ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
学校で授業を受け昼休みになった。俺は浅葱達の所にいたのだが、何故か古城は
クラスの男どもに囲まれていた。
「なぁ暁。お前、波朧院フェスタのイベントに何か出る予定はあるか?」
「いや、何も決めてないが....」
古城がそう言った瞬間、男どもの目の色が変わった。
「そうか! だったらバイトしないか? 町内会でオープンカフェをするんだが人手が
足りなくてな。時給1000円でどうだ!」
「待て古城! どうせならうちのブースで売り子やってくれ! 今なら特典で利益の一割....
いや、二割をバイト代としてくれてやる!」
「待て待て古城! 波朧院フェスタのといえば伝統のビーチバレー大会を忘れてないか?
俺達と一緒に砂浜で爽やかな青春の汗を流そうじゃないか!」
「待て待て待て! 祭りの花といえばミスコン! 貴様には特別に審査員の席を用意した。
だから当日は命に替えてもテティスモール前のイベントステージに来るんだ!」
「....何、あれ?」
「モテモテだね暁君」
浅葱は冷めた目で古城の方を見ながら築島にそう聞いた。だが、築島は普段と変わらない
様子でそう返していた。
「ま、あれは古城じゃなくて姫柊ちゃん目的だろうな」
俺の隣にいた矢瀬は浅葱に笑いながらそう言った。
「姫柊って、中等部の転校生?」
「あぁ。あの子がどういうわけか古城につきまとっているからな。古城が来るってなれば
必然的に姫柊ちゃんが来るってなるだろ? あの子が来たら大きいだろうな。客寄せと
目の保養として」
「アホだ....」
「....馬鹿じゃないの、どいつもこいつも」
浅葱は冷めた目で男どもを睨んでいた。すると、さっきまで黙っていた古城が口を開いた。
「あー....誘ってもらって悪いんだがやめとくわ。今年はちょっと一緒に回る奴がいてな」
古城がそう言った瞬間、男どもの目の色が変わり古城に敵意を向けた。
「貴様! やはり例の中等部の転校生と....!」
「いや、姫柊は関係ないぞ」
すると、男ども不思議そうな表情をしながら考え込みだした。
「中等部の転校生じゃないだと? じゃあ一体誰が....」
「藍羽じゃないか?」
「あぁ....藍羽か」
「正直この際藍羽でも....」
「....アイツらの個人情報、流出させてやろうかしら」
「流石にやめとけ....」
男どもの発言に、浅葱は心底機嫌が悪そうだった。すると....
「暁ー! あんたに中等部からお客が来てるよー!」
誰かが古城の名前を大声で呼んだ。その呼んだ生徒の背後には、リアの家族である
叶瀬 夏音が古城の方を見ていた。
「なっ!? 中等部の、聖女だと....!」
「何故彼女が暁のことを....!」
男どもは予想外の人物の訪問に固まっていた。その間にも、古城は叶瀬の元に行って
話しをしていた。
「....あれってどういう知り合い?」
「....さぁ?」
俺はどういう知り合いかを知っていたが、色々と面倒になるため何も言わなかった。
すると、次の瞬間、叶瀬 夏音の発言に教室内が凍りついた。
「あの、今日の夜、泊まりに行っても良いですか? お兄さんのお宅に」
「あぁ、別に構わないぞ」
「なっ....!?」
「....あの子、この殺伐とした空気の中でとんでもないこと言うな」
矢瀬の言葉に築島は頷いた。すると、築島は何か思いついたのか、浅葱の腕を掴んで
手を挙げた。
「ちょっと待った暁君! 私達も一緒にお邪魔して良いかな?」
「えっ....?」
「えぇぇぇぇー!?」
突然の出来事に、浅葱は状況を理解できず大声を上げた。
〜〜〜〜
「夏音ちゃん、退院おめでとー!」
学校が終わり、俺は暁家にお邪魔していた。そして、その暁家には叶瀬と姫柊、
何故ここにいるのか謎の築島、矢瀬、浅葱がいた。
「あ、ありがとう凪沙ちゃん....それに皆さんも....」
叶瀬は凪沙ちゃんのテンションに若干驚きながらもどこか嬉しそうだった。
「良いの良いの! さ、今日は夏音ちゃんの為に沢山作ったから! いっぱい食べてね!」
俺達の目の前には大量の皿に盛りつけられた料理が並べられていた。
「いやー、にしても凪沙ちゃんに終夜。また料理の腕上げたんじゃないか?」
