ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜   作:アイリエッタ・ゼロス

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天使炎上 Ⅵ

 メイガスクラフトの船を沈めて、俺はポッドがある所に戻ってきた。

 そこには岩に座って何かの話を聞いている古城と姫柊の姿があった。

 

『すまんなダスクブレード。護衛ご苦労だった』

『気にするな。我は主人の命を守っただけだ。では、我は一度退却する』

 そう言うと、ダスクブレードはカードになって俺の元に戻ってきた。

 

『で、どこまで話したんだ?』

「私が絃神島に向かっていた目的とメイガスクラフトの目的は話し終わりました」

『そうか』

「そ、それよりも! 何でアンタがこんな無人島にいるんだよ!」

 古城は何処か慌てた様子でそう聞いてきた。

 

『コイツを探してたんだよ』

 俺はリアを指差した。

 

「....貴方は、彼女と知り合いなのですか?」

『知り合いというか、個人的な友人だ。数年前に色々あってな』

「はい。ジョーカーには私も随分とお世話になりましたから」

 リアは俺の言葉に笑顔でそう言った。

 

『まぁそう言うわけで、俺はコイツを探してここにいたってわけだ』

「....そうですか。っ!」

 すると、姫柊は何かを感じ取ったのか雪霞狼を掴んで海を見た。同じタイミングで

 俺も海から気配を感じて海の方を見た。すると、海の上にはさっきよりも少し巨大な

 メイガスクラフトの船がこっちに向かって来ていた。

 

『....まだ来るか』

 俺は剣を船に向けてレーザーを放とうとしたが....

 

「ジョーカー、待ってください」

 突然、リアが俺の剣を船から逸らした。

 

『....何の真似だ』

「アレを見てください」

 そう言ったリアは船の方を指差した。そして、船からは白旗が見えた。

 

 〜〜〜〜

 

 島に着いた船から降りてきたのは眼鏡をかけた初老の男とちゃらんぽらんそうな男、

 厚化粧なババアだった。

 

「よぉバカップル。人目を気にしないでイチャつけたか?」

「テメェ....よくもぬけぬけと」

『暁 古城。ああいうタイプの獣人には何を言っても意味は無い。突っかかっても

 無駄に疲れるだけだ』

 俺は古城にそう言って気を落ち着かせた。すると、リアが一歩前に出た。

 

「久しぶりですね、叶瀬 賢生」

「殿下におかれましてはご機嫌麗しく....七年ぶりでしょうか。 お美しくなられましたね」

 初老の男は恭しくリアに礼をした。

 

「わたくしの血族をおのが儀式の供物にしておいて、よくもぬけぬけと言えたものですね」

「お言葉ですが殿下。 神に誓って、私は夏音を蔑ろに扱ったことはありません。 私があれを、

 実の娘同然に扱わなければならない理由....今のあなたにはおわかりのはず。

 いえ、むしろ実の娘同然なればこそ、と申し上げましょう」

「....叶瀬 夏音はどこです、賢生」

 リアは叶瀬 賢生を睨みながらそう言った。

 

「我々が用意した模造天使(エンジェル・フォウ)の素体は七人。 夏音はこれらの内三人を自らの手で倒し、

 他の者にやられた者たちの分も含めて六つの霊的中枢を手に入れました。 これは人間が

 己の霊格を一段階引き上げるのに必要十分な最低数です」

模造天使(エンジェル・フォウ)の儀式とは、所謂蠱毒の応用です。候補者同士を戦わせ、勝者に霊的中枢を

 取り込ませる。そして、これを繰り返して最良の一体を生み出す....」

 リアは俺達にも分かりやすいようにそう言った。

 

「そこで、出力が足りないなら数を増やせばいいと賢生は考えました」

「その通り。それならば人の肉体の限界を超えることなく霊的進化が可能となる。

 ヒトよりも神に近きモノ....即ち、天使に」

「....何でそこにメイガスクラフトが関わってんだ」

 すると、古城が急にそう聞いた。

 

「いやな、ウチの会社やっベーんだわ。経営状態が」

「はぁ?」

「掃除ロボなんざ技術革新も早くて利幅が出なくてな、仕方なく戦争用ロボなんてモンに

 手ぇ出してみたはいいものの、これがまた売れなくてよぉ。ウチらとしては兵器としての

 天使様に社運賭けてるって訳よ」

「兵器って....お前らまさか!」

『そういう事か....』

 俺はメイガスクラフトが関わっている理由が理解できた。

 

「そういうことだから。アタシらからの要求を伝えるわ。まずアルディギアのお姫様。

 アンタは無駄な抵抗を止めて大人しく投降しな。そうすりゃ命までは取らないであげる....

