ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
「こうしてみんなで登校するの、何だか久しぶりだね」
紗矢華と遊んだ次の日、登校中に凪沙ちゃんがそう言った。
「そう言われるとそうだな....」
「シュウ君がしばらく居なかったし、古城君が朝なかなか起きなかったもんね」
「....言われてるぞ」
俺は後ろを歩いている古城にそう言った。
「分かってるっての....てか、四日もサボって何してたんだ?」
「私も気になりますね。伊吹先輩、暁先輩と違って授業もちゃんと受けてるって
聞きますし」
「....ちょっと俺の魔術の事で海外に行ってたんだよ」
俺がそう言った瞬間、姫柊は焦ったような表情になった。
「魔術って....」
「い、伊吹先輩! 凪沙ちゃんの前でそういう話は....!」
「あぁ、大丈夫だよ雪菜ちゃん。シュウ君が魔術師って知ってるから」
「そ、そうなんですか!?」
凪沙ちゃんの言葉に姫柊は驚いていた。
「うん。色々偶然が重なってね。ねっ、シュウ君」
「そうだな」
「....それで、魔術の事って何だったんだ?」
俺が凪沙ちゃんの言葉に返事すると、古城がそう聞いてきた。
「あぁ....俺の使う魔術って色々とわからない事が多いんだよ。だから、偶に俺は自分の
魔術に似た物を見に行ったり探したりしてるんだよ」
「そうなんですか。それで、結果はどうだったんですか?」
「大外れ。全く関係なかったし、変な魔導犯罪者と戦闘になった」
「そ、それはまた....」
「何か....ご愁傷様だな」
「全くだ」はぁ
俺の嘘に二人は完璧に騙されていた。そう話している間に、俺達は学校に着いた。
「じゃあ二人とも、また昼休みにな」
「はい」
「また後でね!」
そう言って、俺と古城は姫柊と凪沙ちゃんと別れた。
「さて、俺らも行くか」
「あぁ」
そして、俺と古城は高等部の校舎に向かって歩き出した。
〜〜〜〜
「あ! 伊吹君!」
「「終夜!」」
もう少しで教室に着くってなった時、突然前から築島と浅葱と矢瀬が走ってきた。
「どうした? 三人揃って。何かあったか?」
「あぁ! 学年の男子どもがヤベェ事になってんだよ!」
「....はぁ?」
「と、とにかくアンタはどっかに隠れてなさい! じゃないと確実に面倒な....」
浅葱がそう言っていたその時....
「来たな伊吹 終夜!!」
浅葱達の背後には学年の男子どもがいた。男どもは何故かはわからないが、俺のことを
憎んだような目で見ていた。
「あぁ....面倒な事に」
「んだよ、朝から学年の男どもが勢揃いで。何か用か?」
「あぁ! 伊吹 終夜! 貴様は我々の逆鱗に触れたのだ!」
「....俺、何かやったか?」
俺は隣いた古城に聞いた。
「さ、さぁ....」
古城は特に心当たりがなさそうにそう言った。
「分からないと言うのか! 我々が何故こんなにも殺気を向けている事が!」
「あぁ。全く」
「....そうか。ならば教えてやろう! 何故我々がこんなにもキレているのかを!」
そう言うと、一番先頭に立っていた男が二枚の写真を見せてきた。その写真は、俺とリアが
ショッピングモールで買い物をしている写真と、俺と紗矢華が猫と戯れている写真だった。
「げっ....何でそんな写真が....」
「ショッピングモールにいた奴等からだ! 伊吹 終夜! 貴様はこんなにも綺麗な彼女と
デートをしている事が許せん! それも二人も!」
「いや、二人とも彼女じゃないんだが....」
「この後に及んで言い訳か! おいみんな! 伊吹 終夜をこのまま許して良いか!」
「「「許してはダメだ!」」」
「ならば今こそ立ち上がれ! あのような反逆者は、我等の手で滅ぼさなければならない!」
先頭の男側そう言うと、後ろにいた男どもは雄叫びをあげた。
「行くぞ! 今こそ我等の力を見せつける時だぁぁ!」
そう叫ぶと、男どもは俺に向かってきた。
「朝から鬱陶しいな....古城、カバン頼んだぞ」
俺は古城にカバンを投げると、指の関節を鳴らした。
「しゅ、終夜? お前まさか....」
「....雑種どもが。調子に乗るなよ」
その後、学園全体に醜い断末魔が響き渡った。
〜昼休み〜
「あ、シュウ君古城君! コッチだよ!」
昼休みになり、俺と古城は食堂に来ていた。そして、俺達は凪沙ちゃんと姫柊と近くの
席に座った。
「あれ? シュウ君、何か疲れてない?」
凪沙ちゃんは俺の顔を見ると不思議そうに聞いてきた。
「....朝から面倒ごとがあったんだよ」
「面倒ごとですか?」
「....古城」
俺が古城を呼ぶと、古城はさっきの二枚の写真を二人に見せた。
「これ、紗矢華さんですよね? それと、もう一枚の写真に写っているのは....」
「アルディギアに住んでる俺の友人だ。一昨日に急に来て買い物に付き合ったんだよ。
で、紗矢華は休暇ができたから買い物に誘われたんだよ。それを見た学年のアホどもは
彼女と勘違いして俺をボコろうとしてきたんだ。朝の鬱陶しい時間に」
「まぁ、終夜は全部返り討ちにしてたけどな....」
「朝の叫び声や断末魔はそれが原因ですか....」
「正解....」
そう話していると、凪沙ちゃんが古城の携帯を奪い写真をジッと見た。
「どうかしたのか凪沙ちゃん?」
「う、ううん。凄く綺麗で、大人な人だなぁと思ってね....」
凪沙ちゃんはどこか落ち込んだ様子でそう言った。
「それにしても、男の人が嫌いな紗矢華さんが伊吹先輩とお出かけなんて意外ですね....」
「そういえばそうだな....」
「伊吹先輩、紗矢華さんと何かあったんですか?」
姫柊は不思議そうに聞いてきた。
「いや、特にこれといっては無いはずだ」
「そうですか....」
「....ねぇ、シュウ君ってこういう大人な女の人が好きなの?」
姫柊の質問に答えていると、凪沙ちゃんが不意にそう聞いてきた。
「いや、別にそんな事はないと思うが....」
「(そもそもその感情が分からないんだけどな....)」
「そ、そっか....! じゃ、じゃあ私にもまだチャンスはあるよね!」
「....? 何か言った?」
「う、ううん! 何でも無いよ! そ、そうだシュウ君! 今日の放課後、買い物に
付き合って!それで、一緒に晩御飯食べようよ!」
「良いぜ。じゃあ放課後にそっちの校舎に行く」
「う、うん! じゃあ待ってるね!」
そう言うと、凪沙ちゃんはいつもの元気な様子に戻った。その時、古城と姫柊が呆れた様な
目で見ていることに気づかなかった。