「そうね。凪沙ちゃん、古城の妹にしとくのが勿体無いわ。....終夜に関しては
ちょっとムカつくけど」
「自分が料理出来ないからって僻むなよ....てか、お前ら少しは遠慮して食え。
今日の主役はお前らじゃないんだから」
俺はそう言いながらも料理を食っていた。その時、俺はある事に気づいた。
「てか、築島何処に行った?」
「お倫なら確か....」
「へぇ、これが暁君の部屋なんだ。意外に普通だね」
築島の声は古城の部屋の方から聞こえてきた。見に行くと、築島は古城のベッドの下を
覗いていた。
「他人の部屋に入るなりベッドの下を覗き込むのはやめてくれないか、築島」
「ごめんごめん」
そう言いながらも、築島は古城の部屋を物色していた。すると、本棚から何かを
取り出した。
「ねぇ、このアルバム見ても良い?」
「別に良いが、それ小学生の時のやつだぞ」
「へぇ。なら、なおさら興味が湧いてきた」
そう言って、築島はアルバムを開いて中を見始めた。すると、他の五人も古城の
部屋に集まってきた。
「小さい暁君、今とあまり変わらないね」
「ホントだな」
そうしてページを捲っていくと、矢瀬が古城にこう聞いた。
「てか、よく一緒に写ってるコイツは?」
矢瀬が聞いたのは、古城と凪沙ちゃんと一緒に写っている茶髪の子だった。
「あぁ、ユウマか」
「ユウマ?」
「ガキの頃、よくつるんでた遊び仲間だ。幼馴染っていうか、バスケ友達っていうか、
腐れ縁の親友みたいなもんだ」
「へぇ〜。暁君の友達にしてはかなり男前だね」
「それどういう意味だよ!?」
築島の何気ない発言に古城はそう叫んだ。
「ま、ユウちゃん昔から女の子に人気あったよね。古城君とは違って」
「まぁそうだな....そういや凪沙、ユウマから連絡あったか?」
「うん! 明日九時ぐらいに空港に着くって」
「えっ? て事は、一緒に回る奴ってのは....」
「ユウマの事だ。何か親戚のツテでフェスタの招待チケットを貰ったらしくてな。
それに、島の中の案内をするって約束したしな」
「そういう事か....」
矢瀬が一人納得してる中、姫柊と浅葱はどこか慰めあったような目でお互いを見ていた。
すると、築島は何か思いついたように俺の方を見た。
「そういえば伊吹君って暁君の隣に住んでるんだよね?」
「あぁ」
「だったら伊吹君の昔のアルバム見せてよ」
「終夜のアルバムか....確かにそれは気になるな」
「確かにそうね....」
「あ、私も昔のシュウ君見てみたい!」
「あぁ....その、期待してるとこ悪いんだが....俺、ガキの頃のアルバムねぇんだよ」
俺は期待している四人に申し訳なさそうにそう言った。
「そうなのか?」
「あぁ。ちょっとガキの頃は色々あってな....できれば詮索しないでくれたら助かる....」
「....そうか。じゃあ仕方ねぇな。ほら、戻って飯食おうぜ」
古城は気を遣ってくれたのか、そう言って全員をリビングの方に連れて行った。
「(変に気を遣わせちまったな....今度何か奢ってやるか)」
〜〜〜〜
「んじゃお前ら、気をつけて帰れよ」
「おう」
「じゃあね」
「晩御飯ご馳走さま」
矢瀬、築島、浅葱をマンション下まで見送った俺は古城の家で片付けをしていた。
そして、片付けも全て終わり自分の家に戻ろうとした時....
「あの、伊吹さん....少し良いですか?」
俺は突然、叶瀬に呼び止められた。
「何だ?」
「あの、変なことを聞くかもしれませんが....私と、何処かで会った事がありませんか?」
それを聞いた俺は、一瞬驚いたがすぐにこう言った。
「いや、叶瀬とは今日初めて会ったと思うが....」
「....そう、でした。すみません、変なこと聞いてしまって....」
「いや、気にすんな。それじゃあ、俺は帰るな」
「はい....その、今日はご馳走様、でした」
「おう。じゃあな」
俺は叶瀬にそう言うと古城の家を出て自分の家の中に入った。
「(....急にあんな事を聞かれのは流石に驚いたな。リアの家族なだけあって魔力の気配は
意外と鋭いのかもな)」
そう思いながら、俺は風呂に入り眠りについた。
この時、俺は気づかなかった。この島に、とてつもなく面倒な存在が侵入している事に....
そして、俺にとって大忙しな二日間が始まる火蓋が切られている事に....