 ま、死んだ方がマシってくらい気持ちいい思いをして....」

 厚化粧のババアがそう喋っている時、俺はブラスター・ブレードをババアに向け、気づけば

 高出力のバースト・バスターを放っていた。だが、その一撃はギリギリのところで避けられた。

 

『チッ....』

「ア、アンタ! 人が話している時に!」

『敵の前で呑気に喋ってる方が悪いんだよババア』

「バ、ババア....!」

 俺の今の一言にババアは肩を震わしていた。

 

『何だ? ババアって言われた事にキレてんのか?』

 俺は畳み掛けるようにそう言った。すると、俺の後ろにいたリアは笑っていた。

 

「テ、テメェ!」

「おいおい! 抑えろってBB! てか、お前何者だ?」

「黒輪の根絶者(デリーター)....聞いた事ぐらいはあるのでは?」

「こ、黒輪の根絶者(デリーター)だと!?」

 リアの言葉に叶瀬 賢生は驚いていた。

 

「な、何故このような所に....!」

『さぁな....』

「黒輪の根絶者(デリーター)か何だか知らないけど、どうせあんたもここで死ぬんだよ! キリシマ!」

「わ、わかったっての!」

 キリシマと呼ばれた男は、慌てるように後ろにあるコンテナを開いた。そこには、叶瀬 夏音が

 眠っていた。

 

「さっさと起動しな!」

「あなたはそれで良いのですか、賢生」

「....起動しろXDAー7。最後の儀式だ」

 叶瀬 賢生が端末を操作すると、眩しい光と共に模造天使(エンジェル・フォウ)になった叶瀬 夏音が翼を広げた。

 それと同時に、姫柊は叶瀬 夏音に向かって走り出し雪霞狼を突き刺そうとした。恐らく、

 雪霞狼の力で模造天使の魔術を破壊しようとしたのだろう。だが、その一撃は叶瀬 夏音の

 身体に届く前にはじき返された。

 

「そんな....!」

「無駄だ。所詮人の手によって作られた神格振動波が本物の神性を帯びた模造天使(エンジェル・フォウ)

 傷つけられるはずがない」

「くっ....」

 叶瀬 賢生の言葉を聞いても、姫柊は諦めずに突撃しようとしたが、紅い槍を持ったババアが

 姫柊の前に立ち塞がった。

 

「アンタの相手は私だよ! そんでアンタを殺したら次はお前だ鎧男! キリシマ! 

 その男は殺すんじゃないよ!」

「はぁ、無茶言ってくれるぜ」

 そう言って獣人化した男は俺とリアの方に近づいてきた。

 

『ラ・フォリア、下がってろ』

 俺はリアにそう言ってブラスター・ブレードを構えた。すると、男の背後から強烈な光が

 放たれた。その光の正体は完全に起動した模造天使(エンジェル・フォウ)だった。

 

『Kyriiiiiiiiiiiiiii──!』

 そして、模造天使は甲高い絶叫を上げながら六枚羽根の天使に変わった。その羽根一つ

 一つには眼球のようなものがあり、そこから閃光が古城に向かって放たれた。

 

「っ、やめろ叶瀬!」

 古城はそう叫びながら閃光を避けるが、その声は彼女には届かなかった。

 

「くっそ....! 疾く在れ(きやがれ)獅子の黄金(レグルス・アウルム)双角の深緋(アルナスル・ミニウム)!」

 古城は二体の眷獣を呼び出し模造天使(エンジェル・フォウ)に突撃させたが、その攻撃は当たらずに模造天使(エンジェル・フォウ)

 身体をすり抜けた。

 

「無駄だ第四真祖。今の夏音は、すでに我らとは異なる次元の高みに至りつつある。

 君の眷獣がどれほど強力な魔力を誇ろうとも、この世界に存在しないものを

 破壊することはできまい」

 叶瀬 賢生は淡々とそう言った。そして、模造天使(エンジェル・フォウ)から六つの閃光が古城に向かって

 一斉に放たれた。

 

「叶瀬ーー!」

『っ、あのバカ....!』

 俺は咄嗟に一枚のカードを手に取り古城に向かって投げた。そして、次の瞬間、古城の周囲は

 砂煙に覆われた。

 

「先輩!」

 悲痛な声で古城を呼ぶと、姫柊は逆風の中、古城の元に向かって行った。

 

「もう終わりかよ。世界最強の吸血鬼ってのも随分と呆気な....」

 獣人の男がそう言った時、俺は獣人の男の腕を斬り落とした。

 

『呆気ないのはどっちだ。今の攻撃を躱せないとか、それでも獣人か?』

「テ、テメェ!」

 獣人は俺に襲いかかろうとしたが、突然動きを止めた。それと同時に、俺は海上が

 凍りついている事に気付いた。

 

『OAaaaaaaaaaa──!』

 そして、血の涙を流す叶瀬 夏音を中心に巨大な暴風が吹き始めた。

 

『マズイな....召喚(コール)、グレートウォール』

 俺は自分の目の前にグレートウォールを召喚した。

 

『グレートウォール、結界を張れ』

 すると、グレートウォールを中心に巨大な黒い結界が張られた。

 

「叶瀬 夏音....あなたは....」

『こいつはまた....とんでもない事になったな』

 そう言って、俺とリアは氷柱になった叶瀬 夏音を見た。

 

 

 

 

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