かくして
寝なさいよね!』
紗矢華はそう言って電話を切った。
「心配してるかしてないのかどっちなんだよ....」
俺はそう呟きながら携帯である人物に電話をかけた。
「あぁ、もしもし。少し調べて欲しい事があるんだが....」
〜〜〜〜
次の日の夜
「遅いぞ伊吹」
「悪かったな....それとアスタルテ、久しぶりだな」
「....? 終夜さん、ですか?」
「あぁ。ちょっと色々あって今は女の姿だがな....」
俺は今、とある商店街に来ていた。そして、俺の目の前には浴衣を着たなっちゃんと
アスタルテがいた。
「悪いが、この姿の時は紗夜って呼んでくれ。この姿を他の奴等にバレるのはすごく
困るからな....」
「....
「で、何で俺をこんな所に呼びつけた?」
「アスタルテに祭りを楽しませてやりたくてな。私はあまりそういう事に詳しくないから
お前に任せようと思ったんだ。もちろんタダでとは言わん」
そう言ってなっちゃんは一つのUSBメモリを俺に見せてきた。
「....ソレは?」
「お前が昨日の晩に頼んできたブツだ」
「っ!」
「今日アスタルテを楽しませてくれたらコレをお前にくれてやろう」
「....わかった。じゃあアスタルテ、俺が祭りを楽しませてやるよ」
そう言って、俺はアスタルテに手を差し出した。
「は、はい。お願い、します....」
アスタルテは少しずつ俺の手を握ってきた。そして、俺は祭りの屋台の方に向かおうと
したが....
「ちょっと待て」
急になっちゃんに呼び止められた。
「....何だよ」
「浴衣を着ずに祭りに行く気か? これに着替えて行ってこい」
そう言って、空間転移で白い浴衣を取り出して渡してきた。
「本気で言ってるのか....?」
俺は不満げにそう言ったが、なっちゃんはUSBメモリをチラつかせた。
「....わかった。着替えたら良いんだろ」はぁ
〜〜〜〜
俺は文句を言わずに近くの服屋の試着室で浴衣に着替えてアスタルテと一緒に祭りの
会場に来た。
「アスタルテ、まずは何処に行きたい?」
「....その、私はお祭りというものが分かりません。だから何があるのかも....」
「祭りに関しては殆ど知らないのか....」
俺はそれを聞いて色々と思考を巡らせた。そして....
「よし。なら最初は美味いものを食べようか」
そう言って、まずは綿あめ屋に向かった。
「すいません、綿あめを二つ」
「あいよ!」
俺は綿あめ屋の店員に女のような喋り方で注文した。そして、料金を渡すと思ったよりも
巨大な綿あめが出てきた。
「お二人さん美人だからサービスしといたぜ!」
「ありがとうございます。はい、アスタルテ」
俺は受け取った綿あめをアスタルテに渡した。
「ありがとうございます」
そして、アスタルテは綿あめを一口食べると目が爛々と輝いた。
「美味いか?」
「はい。とっても美味しいです....!」
「そうか。何か気になるものがあったら言うんだぞ」
「じゃ、じゃあ次はアレを....!」
そう言ってアスタルテが指差したのはりんご飴屋だった。
「じゃあどんどん行こうか」
りんご飴屋に行った後、金魚すくい、射的、輪投げ、型抜き、ヨーヨー釣りといった
祭りの定番の店を回った。そして、今俺とアスタルテはベンチでかき氷を食べていた。
その時、アスタルテは俺のかき氷をじっと見ていた。
「少し食べてみるか?」
「っ! 良いんですか?」
「あぁ。ほら、あーん」
俺がスプーンで一口すくうとアスタルテの口に近づけた。
「あ、あーん....」
「美味いか?」
「は、はい....とっても、美味しい、です....」///
すると、アスタルテの顔はみるみる赤くなっていき、湯気が出始めていた。
「お、おい! 大丈夫か!」
俺は咄嗟にアスタルテのおでこに手を置いた。
「だ、大丈夫です....」///
アスタルテはそう言うが、顔はどんどんと赤くなっていた。すると、急にアスタルテの
携帯が鳴った。
「す、すいません....はい、教官」
電話の相手はどうやらなっちゃんのようだ。そして、アスタルテが少し話していると....
