ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜   作:アイリエッタ・ゼロス

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蒼き魔女の迷宮 Ⅵ

「雪菜ちゃんも一緒に晩御飯食べれれば良かったのにねぇ」

 島内を回って家に帰ってきて料理をしている凪沙はそう言った。

 キーストーンゲートでのアスタルテの話を聞いた俺と姫柊は相談し、叶瀬と

 アスタルテは今夜は姫柊の家に泊まることになった。

 

「俺達に気を遣ってくれたんだろ。大勢いるとユウマとゆっくり話ができないしな」

 俺は頭をフル回転しながら必死に言い訳を考えてそう言った。

 

「そっか。....それよりも、結局シュウ君帰ってなかったね」

「....あぁ」

 帰ってから一応終夜の家を俺は見に行ったのだが、家の中は出る前と全く変わって

 いなかった。

 

「凪沙ちゃん、“シュウ君”っていうのは?」

 すると、ユウマが不思議そうに凪沙に聞いた。

 

「シュウ君っていうのはウチの隣に住んでる古城君の同級生。とっても優しくて、頭も良くて、

 カッコよくて....私や古城君はすっごく助けられてるんだ!」

「へぇ....そうなのかい、古城?」

「あぁ。この島に来て、一番最初にできた親友だ」

「ふぅーん....そうなんだ」

 俺がそう言うと、ユウマは少しムッとした様な表情になった。

 

「古城、その“シュウ君”とやらの写真はあるかい?」

「写真か? 確か....あった。この銀髪の奴だよ」

 俺は携帯の写真フォルダから終夜の写っている写真を見せた。

 

「へぇ....これが“シュウ君”か。確かに、なかなかのイケメンだね」

「でしょ!」

「....それよりも、さっき凪沙ちゃんが言ってた帰ってなかったってのは?」

 ユウマは、さっきの凪沙の発言を思い出した様にそう聞いてきた。

 

「....昨日の夜、一緒に晩飯を食べたんだが、今日の朝に家を見に行ったらいなくてな。

 帰って来たら家にいると思ったんだが、まだ帰ってなくてな」

「....そうなんだ」

「....アイツにもユウマの事を紹介したかったんだがな」

「....そっか。僕も少し話をしてみたかったよ」

 ユウマはどこか歯切れ悪そうにそう言うと、それ以上は何も聞いてこなかった。そうして、

 少し俺がテレビを眺めていると凪沙がこう言ってきた。

 

「古城君、暇なら先にお風呂入っちゃってよ。私、ユウちゃんと後で一緒に入るから」

「あぁ、わかった」

 俺は立ち上がって脱衣所に行き、腰にタオルを巻いて風呂場に入った。だが、風呂場に

 入った瞬間、俺の視界は真っ白な湯気に覆われた。

 

「えっ?」

「(何でこんなに湯気が....っ!?)」

 そして、次の瞬間、俺はあることに気づいた。それは、この風呂場に先客がいた事だ。

 

「お兄さん....ですか?」

「....第四真祖」

「叶瀬!? それにアスタルテ!? なんで二人が....!?」

 俺は何故こんな事態が起きているのかわからず混乱していた。すると、浴槽に浸かっていた

 アスタルテの背中から薔薇の指先(ロドダクテュロス)が姿を見せていた。

 

「....第四真祖、いつまで見ているつもりですか? これ以上は、流石の私でも怒りますよ?」

「っ、わ、悪い! すぐに出る!」

 俺は咄嗟に身の危険を感じて風呂場から出た。

 

「ほ、ほんとに何が起きてるんだよ....」

 俺は脱衣所にある鏡を見てそう呟いた。

 

 

 


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