ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜   作:アイリエッタ・ゼロス

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蒼き魔女の迷宮 Ⅶ

「....色々と事情がよく呑み込めないのですが、取り敢えず叶瀬さんとアスタルテさんの

 お風呂を覗いたので自首しに来た、という事ですか?」

 現在、俺は姫柊の家のリビングで土下座をしていた。

 

「違う! いや違わないけど最大の問題点はそこじゃないだろ!?」

 姫柊の言葉に、俺は咄嗟にそう言い返した。

 

「でも、覗いたんですよね」

 姫柊は冷たい視線で俺を見下ろしていた。

 

「ア、アスタルテは湯船に浸かってたし、叶瀬はシャンプーの泡でほとんど....」

「でも、覗いたんですよね」

「....すいませんでした!」

 俺は姫柊の視線に恐怖を感じて再び頭を下げた。

 

「はぁ....」

「お、お粗末様でした....」///

「いや、お粗末って事は全然....」

「先輩?」

 俺がそう言った瞬間、姫柊は笑顔を浮かべながらそう言ってきた。だが、表情とは裏腹に

 言葉にはどこか怒りが込められていた。

 

「....な、何でもありません」

 俺は咄嗟にさっきの言葉を否定した。すると、姫柊は真剣な表情をしながら俺の前に正座した。

 

「....取り敢えず、先程の話を聞くに、先輩は自分の家のお風呂に入ろうとしたら私の家の

 お風呂に出た、というわけですね」

「あ、あぁ」

「....何故、先輩の家のお風呂と私の家のお風呂が繋がったのでしょうか」

 姫柊はそう呟くと考え込み始めた。

 

「....何だか、那月先生の空間転移みたいでしたね」

 すると、叶瀬がふとそう呟いた。

 

「えっ?」

「いえ、その....お兄さんの言っている事を考えているとワープみたいだなと....」

「教官の空間転移、ですか....」

「言われてみれば....確かに那月ちゃんの空間転移と似た様な感じはした様な....」

「....ですが、南宮先生は現在行方不明ですよ?」

「だよな....」

 そう話しながらしばらく考えていると、遠くの方から携帯の鳴る音が聞こえてきた。

 その携帯の着信音に、俺は聞き覚えがあった。

 

「先輩、誰かの携帯が鳴っていませんか?」

「....多分、この音は終夜の携帯だな。少し様子を見に行ってくる」

「でしたら私も行きます。叶瀬さんとアスタルテさんは少し待っていてください」

「分かりました」

「了解です」

 姫柊の言葉に頷いた二人を置いて行き、俺と姫柊は終夜の家の中に入っていった。そして、

 終夜の部屋に入り携帯を見た。携帯の画面には、煌坂と登録されていない番号から何件も

 電話が掛かっていた。

 

「この番号、誰の番号でしょうか?」

「少なくとも、俺のクラスの奴ではなさそうだな....」

 そう言っていると、登録されていない番号から電話が掛かってきた。

 

「....どうしますか?」

「....出るだけ出てみるか。もしかしたら、終夜の居場所を突き止める手掛かりになるかも

 しれないからな」

「....そうですね」

 姫柊は少し不安そうな表情をしながらも賛成してくれた。

 

「じゃあ、出るぞ」

 そう言って、俺は電話に出た。

 

「....もしもし」

『もしもし、終夜ですか?』

「えっ....?」

 電話の向こうからは、女の声が聞こえてきた。その声に、俺はどこか聞き覚えがあった。

 

『....? 今の声、もしかして古城ですか?』

「その声....お前、ラ・フォリアか!?」

「えっ!?」

 俺の声に姫柊は驚いていた。

 

『はい、そうですよ古城。それよりも、どうして古城が終夜の携帯に出たのですか?』

「いや、その....終夜の携帯が鳴ってたから取っただけなんだが....って、そうじゃなくて! 

 何でラ・フォリアが終夜の携帯に電話を掛けてるんだよ!」

『何でと言われましても....終夜は私の友人ですから。友人に電話を掛けるのは

 何かおかしいですか?』

「友人って....」

「(アイツ、一体どこで知り合ったんだよ....)」

 ラ・フォリアの発言を聞いて、俺はそう思った。

 

『それよりも、終夜はそこに居ますか?』

「....終夜なら今は行方不明だ。その代わり、姫柊が俺の横にいる」

『....やはりそうですか。でしたら、ビデオ通話に切り替えてください。少し、貴方達二人に

 話しておきたい事があります』

「話しておきたい事?」

『はい。事は一刻を争いますので』

 そう言われて、俺はビデオ通話に切り替えた。

 

『紗矢華、少し来てください』

「どうされましたか王女....って、暁 古城!? それに雪菜!」

 すると、携帯越しに煌坂が現れた。

 

「紗矢華さん!」

『雪菜! あなた大丈夫だったの!』

「大丈夫って....何がですか?」

『それは今からお話しします雪菜』

 そう言うと、ラ・フォリアは急に真剣な表情に変わった。

 

