ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
「何者って....どういう意味だよ」
俺は姫柊の言葉にそう聞き返した。
「私がこの島に来て数ヶ月が経ちました。そして、この島で沢山の事件が起きましたよね」
「あ、あぁ....」
「その事件の全てに、黒輪の
私は思ったんです。....もしかしたら、伊吹先輩が黒輪の
「なっ!?」
姫柊の言葉に、俺は絶句した。
「一応、そう思った根拠はいくつかあるんです。まず、ロタリンギアの宣教師の事件。伊吹先輩が
私達の元に来て宣教師の目的を私に聞いてきたんです。そして、私達が向かった時に、そこには
黒輪の
「で、でもそれは、黒輪の
「確かにそう考える事もできます。私もその線を考えましたから。....では、ナラクヴェーラの
件はどうでしょうか? ナラクヴェーラとの戦闘の際、伊吹先輩は私にこの場を任せると言って
何処かに行ってしまいました。そして、それと同時に黒輪の
「....」
姫柊の言葉を、俺は黙って聞くしかできなかった。
「そして、この前の
ですが、気づけば伊吹先輩は帰っていました。私達が無人島から帰って来た時と同じ日に....
いくらなんでも、おかしいとは思いませんか? それに、伊吹先輩がいる時に黒輪の
一度として現れてはいません」
「....確かに、姫柊の言う通りだな。だけど、偶然って線も考えられないか?」
俺は色々と思案した結果、そう言ってみた。
「それを言われると何も言えません。では、少し視点を変えてみましょうか」
「視点?」
「先輩、ロタリンギアの宣教師と初めて出会った際、黒輪の
呼んでいたのを覚えていますか?」
「あぁ、覚えてるが....」
「何故、黒輪の
私を姫柊、私は先輩を先輩としか呼んでいません。なのに、黒輪の
呼んだ。これはつまり、私達二人と接点のある人が限られてきませんか?」
「言われてみれば....」
「あの時に、私と先輩、どちらの名前もフルネームで知っていたのは伊吹先輩、凪沙ちゃん、
ぐらいです。そして、あの時の声は男でした。つまり、消去法でいくと伊吹先輩になります」
「確かにそうだな....」
俺は過去の記憶を思い出しながらそう言った。
「そして、伊吹先輩の持つ力も気になります」
「終夜の力って....あの召喚してる力か?」
「はい。あれ程強力な力を持っているのに噂の一つが無いのは不思議で仕方がないんです。
それに、初めて会った時に伊吹先輩は私の雪霞狼を素手で掴みました。戦いの訓練を
受けてきた私の槍を素手ですよ。よほど戦い慣れをしていないとできません」
「確かにあれは凄かったな....」
俺は姫柊の初めて会った時の事を思い出した。
「そして、先程の電話....言い方はアレですが、ただの一般人である伊吹先輩がどうやって
ラ・フォリアと知り合ったのでしょうか?」
「それは....確かにそうだな。ラ・フォリアは王族だし....もしかしたら、昔にアルディギアに
住んでたとか?」
「....そんな話、聞いたことあります?」
「いや、ねぇけど」
「じゃあ何で言ったんですか....」はぁ
姫柊は呆れた様にため息をついた。
「というか、先輩は伊吹先輩の過去について何か知らないんですか?」
「終夜の過去か....アイツ、昔の話されるの嫌そうだからな....俺も凪沙もあんまり聞かない様に
してるんだよ」
「....そうなんですか。でしたら聞くのは避けた方が良さそうですね」
「そうだな。....てか姫柊、俺も姫柊に一つ聞きたい事があるんだが良いか?」
「何でしょうか?」
「....もしも、もしも本当に終夜が黒輪の
「っ....!」
そう言うと、姫柊は黙ってしまった。
「....獅子王機関の上司に報告か?」
「....それは分かりません。伊吹先輩の目的次第では報告せざるを得ないかもしれませんが、
出来ることならそうならない事を祈っています」
「....そうか」
そう言うと、俺達はお互いにしばらく黙っていた。そして、その沈黙を破ったのは俺だった。
「....終夜が帰ってきたら、聞いてみようぜ。それで全部ハッキリさせよう。アイツが、
黒輪の
「....先輩」
「親友がいつまでも疑いかけられるのは、俺も嫌だからな。それに、もしも本当にアイツが
黒輪の
きたからな」
「それは....そうですね。でしたら、私もお礼を言わないとダメですね」
「だな。じゃあ、明日に備えようぜ。ラ・フォリアが言ってた事も気になるしな....」
「それもそうですね....先輩はユウマさんと凪沙ちゃんの事、お願いしますね」
「あぁ。そっちも頼んだ」
俺と姫柊はお互いにそう言うと、それぞれの家に帰って行った。そして、俺が家に帰ると、
既に家の中は真っ暗だった。
「凪沙ー....もう寝たのか?」
「凪沙ちゃんならもう寝たよ」
すると、何処からともなくユウマが現れてそう言った。
「お、脅かすなよユウマ....てか、その格好なんだ?」
俺の前に立っているユウマの姿は、どこかコスプレ感がした。
「明日着る魔女のコスプレ。凪沙ちゃんに貰って試着してたんだ」
「そうか。結構似合ってるな」
「ありがとう古城」
そうして、俺とユウマはしばらく話し込んでいた。すると、突然ユウマは俺に近づいてきた。
「....やっぱり、古城は優しいね」
そう言った瞬間、ユウマは俺の肩を掴んだ。
「ユウマ....?」
すると、突然ユウマは俺にキスをしてきた。
「っ....!?」
「ごめんね古城。君の優しさ、利用しちゃって」
「ユウ、マ....」
ユウマの呟きが聞こえた瞬間、俺は謎の睡魔に襲われた。そして、俺が最後に見たのは、
ユウマの悲しそうな顔と、謎の蒼い鎧騎士だった。