ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
「ありがとうございます、ポッドを守っていてくれて」
救命ポッドの所に戻ると、リアはシャークの頭を撫でながらそう言った。
『なるほど....お前がシャークに守るように頼んでいたのか』
俺はシャークが救命ポッドを守っていた理由を理解した。
「えぇ。終夜の魔力の気配がしているのを感じましたから。さ、どうぞ中に」
リアはそう言って救命ポッドの扉を開いた。ポッドの中はそこそこ広く、ベッドやトイレ、
食料に飲料水も備わっていた。
『これ作るのにいくらかかるんだよ....』
「さて? 数百万か数千万ぐらいでしょうか?」
『数百万....数千万....』
リアの言葉に俺は何も言えなくなった。
「それよりも終夜、室内なのですからその鎧を取ったらどうです?
それに、私はあなたの正体を知っていますし」
『....それもそうだな』
俺はそう呟き、ブラスター・ジョーカーから人間の姿に戻った。すると、リアは急に俺に
抱きついてきた。
「っ! きゅ、急にどうしたリア?」
「....少しの間だけ、私を抱きしめてくれませんか?」
そう言ったリアの声は、普段聞く声とは違ってどこか不安そうな声だった。それを聞いて、
俺は黙ってリアを抱きしめた。
「....どうかしたのか?」
「....すごく、すごく不安だったんです。この二日間、誰とも会えずにずっと一人だったので....」
たった一人で知らない無人島にいるのはさぞ不安だっただろう。それにリアは女の子だ。
俺なんかでは想像できないほど辛かったはずだ。
「そうか。....一人でよく頑張ったな」
俺はそう言って、リアの頭を優しく撫でた。すると、リアは俺を抱きしめる力が強くなった。
「....温かいですね、終夜は」
俺は何も言わず、少しの間リアを抱きしめて頭を撫でてやった。
〜〜〜〜
「ありがとうございます終夜。もう大丈夫です」
十分ほど経つと、リアはそう言って俺を抱きしめる力を緩めた。
「そうか」
俺はリアの背中に回していた手を退けた。そして、リアはベッドの上に座った。
「さて、それでは終夜、聞きたい事があるならどうぞ聞いてください。
あ、でも私の3サイズはまだ教えてあげませんよ」
リアは少し笑いながらそう言ってきた。
「何で今ここでそんな事を聞くんだよ....俺が聞きたいのは、お前が絃神島に
来ようとした理由とお前の飛行船を落とした連中は何処の奴かぐらいだ」
「もぉ、つれないですねぇ....まぁ、良いでしょう。それで、私が絃神島に
来ようとした目的でしたね」
「あぁ」
「終夜、あなたは今、彩海学園に通っていますよね?」
リアは突然そう聞いてきた。
「あぁ。それがどうかしたのか?」
「では、中等部の叶瀬 夏音という少女を知っていますか?」
リアの言葉に、俺は昨日の事を思い出した。
「叶瀬? それって、お前とよく似た銀髪のショートカットの子か?」
「知っていたんですね」
「知っていたって言っても、昨日初めて会ったばかりだ。で、その叶瀬って子が
お前がここに来た理由に関係しているのか?」
「はい。彼女は、実はアルディギア王家の一員なのです」
「アルディギアの?」
俺がそう聞くと、リアは静かに頷いた。
「先日、祖父の重臣が亡くなりまして、彼の遺言で叶瀬 夏音の存在が発覚したのです。
それを聞いて祖父は逃亡、祖母は怒り狂....とにかく、今王宮は大混乱していて....」
「....それってつまり、叶瀬って子は」
「祖父の浮気相手の娘という事になります」
「マジか....」
「(てか、リアの祖母さんの怒ってるところあんまり想像できねぇな)」
俺は昔、リアに会うためにアルディギアの城に忍び込んだ事がある。
その時に何度か見た事があったのだが、とても優しそうな人で誰かを
怒るなどという姿が全くと言っていいほど想像できなかった。
「それで、逃亡している祖父の代わりに私が叶瀬 夏音を迎えに来ようとしたのです。ですが....」
「その道中を襲われた....」
「はい。そして、私達の船を襲ってきたのはメイガスクラフトです」
メイガスクラフトとは国際的な