『今日の朝、私はアルディギアに帰国するつもりでした。ですが、空港のゲートを

 通過した瞬間、私と紗矢華は人工増設島(サブ・フロート)に飛ばされました』

人工増設島(サブ・フロート)に!? んなバカな! 島のほとんど反対側だぞ!」

『アンタはそう言うけど事実よ。その後も、何度も私と王女は空間を転移させられたわ』

 煌坂は冷静な表情でそう言い返してきた。

 

「紗矢華さん達は今どこにいるんですか?」

 すると、隣にいる姫柊が煌坂にそう聞いた。

 

『今はホテルの一室にいるわ。とりあえず、夜はここで過ごそうって話になったわ』

「そうですか....」

『さて、ではここから話すことが最も重要な部分です。これは私と紗矢華が立てた

 仮説なのですが、この謎の空間転移は魔力や霊力が関係してると思っています』

「魔力や霊力、ですか」

『えぇ。私や紗矢華の魔力は普通の人間とは比較にならないほど強力です。ですので、

 剣巫である雪菜、第四真祖である古城は十分に気をつけてください。そして、これは私からの

 お願いなのですが、夏音の事をどうかよろしくお願いします。彼女も私と同じくアルディギアの

 血筋を引いているので強力な魔力を持っています。ですので、二人のうちどちらかでも良いので

 夏音の護衛を頼みたいのです』

「叶瀬さんの護衛でしたら、既に南宮先生から手配されています。ですから、その心配は

 ご無用ですよ」

 ラ・ファリアの言葉に姫柊は落ち着いてそう返していた。

 

『そうですか。あの空隙の魔女の護衛でしたら安心ですね』

「とりあえずラ・フォリオ、色々とありがとな。お陰で終夜の行方不明の理由が

 わかった気がした」

『いえ、気にしないでください。....それと、念のために終夜の携帯を持っていてください。

 何かあればこちらから連絡させていただきます』

「あぁ、わかった」

『それでは』

『暁 古城! 雪菜に変な事したらタダじゃおかないわよ!』

 煌坂がそう言うと電話は切れた。

 

「....とりあえず、伊吹先輩は紗矢華さん達と同じように謎の空間転移に巻き込まれた、

 という見解で良さそうですね」

「あぁ。それと、さっきの風呂場の件もこれと同じみたいだな」

「えぇ....」

 すると、姫柊は突然こんな事を聞いてきた。

 

「....先輩。伊吹先輩は、一体何者なんでしょうか」

 

 

 〜その頃〜

 

 凪沙side

 

「凪沙ちゃん、中学生にしては結構胸大きいよね」

「そ、そんな事ないよ! ユウちゃんの方が大きいじゃん!」

 夕食を食べ終わった私はユウちゃんとお風呂に入っていた。

 

「それに身長も高いし....私もユウちゃんぐらいの身長が欲しいよ」

「大丈夫。高校生になったら凪沙ちゃんも伸びるって」

 そうして、色々と話しているとユウちゃんがこんな事を聞いてきた。

 

「そういえば凪沙ちゃん、好きな人とか出来た?」

「えっ!?」

 私はユウちゃんの言葉に固まった。

 

「さぁさぁ。素直に言いなって」

「べ、別に好きな人はいない....」

「シュウ君」

「っ!?」

 ユウちゃんの思いがけない単語に私の肩は震えた。

 

「やっぱり」

「な、何の事かな〜....」

 私はしらを切ろうとしたが....

 

「凪沙ちゃん、シュウ君の話しをしてる時すっごく笑顔だったよ。まるで恋する乙女

 みたいにね」

「う、うぅ....」///

 そう言われて、私は顔が赤くなり鼻まで湯船に浸かった。

 

「やっぱり、凪沙ちゃんはわかりやすいね」

「そ、そんなはっきり言わないでよ! 私も少しは気にしてるんだよ!」

「あはは、ごめんごめん。それで、凪沙ちゃんはシュウ君に告白とかしないの?」

「こ、告白!?」///

 ユウちゃんの言葉に、私の顔はさっきと比べ物にならない程真っ赤になった。

 

「シュウ君の事が好きなんでしょ? だったら告白しないと。じゃないと、他の人と

 付き合っちゃうかもしれないよ」

「そ、それは....そうかもしれないけど....」

「チャンスがある時に告白した方が良いと思うよ。じゃないと、二度とそのチャンスが

 訪れないかもしれないからね....」

 そう言ったユウちゃんの目は、どこか悲しそうな目をしていた。

 

「....ユウちゃん?」

「っ! ....ごめん。今のは忘れて」

「う、うん....」

「....そろそろ出よっか。明日も早いからね」

 ユウちゃんはいつもの様子に戻ってそう言った。

 

「....そうだね」

「(ユウちゃん、何であんな悲しそうな目をしてたのかな....)」

 私はユウちゃんの目が気になったが、それ以上深くは聞かなかった。

 

 

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