「さ、紗夜さん。教官が変わってほしいと....」
アスタルテはそう言って携帯を差し出してきた。
「俺に?」
俺は携帯を受け取って電話に出た。
「どうしたなっちゃん」
『今からアスタルテと一緒に指定した場所に来い』
「指定した場所って....」
『既にお前の携帯に送った。少しお前にもある事に手伝ってもらおうと思ってな。
出来るだけ急いで来い』
それだけ言うと、なっちゃんは電話を切った。そして、俺は自分の携帯を見ると
なっちゃんからある場所の座標が送られていた。
「(面倒な予感しかしないが、行くしかないか....)」
「アスタルテ、行こうか」
俺はそう言って、アスタルテに手を差し出した。
「....はい」
アスタルテは少し残念そうな表情をしながらも俺の手を握り、一緒に目的地まで向かった。
〜〜〜〜
「(....何でここにお前らがいるんだ)」
目的地に着くと、俺は頭を押さえた。何故なら、そこに古城と姫柊がいたからだ。
「来たか紗夜。アスタルテの面倒を見てくれて助かったぞ」
なっちゃんはいつもの様子でそう言ってきた。俺はそれを聞いてなっちゃんに近づいて
小声で聞いた。
「何でここにあの二人がいるんだよ」
「暁は私が呼んだ。剣巫は知らん」
なっちゃんはそう言うと、アスタルテに近づいていった。
「アスタルテ、祭りは楽しかったか?」
「はい。しゅ....紗夜さんがいっぱい楽しませてくれました」//
「そうか。なら、約束通りにこいつを持っていけ」
なっちゃんは俺にUSBメモリを投げてきた。
「....どうも」
「なぁ、那月ちゃん。そこにいる人誰だ?」
すると、急に古城がなっちゃんにそう聞いた。
「コイツは私の友人で魔術師の十六夜 紗夜だ。紗夜、あの男は第四真祖の暁 古城。
そして隣にいるのが獅子王機関の剣巫の姫柊 雪菜だ」
「そ、そう。はじめまして、暁さん、姫柊さん」
俺は初対面のフリをして二人に頭を下げた。
「ど、どうも」
「は、はじめまして」
二人も何処かぎこちない様子で俺に頭を下げてきた。
「....それで、私に手伝って欲しい事って何、那月?」
「アレの捕獲だ」
そう言って指を指した先にいたのは、仮面を付けて背中に羽を生やした人間だった。
そう言った瞬間、空には花火が打ち上げられた。
「アレって....」
「この前の犯人だ。お前は状況を見ながら動け」
そう言うと、なっちゃんは空間転移を使い仮面がいる近くの電波塔に転移した。
「うおっ! 何で急にこんな所に!」
「那月の空間転移です。それよりも、上を」
俺がそう言うと、古城と姫柊は俺が指を指した方を見た。そこでは、二人の仮面を付けた
少女が戦っていた。すると、その少女達が放った光の矢が電波塔や街に降り注いだ。
「那月!」
「手を貸せお前達! まとめて仕留めるぞ!」
「わ、わかった!
「わかりました!」
二人は仮面を付けた少女達を撃ち落そうとしたが、二人の攻撃は無効化されていた。
「何!?」
「私達の攻撃を無傷だなんて!」
二人が驚いている間にも、仮面を付けた少女は光の矢を構えてこっちに向けていた。
「っ! 仕方ない....来て、特異点を射抜く者!」
俺がそう叫ぶと、銀色の鎧を纏い、羽を生やした女が現れた。
「彼女を撃ち落として!」
『了解』
射抜く者はそう答え、手から出現させた黒い矢で仮面の少女の羽を撃ち抜いた。
それと同時に、上空から光の矢が降り注ぎ、仮面の少女の腹を貫いた。仮面の少女が
地面に落ちていくと、もう一人の仮面の少女が落ちていく少女を地面に叩きつけた。
そして、仮面の少女は叩きつけた少女の
「....アイツ、俺達を助けてくれたのか?」
古城は急にそんな事を言った。
「いえ、違うと思います。おそらく、彼女の霊体を狙って....」
そう言っていたその時、
破壊した。その仮面の先の顔を見て、古城と姫柊は固まっていた。俺も俺で、
その少女の顔を見て少し驚いた。何故なら、その少女の顔は俺の友人の顔に
どこか似ていたからだ。
「バ、バカな....アイツ、あの顔!」
「嘘....」
そして、その仮面が割れた少女は叩きつけた少女の
「叶瀬!」
古城はそう叫ぶが、少女は止まらず、
そして、次の瞬間には何処かに飛び去って行った。それを、古城と姫柊は呆然と見ていた。
〜〜〜〜
「....とりあえず、今日はご苦労だったな伊吹」
そう言われた。
「あぁ」
「後の処理は私の仕事だ。お前も今日のところは帰れ」
「わかった。なら、後は頼む」
俺はそう言って、ネカフェに向かって歩き出した。その時、俺はある事を考えていた。
「(さっきの子、何処かアイツに似ていた....何でだ? アイツの妹....?
いや、アイツの妹はもっと幼かったはず....)」
そう考えながら、俺はなっちゃんから貰ったUSBメモリを取り出した。
「(とにかく、まずはコレの情報を見てからだ。....アイツじゃない事を祈りたいが)」