「だがちょっと待て。何でメイガスクラフトがお前の乗っていた船を襲う?」
「恐らく私の身体が目的でしょう」
「....身代金か」
俺の言葉にリアは首を横に振った。
「いえ。言葉通り、私の身体、アルディギア王家の血筋です」
「....確か、アルディギア王家の血筋は強い霊媒を持っていたな」
「その通りです終夜。メイガスクラフトにいる元宮廷魔道技師の叶瀬 賢生は
私の強力な霊媒を必要にしたのでしょう。ある魔術儀式のために」
「叶瀬って....叶瀬 夏音の」
「養父です。終夜、絃神島の修道院で起きた事故を知っていますか?」
「いや、俺は聞いた事がない」
「そうですか。その時に賢生は夏音を引き取りました。彼の行う儀式、
「
聞いた事のない言葉に、俺は首を傾げた。
「賢生が研究していた魔術儀式です。人為的な霊的進化を引き起こすことで、人間をより高次の
存在へと生まれ変わらせるのが目的です」
「アレで天使か....俺から見れば、天使なんてものには程遠いものに見えたがな」
俺は昨日見た
「....とりあえず話しを纏めると、リアは叶瀬 夏音を迎えに来ようとしていたが、
メイガスクラフトの奇襲を受けた。そして、メイガスクラフトはリアを連れ去って
「おそらくそうなりますね」
「....メイガスクラフトは潰すか。リア、ペンと紙はあるか?」
「はい。どうぞ」
俺はリアからペンと紙を受け取り、なっちゃんに送るある手紙を書いた。
そして、外に出てその手紙をシニスター・イーグルに渡した。
「これをなっちゃんに届けに行ってくれ」
シニスター・イーグルは鳴き声を上げて絃神島の方に向かって飛んで行った。
「さてと....これからどうする?」
「そうですね....まずはあの船を破壊しましょうか」
そう言ったリアの視線の先には黒い船が一隻いた。
「アレはメイガスクラフトの船です。二回程、この島に
「そうか。なら、あの船は沈めるか」
俺はそう呟いて腕を振るい、目の前に止まったカードを一枚手に取った。
「
すると、俺とリアの目の前に巨大な銀色の巨人が現れた。
「グラヴィトン、あの船を沈めろ」
俺がそう言うと、グラヴィトンの肩の装甲が開きエネルギーがチャージされた。
そして、エネルギーが溜め終わった次の瞬間、二本の巨大なビームが
船に向かって放たれた。ビームは二本とも船に直撃し、巨大な水柱を上げて船は大爆発した。
「さすがです終夜」
そう言ったリアは、不意に小さな欠伸をした。
「眠いなら寝てて良いぞ。見張りは俺がやっておく」
「....そうですか。ではお言葉に甘えて」
リアは救命ポッドの方に向かって歩いて行った。そして、中に入ろうとした時、
急に何かを思い出したような表情をして俺の方を向いた。
「そういえば終夜。侍女から聞いたのですが、日本には"夜這い"という文化があるとか....」
「するかっ! 後、それは文化なんかじゃねぇよ!」
「あら、そうでしたか」
リアは悪戯っぽい笑顔を浮かべながらポッドの中に入って行った。
「....はぁ、アイツの侍女はどんな日本文化を教えてんだ」
俺はリアの発言に頭を押さえながら海の方を見た。
〜〜〜〜
那月side
ゴンゴン
私が教員室にいる時、突如窓を叩く音が聞こえた。窓を見ると、そこには
伊吹の使い魔の銀色の鷲がいた。
「何故アイツの使い魔が私の所に....」
そう思いながら窓を開けると、鷲は私に一枚の手紙を渡してきた。
「手紙か....」
そして、鷲は手紙を渡すと何処かに飛び去って行った。私は不思議に思いながらも、
手紙の封を切った。そこには、伊吹の字でこう書かれていた。
『なっちゃんへ
現在、俺は絃神島の南西に向かって三十分ほどで着く無人島にリアといる。
昨日戦った羽付きは
そして、その儀式を行っているのはメイガスクラフトで、アルディギアの
飛行船を落としたのもメイガスクラフトの連中だ。悪いが、メイガスクラフトへの
ガサ入れとリアの迎えの船を頼む。俺はこっちで今回の実行犯を叩き潰す。』
「....メイガスクラフトか」
私はすぐに自分の携帯で
「さて、アイツにばかり働かせる訳にはいかんな。アスタルテ」
「
私とアスタルテは空間転移で